2023.03.09(木)大会

【アジア室内コメント】男子3000m銀メダル 佐藤圭汰:目指すは日本記録!シニア初の日本代表で得た課題や抱負を語る

2023年2月10日(金)から2023年2月12日(日)にかけて「アスタナ2023アジア室内陸上競技選手権大会」がアスタナ(カザフスタン)にて開催されました。
男子3000mで銀メダルを獲得した 佐藤圭汰(駒澤大学)のインタビューをお届けいたします。


【佐藤圭汰(ダイヤモンドアスリート)】

男子3000m 銀メダル 7分56秒41


初めてシニアでの日本代表を経験

このアジア室内で、シニアの日本代表を初めて経験することになりました。日本代表としての海外遠征は、昨年、カリ(コロンビア)で行われたU20世界選手権に続いて2回目。カリ、今回(アスタナ)と、移動にとても時間がかかる上に、通常ではなかなか行く機会のない国が続いています。遠征に当たっては、自分が最年少、日本代表選手の方々が全員年上ということで、少し心細い気持ちや「うまくコミュニケーションをとれるかな」という不安もあったのですが、中・長距離陣の先輩方がいつも気に懸けてくださって、いろいろな場面で声をかけてくださいました。皆さんに優しくしていただき、ありがたかったです。

U20(世界選手権)のときと違うなと思ったのは、「一切を自分に任せられている」ということでしょうか。U20のときは「何をしたいのか」をコーチの方々が聞いてくれて、その都度、指示をもらっていたのですが、今回は、まず「自分は、こういう練習をします」「自分は、こうしたいです」と、すべて自分からコーチに言っていくことからスタートする感じだったんです。「ああ、これがシニアの日本代表なんだな」と、ジュニアとの違いを強く感じました。




寒冷地での室内大会ならでは難しさ

室内の大会に出場するのは初めてです。そもそも1周200mのトラック自体が初めてということもあり、すごくワクワクしていました。ただ、実際に走ってみると、スピードは400mトラックよりも出ている感覚があったけれど、走路がバンク状(傾斜)になっていたり、暖房の影響で湿度が低くて喉がすごく乾燥したりと、屋外のほうが走りやすいなと感じました。そして、400mトラックなら7.5周ですむところが、200mトラックなので15周も回らなければなりません。周回の掲示が全然減らなくて(笑)、特にレースの終盤ではメンタル的にきついものがありましたね。
日本を出発するまでは、非常にいいトレーニングができていたので、自信を持って現地入りしたのですが、日中の最高気温でも-10℃以下というアスタナでは、屋外でのトレーニングは無理。直前の調整では、トレッドミルや1周100mくらいの室内練習場を利用しての練習しかできませんでした。思っていた練習が全然できなかったので、万全の状態で臨めたかというと、そうではなかったというのが正直なところです。だんだん不安な気持ちも出てきて、これが室内大会の難しさなんだなと感じました。

銀メダル獲得も、悔しさのほうが大きい


写真:カザフスタン陸上競技連盟

今回の大会では、7分45秒62の室内日本記録(大迫傑、2015年)を更新したいと考えていました。エントリーリストを見たときに、ライバルになると思ったのは坂東悠汰さん(富士通)とカタールの2選手。カタールの選手は前日の1500mにも出ていたのですが、そのレース展開を見ても、前に出て引っ張ることをせず日本勢をマークする走りをしていたので、「これは自分が行かなければ、スロー(ペース)になってしまい記録は狙えない」と感じて、序盤から前に出ようと決めて臨んでいました。

実際には、カタール勢の1人は欠場したわけですが、レース自体は想像していた通りになりました。途中で、優勝したモハメド・アルガルニ選手(2014年仁川アジア大会1500m・5000m金メダリスト)との差が少し開いたときは、場内のスクリーンを見て「もしかして行けるかも」と思ったりもしたのですが、ラスト3周くらいでぴったり(後ろに)つかれたときには、自分はかなりきつくなっている状態でした。残り100mのところでかわされましたが、ラスト1周の段階で身体が限界にきていたので、(スパートが)来るのはわかっていたけれど、前に出られた瞬間に対応することはできませんでした。7分56秒41で銀メダルを獲得することはできたけれど、狙っていた室内日本記録を更新できなかった悔しさと、案の定、ラストで負けてしまったことへの悔しさのほうが大きかったです。
このレースを経験して、改めて、ハイペースで突っ込んでも維持できるスピード持久力と、ラストで動きの切り替えができるスプリント能力の必要性を感じました。これらは、以前からずっと課題にしていることではあるのですが、やはりここをもっと磨かないと、記録は狙えても勝負では勝てない。自分より明らかに持ちタイムのいい、格上の選手が相手となる世界レベルの大会では戦えないと痛感しました。


5000mで日本記録を出したい


写真:カザフスタン陸上競技連盟

2023年シーズンは、5000mで日本記録(13分08秒40、大迫傑、2015年)を更新したいと思っています。また、競技会としては、「ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会」を一番の目標にしています。5000mの自己記録は、昨年の5月にマークした13分22秒91(U20日本記録)で、日本記録には、まだ少し開きがあるようにみえますが、「まだもっと行ける」という感触があったなかで出たタイムでしたし、今の時点で、13分15秒くらいは出せる自信があります。また、ブダペスト世界選手権の参加標準記録は13分07秒00と、オレゴン(13分13秒50)のときよりも大幅に上がり、日本記録を上回らなければなりません。このため、「“日本記録の更新は最低ライン”という意識でやっていかなければ…」という気持ちで取り組んでいます。

記録をもっと出していけると思える背景にあるのは、スピード持久力とスタミナが大幅に高まっている点です。スピード持久力については、62~63秒の設定でやると以前はきつかった400mのインターバルが、最近は楽にこなせるようになってきました。また、大学に入ってから、箱根駅伝に向けて長い距離を踏む練習をやってきたことで、スタミナがすごくついたなと実感しています。5000mを走るにあたっても、スタミナは絶対に必要です。そういう意味では、去年までになかった地力がついていると思っています。
13分07~08秒という記録を出すのは1人では無理なので、速いケニア人選手が出場する大会などをしっかり選んで、そこに合わせられるように調整していきたいと思っています。春先は、まずは4月8日(土)に開催される(日本グランプリシリーズ グレード2)第31回金栗記念選抜陸上中長距離大会2023)、そして5月4日(木)に開催される(日本グランプリシリーズ グレード3)第34回ゴールデンゲームズ in のべおかに出場していく予定です。
来年にはパリオリンピックが、そして2025年には東京世界選手権が続きます。もちろん出たいと思っているし、出るだけでなく勝負したいとも思っているので、そのためにも今のうちから国際大会の経験を積んでいきたい。今年、世界選手権に出られるかどうかはまだわかりませんが、目標としてしっかり定めてチャレンジして、今後につなげていければと思っています。
自分は、ノルウェーのヤコブ・インゲブリクトセン選手(東京五輪1500m金、オレゴン世界選手権1500m銀、5000m金)を目標にしています。ヤコブ選手と一緒に走りたいという思いがあるので、それがブダペストで実現すればいいですね。

昨年からは、ダイヤモンドアスリートに認定していただき、英語をはじめ、いろいろな研修も受けるようになりました。もともと世界を目指したいという思いは持っていましたが、こうした経験を通じて、よりいっそう自覚が高まったことを強く感じています。これまでの研修などで学んだことも生かしながら、頑張りたいと思います。(談)


取材・構成:児玉育美(JAAFメディアチーム)

 
>>アスタナ2023アジア室内陸上 大会ページ
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■【アジア室内陸上】日本代表選手紹介 男子編
https://www.jaaf.or.jp/news/article/17489/


■【アジア室内陸上】日本代表選手紹介 女子編
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