Day9:8月9日(金)
大会も残り3日となったパリオリンピック陸上競技第9日の8月9日、モーニングセッションでは女子100mハードルの準決勝が行われました。全2組で実施されたこのラウンドでの決勝進出条件は、各組上位2着および3着以降の記録上位者2名以内に収まること。日本からは、1組目に敗者復活ラウンドからの「復活」なった田中佑美選手(富士通)が、3組目に予選で五輪日本人最高記録(12秒85)をマークして進出を決めていた福部真子選手(日本建設工業)が、それぞれ出場。田中選手は、今大会3本目のレースとなったなか、12秒91(+0.5)・7着でフィニッシュ。向かい風0.7mのなかでのレースとなった福部選手は、錚々たる顔ぶれを相手に第1ハードルでリードを奪う滑りだしを披露。終盤はさすがに突き放される形となりましたが、12秒89をマークして、この種目での日本人最高成績となる5着でレースを終えました。
両選手のコメントは、以下の通りです。
女子100mハードル 準決勝
福部真子(日本建設工業)
3組5着 12秒89(-0.7)最高の12秒間になった。(自身の強みは序盤の速さなので)「見せ場は3台目までかな」と思っていた。しっかり走ることができたので、そこだけは良かったのではないかと思う。
フィニッシュしたあとは、いろいろな感情が込み上げてきて、情緒が…(笑)。ちょっと(コントロールが)難しい状態だった。でも、「やりきったな」という気持ちはある。「もう少し勝負ができればよかったな」という思いもあるが、「今出せる自分の力はしっかり出せたかな」という思いがあるので、悔いはない。
ここまで日本の女子(スプリント)ハードル界は、寺田さん(明日香、元日本記録保持者)や青木さん(益未、前日本録保持者)が道を築いてくださった。その道を閉ざさないように、私もしっかりと走っていけたらと思う。まずは、こういう大舞台で、しっかり自分のレースをするというところを、まだまだやっていかなければいけないなと感じた。今後も頑張っていきたい。
田中佑美(富士通)
1組7着 12秒91(+0.5)調子は良かったので、準決勝では、決勝に進めなくとも自己ベスト(12秒85、2024年)近く、そして来年の東京世界選手権の参加標準記録(12秒73)が切れればいいなという気持ちで走ったが、タイムが今一つ上がりきらずに、そこに関しては後悔が残る結果となった。
スタート前は、本当に楽しくて、「わー、楽しい」と思いながら「でも緊張するー」と思いながら過ごしていた。今回は、素直に大会に挑もうと思っていたので、「緊張するー!」と叫んでいた(笑)。
世界の舞台、そしてオリンピックという大きな舞台で、怯むことなく自分のやりたいことができたのは、本当に大きな収穫だった。ファイナルには行けなかったが、コーチ、家族、そして応援してくださる方々、オリンピックを通して陸上を知ってくださる方々の力がないと、盛り上がらないと思う。来年は東京で世界陸上があるので、もっともっと応援されて、もっともっと皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト/アフロスポーツ