2020.03.13(金)大会

【東京五輪銅メダリスト円谷幸吉氏の出身地、福島県にて開催】東京五輪マラソン代表発表会見レポート&コメント



2017年夏から2年半以上の期間をかけて実施した東京オリンピック男女マラソン日本代表選考レースを3月8日に終えた日本陸連は、同日に内定した男女代表選手6名、同補欠選手4名を発表。3月12日に、マラソン日本代表内定選手の記者会見を開催しました。

この記者会見は、かねてより代表内定選手確定直後に実施を計画していた研修会の日程の一環として実施されたもの。1964年東京オリンピック男子マラソンにおいて銅メダルを獲得した円谷幸吉氏の出身地である福島県において開催された研修会には、所属先の新型コロナウイルス感染拡大防止対策の方針により欠席した中村匠吾選手(富士通)、新型コロナウイルス感染防止を理由に欠席した大迫傑選手(Nike)の2名を除く補欠選手を含めた代表選手8名と、そのチームスタッフが参加。研修は、1日目にオリンピックまでの強化方針や注意事項を確認するミーティング、1964年東京オリンピック男子マラソンに出場した君原健二氏、寺沢徹氏による講話を実施。2日目の午前には、円谷幸吉氏の故郷である須賀川市を訪ね、全員で墓参りを行ったのちに、円谷幸吉メモリアルホールを訪問。記者会見は、その後、郡山市内のホテルに移動して行われました。

ここでは記者会見の模様を、ご報告します。

 

第一部

日本陸連強化委員会の会見


3月12日、正午からスタートした記者会見は、日本陸連強化委員会による会見と、マラソン代表内定選手による会見の二部構成で行われました。

第一部として行われた日本陸連強化委員会の会見には、尾縣貢専務理事、瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー、河野匡長距離・マラソンディレクターが登壇。尾縣専務理事が挨拶を行ったのちに、瀬古リーダーがオリンピックに向けた想いを、河野ディレクターがオリンピックに向けての戦略、今後のスケジュール等を、それぞれ述べたのちに、メディアからの質疑に応えました。各氏のコメントの要旨は、以下の通りです。

 

◎尾縣 貢(日本陸上競技連盟専務理事)


昨日の3月11日は、私たちにとって忘れられない、そして忘れてはいけない1日。改めて震災で亡くなられた皆さまのご冥福をお祈り申し上げるとともに、復興のさなか、1日も早くすべての方々が安らかな日を迎えられるようお祈り申し上げたい。

その大切な日に、私たちは、東京オリンピックのマラソンに向かってのスタートを切った。偉大なる先人の円谷幸吉氏のご功績を偲びながら、気分を新たにして東京オリンピックに向かう、そういうスタートをした。

2年半以上にわたって行われたマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)で、その出場権を獲得した今回の選手は最強だと思う。その最強の選手たちが、オリンピック本番ですべての力が出せるよう、我々はサポートしていく。チームジャパンの意識を持ちながら、それぞれ個人が最適と思うプロセスや方法を採って、オリンピックに向かっていくことになる。日本陸連として、できる限りのサポートをしていきたい。

 

◎瀬古利彦(日本陸上競技連盟強化委員会マラソン強化戦略プロジェクトリーダー)


2年半のMGCが終わって、最強のメンバーを選出することができた。ここ数カ月は新型コロナウイルスの危険があり、最後の(MGC)ファイナルチャレンジはできるのだろうかという不安があった。ほかの大会が延期になったり中止したりしているなかで、東京マラソン、名古屋ウィメンズマラソン、びわ湖毎日マラソンのスタッフの方々が一所懸命努力をしてくださって、大会を開催することができた。まず、その件に関して、リーダーとして感謝を申し上げたい。

そして、昨日、代表選手、そして代表候補選手(補欠)が集まった。この東京オリンピックは、復興オリンピックでもある。(東日本大震災から9年となる)昨日の(午後)2時46分には、選手含めて全員が1分間の黙祷を行った。そして、本日朝、56年前の東京オリンピック男子マラソンを走った円谷幸吉選手のお墓参りを全員でしてきた。ご存じの通り、円谷さんは、東京オリンピックで本当に素晴しい走りをされた人。彼の走りが、今のマラソンを支えていると僕は思っている。そんな円谷さんのお墓に行って、「円谷さん、天国から選手を応援してください。よろしくお願いします」という気持ちを伝えてきた。きっと選手たちを守ってくれると思っている。

いよいよ東京オリンピックが始まる。選手たちが自分の力を100%出せれば、きっといい結果が出るのではないかと思う。そして、いい結果が出たら、また円谷さんに報告に行きたいと思っている。皆さんにも「ニッポン・マラソン」を、応援していただきたい。

 

◎河野 匡(日本陸上競技連盟強化委員会長距離・マラソンディレクター)


先ほど瀬古リーダーから申し上げたように、MGCを創設してから最後の最後までいろいろなことがあったが、完結できたことに対して本当にホッとしているというのが正直なところである。新型コロナウイルス感染拡大の問題があるなかで(競技会を)実施するにあたっては、論議を呼ぶことは承知していたが、そのなかでの苦渋の判断。これは決断ではなく判断だと思っている。そういった過程を経て今日に至っている。(今回の研修会では)そのことを選手とともに、まずは気を引き締め、今後への意を新たにした。

昨日、選手を集めて研修を行った。一番のポイントは、(オリンピック)本番の大舞台で100%の力を出しきれるかどうか、この一点にかかってくると思っている。我々、日本陸連の強化スタッフ、そして内定選手の専任コーチ、選手当人が、1つのチームとして機能しなければならない。それが、これからの大きな課題であり目標である。

そういった意味では、3月11日から、レースを終えて迎えることになる8月10日まで、期間限定のチームができたと思っているし、また、そのように選手にも伝えた。瀬古リーダーをオーナーとするチームで、選手がそれぞれ活躍できるように、周りのスタッフがサポートできる体制を築いていきたい。

今後の強化については、個別強化を中心として、それぞれのスケジュールに、我々強化スタッフがコミュニケーションを取りながらサポートしていくという態勢になる。(現段階では)代表内定者3名と候補選手(補欠)2名がいるが、エントリールールに沿っていくと7月6日がファイナルエントリーとなるので、その時点で、代表選手3名に加えて、4番目・5番目の候補選手(補欠)のうち、いずれかをエントリーすることになる。しかし、選手たちの準備は、ぎりぎりまで候補選手(補欠)にもお願いしていくことを確認した。内定した3名の優先権は変わらないが、地元(開催)のオリンピックということで、もし、何かあった場合にすぐに代われる準備をしなければならない。そういったことを求めて、昨日、いろいろな状況を確認した次第である。

女子マラソンのスタートまで、あと148日、男子マラソンのスタートまでは149日と、実質150日を切った。すでに準備が始まっているので、我々としても1日1日を大切にしたい。また、新型コロナウイルスをはじめ、本番までにはいろいろな状況も起きてくると思うが、柔軟かつ正確な判断をして、対応できるようなスタッフ構成で臨みたい。

 

 

【質疑応答(抜粋】


Q:オリンピック本番でのメダル等の目標を

瀬古:世界のレベルを考えたら、簡単にここでメダルを取れるというようなことはなかなか言えない。ただ、メダルを取るという気持ちで練習しないと、メダルは絶対に取れない。(例えば)東京マラソンのときに、大迫くんが「MGCファイナルで日本記録を出す」という気持ちで練習したから出たのであって、もし、そうでなかったら出ていなかったと思う。なので、我々は最後の最後まで「メダルを取る、必ず取る」という覚悟で臨んでいきたい。

Q:補欠を2人設けた理由は?

河野:過去には、1名の補欠を設けたケースはあった。しかし、機能しているとは言いがたかったというのが実際のところだった。今回のオリンピックは地元開催であり、スタートラインに(エントリーできる人員)全員がつくことができていない事態をできる限り避けたいということで、我々としては何があっても対応できるという意味で、(MGCの仕組みを構築した)2016年の段階で補欠は2名と決め、今日に至っている。

そういった意味で、選考要項には「補欠」と書いているが、私たちとしては「戦う選手たちの集まり」ということで「候補選手」という言葉を使っている。(代表選手、候補選手の)男女5人ずつが和をもってチームとして戦うこと(の意識)を固めたいという思いで研修会を開いた。内定者2名が来ていないが、逆にそうでない4番目、5番目の選手が、心情的にはものすごくつらい部分もあったと思うが、そのなかで来てくれて、積極的に研修会の中で発言してくれた。私は、そのことが何よりもこのチームの強さのベースとなったのではないかと想っている。

Q:内定選手はスピードの面で、脂の乗っている選手、伸び盛りの選手が揃った印象。本番への期待を。

瀬古:世界はスピード化をしている。今のマラソン界、スピードがなかったら話にならない。特に、30kmからのペースアップは、本当にトラックレースをしているのではないかと思われるくらいのレースになっている。今回、コースが東京から札幌に変わった。東京のコースは、最後5kmが上りで、スタミナ勝負となるところがあったが、札幌のコースは後半の10kmは平坦で、そんなに上り下りはない。やはりスピード要素は高まると思っている。(そういう観点からも)今回、こういうトラック出身の選手たちが出てくれていることは、すごく助かった。MGCファイナルチャレンジでは、一山選手が、最後、世界基準のレベルで独走している。そういう選手たちが選ばれたことはすごくよかったと思う。あの走りが再現できれば、メダルも夢ではないと思う。

Q:サポートの具体的な内容とは? また、最終的な補欠1名はどのように選ぶ?

河野:サポートについては、まず、何をやってほしいかということの洗い出しからとなる。今、やっている作業としては、どういうスケジュール感で本番を迎えるかということを、専任コーチに整理してもらい、そこからどんなサポートを必要とするのか聞いていく。この1カ月で、その摺り合わせを行う予定である。また、補欠については、4番目、5番目という順位づけはあるが、フラットで準備してもらうと伝えている。(準備の状況が)同等であれば4番目の選手を優先する。5番目の選手の状態のほうが良く、4番目の選手が仕上がっていないという場合は、それぞれと話をしていく予定である。6月の第1週くらいからは、我々の方からも亜溜めてコミュニケーションを取り、また練習の場所に出向いていくという話をしている。どちらを補欠とするかは、最終エントリーとなる7月6日の、だいたい1週間前には決めたいなと思っている。

 

 

第二部

東京オリンピック男女マラソン内定選手会見


続いて行われた第二部では、東京オリンピック男女マラソン内定選手の会見が行われました。会見は、男女に分かれて行われ、先に行われた男子では、代表となった服部勇馬選手(トヨタ自動車)と、候補選手(補欠)の大塚祥平選手(九電工)、橋本崚選手(GMOインターネットグループ)が登壇。まず、司会者からの代表質問という形で、①現段階での自分の内面を話してください(現在の心境)、②本番までにどうつくっていくか(今後の予定)、③今回、代表選考にMGCという新たな仕組みが導入されたことは、自身やチームにどんな影響を与えたか(MGCで受けた影響)、④東京オリンピックのレースでは、どんなマラソンを走りたいか(本番の展望。補欠は「出場できた場合」という想定で)という4つが投げかけられ、各選手がそれぞれ応えたのちに、メディアからの質問に対応しました。各選手のコメントは以下の通りです。

 
<男子> 
※以下の①~④は、上記代表質問のナンバリングに相応




◎服部勇馬(トヨタ自動車)


①「内面」というのが、どういう意味か(何を指しているのか)よくわからないのだが…。自分には、すごく負けず嫌いなところがあって、それを表には出さず内に秘めていつも走ってきた。本当にこうやって代表選手になれて、すごく嬉しい。今までは内に秘めていたものを、オリンピックの舞台では、思う存分、身体で表現して、最高の走りをしたいと思っている。

②今後のレースについては、東京オリンピックまでにはトラックレースを1本もしくは2本走って、ハーフマラソンを1本走る予定。そのあと約3カ月間、マラソンに練習にあてるつもりで、国内で合宿を行ったあと、最後の1カ月はアメリカで合宿を行い、調整して、本番を迎える。

③MGCの選考規定を見て最初に思ったのは、「MGCで勝ち抜くためには、まず強さが必要だ」ということ。なので、勝てるイメージをつくって、(2018年の)福岡国際マラソンにも出場して優勝したし、MGCでもそのイメージを持ってレースに臨んだ。オリンピックも、駆け引き等があって、最後は強い選手が勝つのかなと思うので、これまでやってきた取り組みをさらに向上させて、本番では良い走りをしたい。

④東京オリンピックは夢の舞台であるので、自分自身の最大限のパフォーマンスを発揮することだけを考えて、冷静に、自分のペースで走っていきたい。


 

◎大塚祥平(九電工)


①こういう舞台に立たせていただいて、すごく緊張を感じるようになってきた。(自分は)候補選手ということだが、内定選手と変わらぬ気持ちで、残りの期間、本番に向けて準備をしていきたいと思っている。

②まず4月、5月はトラックレースをしっかり走って、5月の後半からマラソン練習を始めていき、7月に1本ハーフマラソンを走って本番に備えていきたいと考えている。

③これまでの選考会ではペースメーカーがいて、涼しいなかでのレースだったが、今回のMGCはペースメーカーのいない、暑いなかでのレースという、オリンピック本番のような舞台だったので、それに向けた準備ができた。それはオリンピックなどに向けて、いい経験になったと思う。

④(もし走ることになった場合は)まずは自分の持てる力を100%出せる状態にして、スタートラインに立つこと。暑いなかでのレースになるので、最後まで粘り強いレースをできたらと思う。

 


◎橋本崚(GMOインターネットグループ)


①MGC(の開催)が決まってから夏に選考(レース)があることで調整していき、候補選手になることができた。東京五輪に向けても同じように調整していきたいと思う。

②僕はほかの選手に比べて10000mの持ちタイムが遅いので、4月、5月とまずはスピードをつけて、5月にハーフマラソンを1本走り、そこからは合宿や練習の中でタイムトライアルなどを行って調整していきたいと思っている。

③自分自身、1つの目標に向かってやるということがなかなかできなかったのだが、MGC(の開催)が決まってから、冬よりは夏のほうが得意なので「自分にもチャンスがあるな」と思って、1つの目標に向かって頑張ることができた。内定選手・候補選手のなかで、自分が一番下なのだが、それでもこの大会(MGC)のおかげで、大きく成長できたのではないかと思う。

④(もし、走ることになった場合は)前に選手がいても、後ろに強い選手がいても、自分のペースを崩さずに、冷静に走りたいと考えている。

 

【質疑応答(抜粋】


Q:服部選手へ。東京マラソンでの大迫選手の走りについての感想を。また、海外勢と戦うために何が必要と想っているか?

服部:東京マラソンは、(チームの拠点である)愛知県の田原市で、テレビで見ていた。大迫さんの実力であれば日本記録は越えてくるだろうなと思っていたし、大迫さんの記録もそうだが、ほかの選手も(2時間)6分台、7分台と記録が続出したことで現在の男子マラソン界の層の厚さを非常に感じたし、危機感も持った。ただ、海外勢との差は依然として開いている一方なので、日本のトップ選手…全体の底上げはできていると思うが、よりいっそうスピードを強化して、2時間4分台、5分前半というものを、僕自身も狙っていきたい。東京オリンピックが終わってから、より速さを求めて僕自身も勝負していきたいなという気持ちになった。

Q:服部選手へ。故障の状況は? 今後の具体的な出場予定レース、トラックレースに出る狙いは?

服部:肉離れは完治して、今はスピードトレーニングもやっているし、身体を追い込んだトレーニングもできている。トレーニングの状況としては、マラソントレーニング入る前の下地つくりを徹底的に行っているところ。4月からは金栗(金栗記念選抜陸上中長距離;4月11日)の5000mと、ぎふ清流ハーフマラソン(4月26日)にエントリーする予定。現状、(新型コロナウイルス感染拡大の問題で)こういう状況なので、試合の変更等は監督と相談しながら考えていくつもりだが、現段階ではそういった流れを予定している。

Q:全員へ。新型コロナウイルス感染拡大の影響をどう感じているか。自身のトレーニングへの影響は?

服部:今後がどういう状況になるか不透明ではあるが、まずはオリンピックに向けて、自分がやるべきことをしっかりやっていくだけかなと思っている。

大塚:自分自身、これからどうなっていくのか不安もあるが、今できることをやるだけ。これからのレース等が中止になる可能性もあると思うが、しっかり監督とも相談しながら、本番まで準備していきたい。

橋本:出場予定の試合が中止になることがあると思うが、一番の目標は東京オリンピック。そこに向けて変わらぬ準備をしていきたい。

Q:服部選手へ。札幌に変更して、どういう展開になりそうか。具体的な目標を。また、コースに対する戦略を。

服部:札幌に変わって、コンディション自体は、暑いときと涼しいときが日によってばらばらになると思っている。当日の状況次第で走り方も変わってくるのかなとは思っているが、30km以降で集団には残っていたい。メダルを獲得したい気持ちはすごく強いが、そう簡単に取れるものではない。まずは入賞圏内にいて、チャンスがあればメダル争いに加わる、そういう走りがしたい。また、札幌のコースの特徴は、カーブが多く、特に直角のカーブが何回もあるということ。そのカーブを乗りきることと、東京以上に道幅が狭いので、コース取りが非常に重要なのかなと思っている。



<女子> 
※以下の①~③は、代表質問のナンバリングに相応。女子については時間的な制限により質問は3つとなった。





◎前田穂南(天満屋)


①オリンピックにマラソンで出たいという思いで天満屋に入ってきて、東京五輪の切符を勝ち取ることができて、心の底から本当に嬉しく思う。いよいよ東京五輪ということで、しっかり気を引き締めて、オリンピックに向けて練習していきたい。

②これから監督と相談して練習をやっていく予定。1回、ハーフ(マラソン)を走りたいと思っている。

③MGCができて、女子マラソンもすごく盛り上がってきた感じがあり、みんなマラソンに向かって切磋琢磨しながら、いい刺激をもらいながらやってこられているのかなということを感じる。


 

◎鈴木亜由子(日本郵政グループ)


①日本代表としての責任や重みを感じているところである。しかし、このようにチャレンジングなことに向き合えていけることに誇りと喜びを持って、本番でしっかりと自分の力を発揮できるように、日々覚悟を持って取り組んでいきたい。

②合宿を経て、練習の過程になると思うが、ハーフ(マラソン)を1本走って、6月、7月には集中力をしっかり高めて、本番に合わせていけたらいいなと思っている。

③今回の選考は、本当に公平性もとれていて、MGCも本番さながらの緊張感のなか(でのレース)だったのだが、そんななかで自分はマラソンの怖さを知ったり、次への課題も見えたりして、本当に次につながるものになった。また、この選考を通して、女子マラソン全体のレベルがすごく上がったことを感じて、とても刺激を受けたし、「やれば結果が出るんだ」という勇気にもつながった。(それを)本番につなげられたらいいなと思う。




◎一山麻緒(ワコール)


①名古屋(ウィメンズマラソン)が終わったばかりで、たくさんの方にお祝いの言葉をいただいて、じわじわと(代表入りの)実感がわいてきている。オリンピックに向けて、楽しみだなという気持ちと、日本代表として見ている方に元気な走りを見せられたらいいなという思いがある。

②次のマラソンはオリンピック(本番)になると思うが、それまでにどんなレースに出るかは、これからしっかり監督と話をして決めていきたいと思っている。今の時点では、記録会とか短い距離(のレース)にはちょいちょい出るのかなと思っている。ケガに気をつけて練習を積み重ねていきたい。

③MGC出場に向けてやってきて、MGCのレースでも、すごく今につながっていると思えるような、とてもいい経験をさせていただいた。すごく今に生かせていると思う。


 

◎小原 怜(天満屋)


①代表候補選手として、日本代表チームの一員としての自覚をしっかり持ち、また、さらなる飛躍をするチャンスだと思って気を引き締めて取り組んでいきたいと思っている。

②監督と相談していくなかで、ハーフマラソンを1本走るかもしれない。

③MGCでは夏のマラソンの本番を想定したようなレースをして、緊張感とか、1本のレースに向けた集中力とか、練習の中でつくりあげていく過程とかを体験することができた。また、(社会全般の)マラソンに対する興味(が高まったこと)とか、(競技)レベルが上がってきたことも、すごくよかったと思う。冬場のマラソンを通してもレベルが上がっているので、この取り組みを通して、私たちもレベルアップを図れたのかなと思う。

 

◎松田瑞生(ダイハツ)


①内定とはならなかったが、内定した選手に恥じぬよう行動していきたいと思っている。また、内定した選手と同じ気持ちで最後まで戦っていきたい。

②これから監督としっかり相談して、自分の身体の状態を見ながら、何かレースに出ていけたらなと思っている。

③とてもよかったと思う。(自分は)MGCで敗れて、最後の1枠(争い)で設定タイムを狙ったからこそ、日本歴代10位内に入ってくるようなレベルの高い成績が出せたと想っている。また、女子マラソン界がこうしていろいろな人に知ってもらえて、盛り上がってきているので、今回の大会(MGC)はとてもよかったと思っている。

 

【質疑応答(抜粋】


Q:全員へ。研修会での君原氏、寺沢氏の講話や、円谷氏ゆかりの地を訪ねての感想を。

前田:すごい人だったんだなと思った。東京五輪に向けて、私もしっかり頑張りたいと思う。

鈴木:(君原氏、寺沢氏から)実際にお話をうかがって、レジェンドの方々のレース前の行動だったり、生でしか聞けない話もあったりして、すごく刺激を受けた。また、今日、円谷さんのお墓やメモリアルホールに行かせていただいて、円谷さんの忍耐力や、積み重ねることで最後はしっかり体現できる精神というものを肌で感じて、より覚悟ができた。気持ちを新たにできたので、すごくよい2日間だった。

一山:あまりよく知らない方だったのだが、実際に目で見て、話を聞いて、すごい人だったんだなということを感じている。なかなか聞く機会もない、とても貴重な話を聞くことができた。また、円谷さんが、マラソンに向けてやってきたことを、少しだけ練習メニューとかで見ることができて、マラソンはこつこつとやること、積み重ねが大事なのだなということを改めて感じた。私もこつこつと頑張っていきたいなと思った。

小原:先人の方々が、今のマラソンの発展の架け橋をつくってくれたのだなと、そういう気持ちになった。また、お墓参りをさせていただいたことで、しっかり見守っていただけていると思ったので、気持ちを新たにオリンピックに向けて、一丸となっていきたいと思った。

松田:メモリアルホールで実際に円谷さんが履いていた靴を見ることができた。今では厚底シューズが主流になっているが、(ソールが)とても薄くて、草履のようと思うくらい薄くて、あの靴でマラソンを走っていたんだと思うと「すごいな」のひと言だった。それが一番印象的というか、大きな衝撃を受けた。

 Q:補欠の2人はつらい思いもあるなか、よく参加してくれた。全員に、本番に向けての目標・課題を伺いたい。

前田:オリンピックに向けて、まずは元気な状態でスタートラインに立てるように練習に取り組み、自分の力を最大限に、8月8日に発揮できるようにもっていきたいと思う。課題は、まずはしっかり長い距離を踏んでいって脚つくりをすること。徐々にスピードをつけて、質の高い練習を継続してやっていきたい。

鈴木:メモリアルホールで、(1964年東京オリンピック)本番で自己ベストを出したのは、(優勝した)アベベ(・ビキラ)選手(エチオピア)と円谷さんの2人という話をうかがった。本番に自分の力を出せば、きっと可能性はあると思うので、今、(故障もあって)少し不安な状態ではあるが、そういう前例があることを自信にして、しっかり自分の力を出せる状態でスタートラインに立ちたい。(それができたら)本番は、あとはやるだけ。本能に従って自分らしい走りができるようにしたい。

一山:日本代表として走るからには、出て終わりじゃなくて、しっかり勝負できるような力をつけていきたいと思っている。オリンピックは、日本のレースのようにペースメーカーさんがきれいにペースをつくってくれるようなレースではないと思っている。勝負するために、どんなペースの上げ下げがあったり、揺さぶりがあったりしても、落ち着いて対応できるような対応力をつけていきたいし、これからもっとスピード持久力をつけていきたいなと思う。

小原:選ばれた3人と同じ気持ちで自分もしっかり準備していく。同じチームの前田がいるので、一緒に切磋琢磨して、練習のときからいい雰囲気といい影響を互いに与え合って、レベルアップしていけるようにしていきたいと思っている。

松田:正直なところ、まだ気持ちの整理がついていないので…。再スタートを切れるくらいに気持ちの整理をして、身体を整えてから、またチャレンジしたい。

Q:前田・鈴木・一山選手へ。オリンピックレース本番の具体的な目標を。また、鈴木選手はケガの回復状況を聞かせてほしい。

前田:オリンピックに向けては、自分の走りをしっかりできるように、どういうレース展開になっても自分のリズムを崩さずに、最後まで走りたいと思う。

鈴木:ケガの状態は、順調に回復はしている。ただ、本番でしっかり力を出すためにも、今は慎重にやっていくべきだと思っている。本番は、スピード化が予想されるので、そこにしっかりと対応していきたいし、さまざまなやるべきことをやり尽くして、最後までメダルを目指して走りたい。

一山:オリンピックに向けて5カ月あるなかで、ずっと順調な状態が続くとは思っていない。まずは、ケガに十分気をつけて、練習をしっかり積み重ねていくことによって、オリンピックのスタートラインについたときに自信を持って走れるようにしたい。オリンピックの目標は、メダルを期待している方が多いと思うが、取りたいという気持ちはあるけど、「取りたいです」と堂々と言えるような自信はない。まずは、しっかり練習を積んでいくなかで、メダルを目指せるくらいの力をつけていきたい。


なお、今回、研修会および記者会見を欠席した中村選手と大迫選手は、会見終了後、日本陸連を通じて、以下のコメントを発表しています。

◎中村匠吾選手コメント

男女3名の代表選手が決定し、いよいよ本番に向け、気持ちを新たにしています。MGCが終わって半年が経ち、ここまで順調に準備を進めることができています。これもご声援いただいている皆様やサポートしてくださる方々のおかげです。これからも愚直に練習に取り組み、スタート地点に立つまでに出来る限りの準備をしてレースに臨みたいと思っています。

これまでと変わらず「オリンピック当日に持てる力を発揮すること」が目標です。そのためには、一日一日、練習を積み重ねていくことが大事であり、その先に、自分が満足できる結果がついてくることが理想です。オリンピックまで、一歩ずつ地道に進んでいこうと思います。

 
◎大迫傑選手コメント

この度、オリンピックマラソン代表になれたことで、今までと変わらずレースに向けて準備をし、万全の体調で臨みたいと思います。

 

取材・構成:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト

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