2019.05.30(木)大会

【ドーハ世界選手権】50km競歩代表発表会見レポート&コメント



日本陸連は5月28日、今秋に開催されるドーハ世界選手権50km競歩の日本代表選手を決定し、同日夕刻、東京都内において代表発表会見を行いました。その後、代表選手のうち1名が登壇。現在の気持ちや大会に向けての抱負を語りました。
以下、記者発表の概要を、ご報告します。




【代表選手発表会見】

1.はじめに:尾縣 貢(専務理事)

本日、選考会議を行い、代表選手を決定したので報告する。ご存じの通り競歩は、20km、50kmともに世界のトップレベルにある。世界選手権では当然順位を狙っていくという目標がある。加えて、2020年東京オリンピックの前哨戦、シミュレーションとも位置づけている。素晴らしい選手が揃ったので、そういった目的をしっかり遂げてくれるものと思っている。代表選手については、麻場強化委員長から発表していただく。





2.50km競歩日本代表選手:麻場一徳(強化委員会強化委員長)

50km競歩日本代表選手を発表する。

<男子>
・勝木隼人(自衛隊体育学校)
・野田明宏(自衛隊体育学校)
・鈴木雄介(富士通)

<女子>
・渕瀬真寿美(建装工業)

以上、男子3名、女子1名である。選考の経緯・詳細は、今村男女競歩オリンピック強化コーチから説明していただく。





3.選考に関する補足説明:今村文男(強化委員会男女競歩オリンピック強化コーチ)

選考に至る経緯としては、競歩日本代表の選考競技会としては、昨年から今年にかけて、アジア大会、全日本競歩高畠大会、日本選手権と3大会あり、その結果から選考した(代表選考要項:https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201807/09_110954.pdf)。

男子は、昨年のアジア大会で金メダルを獲得した勝木選手においては、内定条件を満たしたということで、その場において内定した。その後に行われた全日本競歩高畠大会において、野田選手が日本新記録をマークし、派遣設定記録を突破したことにより内定している。さらに、本年4月の日本選手権において鈴木選手が日本記録を樹立し、派遣設定記録を突破したことにより内定したという状況である。

女子に関しては、昨年の全日本競歩高畠大会と今年の日本選手権の結果を見ながら選考したが、編成方針に基づき、ランキングとしては競歩の歴史の違いはあるものの、女子20km競歩ですでに内定している藤井菜々子選手(エディオン)と大きな差のないくらい世界的な位置にいるということ、そして、編成方針には「本大会でメダル獲得及び入賞が期待される競技者」と記述されているので、この2つから、渕瀬選手に入賞を期待するということで選考した。





4.質疑応答

Q:今回の世界選手権のチーム全体としての目標を。世界的にも、昨年の世界競歩チーム選手権や前回のロンドン世界選手権よりも各国のレベルが上がってくるものと思われるが、それを踏まえたうえで、選手たちにどのくらいを期待しているのか?

今村:前回のロンドン世界選手権では明確にあったが、暑熱環境下のダメージや反応は、非常に個人差があること、また、それまでの準備やそのときのコンディションに大きく左右されるという状況となる。このドーハに向けては、当然来年のオリンピックに向けてのシミュレーションということも考え、個々がいい状態でスタートできるようなアプローチを心がける。これまで4年近く暑熱対策を講じてきたなかで、個々が取り組みたいこと、やっていることを尊重したい。ドーハに向けた強化としての強化事業に参加してもらう時期は持ちつつも、暑熱の馴化、暑さの環境で練習するのか涼しいところで強化を図るのかなどは、科学サポートを得たなかで、それぞれの選手やチームに判断していただきながら、必要であればサポート、助言していく形で進めていこうと考えている。

具体的な目標となると、いい状態でスタートに立てるための心身のサポートを心がけるなかで、「ベストを尽くす」という言葉に要約されるのかなと考える。優勝や入賞レベルの記録は下がってくることが予想され、メダルラインの記録もそれほど高くならないことを考えると、暑さに対する抵抗感や苦手意識を振り払いながら準備を進めていけば、自ずと結果は出てくるのではないかと考えている。


【代表選手記者会見コメント】

続いて、発表された選手のうち、鈴木選手が記者会見を行いました。メディアからの質疑応答も含めたコメント(要旨)は次の通りです。

◎鈴木雄介(富士通)

本日、代表に決定して、ドーハ(世界選手権)に向けてやっていこうという気持ち、このドーハで勢いをつけて、東京(オリンピック)に向けてやっていこうという気持ちを新たにした。ドーハで優勝、またはメダルを取ることで、今後の競技生活に生かしていくという思いで臨みたい。

・懸念を示していた深夜スタートについて

まだはっきりとは対策を決めていないが、スタート時間を日本時間で考えると朝の5時半となる。昼夜逆転の生活をドーハでして、そのリズムを崩さずに、日本の朝のスタートだという意識や生活で臨めば、深夜スタートという点に関しては問題なくなるのかなと、今は考えている。

・暑さ対策について

暑さ対策については、陸連の科学委員会の方々が、何年間も研究に取り組んできていて、その成果が、すでに出ていると思っている。競歩のチーム全体で対策に取り組んでいるので、暑さに関しては東京を含めてドーハでも、逆に自分たち日本チームにとって有利な点になるのではないかと考えている。

・結果によっては東京オリンピック代表の内定が得られることについて

(自分としては)ただ単純に、今まで世界大会でメダルを取ったことがないので、獲得したいという強い思いがあること、そして、東京オリンピックの内定が得られるという条件も含めて、ドーハでまず1つめの内定条件を満たしたいと考えている。50kmで世界陸上に出たあとも、20kmでも日本選手権への出場が可能なので、(2020年2月に開催される)神戸の日本選手権でもトップを目指して頑張りたい。ただ、東京オリンピックに関しては、両方の内定を得られたとしても、どちらか1種目の代表として出場するつもりでいる。

・現時点では、50kmと20kmのどちらに思いがあるか?

現時点では50kmに思いが寄っている。なぜかというと、東京オリンピックに関しては、自分の楽しみややりたいことよりも「金メダルを取る」ということを大きな目標に掲げているから。そういったなかで、自分の能力や海外の選手たちの動向を考えたとき、50kmのほうが金メダルに近いのかなと現段階では考えている。なので、現状では東京オリンピックに関しては50kmで出場しようかなと考えている。

・前回代表となった2015年北京世界選手権時との比較

2015年北京世界選手権(で20km競歩の代表に選出された際)の記者会見については、ほとんど覚えていない。このため、比べてどうかということは記憶を辿ってもわからないのだが、競技をやっている感覚では、今のほうが圧倒的に余裕度は大きいなと思う。トレーニングにおいても、すごく心にゆとりを持って取り組めているので、その心のゆとりが、ドーハ世界陸上、東京オリンピックに向けては、かなり大きな武器になるのではないかと感じている。2015年北京のときは、(20kmでの)世界記録は出したけれど、夏の大会で実力が出しきれるという確固たる自信はなかった。現状は、「絶対に金メダル」というのではなく、「しっかりと自分の力を出しきる」というメンタルの持ち方で臨んでいて、それが余裕につながっているのかなと思う。

・初めての50kmとなった日本選手権で得た反省や課題

輪島の大会(日本新で優勝した日本選手権50km競歩)では、思った通りのレース展開ができた。そういった面では、今やっていることを続けていけば実力は上がっていくし、確実に力を出しきれるという自信を持てた。

ラスト2周(残り4km)くらいで少しペースダウンしたのだが、そこは身体の調子や自分の能力というよりは、給水の内容物や取り方に失敗があり、そこで脱水気味になってしまったので、世界選手権や今後の50kmに向けては、今、給水の内容物を吟味している。また、ゼリーなどによるレース途中のエネルギー補給についても考えている。そこがまず自分の力を出しきり、記録や実力を向上させる一番のデバイスと考えてやっている。

そのほかでは、現状で「課題」というものはなく、単に自分の実力をもっともっと上げたいという思いで取り組んでいる。具体的には自分で思い描く記録に向かってトレーニングしている最中で、その記録というのは50kmの世界記録(3時間32分33秒:ヨアン・ディニ、フランス、2014年)を上回るもの。50kmという種目が、東京オリンピックの次の年までと決まっているので、そこまでに出せるように今はトレーニングをしているところである。

しかし、ドーハに向けては、その記録にはこだわらず、「自分の力を出しきる」という練習をやっていこうと考えでいる。そうすれば自ずと結果はついてくるし、メダルを取る自信もある。ただ、金メダルというところに関しては、世界記録保持者のディニ選手がすごく強いので、「狙うけれど、狙いすぎず」というスタンス。今までの傾向を見ると、ディニ選手のレースは前半で飛び出して、そのまま1人でゴールするという展開が多いのだが、半面、急激に(ペースが)落ちてダメになるパターンも多い。ドーハでは、自分の力以上を求めずに、まずはしっかりと50kmを歩ききるということをやって、(そのなかで)最後のラスト勝負でメダルを勝ち取れることができればと考えている。

・ドーハに向けてのスケジュール

今のところは詳細まで考えていない状況。6月8日にラコルーニャ(スペイン、IAAF競歩チャレンジ)で20kmの大会があるので、それに出場する。その後は少しゆっくりして7月ごろから合宿が始まる予定だが、合宿地をどこでやるかというよりは「どこでも自分のやれる最大限のことをやる」ということが大事だと思っているので、合宿地にはこだわらずにやっていくつもりでいる。ただ、科学委員会の見解では、最近は暑さ対策として馴化が大切だといわれているので、ずっと涼しいところで練習するのではなく、定期的に東京などの暑いところでも練習し、暑さに慣れる対策をとりたい。また、9月に入ってからの大会3週間くらい前からは、東京とかで暑さに慣れるトレーニングをしていくつもりでいる。



構成・文、写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

※本稿は、5月28日に行われた記者発表で行われた説明および質疑応答を元に、一部を再構成しています。

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