2019.04.23(火)大会

【桐生、アジアチャンピオンに輝く!】アジア選手権・第2日ハイライト&コメント




Day2:4月22日(日)

桐生、アジアチャンピオンに輝く!
日本は金1、銀1,銅2を獲得!

 大会2日目の4月22日は、男子やり投、男女400mH、男子三段跳、男子400m、男女800m、男子砲丸投、女子ハンマー投、女子走幅跳、男女100mの12種目で決勝が行われたほか、この日から男子十種競技と女子七種競技の1日目もスタート。日本は4種目で金メダル1つ、銀メダル1つ、銅メダル2つを獲得しました。

 日本に待望の金メダルをもたらしたのは、男子100mの桐生祥秀選手(日本生命)。夕方行われた準決勝で、全体でもトップとなる10秒12(+1.4)をマークして決勝進出を決めると、その決勝では10秒10(+1.5)とさらタイムを上げて、10秒13の自己新記録(インドネシア新記録)をマークした昨年のU20世界選手権覇者のZOHRI Lalu Muhammad選手らを圧倒し、自身初のアジアチャンピオンの座につきました(桐生選手ほか、メダル獲得者のコメントは、以下に別記しています)。なお、桐生選手とともに100mに出場していた山縣亮太選手(セイコー)は、準決勝でシーズンベストとなる10秒18(+1.2)をマークして全体の4番手で決勝に進みましたが、右脚ハムストリングスに違和が生じたため、大事をとって棄権しました。

 女子走幅跳では、昨年のアジアジュニア選手権で6m44のU20日本タイ記録をマークして優勝し、U20世界選手権でも2位の成績を上げた高良彩花選手(筑波大)が、5回目に6m16(-0.1)を跳んで7位から2位に浮上。シニアの日本代表初挑戦にして銀メダルを手に入れました。

 また、2人の銅メダリストは、投てき種目から誕生しました。男子やり投で新井涼平選手(スズキ浜松AC)が4回目に81m93をマーク。2014年のアジア大会(2位)以来となるメダル獲得を達成し、故障による不調からの完全復活間近を印象づけました。女子ハンマー投では、渡邊茜選手(丸和運輸機関)が1回目の試技で63m54を投げて3位につけると、その後も62m台をマーク。5・6回目はファウルに終わって記録の更新はなりませんでしたが、70m台に乗せた中国の2選手に続き、前々回の2015年大会以来2回目となる銅メダルを手にしています。

 また、日本勢では、男子400mHの安部孝駿選手(ヤマダ電機)、女子400mHの宇都宮絵莉選手(長谷川体育施設)、女子800mの塩見綾乃選手(立命館大)、男子800mの村島匠選手(福井県スポーツ協会)、男子400mのウォルシュジュリアン選手(富士通)と伊東利来也選手(早稲田大)、男子三段跳の山本凌雅選手(JAL)と山下航平選手(ANA)の8人が、前日に行われたラウンドを突破して決勝に挑みました。

 安部選手は序盤では上位争いを展開したものの終盤で遅れて49秒74で5位に。宇都宮選手はメダル獲得ラインで勝負を展開しましたが、ホームストレートでインドの選手にかわされ4位(57秒38)でのフィニッシュとなりました。塩見選手は1周目をトップ(58秒66)で通過しましたが、自身が課題としている400~600mで後続選手に抜かれ、最後に1人かわしたものの2分07秒70で6位、村島選手は、今季世界最高(1分44分33)で優勝したABDALLA Abubaker Haydar選手を筆頭に、3人が決勝進出を果たしたカタール勢のつくりだしたハイペースに、序盤からうまくつくことができず、1分52秒32で6位にとどまりました。

 男子400mは、ウォルシュ選手が45秒55で5位。伊東選手は7位でフィニッシュしたものの、レーン侵害により、その後、失格に。男子三段跳は山本選手、山下選手ともに思うように記録を伸ばすことができず、16m04(+1.4)、15m08(+1.4)で、7位・10位にとどまりました。また、女子100mでは、昨日の予選をプラスで通過した福島千里選手(セイコー)が準決勝に挑みましたが、12秒02(+1.3)に終わり、決勝進出はかないませんでした。 

 前半の5種目が行われた男子十種競技には、昨年のアジア大会で2大会連続金・銅メダルを獲得した右代啓祐選手(国士舘クラブ)と中村明彦選手(スズキ浜松AC)が出場。前半を得意とする中村選手が100mを10秒73(+0.8)・1着でフィニッシュすると、走幅跳では7m33(+0.4)をマーク。5種目を終えて4070点を獲得してトップで初日を終えました。2日目の追い上げが強みである日本記録保持者の右代選手は、中村選手と168点差となる3902点で4位につけています。女子七種競技では、山﨑有紀選手(スズキ浜松AC)が2470点を獲得して首位と235点差、4位とはわずか1点差の5位で前半を折り返しました。山﨑選手とともに出場していたヘンプヒル恵選手(アトレ)は、第1種目の100mHで13秒62(+0.2)をマークして快調な滑り出しを見せましたが、続く走高跳で右足首を痛め、3種目以降を棄権しています。

 日本人選手以外では、前述した男子800mを含めて3種目で今季世界最高記録がアナウンスされました。男子400mHも世界歴代2位の自己記録を持つSAMBA Abderrahman選手が47秒51の今季世界最高で圧勝。男子やり投は、アジア記録保持者(91m36)のCHENG Chao-Tsun選手が2回目に86m72をマークしてトップに立つと、後半の試技は3回ともパスしての優勝となりました。また、女子ハンマー投もアジア記録保持者(77m68)のWANG Zheng選手(中国)が最終投てきで75m66をマーク。自身の大会記録を更新して3大会ぶりの優勝を果たしています。女子100mでは昨年のアジア大会200m覇者のSAFRONOVA Olga選手(カザフスタン)が準決勝でマークした11秒21(+1.3)の大会新記録を、決勝で11秒17(+1.8)と再度塗り替えて優勝。SAFRONOVA選手は、3日目から始まる200mにも出場します。

 大会3日目の4月23日は、現地時間午前8時30分(日本時間は午後2時30分)から競技が開催され、男女混成競技(2日目)、男女4×100mR、女子10000mなど10種目の決勝が組まれるタイムテーブルとなっています。また、男子200m、男子110mH、男子走幅跳予選など、日本勢の好記録が期待される種目の予選も行われます。






■日本人メダリストコメント

◎男子100m決勝
桐生祥秀(日本生命) 優勝 10秒10(+1.5)

まずは優勝できてよかった。走りは、序盤から中盤にかけて頭を上げていくところは、準決勝のほうがよかったように感じていて、今までだと、そこで後半肩が上がってしまう走りになってしまうことが多かったのだが、今回は焦らずに走ることができた。そこは、このレースの収穫といえる。(今季)2大会目でぼちぼちの結果だと思う。

「自分に集中できている」というのが一番大きい。ほかのレーンに強い人がいたとしても、それを気にすることなく、自分の走りをしたいという気持ち。それは今までも口にはしていたものの実践できていなかったところ。まだ完全ではないが、自分に(意識を)向けられるようになってきたと感じている。

隣のレーンは、9秒94の自己記録を持つフィッシャー選手(バーレーン)だったが、走る前は全然気にしていなかったし、横がフィッシャー選手ということも頭にはなかった。フィッシャー選手も、どちらかというと後半型の選手だが、自分の想定として、「もし(他走者の)全員に、自分の前に出られていたとしても、最後に抜かす」というイメージをしてきていたので、焦ることはなかったし、どちらかというと自分のほうが前にいたので、「ああ、これは大丈夫」と思った。

この冬は、前半であまり力を使わず、後半に伸びるような走りを目指してきた。その部分は、(初戦の)オーストラリアでも、この大会の予選、準決勝、決勝でも、レースをするなかで成長できているように思う。練習では、ウエイトトレーニングのクリーンを、力を使わずに一発で上げるということを意識して取り入れてきたのだが、これまで最高で100kgくらいだったところが135kgまで上がるようになっている。そうしたところが、走りのなかでもうまくできていうのかなと思う。

 (日本代表として初の個人タイトル)中国の強い選手などが出ていないとはいえ、タイトルが取れたことは大きいし、この大会は(ワールドランキング制度の)ポイントレースなので、大きく点を取ることもできた。必ずしも思っていた通りのレースができたわけではないが、準決勝から記録も上げられたことはよかったと思う。

(勝利しても大きく喜ぶ様子がなかったが…の問いに)まだ2戦目。今年は世界陸上もあって、(その前に)日本選手権もある。9秒(98の日本新記録)を出したとき(2017年)は、記録が出たことで自信がついて、そのあと、ちょっと空回りしてしまった面があったので、今はこれからの試合に向けて、とりあえずは日本に帰って練習したいという気持ち。おそらく世界リレー(の代表)にも選ばれると思うので、まずは世界リレーをしっかり走りたい。(初戦、今回と競り合うレースをして2回とも勝てたことは)今後のレースに生きてくると思う。これが自信になって、国内でも落ち着いたレースができる。そこは自分のなかでも「今年は(今までとは)違うかな」と思う。



 
◎女子走幅跳
高良彩花(筑波大) 2位 6m16(-0.1)

メダルを取ることを目標にしていたので、それが実現できたのは嬉しいが、記録が“ヘボヘボ”すぎる。

本当は、1本目から6m30くらいを跳んで、自分に有利な流れをつくろうと予定していたのだが、2月に助走を新しく変えて、それがまだ安定できていない状態。助走(がいい流れ)に乗ってくるのが終盤の試技に入ってからになっていて、今回も前半で記録が全く出せなかった。ただ、今日の後半の2本(6m16、6m04)で、どうやったらうまく助走を合わせられるかということが少しつかめたので、帰ってからもう一回、身に染みこませたい。

助走の変更は、これまで前半から思いきりスピードを上げていくような助走だったのだが、2月にタリンへ遠征したときに、ヤチェク・ウドミューコーチ(1980年モスクワ五輪男子三段跳金メダリスト)の指導を受け、助走が単調すぎると指摘されたので、助走にリズムをつけるために前半を今までよりも大きめに(地面を)押して、後半のピッチアップにつなげるという形に変えた。ただ、今回が変更して2回目の試合であることと、また、2月から3月にかけて膝に痛みが出て全力で走れず、跳躍練習も筑波大で1回行っただけで大会を迎えていたこともあって、正直なところ不安もあった。

今季は、ユニバーシアード(7月、ナポリ)に出られたらいいなと思っているので、前半シーズン中に、ベスト(6m44)くらいの記録を跳んでおきたい。このあと、ゴールデングランプリに招待してもらっているが、このままではちょっと…。なんとか(6m)16まで戻せたので、あとは、これからもう一回自分を追い込んで、しっかり練習したい。



 
◎男子やり投決勝
新井涼平(スズキ浜松AC) 3位 81m93

メダルを持ち帰るのは久々で、何年ぶりと言っていいくらい。日本にいい“お土産”ができたので、大切に持ち帰りたい。

ただ、投てき自体は「もうちょっと投げられたかな」という感じ。やはりまだ技術がばらばらで、腕だけで投げて81(m)という状況になっている。まだまだできることはあったかなと思う。1回目にファウルして入りが悪かったので、それも引きずってしまったように思う。

(今季初戦でマークした)82m03のときも腕投げだった。練習では、だいぶいい感じで修正できてきているのだが、試合になると力んでしまって、まだ腕に頼った投げになってしまう。もちろん、その状態で80(m)を超えられるのは成長だと思うのだが、それでは先がない。脚主導の投げをしないといけないのだが、それができるときとできないときがまだある。そこが今後の課題かなと思う。

(故障の影響もあり)ここ2年何もできずにいたが、この冬季はようやく満足のいく練習が十分にでき、やっと充実したシーズンインを迎えることができた。そのなかでやってきたことは、決して無駄ではなかったのかなと、技術レベルでは感じている。ただ、それがまだ試合でしっかりと発揮できていない。「練習でできることを、試合でできるように」というのが次の目標となる。やっと楽しいシーズンになりそうだなと思っている。 

今年は世界選手権があるし、来年は東京オリンピックがある。まずは今年のうちにオリンピック参加標準記録の85m00を投げられたらなと思っている。今年の練習の感じだと、その先にある自己記録(86m83)の更新も十分に狙えると思っているので、そこを目指してやっていきたい。



 
◎女子ハンマー投決勝
渡邊 茜(丸和運輸機関) 3位 63m54 

メダルを獲得できて嬉しい。今日は、65m以上、できれば日本記録(67m77)の更新も狙っていた。トライアルも合わせて、1本1本の投てきが、自分でも動きがどうなっているかがよくわかる状態で、1本目に63m54を投げたあとも、「次はこうしよう」というようなことを考えて、いろいろと試しながら進めることができた。これで記録が伸びれば、言うことなしだったのだが…。5投目、6投目は、記録を狙っていった。ファウルに終わってしまったが、思いきり行った結果のファウルだったので、そこは今後の課題として頑張りたい。

(2016年に日本歴代3位の66m79が出たが)この2年間は(思うような結果が出せず)とても苦しかった。最大の課題は力んでしまうこと。どれだけ身体をリラックスさせて球を走らせるかということなのだが、記録を出したいという思いから、どうしてもうまくコントロールできなかった。大きなケガもなく練習は積めていたので、あとは「しっかり自分のパフォーマンスをする」というところだと思う。

(記録にはつながらなかったが)今日の有効試技はすべて62m台以上。“1本”が出てもおかしくない状況だったので、次に出場を予定している静岡国際で結果につなげたい。

 

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト

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