ジャカルタ・アジア大会代表選考会を兼ねて開催される第102回日本選手権の前日会見が6月21日午後、会場の維新百年記念公園陸上競技場(山口県山口市)に隣接する野外音楽堂「ビッグシェル」において行われました。
会見には、男子100mに出場する桐生祥秀(日本生命)、山縣亮太(セイコー)、ケンブリッジ飛鳥(Nike)、多田修平(関西学院大)の4選手が出席。予選・準決勝を前日に控えての心境や体調、レースに向けての抱負を語りました。
日本選手権は6月22日~24日の3日間で、男女各18種目、計36種目の決勝種目が行われます。7種目の決勝が行われる第1日は、トラック種目は女子400m予選が14時35分から、フィールド種目は女子ハンマー投決勝が14時00分から、それぞれスタート。会見に出席した4選手が男子100mは、初日に予選(15時30分)と準決勝(19時35分)が行われ、決勝は2日目の最終種目として、20時35分にスタートの予定です。
夏に向けてしっかりとスペインで合宿してきた。また、1試合ごとにタイムも上がっていっているなかで日本選手権を迎えている。最近、日本一を取っていない。しっかり日本一を取れるようにしたいと思う。
<日本選手権への思いは?>
この大会が日本のなかでは最高峰の大会だと思っている。大学生のときに日本一を1回取って(第98回大会、2014年)、そこから優勝していないので、ここは優勝をしっかり取りたい。ここで優勝すると気持ちも嬉しい。1位を取りたい。
<タイムに対しては、どう考えている?>
今回は、夏に向けて1試合1試合、タイムが上がってきている。走るたびにシーズンベストが出るというのは久々。これまでは3月にいい記録が出て、4月、5月とだんだん落ちていく感じだったが、今年は、1試合ごとに上がってきていて、(この大会直前となった)ストックホルム(ダイヤモンドリーグ:6月10日)で10秒1台(10秒15)をマークした。それ以上で走れる自信はある。また、タイム自体はあんまり関係ないと思っている。自分のベストの走りをすれば、ベストタイムは出ると思う。
<今大会でのレースプランは?>
予選は、いい感じをつかんで、疲れを残さずに行きたい。準決勝になるとおそらく山縣さんとかケンブリッジさんとかと当たると思うので、そのなかでもしっかりと、今までやってきた中盤から後半の走りを意識したい。また、勝負は決勝だと思っているので、疲労をできるだけためずに、そのなかでいいタイムで走れたらと思う。
<200mのエントリーについて>
「200mを速く走りたい」という気持ちが普通にある。静岡(国際)では20秒6台(予選、20秒69、+1.1)で走ったけれど、それよりも速く走りたい。また、200mを走れるようになることで、100mでもいい感じで力が抜けて最後まで走ることができるため、そういう面でも200mにエントリーした。アジア大会、日本選手権に勝つのも大事だが、今年は、世界陸上やオリンピックがない年。いろいろなことに挑戦していきたいということは最初から言っていた。そういう観点から、(日本選手権は)100m・200mの両方に出ようと思った。
<昨年4位の悔しさは>
去年悔しい思いして、去年は日本選手権で3~4月くらいの走りができるかなと思って走っていたのだが、今年に関しては試合ごとにタイムが上がっていることに対して、自分のなかでに「どのくらいで走れるかな」という楽しみがある。昨年は悔しい思いもしたけれど、今回はまた違う気持ちで挑めるかなと思う。
<中国の謝震業選手の9秒97について>
海外だけでいうと9秒台の選手はけっこういる。中国は謝選手のほかに蘇炳添選手もいるし、また、アジアでもこれから先、9秒台の選手はまだまだ出てくると思う。僕はまだ1回しか出していないわけで、これを大きな大会で何回も出していくことによって、自己ベストが上の選手と走っても勝てる自信をつけていきたい。(謝選手には)自己ベストは抜かれたけれど、そのニュースを聞いてもあまり焦りはなく、自分のことを今年はやりたいなと思った。
ここまでケガもなく来ることができているので、コンディションは悪くないと思っている。(第97回大会、2013年以来)しばらく優勝できていないので、今回は優勝を目指して頑張りたい。
<前日練習は何を意識したか?>
今年は、かねてからスタートの感覚があまりよくなかったので、その技術的なところと中間の加速のつなぎの部分。そこをスムーズにつなげられるようなイメージを確認した。悪くはないと思う。
<レースプランは?>
今回は、予選・準決勝が1日目に、決勝が2日目にある。「3本チャンスがある」と思って、1本目からいい走りをしていきたい。決勝の日は1本だけなので、しっかり頑張りたい。
<今季、日本選手に全勝している点について>
自信になっている。僕自身、まだまだレース内容が良くなっていく部分や修正していく部分があり、(直近のレースであった)布勢スプリントからこの大会に向けて、走りが良くなっているという実感がある。もちろんライバルたちも日本選手権にはしっかり合わせてくるだろうと思っているが、そのなかでここまで負けずに来ることができたことは、この大会で優勝を目指すうえで大きな自信になる。
<この競技場の印象>
僕は、大学1年のときにこの競技場で自己ベストを出しており、すごく相性のいいグラウンドだと思っている。見に来てくださったみなさんに、「見に来てよかった、楽しかったな」と思ってもらえるレースがしたいし、その準備はできてきていると思う。
<レースで意識したいところ>
スタートの部分と中間の加速のつなぎの部分。その両方を意識して走りたい。スタートは、実はまだちょっと安定感がない。しっかり低く、鋭く出られるスタートを意識したい。また、中間に関しては昨年自己ベストを出した(10秒00、全日本実業団)ときに、非常にいい感覚があったので、そのときのことを思い出し、スタートの低く鋭い飛び出しと、その加速のところをスムーズにつなげていきたい。
今年は滑り出しが悪く、全試合でいい感じはしていないのだが、今はけっこういい感じできている。もちろん日本選手権優勝を目指して、アジア大会代表になれるよう頑張っていきたい。
<この1週間をどう過ごしたか>
(直近の大会となった6月16日の)日本学生個人選手権(予選のみ出場)以降は、疲労を抜くためにほぼ休む形をとっていた。前日、前々日に刺激の練習として全力ダッシュを数本入れた。日本学生個人選手権やその前の試合のときは「走っている感覚」がなくて、頑張らないと足が回らない感じだったが、日本学生個人選手権後は、けっこうスムーズに加速できるようになっている。日本選手権では、そのへんを意識しながら走れたらいいなと思っている。
<どんな気持ちで日本選手権を迎えているか>
昨年は注目され始めたころに迎えた日本選手権で、あまりプレッシャーはなかった。ロンドン(世界選手権)でメダルを取ってからすごく注目されるようになり、今回は、プレッシャーはある。しかし、それを気にせず力に変えて、決勝では全力で走りたい。今季は、流れとしては悪いので、多少の不安はあるが、僕自身、新たなチャレンジャーとして3人(桐生、山縣、ケンブリッジ)に挑めたらなと思っている。
<前日練習で意識したこと>
今季は脚が後ろに流れて、ピッチが落ちているという試合がけっこう多かったので、今日は脚の捌き方をもう一度確認して、ピッチを上げるということを意識しながら走った。手応えとしては、接地のときに瞬発力を感じることができたので、徐々に上がってきている感じはしている。
コンディションは今シーズンで一番いいと思っている。優勝して、100mとリレーでアジア大会の代表を決めたい。
<布勢スプリント以降の練習は?>
自分が得意で武器になる部分である「中盤からの加速」にポイントを置いてトレーニングをしてきた。中盤からの走りも、練習のなかではいい感覚でできているので、今大会もそういう部分を見てもらえたらいいかなと思う。また、(課題として取り組んできていた)スタートの部分も徐々に形になってきている。スタートから後半にかけてのつなぎのところで、スムーズに加速に乗っていければいいなと思っている。
<昨年3位の悔しさは?>
去年は予選(10秒08=自己新記録)、準決勝(10秒10)と、自分のなかですごくいい手応えを感じて、優勝できる手応えあったが、(決勝は)ちょっとしたアクシデントでうまく走れなくて、すごく悔しかった。今回、そういうことがないように取り組んできたし、ケア等も含めて万全の状態で決勝に行けるようにしたいと思っている。
<自己記録(10秒08)更新について>
今日動いた感じだと、去年の日本選手権と同じくらいの調子では来ているかなと思う。去年のタイムを上回ってベストを出したいと思うが、日本選手権はタイムよりも勝つことが大事。勝てばタイムもついてくる。しっかり勝ちにこだわってやっていきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
会見には、男子100mに出場する桐生祥秀(日本生命)、山縣亮太(セイコー)、ケンブリッジ飛鳥(Nike)、多田修平(関西学院大)の4選手が出席。予選・準決勝を前日に控えての心境や体調、レースに向けての抱負を語りました。
日本選手権は6月22日~24日の3日間で、男女各18種目、計36種目の決勝種目が行われます。7種目の決勝が行われる第1日は、トラック種目は女子400m予選が14時35分から、フィールド種目は女子ハンマー投決勝が14時00分から、それぞれスタート。会見に出席した4選手が男子100mは、初日に予選(15時30分)と準決勝(19時35分)が行われ、決勝は2日目の最終種目として、20時35分にスタートの予定です。
【各選手コメント(記載は登壇順)】
■桐生祥秀(日本生命)
<現在のコンディション、今大会の目標>夏に向けてしっかりとスペインで合宿してきた。また、1試合ごとにタイムも上がっていっているなかで日本選手権を迎えている。最近、日本一を取っていない。しっかり日本一を取れるようにしたいと思う。
<日本選手権への思いは?>
この大会が日本のなかでは最高峰の大会だと思っている。大学生のときに日本一を1回取って(第98回大会、2014年)、そこから優勝していないので、ここは優勝をしっかり取りたい。ここで優勝すると気持ちも嬉しい。1位を取りたい。
<タイムに対しては、どう考えている?>
今回は、夏に向けて1試合1試合、タイムが上がってきている。走るたびにシーズンベストが出るというのは久々。これまでは3月にいい記録が出て、4月、5月とだんだん落ちていく感じだったが、今年は、1試合ごとに上がってきていて、(この大会直前となった)ストックホルム(ダイヤモンドリーグ:6月10日)で10秒1台(10秒15)をマークした。それ以上で走れる自信はある。また、タイム自体はあんまり関係ないと思っている。自分のベストの走りをすれば、ベストタイムは出ると思う。
<今大会でのレースプランは?>
予選は、いい感じをつかんで、疲れを残さずに行きたい。準決勝になるとおそらく山縣さんとかケンブリッジさんとかと当たると思うので、そのなかでもしっかりと、今までやってきた中盤から後半の走りを意識したい。また、勝負は決勝だと思っているので、疲労をできるだけためずに、そのなかでいいタイムで走れたらと思う。
<200mのエントリーについて>
「200mを速く走りたい」という気持ちが普通にある。静岡(国際)では20秒6台(予選、20秒69、+1.1)で走ったけれど、それよりも速く走りたい。また、200mを走れるようになることで、100mでもいい感じで力が抜けて最後まで走ることができるため、そういう面でも200mにエントリーした。アジア大会、日本選手権に勝つのも大事だが、今年は、世界陸上やオリンピックがない年。いろいろなことに挑戦していきたいということは最初から言っていた。そういう観点から、(日本選手権は)100m・200mの両方に出ようと思った。
<昨年4位の悔しさは>
去年悔しい思いして、去年は日本選手権で3~4月くらいの走りができるかなと思って走っていたのだが、今年に関しては試合ごとにタイムが上がっていることに対して、自分のなかでに「どのくらいで走れるかな」という楽しみがある。昨年は悔しい思いもしたけれど、今回はまた違う気持ちで挑めるかなと思う。
<中国の謝震業選手の9秒97について>
海外だけでいうと9秒台の選手はけっこういる。中国は謝選手のほかに蘇炳添選手もいるし、また、アジアでもこれから先、9秒台の選手はまだまだ出てくると思う。僕はまだ1回しか出していないわけで、これを大きな大会で何回も出していくことによって、自己ベストが上の選手と走っても勝てる自信をつけていきたい。(謝選手には)自己ベストは抜かれたけれど、そのニュースを聞いてもあまり焦りはなく、自分のことを今年はやりたいなと思った。
■山縣亮太(セイコー)
<現在のコンディション、今大会の目標>ここまでケガもなく来ることができているので、コンディションは悪くないと思っている。(第97回大会、2013年以来)しばらく優勝できていないので、今回は優勝を目指して頑張りたい。
<前日練習は何を意識したか?>
今年は、かねてからスタートの感覚があまりよくなかったので、その技術的なところと中間の加速のつなぎの部分。そこをスムーズにつなげられるようなイメージを確認した。悪くはないと思う。
<レースプランは?>
今回は、予選・準決勝が1日目に、決勝が2日目にある。「3本チャンスがある」と思って、1本目からいい走りをしていきたい。決勝の日は1本だけなので、しっかり頑張りたい。
<今季、日本選手に全勝している点について>
自信になっている。僕自身、まだまだレース内容が良くなっていく部分や修正していく部分があり、(直近のレースであった)布勢スプリントからこの大会に向けて、走りが良くなっているという実感がある。もちろんライバルたちも日本選手権にはしっかり合わせてくるだろうと思っているが、そのなかでここまで負けずに来ることができたことは、この大会で優勝を目指すうえで大きな自信になる。
<この競技場の印象>
僕は、大学1年のときにこの競技場で自己ベストを出しており、すごく相性のいいグラウンドだと思っている。見に来てくださったみなさんに、「見に来てよかった、楽しかったな」と思ってもらえるレースがしたいし、その準備はできてきていると思う。
<レースで意識したいところ>
スタートの部分と中間の加速のつなぎの部分。その両方を意識して走りたい。スタートは、実はまだちょっと安定感がない。しっかり低く、鋭く出られるスタートを意識したい。また、中間に関しては昨年自己ベストを出した(10秒00、全日本実業団)ときに、非常にいい感覚があったので、そのときのことを思い出し、スタートの低く鋭い飛び出しと、その加速のところをスムーズにつなげていきたい。
■多田修平(関西学院大)
<現在のコンディション、今大会の目標>今年は滑り出しが悪く、全試合でいい感じはしていないのだが、今はけっこういい感じできている。もちろん日本選手権優勝を目指して、アジア大会代表になれるよう頑張っていきたい。
<この1週間をどう過ごしたか>
(直近の大会となった6月16日の)日本学生個人選手権(予選のみ出場)以降は、疲労を抜くためにほぼ休む形をとっていた。前日、前々日に刺激の練習として全力ダッシュを数本入れた。日本学生個人選手権やその前の試合のときは「走っている感覚」がなくて、頑張らないと足が回らない感じだったが、日本学生個人選手権後は、けっこうスムーズに加速できるようになっている。日本選手権では、そのへんを意識しながら走れたらいいなと思っている。
<どんな気持ちで日本選手権を迎えているか>
昨年は注目され始めたころに迎えた日本選手権で、あまりプレッシャーはなかった。ロンドン(世界選手権)でメダルを取ってからすごく注目されるようになり、今回は、プレッシャーはある。しかし、それを気にせず力に変えて、決勝では全力で走りたい。今季は、流れとしては悪いので、多少の不安はあるが、僕自身、新たなチャレンジャーとして3人(桐生、山縣、ケンブリッジ)に挑めたらなと思っている。
<前日練習で意識したこと>
今季は脚が後ろに流れて、ピッチが落ちているという試合がけっこう多かったので、今日は脚の捌き方をもう一度確認して、ピッチを上げるということを意識しながら走った。手応えとしては、接地のときに瞬発力を感じることができたので、徐々に上がってきている感じはしている。
■ケンブリッジ飛鳥(Nike)
<現在のコンディション、今大会の目標>コンディションは今シーズンで一番いいと思っている。優勝して、100mとリレーでアジア大会の代表を決めたい。
<布勢スプリント以降の練習は?>
自分が得意で武器になる部分である「中盤からの加速」にポイントを置いてトレーニングをしてきた。中盤からの走りも、練習のなかではいい感覚でできているので、今大会もそういう部分を見てもらえたらいいかなと思う。また、(課題として取り組んできていた)スタートの部分も徐々に形になってきている。スタートから後半にかけてのつなぎのところで、スムーズに加速に乗っていければいいなと思っている。
<昨年3位の悔しさは?>
去年は予選(10秒08=自己新記録)、準決勝(10秒10)と、自分のなかですごくいい手応えを感じて、優勝できる手応えあったが、(決勝は)ちょっとしたアクシデントでうまく走れなくて、すごく悔しかった。今回、そういうことがないように取り組んできたし、ケア等も含めて万全の状態で決勝に行けるようにしたいと思っている。
<自己記録(10秒08)更新について>
今日動いた感じだと、去年の日本選手権と同じくらいの調子では来ているかなと思う。去年のタイムを上回ってベストを出したいと思うが、日本選手権はタイムよりも勝つことが大事。勝てばタイムもついてくる。しっかり勝ちにこだわってやっていきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト