2020.10.03(土)大会

【第104回日本選手権】2日目ハイライト

デンカビッグスワンスタジアム(新潟市)で開催中の第104回日本選手権。大会2日目の10月2日は、12時50分の女子ハンマー投決勝から競技が開始され、この種目を含む4つのフィールド種目と7つのトラック種目で決勝が行われました。

注目の男子100m決勝は、序盤を得意とする多田修平選手(住友電工)が好スタートを見せ、リードを奪いましたが、中盤で小池祐貴選手(住友電工)、ケンブリッジ飛鳥選手(Nike)、桐生祥秀選手(日本生命)が追いつき、終盤にさしかかるあたりで逆転、この3選手が競り合いながらフィニッシュラインへと向かう展開となりました。最後でわずかに抜け出した桐生選手が10秒27(-0.2)で先着。初優勝を果たした2014年以来となる6年ぶり2回目の栄冠を手にしました。2位のケンブリッジ選手は0.01秒差の10秒28、スタートの出遅れを中盤で取り戻して上位に迫った小池選手は10秒30で3位、4位には終盤で順位を上げてきた飯塚翔太選手(ミズノ)がラストで多田選手をかわして10秒33で続き、多田選手が100分の1秒差の10秒34・5位でフィニッシュするという大激戦でした。小池選手、飯塚選手、そして10秒41で6位に食い込んだ鈴木亮平選手(城西大)は、最終日に行われる200mの決勝にも出場します。


 
一方、女子100mは、中盤で一人抜け出した兒玉芽生選手(福岡大)がそのままリードを奪って、11秒36(+0.5)でフィニッシュ。9月初旬の日本インカレを制した際にマークした自己記録(11秒35、-0.2)に迫るセカンドベストで、昨年の200mに続き、100mでは初めてとなるタイトルを獲得しました。2位は、中盤以降を単独で兒玉選手を追う形となった鶴田玲美選手(南九州ファミリーマート)で、記録は11秒53。3位には、予選(11秒69)・準決勝(11秒68)ともに自己新記録で決勝へと駒を進めていた高校生の石川優選手(相洋高)が、再び自己記録を更新する11秒66で続きました。兒玉選手と鶴田選手は、200mでも3日目に行われる決勝に進出。兒玉選手は100mとのダブルタイトルと200mの連覇に挑むこととなります。

 

女子400mは前回覇者で今季好調の青山聖佳選手(大阪成蹊AC)が、松本奈菜子選手(東邦銀行、53秒77・2位)、髙島咲季選手(青山学院大、53秒81・3位)らの追撃を許すことなく53秒55で快勝して3回目の日本選手権者に。青山選手も、最終日の行われる200mに出場します。男子400mは、伊東利来也選手(早稲田大)がただ一人45秒台に乗せる45秒94で初のタイトルを手に入れました。

  

8月に4分05秒27の日本記録が樹立されたことで、再びの記録更新も期待された女子1500m。スタート直後は、髙松智美ムセンビ選手(名城大、ダイヤモンドアスリート=DA修了生)が先頭に立って、前回覇者の卜部蘭選手(積水化学)が続き、そして日本記録保持者として臨んだ田中希実選手(豊田織機TC)が3~4番手で続く滑り出しとなりましたが、600m過ぎで田中選手が走りを切り替えてトップに立つと、その後は一人旅。自己3番目の記録となる4分10秒21で日本選手権初優勝を果たしました。2・3位には終盤で順位を上げてきた米澤奈々香選手(仙台育英高)と後藤夢選手(豊田織機TC)が、ホームストレートで2番手にいた卜部選手をかわし、ともに自己新となる4分15秒62と4分16秒18で続き、卜部選手は4分16秒33・4位でフィニッシュする結果となりました。

 

男子1500mは、昨年3連覇を逃していた館澤亨次選手(横浜DeNA)が、スタートしてすぐに先頭に立つ展開となりました。2番手以下もぴたりとこれに続き、ラスト1周では逆転に持ちかけようとしましたが、館澤選手は最後まで首位を譲らず、3分41秒32で先着。2年ぶり3回目の優勝を果たしました。同様に、序盤からトップを譲らなかったのが男子400mHの安部孝駿選手(ヤマダ電機)。スタート直後から飛ばして、大きくリードを奪うレースを進めました。ホームストレートで山本竜大選手(日本大、49秒79・2位)、豊田将樹選手(富士通、49秒96・3位)が追い上げましたが、最後まで逃げきり、49秒73で2年連続3回目の優勝を遂げています。

 

この大会3連覇中の橋岡優輝選手(日本大、DA修了生)がケガ(公式発表による)で欠場した男子走幅跳は、今季日本リスト首位の津波響樹選手(大塚製薬)が2回目に7m74(+0.1)を跳んでトップに立つと、5回目に7m99(-0.1)へと記録を伸ばします。最終跳躍で小田大樹選手(ヤマダ電機)が7m81(-0.6)まで記録を伸ばしたものの逆転はできず、津波選手の初戴冠となりました。小田選手に続いたのは三段跳でU20日本記録(16m35)を持つ伊藤陸選手(近畿大工業高専)。日本インカレでマークしたシーズンベストに並ぶ7m75(+0.7)で3位に食い込む健闘を見せました。ダイヤモンドアスリートの藤原孝輝選手(洛南高)は7m66(-0.2)で6位、昨年、8m40の日本記録をマークした城山正太郎選手(ゼンリン)は7m63(+0.3)で7位の結果でした。このほか、“砂場種目”では女子三段跳が行われ、前回覇者の森本麻里子選手(内田建設AC)が3回目に、ただ一人13m台に乗せる13m14(-0.2)をマークして連覇を達成しています。

 

男女円盤投とともに、補助競技場においての実施となった男女ハンマー投。男子は2016年・2017年に連覇している柏村亮太選手(ヤマダ電機)が1回目から70m39をマークしてトップに立つと、3回目に71m03へと記録を伸ばし、これが優勝記録に。柏村選手は6回の試技のうち4回で70m台に乗せる安定感で3年ぶりにチャンピオンに輝きました。2位には、5回目で自身初の70mオーバーを果たした古旗崇裕選手(中京大)が70m23で続きました。

 

女子は、今季65m22をマークして好調の渡邊茜選手(丸和運輸機関)が1回目から62m79を投げて首位に立つと、その後も安定した力を発揮しました。4回目には優勝記録となった64m84をマーク。2年連続3回目の優勝が決まったあとに臨んだ6回目の試技でも、再び64m台となる64m44を投げて競技を終えました。なお、女子ハンマー投では、8月に58m81の高校記録・U18日本記録を樹立していた村上来花選手(弘前実高)が、3回目に、これを上回る59m51をマークして、5位に入賞する活躍を見せました。59m51は、今季のU18世界リストで4位となる好記録です。

 

男子棒高跳では、昨年のドーハ世界選手権代表3選手(江島雅紀選手・日本大、澤野大地選手・富士通、山本聖途選手・トヨタ自動車)を押さえて、来間弘樹選手(ストライダーズAC)が初優勝を果たしました。この日、来間選手は、最初の高さとなった5m10から試技を開始。5m10、5m30、5m40を1回でクリアしていきました。5m50を2回目に跳んだ来間選手は、5選手が挑む形となった5m60を一発でクリア。順天堂大4年の2017年以来3年ぶりとなる自己新を1回で成功させたことが効いて、この段階で首位に立ちます。日本選手権で4回の優勝実績を持つ山本選手と2人で挑んだ5m70は、どちらも越えることができず、来間選手の初戴冠が決まりました。2位は同記録の山本選手。3位には5m40までをすべて1回で跳んできた竹川倖生選手(丸元産業)が食い込み、表彰台を確保しました。前回優勝の江島選手(DA修了生)は、5m30を3回目に成功させるなど苦労しつつも、5m50をクリアして日本大の先輩となる澤慎吾選手(きらぼし銀行)と同記録で4位という結果に。この江島選手・澤選手のコーチでもあり、今大会最年長(40歳)出場となった日本記録保持者の澤野選手は、5m30で7位となりました。

 

最終日となる10月3日は、12時40分に開始する女子円盤投を含めて、実施される11種目すべてが決勝となるタイムテーブル。トラックでは、女子400mHのほか、男女800m、男女スプリントハードル(男子110mH、女子100mH)、男女200mが行われます。また、フィールドでは、男女円盤投のほか、男子走高跳と男子三段跳が実施されます。

この日は、ライブ配信は行いませんが、NHKがテレビ放映を行います(NHK BS102:15時00分~16時00分、NHK総合:16時00分~18時00分)。競技日程や出場選手、結果・速報など、大会に関連する情報は、日本選手権特設サイトおよび日本陸連公式SNSをご参照ください。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)

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