2022.05.05(木)大会

【日本グランプリシリーズ】男子400mハードルで黒川がオレゴン世界選手権参加標準記録突破!北口・丸山・ヘンプヒルも復活Vを果たす!/第9回木南記念陸上



第9回木南道孝記念陸上競技大会」が4月30日~5月1日、日本グランプリシリーズ「大阪大会」として、大阪市のヤンマースタジアム長居で開催されました。この大会は、ワールドアスレティックス(WA)が世界で展開する「WAコンチネンタルツアーブロンズ」にカテゴライズされる国際競技会です。
2日間での開催が必要な男女混成競技をはじめ、実施種目が男子10、女子11の計21種目に増えたことで、グランプリとしても2日間での開催となり、そのうち、男子は400m、400mハードル、棒高跳、走幅跳、やり投、十種競技の6種目、女子は400m、棒高跳、走幅跳、やり投、七種競技の5種目が、9月に中国で開催される杭州2022アジア競技大会の日本代表選手選考を兼ねて実施されました。

ぴったり48秒90!
男子400mハードルで黒川がオレゴン世界選手権参加標準記録を突破!

1日目に予選、2日目に決勝が行われた男子400mハードルは、東京オリンピック代表選手のほか、過去に世界大会で日本代表経験を持つ選手も多数顔を揃える豪華な陣容となりました。決勝では、予選を全体のトップタイムとなる49秒74で通過していた東京オリンピック代表の黒川和樹選手(法政大)が、1つ外側のレーンを走る陳傑選手(チャイニーズタイペイ)とともに序盤を先行しつつも、自身の持ち味である前半をやや抑え気味に入ったように見受けられましたが、第5ハードルを越えたあたりで先頭に立つと、そのままリードを広げてフィニッシュ。オレゴン2022世界選手権参加標準記録ぴったりの48秒90で優勝を果たしました。

今季は、東京六大学(50秒32)、日本学生個人選手権(49秒40)に続く3レース目。競技後のミックスゾーンでは、「ずっと48秒台を狙って、出せない試合が続いていたのでヘコんでいたが、(標準記録を突破できたので)メンタル的にもホッとした」と、開口一番にコメント。自身が得意とする前半から飛ばしていく展開を意識すると力みに繋がると感じていたことから、このレースでは「前半から行くけれど、(飛ばすことを意識するのではなく)楽に入っていくことを大事にした」そうで、そこでのリラックスが功を奏して、過去2戦で課題を残したインターバルを13歩から14歩へと変える5台目から6台目にかけての切り替えが、うまくできたといいます。48秒90は、現段階で今季世界リスト4位となる好記録。屋外シーズンが始まったばかりとはいえ、世界選手権に向けて名乗りを上げる結果となりました。

2位には、レース序盤で黒川をうまくリードしていく形となった陳選手が49秒31、3位にも同じチャイニーズタイペイの彭名揚選手が49秒32で続き、上位3選手が大会新記録をマーク。4・5位には黒川選手と同じ法政大の苅部俊二コーチに師事する岸本鷹幸選手(2012年ロンドンオリンピック、2011年・2013年世界選手権日本代表)と豊田将樹選手(2019年ドーハ世界選手権日本代表)が49秒84、49秒87でフィニッシュし、まずまずの滑りだしを見せています。岸本選手と豊田選手は5月3日に静岡国際400mハードルにも出場したのちに、黒川選手とともに5月8日のセイコーゴールデングランプリ(GGP)に出場予定。世界選手権出場に向けた大一番となる日本選手権までに、この3選手が、どう調子を上げていくのかが楽しみになってきました。


やり投・北口、完全復活の笑顔
視界良好の61m20



大会第2日の5月1日は、初日の快晴から一転して、朝から雨模様となったうえに、気温が上がらず肌寒い1日となりましたが、そんな悪天候のなか、午前10時30分にスタートした女子やり投では、1回目の試技から60mラインを越える放物線が描かれました。今季世界7位となる61m20をマークしたのは、東京オリンピックで決勝進出を果たした北口榛花選手(JAL、ダイヤモンドアスリート修了生)。東京オリンピックでは予選で左腹斜筋に肉離れを起こした影響で、決勝では力を出しきれず最下位という悔しい結果に終わっていた選手です。北口選手は、その後、3カ月の治療・リハビリを経てトレーニングに復帰。チェコに渡ってのトレーニングも含めた冬期練習をしっかりと積み、4月の日大記録会で59m63をマークして、この大会に臨んでいました。

4日前にチェコから来日したディビッド・シェケラックコーチがスタンドで見守るなか、悪条件を吹き飛ばすような61m台の好投に、当の北口選手自身も大喜び。満面の笑顔で、ぴょんぴょんと跳びはねながら、ピットを駆け回り、全身で喜びを表していました。結果としては、この投てきが優勝記録となりましたが、5回目の試技でも60m47と60mオーバー。着実な復調ぶりを印象づけました。

「できれば(オレゴン世界選手権参加標準記録の)64m00を投げられたら…」との思いで臨んでいたそうですが、あいにくの悪天候となったこともあり、それは次回へ持ち越される形に。しかし、60m台に乗せた2本とも、「やりがカーブして飛んでいく感じになったので、それがまっすぐに飛べばもっと記録は伸びる」ことを実感するなど、つかんだ手応えも大きかった様子。そして、何よりも「試合が楽しかった」と笑顔で振り返りました。

今の状態を、「去年のオリンピック前よりもいい」と言う北口選手が目指しているのは、世界選手権でのファイナル進出。「そのためにも、3回目(の試技)までに63~64mを安定して投げられるようにしたい」を話します。北口選手の言うハイレベルのシリーズは、早ければ、オンラインではなく対面でシェケラックコーチのチェックを受けて臨むことができる次戦のセイコーGGPで実現するかもしれません。

北口選手に続いて2位の成績を残したのが、今春、国士舘大を卒業した長麻尋選手(国士舘クラブ、ダイヤモンドアスリート修了生)。3回目に59m37をマークし、昨年の3月に出した自己記録 58m57を更新。日本歴代リストで10位へと浮上しました。高校時代から将来を嘱望され、ダイヤモンドアスリートにも選出された逸材。故障に苦しむ時期が長く続いていましたが、今季は大躍進を期待できそうです。

また、59m07を投げて3位となった斉藤真理菜選手(スズキ)も、ここ数年はケガの影響で記録を伸ばせずにいましたが、国士舘大4年の2017年に急成長を見せ、同年のロンドン世界選手権、2018年のアジア大会、2019年のアジア選手権と、日本代表に選出されている実績の持ち主。この冬は、しっかりトレーニングを積むことができたと自信を見せており、再びの世界選手権出場を狙っています。今季は、世界選手権参加標準記録の64m00を念頭に置きつつ、まずは、2017年ユニバーシアードで銀メダルを獲得した際にマークした自己記録 62m37の更新を目指していく計画です。


丸山とヘンプヒル、復調告げる勝利
十種競技と七種競技を制す

女子やり投の北口選手と同様に、この大会では、「復活」を果たした選手がほかにもいます。木南記念では今回が初めてとなる男女混成競技を制した丸山優真選手(住友電工、十種競技)とヘンプヒル恵選手(アトレ、七種競技)です。ともに高校生のころから飛び抜けた能力を見せてきた選手で、丸山選手は、U20規格の十種競技で日本大1年時の2017年に7790点のU20日本記録を樹立し、シニア規格の十種競技でも翌2018年に7752点(当時日本歴代7位)をマーク。一方のヘンプヒル選手も中央大1年時の2015年に5678点のU20日本記録を樹立、2015年以降日本選手権では3連覇。記録も更新を繰り返し、2017年には5907点(当時日本歴代2位)まで伸ばしていました。しかし、その後、どちらも大きな故障に見舞われるアクシデント。競技活動以前に、まず治療やリハビリに長く時間を要する日々が続いていました。そうした苦しい時期を乗り越え、久しぶりに万全の状態での出場ということで、丸山選手、ヘンプヒル選手ともに、2日間を通じて、本当に楽しそうな様子で各種目に挑んでいる姿が印象的でした。


十種競技の丸山選手は、日本記録保持者の右代啓祐選手(国士舘クラブ)、日本歴代2位の記録を持つ中村明彦選手(スズキ)のトップ2も参戦したなか、400mで初めて48秒台に乗せる48秒96の自己新を叩き出したほか、全体を通じて安定した力を発揮。初日で4071点を挙げてトップに立つと、砲丸投で痛めた右手親指にテーピングを施して臨んだ2日目も、その痛みや天候の崩れによる悪条件下でも集中力を切らすことなく3736点を積み重ね、日本歴代5位に浮上する7807点の自己新記録をマーク。地元大阪の長居スタジアムで、見事な復活Vを飾りました。

2019年に発症した胸部椎間板ヘルニアの痛みを完全に払拭し、オフシーズンもケガなくしっかりとトレーニングを積んで臨めたなかで得たこの結果に、競技後、まず「10種目をちゃんとやりきれたことが嬉しい」と声を弾ませた丸山選手は、「やるべきことをすれば、8000点は出る。日本選手権で出したい」と、日本人3人目となる8000点突破に向けての手応えもつかめた様子。昨年は痛みや不安を抱えて臨み4位(7484点)にとどまった日本選手権で、8000点を上回っての初優勝を実現させるつもりです。



七種競技では、昨年5月に5975点をマークして日本記録保持者となった山﨑有紀選手(スズキ)との戦いを制し、ヘンプヒル選手が5732点で優勝。2018年日本インカレ以来となる勝利を収めました。ヘンプヒル選手は、快進撃を続けていた2017年の夏、ユニバーシアード出場を直前に控えたタイミングで左膝前十字靱帯を断裂して手術。長いリハビリを経て競技に復帰し、日本記録(当時5962点、中田有紀)更新も狙えるペースで進めていた2020年日本選手権(9月開催)の6種目目のやり投で、今度は右膝を痛める悲劇に見舞われていました。このときのケガも前十字靱帯の断裂で、再び手術を受けることに。立て続けの厳しい試練に、競技を辞めることを考えた時期もあったそうですが、「よし、やるぞ」と再び前を向き、アメリカに渡ってトレーニングを積むなど、それまでとは異なる取り組みにチャレンジ、競技再復帰を果たしていました。

「勝つつもりしかなかった」という思いで臨んだこの大会を終えて、「“やってきたことをちゃんと出す”ことを目標にしていたが、それができた。自分に負けない挑戦ができたと思う」と評価。報道陣からの「(これで第一線に)戻ったという感じ?」という問いかけには、「戻ってきたというよりは、“ニュー・ヘンプヒル恵”という感じ」と答えました。5732点は、シーズン初戦における自身の最高記録。第2日が悪天候となったことも考慮すれば、「いい(結果な)んじゃないかと思う」と言いつつ、「欲を言えば5800(点)は出したかった」という本音も。その要因として「キレを出す練習ができていなかった」ことを挙げ、「自分が得意なハードル(100mハードル)、幅跳び(走幅跳)にキレがなかった」と振り返り、この点を磨けば、「6000(点)は普通に行く」と自信を見せました。

2位は山﨑選手。最終種目の800mを、逆転を期して「後先考えずに行った」ことにより、最後の200mで失速し、結果的に2分24秒29でのフィニッシュとなった影響で記録は5599点にとどまりました。全般に、スプリントのスピードをもう一段階上げられそうな印象を受けましたが、今回の大会では、強化に取り組んできた投てき(砲丸投12m50、やり投48m40)で好感触が得られたことを収穫として挙げ、「砲丸投で13m台、やり投で50m台が見えたのは、次につながる大きな成果」と話していました。山﨑選手も、「日本選手権では納得のいくパフォーマンスをしたい」ときっぱり。6月に秋田で開催される日本選手権では、現在4連覇中の山﨑選手とV奪回を目指すヘンプヒル選手による、6000点を超えるレベルでの頂上決戦が期待できそうです。


ディーンは81m91で快勝
橋岡、足首の故障で2回の跳躍で3位に



アジア大会代表選考指定種目では、男子やり投でディーン元気選手(ミズノ)が、2回目で78m44を投げてトップに立つと、4回目に80m68をマーク。最終投てきでは81m91へと記録を伸ばして圧勝しました。セイコーGGPでは、世界選手権参加標準記録(85m00)突破を狙ったビッグスローも十分に期待できそうな仕上がりぶりを印象づけました。

男子400mは佐藤風雅選手(那須環境)が予選を45秒68、決勝を45秒84と2レースで45秒台をマーク。決勝では、東京オリンピックの4×400mリレーメンバーで、昨年の日本選手権を制した川端魁人選手(中京大クラブ、46秒06)を押さえて優勝しました。今季は、個人での世界選手権を目標に掲げている佐藤選手は、「ランキングポイントで出場しても世界では戦えない」という思いから、参加標準記録44秒90をクリアしての出場を目指しています。

東京オリンピック代表3選手が顔を揃えた男子走幅跳は、オリンピックで6位入賞を果たした橋岡優輝選手(富士通、ダイヤモンドアスリート修了生)が2回目で途中棄権する波乱。勝負は、立命館大4年の昨年に8m14まで記録を伸ばしてきていた吉田弘道選手(神埼郡陸協)が7m88(-0.2)で制し、1回目に7m76(±0)の記録を残していた橋岡選手は3位(日本人2位)という結果になりました。競技終了後、取材に応じた橋岡選手は、4月9日の日大競技会で8m07をマークした際、その跳躍の踏み切りを、「オーバーストライドで入って」しまい、左足首を痛めていたことを明かしました。この大会がアジア大会の指定種目となっていたため、「できれば、2回までに標準(世界選手権参加標準記録8m22)を跳べたら…」と思って臨んでいたそうですが、実現はならず。「そんなに甘くなかった」と振り返りました。次戦はセイコーゴールデングランプリを予定していましたが、足の状態を見て出場の可否を判断する意向を示すとともに、「まずは日本選手権にしっかり合わせたい」と話しました。冬場のトレーニングは順調に消化できており、着実なパワーアップも実感できているだけに、「そろそろ日本記録(8m40)も」と、更新に意欲を見せています。

男子棒高跳も、山本聖途(トヨタ自動車)江島雅紀(富士通、ダイヤモンドアスリート修了生)の東京オリンピック代表がそろい踏み。しかし、競技は強い向かい風のなか行われる形となった不運もあり、江島選手は、5m40・3位にとどまりました。悪条件下をものともせずに5m50をクリアして、力のあるところを見せつけた山本選手と竹川倖生選手(丸元産業)に優勝争いが絞られたタイミングで、反対方向にマットを設置していた走路へとピットを変更。試技再開後の5m60を山本選手が1回でクリア、竹川選手が成功ならなかったところで勝負は決しました。山本選手は5m70に挑みましたが、これはクリアならず。棒高跳は、今年は例年とは異なり、4月30日の木南記念、5月3日の静岡国際、5月5日の水戸招待と短いスパンで3連戦が組まれています。選手たちの参加標準記録5m80への挑戦は、次戦以降に持ち越されました。

女子のアジア大会指定種目では、200mは兒玉芽生選手(ミズノ)が24秒15(+0.9)で、400mでは久保山晴菜選手(今村病院)が53秒68で優勝。カイラ・バーバー選手(アメリカ)が57秒45で制した女子400mハードルは、宇都宮絵莉選手(長谷川体育施設)が57秒64をマークして日本人トップの2位で続きました。フィールド種目では、棒高跳は那須眞由選手(KAGOTANI)が4m20で、走幅跳は秦澄美鈴選手(シバタ工業)が6m43(-0.6)と、ともに兵庫リレーカーニバルで好調を印象づけた2選手が連勝を果たしています。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ

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