オレゴン世界選手権の閉幕に際して、日本陸連は7月24日、男子短距離を担当する土江寛裕ディレクターによる男子リレー2種目に関する総括コメントを出しました。
総括の要旨は下記の通りです。
◎土江寛裕ディレクター(男子短距離担当)
今大会の男子リレー2種目は、4継(4×100mリレー)とマイル(4×400mリレー)とで明暗が分かれる形となった。(予選で失格に終わった)4継については、正直なところ、サニブラウンアブデルハキーム選手が走れなかったことや小池祐貴選手がコロナにかかってしまったことが、大きく影響している。しかし、その一方で、若いメンバーでどこまで行けるかのチャレンジになった。世界選手権を経験したことのない選手たちだけだったので、ここ数年の「世界で決勝に残る、メダルを獲得する」が当たり前の感じになっていたことが、どれだけ難しいかを選手たちが感じることができたのは、今回のチャレンジの1つの成果かなと思う。
今後、パリオリンピックに向けて、山縣亮太選手、桐生祥秀選手、ケンブリッジ飛鳥選手など、これまで牽引してきた選手も含めて目指していくなかで、今回の若手が生き残っていき、ベテラン選手とブレンドされたリレーチームがつくっていくことができれば、また、さらに良い結果へとつながっていくと思っている。そういう意味で「必要になる負け」になるだろうと信じている。
これによって4継は、昨年の東京オリンピック、そして今回と、2年続けて失敗したことになる。ただ、去年は集大成として臨んだオリンピックだし、今年は新しいメンバーで次に向かって挑んだリレーだったので、失敗の意味合いが違う。将来から見たときに、これが収穫の1つだったといえるような結果に、今後つなげていきたい。
(4位入賞を果たした)マイルについては、2004年オリンピック(で4位入賞を達成して)以降、世界で戦えない期間が長く続いてきた。そこを、てこ入れする形で、2019年からJSC(日本スポーツ振興センター)が実施している次世代ターゲットスポーツ育成支援事業の支援を受け、さまざまな取り組みをしてきた。その成果が結実しつつあるな、と感じている。
ただ、まだ最終形ではなく、レース終了後の当人たちのコメントからもわかるように、これで満足するようなところを選手たちは目指していない。メダル獲得、あるいは1つでも上の順位を目指していくことをモチベーションとする選手たちが育ってきている。また、記録についても、なかなか切ることができなかった3分を切ることができた。1996年から更新できていなかった日本記録を、昨年の東京オリンピックでタイ記録、そして、今大会で更新を果たしており、着実に世界のトップに近づくことができている。
ただ、アメリカを見てもわかるように、(世界トップとの)実力差は確実にある。これは4継にもマイルにも言えることだが、「個人種目で決勝に残っていく選手が出てきたうえで、リレーに臨んでいく」という状況ができてこそ、やっと「メダルが確実にとれる」といえるチームになるのだと思う。
今回、400mでは佐藤風雅選手とウォルシュジュリアン選手の2選手が準決勝に進出したが、川端魁人選手も本来の自分のレースができれば通っていただろうと思うので、個人の力も確実についてきている。引き続き、パリに向けて強化していきたい。
※本内容は、7月24日に日本陸連より現地取材メディアに向けて配信されたコメントをもとに内容をまとめた。より明瞭に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施している。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
▼オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/
▼【オレゴン世界選手権】10日目イブニングセッションコメント:男子4×400mリレー・アジア新記録&世界選手権最高成績の4位入賞!女子100mハードル福部も日本新!
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▼【オレゴン世界選手権】8日目イブニングセッションコメント:女子4×100mリレー決勝進出は逃すも日本記録を更新!
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