2019.04.25(木)大会

【アジア選手権:3日目レポート&コメント】十種競技の右代・中村が金と銅!新谷は、東京五輪の参加標準記録を上回っての銀メダル獲得!



Day3:4月23日(月)

十種競技の右代・中村が金と銅!
新谷は、東京五輪の参加標準記録を上回っての銀メダル獲得!


折り返し点を過ぎた大会3日目の4月23日には、8種目の予選ラウンド(一部準決勝を含む)と10種目の決勝が行われ、日本チームは、男子十種競技で金メダルと銅メダルを、女子10000mで銀メダルを獲得したほか、今回、初の実施となった男女混合4×400mRで銅メダルを手にしました。

前日の前半5種目を中村明彦選手(スズキ浜松AC)が首位、右代啓祐選手(国士舘クラブ)が4位で折り返した男子十種競技は、後半の5種目が行われました。中村選手は、7種目目の円盤投まで1位を維持しましたが、その円盤投と続く棒高跳で種目別トップの45m32と4m90をマークした右代選手に8種目を終えた段階で初めて首位を明け渡し、12点差で追う展開に。第9種目のやり投では、右代選手が65m00の好記録をマーク。中村選手も53m78まで記録を伸ばしたものの点差は180点に開きました。右代選手は、最終種目の1500mを4分42秒68でカバーして7872点で優勝。中村選手は種目別3位となる4分20秒41で7837点をマークしましたが、やり投を終えた段階で3位につけていたALZAID Majed選手(クウェート)が4分15分06で走って7838点を叩き出し、中村選手を1点逆転。中村選手にとっては悔しい銅メダルとなりました。

今大会で初めて実施された男女混合4×400mRには、日本は、若林康太選手(駿河台大)、武石この実選手(東邦銀行)、稲岡真由選手(RUN JOURNEY)、佐藤拳太郎選手(富士通)のオーダーで臨みました。レースは、3走を務めたNASER Salwa選手(女子400mアジア記録保持者=49秒08、今大会400m優勝)が51秒14のラップ(主催者発表の記録。以下同じ)で回ったバーレーンが、ここでインドを逆転して3分15秒75で優勝。日本は、1走の若林選手(ラップタイム46秒7)が3位で武石選手(53秒3)にバトンをつなぐと、稲岡選手(54秒37)、佐藤選手(45秒78)ともに単独3位でレースを進める展開となり、3分20秒29で銅メダルを獲得しています。

3日目の最終種目として行われたのは女子10000m。出場者7名とやや寂しいレースとなりましたが、現地時間午後8時49分からのスタートで、気温19℃、湿度32%、日中強く吹いていた風もほぼ収まる絶好のコンディション下で行われました。レースは、堀優花選手(パナソニック)が先頭に立ち、新谷仁美選手(NTTC)が続く形となりましたが、4周目に入ったところで新谷選手が先頭に立ち、2700m以降はバーレーンのHABTEGEBREL Shitaye選手のみがぴたりとつく展開となりました。5300m付近でHABTEGEBREL選手が一度前に出ましたが、200mほどで新谷選手が抜き返し、1周ごとのラップはその後も新谷選手が刻んでいきます。レースが動いたのは残り3周を迎える8800mの手前あたり。ここでHABTEGEBREL選手が前に出ると、この1周で2秒ほどの差が開き、さらに次の1周で4秒差に。HABTEGEBREL選手は、最後の1周を70秒43で回って31分15秒62の大会新記録でフィニッシュ。新谷選手は、31分22秒64で銀メダルを獲得するとともに、2019年1月1日から有効期限内となっているこの種目で、東京オリンピック参加標準記録(31分25秒00)を突破しました。

日本勢では、このほか女子七種競技の山﨑有紀選手(スズキ浜松AC)が5753点で4位、女子走高跳では、ともに1m75をクリアした津田シェリアイ選手(ホットランド)と仲野春花選手(ニッパツ)が5位・9位、女子棒高跳の田中伶奈選手(香川大)も4m00をクリアして5位で競技を終えました。また、中国が今季世界最高となる42秒87の大会新記録で圧勝した女子4×100mRには、日本は壱岐いちこ選手(立命館大)、山田美来選手(日本体育大)、青野朱李選手(山梨学院大)、三宅奈緒香選手(住友電工)のオーダーで臨んで6位(44秒95)でフィニッシュ。女子3000mSCでも石澤ゆかり選手(エディオン)が6位(10分06秒55)に、女子三段跳では宮坂楓選手(ニッパツ)が8位(12m95、+1.6)と、それぞれ入賞を果たしています。

この日、予選が行われたなかで好調ぶりが目を引いたのは、女子100mH。木村文子選手(エディオン)が全体トップとなる13秒19(+1.9)、青木益未選手(七十七銀行)も全体3番手の13秒31(+1.3)の記録で、最終日の決勝に進みました。また、男子110mHも、金井大旺選手(ミズノ、1組2着、13秒67、+2.1)、高山峻野選手(ゼンリン、2組1着、13秒69、+1.0)と、ともに着順で予選を突破。準決勝までが行われた男子200mでは、小池選手が予選を21秒18(+2.0、5組1着)、準決勝を20秒60(+1.3、1組2着)と順当にラウンドを重ね、中国のXIE Zhenye選手(20秒35)に次いで2番手で決勝に駒を進めています。男子走幅跳も橋岡優輝選手(日本大、7m81、+0.2)、城山正太郎選手(ゼンリン、7m72、+1.1)ともに決勝へ。男子1500mでも、1組で走った田母神一喜選手(中央大)は着順(3着、3分55秒95)で、2組5着(3分49秒31)でフィニッシュした館澤亨次選手(東海大)は各組4着以降で進出できる上位4選手のトップとなり、決勝進出を決めました。また、17名が出場して行われた男子ハンマー投予選では、65m28をマークした墨訓熙選手(小林クリエイト)が全体の11番目で決勝への進出を果たしています。

最終日の4月24日は、現地時間午後5時04分(日本時間は24日午後11時04分)から競技が開催されます。実施されるのは決勝のみ。男女200m、ハードル(110mH、100mH)、1500m、4×400mRのほか、女子円盤投、男子走高跳、男子走幅跳、男子ハンマー投、男子5000mの13種目が行われます。日本勢は女子200mを除く12種目に出場の予定。特に、男子走高跳、男子200m、男子走幅跳、女子100mHなどメダルが期待されるほか、2020年東京オリンピックにつながるドーハ世界選手権獲得に影響を及ぼす男女4×400mRでの成績にも注目が集まります。

■日本人メダリストコメント


◎男子十種競技

右代啓祐(国士舘クラブ) 優勝 7872点

優勝は本当に嬉しい。今回は、娘に「金メダルを取ってくるよ」と言って(ドーハに)来ていたので、約束通り金メダルを持って、娘に見せられることが今の一番の楽しみである。
(最終種目まで勝負が拮抗する展開となったが)1500mでは勝負の部分では全然意識はしていなかった。点数が何点離れているとかといったことよりも、しっかりと1500mを走りきることができたらいいな、という気持ちで臨んでいた。記録的にはもう少し欲しかったが、4分42秒68なら、ここ最近のなかではいいほうだと思う。最近、改善している腕の振りや走り方が、後半に生きてきたような気がする。

今回は、めちゃくちゃ調子のよい状態で臨んでいた。1日目は、走幅跳や走高跳のように“3本目の(試技の)勝負所で勝負ができなかった”という場面があって、「そこで勝負ができていたら8100(点)とかそのあたりを狙えたのではないか」という部分が多々あったのだが、後半の棒高跳ややり投のように、3本目でクリアしたり距離を伸ばしたりすることができたのは、1日目にできなかったことを、しっかりと切り替えることができた瞬間だったのかなと自分では思っている。1日目は「記録を目指したいけれど、心が追いついていない」という部分があったけれど、後半になると、そこを追い越す形で戦い抜くことができた。そういう状態は、ここ数年の世界大会でも久しぶり。また、砲丸投で4年ぶりに15m台という記録も出すことができたている。初戦で、この先の試合につながるところが出せたので、まだ内定は得ていないが、これから先は世界陸上に照準を当てて、勝負をしたいなと思っている。

この数年ベストが出ていなくて、何か自分を変えなければと考え、これまで積み重ねてきたものはあるけれど一度フラットの状態にしてすべてを見直してみようという思いから、昨年の秋にハリー・マラ コーチ(前世界記録保持者のアシュトン・イートンなどを育ててきた名伯楽)に依頼し、これまで2回ほど渡米して指導を仰ぐ機会をつくった。日常のすべてでさまざまなことを学べたことや、なかでも「正確にトレーニングしていこう、正確でない練習は、練習ではない」とする“コレクトトレーニング”を指導してもらったことがすごく響いていて、その後、自分一人で練習していても「ここを見ればいい、ここを強化すればいい」というところが各種目でわかってきつつある。それが形になったのが今回の砲丸投。練習でも、跳躍で今まで跳べていない高さが跳べたりしていて、それが試合で噛み合うか噛み合わないかという段階に来ている。なんか「ようやく陸上がわかってきた」という感じ(笑)。年はとったが、衰えてはいないと感じていて、とても充実している。

今日は、いい点数がとれなかったことは悔しいが、今シーズン最後の試合ではなく、まだスタートの段階。これをどう変えていくのかというところ見てもらいたいなと思う。



◎男子十種競技

中村明彦(スズキ浜松AC) 3位 7837点

(2位と1点差の3位という結果は)絞り出せた箇所が何個もあっただけに悔しい。この1点は、気持ちひとつでどうにかできたかなというのが正直なところである。

1500mの競技中は、右代さんとの点差をすごく意識していて、自分がどれだけしっかり前を走って右代さんに差をつけるかというレースをしなければならないと思っていたので、恥ずかしい話、彼(ALZAID選手)はノーマークだった。4分15秒を目指していたので1周目のペースは予定通りだったが、そのあとペースを守ることができなかった。1500mのうちのもう1歩でも2歩でも踏ん張れていれば渡さずにすんだ順位だと思っている。今回は、悪いなりにも手応えがあった試合だったので、9種目めまでが終わった時点では、復活の兆しを感じて、次につながる1500m、金メダルを取りにいく1500mにしようと思っていた。最後まで走りきれなかったことが、すごく悔しい。

400m、1500m以外の8種目に関しては、やり投以外は記録が伴わないところもあったが、100mでスピードが戻ってきているという実感を得ることができた。また、一方で、細かなところや微妙なタイミングの部分で、気持ちのコントールができないところが目立ったので、そこさえクリアできればもう一度8000点台は取れるという感触はつかむことができた。



◎女子10000m決勝

新谷仁美(NTTC) 2位 31分22秒63

タイムも順位も全くもって話にならない結果。自分自身に、ほとほとあきれている。
自分のなかに「1位を取れる」という過信があった。ずっと後ろにつかれるとは思っていなくて、どこかで独走態勢に入れるだろうという甘い見方をして、それがなかったところから焦りがきて、(1周)75秒でしか押せなかった。そこが悪かったところだと思う。(ラスト3周で前に出られたときは)行こうと思えば行けたのかもしれないが、どこかに「苦しいな」という部分があった。また、負けるのかなと気持ちもあったのかもしれない。

自分としては、74(秒)から74.5(秒)で回っていく予定で、そこで押していくことができたら、(後続を)離せると思っていた。優勝した選手は、まだシーズンベストも出していなかったので、そこで私が勝手に過信してしまったのだと思う。6000mくらいまではついてくるだろうと思っていたが、そこからは離れてくれるだろうと思っていた。しかし、離れてくれず、そこで自分が(相手を突き放すために、ペースを)上げ下げできないタイプということもあり、結果的に彼女のいいペースメーカーになってしまった。また、モスクワ(2013年世界選手権)のときと同じ感じになってしまった。

この場に戻ってきたからには、100%の結果を出すことこそがプロだと思っているので、戻ってきたばかりとはいえ、それができなかったのは言い訳でしかない。このタイムでは、力が戻ってきたとは言えないし、世界では全くもって通用しない。課題がありすぎて、「自分、バカヤロー」という感じ。1つや2つであればいいのだが、メンタル面を含めて、数え切れない課題を感じている。よかったところは全くない。

まずは74(秒ペース)で前半から押していかないと。自分の強いところは、ある程度わかっていて、スピードでもなければマラソンのような持久力でもない。速いペース、速いリズムを一度つかめば、それでずっと押していけること。そこをしっかり横田(真人)コーチと相談して、これから質を上げていくようにしたい。



◎男女混合4×400mR決勝

日本(若林、武石、稲岡、佐藤) 3位 3分20秒29
・1走:若林康太(駿河台大)
この種目では、あとから巻き返すのはすごく難しいので、僕がしっかりいい流れをつくって、フィニッシュにつながる走りをすることが自分の役割だと思っていた。もともと緊張するタイプなので、緊張していたのはいつも通り。自分の長所が生かせる走りをして、バトンを次につなげたかったが、個人としてのレベルが足りなくて、あまりいい役割は果たせなかったかなと思っている。

・2走:武石この実(東邦銀行)
銅メダルを取れたことは素直に嬉しい。若林くんの持ってきたバトンを、できるだけ前の位置で渡すという気持ちで走った。男性から女性がバトンを受けるところは、スピード感の違いという点で難しさがあるのだが、そこをしっかりとつないで、自分の走りをすることができればきっと大丈夫という思いがあった。いい走りができたかなと思う。

・3走:稲岡真由(RUN JOURNEY)
4走の佐藤さんに、絶対に2走までの流れを崩してはいけないと思って、必死に走った。3走は、一番中間の場面だが、4走につなぐために一番重要な走順だと思うので「何がなんでも絶対に順位だけは落とさない」と思って走った。バトンパスのところは佐藤さんがすごく配慮してくださって、近くで受けてくれたので、安心して渡すことができた。

・4走:佐藤拳太郎(富士通)
前の3選手がすごくいい位置でバトンを持ってきてくださったので、僕がこの順位を守りきるんだという気持ちで、記録というよりは順位を意識して走ることができた。メダルを取ったということでひと安心はしているのだが、5月には世界リレーがある。ここで安心してしまっていては、世界リレーで、もう1ランク、2ランクくらいの上のステージに上がるのは難しい。この順位に満足せず、各々で修正点を見つけて、次のレースに臨みたい。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォートキシモト


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