Day1:9月16日(土)
世界最高峰シリーズ、ダイヤモンドリーグ(DL)の年間成績上位者で争うファイナルの第1日が9月16日、米オレゴン州ユージンで開催されました。会場は、昨夏の世界選手権の舞台ともなったヘイワード・フィールド。第1日には女子やり投の北口榛花(JAL・ダイヤモンドアスリート修了生)と男子3000m障害物の三浦龍司(順天堂大学)が出場し、米国で「陸上の聖地」とも称される地で躍動しました。全競技の先陣を切って始まった女子やり投で、北口は最後の7番目に登場。米国入りは大会前々日の14日で時差や連戦の影響で「やっぱり疲れていました」と万全の状態ではなかったそうですが、2投目に63m78をマークし、世界選手権女王の貫禄を示してトップに浮上しました。
「正直、体は限界なので、どうこうあまりできなかった」とその後は記録を伸ばせなかったものの、ライバルも北口の記録を超えられず、2位に2m48の大差をつけて優勝。日本選手として初の年間チャンピオンに輝きました。競技終了後は笑顔でトロフィーを掲げ「本当はもうちょっと投げたかなったなというのはあるんですけど、シーズンが終わりに近づき、疲れてきている中で63mを投げられたことは良かったかなと思いますし、しっかりこの場で勝てたことがすごくうれしいです」と快挙の喜びを語りました。
8日にブリュッセルで行われたDL第13戦で、67m38の日本記録を樹立した25歳。世界選手権に続き、来年のパリ五輪でも金メダル獲得への期待が膨らんでいます。快進撃が続きますが、慢心する様子は全くなく「オリンピックイヤーに入れば、他の選手もまた一段上げてくるので、自分もそれについていけるようにしたいと思いますし、次はアジア記録(67m98)を目標にしたいと思います」と言葉に力を込めました。
男子3000m障害物では、2年連続のファイナル出場となった三浦が奮闘しました。1000mを2分40秒でペースメーカーが引っ張る中、「それで突っ込むと後々もたないというのは分かっていたので、自分の障害のペースでリズムを取っていこうと考えていた」と後方でレースを展開。プラン通りに終盤にスピードアップし、5位まで順位を上げてフィニッシュしました。ただ、トップからは9秒余り遅れ「レース展開としては、流れはきれいにいったのかなと思います。でも先頭集団に食らい付くことができなかったので、そこは惜しいところかなと思います」と収穫と課題の両方を口にしました。
大学4年生で、今大会が学生最後の3000m障害物のレースとなりました。来春からは実業団でさらなる飛躍を期します。「今の結果を残しているこのルーティンを継続しながら、そこにプラスアルファ何かできることがあれば、付け足していきたい」と引き締まった表情で意気込みを語りました。
他の種目も大いに盛り上がりました。男子100mは追い風0.1mの条件下、クリスチャン・コールマン(米国)が今季世界最高に並ぶ9秒83で優勝。世界選手権で100mと200mの2冠に輝いたノア・ライルズ(米国)は0秒02差の2位でした。追い風0.8mだった女子100mはシェリカ・ジャクソン(ジャマイカ)が10秒70で制覇。男子400mハードルはライ・ベンジャミン(米国)が46秒39、男子走高跳はウ・サンヒョク(韓国)が2m35、女子三段跳は世界記録を持つユリマル・ロハス(ベネズエラ)が15m35で勝ちました。
最終日の17日には、日本から男子走幅跳の橋岡優輝(富士通・ダイヤモンドアスリート修了生)、男子110mハードルの泉谷駿介(住友電工)、女子5000mの田中希実(New Balance)の3選手が臨みます。
<DAY1:競技後コメント>
◎北口榛花(JAL) ※ダイヤモンドアスリート修了生
女子やり投 1位 63m78
本当はもうちょっと投げたかなったなというのはあるんですけど、シーズンが終わりに近づき、疲れてきている中で63mを投げられたことは良かったかなと思いますし、しっかりこの場で勝てたことがすごくうれしいです。
67mを投げた後で若干タイミングが狂う部分があるので、63mを投げられて、まあまあという感じですかね。正直、体が限界なので(試合中に修正を)どうこうあまりできなかったんですが、今日必要だったのは勝つことだったので、良かったかなと思います。
(今季は)ダイヤモンドリーグのトロフィーを持ってみたいというのもありましたし、世界陸上で(前回の)銅メダルよりもいい色のメダルを取りたいというのがありました。自己ベストも更新できて、いい年になったかなと思います。オリンピックイヤーに入れば、他の選手もまた一段上げてくるので、自分もそれについていけるようにしたいと思いますし、次はアジア記録を目標にしたいと思います。
67mを投げた試合は、全部助走を思い切って走れたというのが一番のポイントだったので、変わらず助走が修正ポイントになりますし、タイミングもちょっとずつずらしていかないと、もっと遠くに飛ばすことはできないと思うので、その修正をこの冬やろうと思っています。また冬で土台を上げることができると思うので、それに見合ったテクニックを春先に探りながらやっていくのがいいかなと思っています。
◎三浦龍司(順天堂大学)
男子3000m障害物 5位 8分15秒45
レース展開としては流れはきれいにいったのかなと思います。でも序盤から先頭集団と第2集団に分かれていたと思いますが、そこになかなか食らい付くことができなかったので、そこは惜しいところかなと思います。
ペース自体は事前に言われていたので、(1000㍍)2分40秒というのは頭に入っていたんですが、それで突っ込むと後々もたないというのは分かっていたので、そこは自分の障害のペースでリズムを取っていこうと考えていたので、2分40秒で追いかけていこうとは最初から思っていなかったです。
今年も去年もぎりぎりのところだったんですけど、2年連続でダイヤモンドリーグのファイナルに進めたことは良かったなと思います。上位とはいえないですが、まずまずのところで結果を残し切って終われたというのは今年1年通して良かったなと思います。
今年大学を卒業するので実業団に行ってどんな練習をしていくか、ルーティンを築いていくかはまだまだ未知数ですけど、結果を残している今のルーティンを継続しながら、そこにプラスアルファで何かできることがあれば、付け足していきたいなと思っています。
写真:フォート・キシモト
ダイヤモンドリーグファイナル関連リンク
・大会ウェブサイト(英語)https://eugene.diamondleague.com/home/
・タイムテーブル/スタートリスト/速報(英語)
https://eugene.diamondleague.com/program-results-eugene/
・ライブ配信
https://www.youtube.com/@diamondleague/streams
DAY2出場選手情報(時間は日本時間)
18日(月)3:40~男子走幅跳ブダペスト世界陸上出場
橋岡優輝(富士通・ダイヤモンドアスリート修了生)
18日(月)4:39~女子5000m
ブダペスト世界陸上8位入賞
田中希実 (New Balance)
18日(月)5:52~男子110mハードル
ブダペスト世界陸上5位入賞
泉谷駿介(住友電工)
ライブ配信 18日(月)4:00~
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