男子20km競歩で快挙! 山西が金、池田が6位!
男子4×100mRは、全体3位で決勝へ!
大会第8日となった10月4日。日本勢は、金メダルを目指す男子4×100mRの予選に出場したあとに、スタジアムの終了後の深夜、海岸沿いのコーニッシュ地域に設営された周回コースで行われる男子20k競歩の決勝に出場するタイムテーブル。男子4×100mRは順当に決勝へ進出。さらに男子20km競歩では、男子50km競歩に続く2つめの金メダル獲得と6位入賞という快挙を達成しました。その後、給水などの影響もあり集団はやや縦長にはなりましたが、先頭が22分26秒で通過した5km地点でも42人の大集団のまま。日本の山西利和(愛知製鋼)、池田向希(東洋大学)、髙橋英輝(富士通)の3選手は、集団の中段よりもやや前の位置で揃ってレースを進めていきます。
6kmを過ぎたところで、Callum Wilkinson選手(英国)が前に出ましたが、その直後にKaihua Wang選手(中国)の先頭に立って、少しずつリードを奪っていきました。ここで山西選手が飛び出し、Wang選手を追い始めます。7kmはWang選手が31分14秒で通過し、2秒差で山西選手が通過していきましたが、山西選手は7~8kmを4分15秒にペースアップして、Wang選手を突き放すと、次の1kmも4分15秒でカバーし、後続との差を大きく開き、独歩態勢を築いていきます。
山西選手は10kmは44分06秒で通過。その後、4分20秒、4分21秒、4分19秒で刻むと、13~14kmを4分14秒、14~15kmは4分08秒にペースアップ。15kmを1時間05秒28秒で通過してからも4分11秒、4分11秒、4分13秒、4分14秒のペースでレースを進め、17km通過時点で16秒だった後続との差を、18kmでは25秒に、19kmでは28秒まで広げました。
最後の1周は、18kmを過ぎたところで2位に上がってきたVasiliy Mizinov選手(ANA)が4分10秒を切るペースで追い上げて15秒差まで縮めてきましたが、山西選手の首位を脅かすには至らず。山西選手は1時間26分24秒で、20kmでは史上初となる金メダルを獲得。日本陸連の定めた内定条件を満たし、この種目の東京オリンピック代表に内定しました。
日本勢で山西選手に続いたのは、池田選手でした。山西選手が一人で飛び出した段階では、2位グループに位置してレースを進めていましたが、「12~13kmで急に脚が止まった」(池田選手)ことにより、14km以降で、徐々に2位グループの後方に下がって、15kmを1時間05分57秒で通過。その後は、4分27秒、4分34秒、4分37秒、4分43秒と大きくペースを落としてしまいました。ラスト1kmも4分44秒要して1時間29分02秒でのフィニッシュとなりましたが6位入賞を果たし、山西選手とともに、この種目に史上最高成績をもたらしました。
高橋選手は、序盤は10~11番手に位置していましたが、中盤を過ぎた辺りからは、上位とはタイム差が生じる状態にはなったものの、「粘りの歩き」を展開。入賞が見えるラインでレースを進めていく形となりました。Wang選手と並んで9位争いをしながらラスト1周を通過。19kmを過ぎたところで、Wang選手、さらには前にいたJiaxing Yin選手(中国)をかわして8位に浮上しましたが、フィニッシュラインの対向車線側となる残り500m地点を、フィニッシュラインと誤認して倒れ込む痛恨のミス。その後、起き上がって最後まで歩きましたが、このロスが響いて10位(1時間30分04秒)でのフィニッシュとなりました。
この男子20km競歩の結果によって、今大会のメダル獲得はメダル2つ(金2)、入賞5つ(6位2、7位2、8位2)となり、競歩陣はそのうち金メダル2つ(男子50km、20km)、6位2(男子20km、女子20km)、7位(女子20km)を占める好成績を上げています。
男子20km競歩のスタートから遡ること2時間30分ほど前。ハリーファスタジアムでは、男子4×100mRの予選が行われました。決勝進出の条件は2組上位3着+2。日本は、中国、カナダ、南アフリカ、フランス、オランダなどとともに予選2組に入ってのレースとなりました。
先に行われた1組では、イギリスが今季世界最高となる37秒56をマークして1着で通過。2着は世界リレーを制したブラジルで37秒90の記録は南米新記録。3着には、バトンパスを大きく失敗する場面が続いたアメリカが38秒03で食い込んで着順での決勝通過を決めています。
日本は5レーンに入って、当初からの計画通り小池祐貴選手(住友電工)、白石黄良々選手(セレスポ)、桐生祥秀選手(日本生命)、サニブラウン アブデルハキーム選手(フロリダ大学)のオーダーでスタート。序盤は、一番アウトのレーンに入った中国が大きくリードを奪い、日本はドイツやフランスに次ぐ位置にいましたが、3走の桐生選手が、1つ内側の南アフリカとともに上位を追い上げ、3番手辺りを争いながらサニブラウン選手にバトンをつなぎました。このバトンパスでスムーズに上位争いに加わったサニブラウン選手は、フランス、南アフリカとの先頭争いを展開、フランスをかわして南アフリカと競り合いましたが、Akani Simbine選手が100m4位の地力を見せて南アフリカが37秒65のアフリカ新記録で先着。2着の日本も7月のロンドンダイヤモンドリーグでマークした37秒78に並ぶ日本歴代2位タイの好記録で続きました。
3着には、アンカーのZhenye Xie選手が猛追してきた中国がナショナルレコードの37秒79でフィニッシュ。さらに4着のフランス(37秒88)、5着のオランダ(37秒91、ナショナルレコード)までがプラスで拾われて決勝に進出しました。5着のカナダが、37秒台(37秒91)をマークしても予選敗退となるレベルの高さでした。
男子4×100mR決勝が行われる大会9日目の10月5日には、この種目を含めて全部で7種目の決勝が行われます。日本勢は、男子4×100mRのほか、女子5000mに予選で日本歴代3位の好記録をマークして進出を決めた田中希実選手(豊田自動織機TC)が出場。また、深夜に行われる男子マラソンにも二岡康平(中電工)、川内優輝(あいおいニッセイ同和損害保険)、山岸宏貴(GMOアスリーツ)の3選手が入賞に挑みます。
競技の模様や大会に関する情報は、世界選手権特設サイト( https://www.jaaf.or.jp/wch/doha2019/ )、日本陸連公式Twitterを、ご参照ください。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト
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