WCH Tokyo 25 unveils official medal design to commemorate 100 days to go
今年9月13日に開幕する東京2025世界陸上まで、いよいよあと100日となるのを記念して、各種目で3位以内に入った選手に授与されるメダルが完成しました。(6月5日)
メダルのデザインは、「選手が手にしたいメダル」を開発方針の下に制作されました。中高生のジュニアアスリートからの声を参考に、当財団ブランドディレクター(大会ロゴ制作者)が作成した3案から、専門家や若手アスリートからなる選定委員会での多くの意見交換を経て選定されました。また、デザインをメダル製作に反映させていく過程においても、ストライプ模様、金属の凹凸、磨き加工による光の反射や美しさを考慮に入れながら、ミリ単位以下の繊細な調整を重ねました。メダルを収めるメダルケースにも、ロゴ、メダルと同様に陸上トラックを表す8本のストライプがデザインされており、持続可能性の観点から、東京・多摩地域で育った木材(多摩産材)を使用しています。
東京2025世界陸上まで残り100日。東京2025世界陸上財団は、このメダルを目指して世界中から集まるトップアスリートたちが最高のパフォーマンスを発揮できる舞台を整え、陸上競技の感動と興奮を世界中に届けていきます。
なお、メダルとメダルケースは、6月6日から東京都庁第一本庁舎二階中央展示コーナーにおいて、展示を予定しています。
World Athletics Championships Tokyo 25 medals
表:枠を超える。大会ロゴの中に収まっている、陸上トラックで表現されたTYO(東京の都市コード)がフレームを超えて伸びていき、外側の円弧により、全てが結ばれ、つながることを表しています。「枠を超える」というデザインコンセプトは、アスリートが限界を超えようと努力する様子に通じるとともに、メダル上にTYOがくっきりと浮かび上がるデザインは大会ロゴの答え合わせにもなっています。
World Athletics Championships Tokyo 25 medals - Front
裏:選手の氏名が刻印されることから、磨き加工により、選手の顔が映るようにし、「あなたの積み重ねた努力がメダルに届いた」と選手を主語として讃えるデザインとしています。
World Athletics Championships Tokyo 25 medals - Back
メダルの裏面に、メダリストの氏名、国名(3文字表現)、競技種目名を刻印します。刻印は、国立競技場内で行われ、メダルセレモニーでは、メダリスト自身の情報が刻まれたメダルが授与されます。
メダルとメダルケースのデザイン発表を記念し、製造工程を紹介するメイキングムービーを公開します。
「記念すべき大会100日前にメダル及びメダルケースを発表することができ、とても嬉しく思います。メダルデザインの制作には、デザインの専門家の皆様、ジュニアアスリート、若手アスリートの皆様にご協力いただきました。また、メダルケースは持続可能性に配慮し、多摩産材を使用しています。大会ロゴに使われている陸上トラックのストライプが特徴的なメダル、メダルケースが、それを手にしたいと願うアスリートの力となること、そして、日本国内だけでなく世界中の人々に印象深いものとして記憶されることを願っています。」
東京2025世界陸上財団では、メダルデザイン制作にあたり、ジュニアアスリートにインタビューを行いました。その声をご紹介します。
松崎 元(まつざき げん)委員長
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千葉工業大学 創造工学部 デザイン科学科 教授/プロダクトデザイナー
国立競技場を脇に眺めて歩きながら、アスリートのように気持ちを高めつつ選定会場へ入りました。提示された3案は、それぞれにデザイナーの技術と想い、日本や東京を感じられる作品で、いずれも完成度の高いものでした。大会や競技に対する委員それぞれの想いが交わされ、立体模型を見ながら意見交換をした結果、委員会の総意として納得できる選定となりました。大会の盛り上がりに期待が膨らむ大変貴重な機会となりました。
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安積 伸(あづみ しん)委員
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法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 教授/プロダクトデザイナー
アスリートが努力の結果掴み取る賞の価値を象徴し、気高く唯一無二のものである事。また日本の首都東京で行われる大会のホスト側の文化・感性・知性を感じさせるものであって欲しいと考えました。選択されたデザインは、象徴的な図案とイメージの広がりが美しく、離れた所から見ても明快でメディア映えのするものだと考えます。現役アスリート諸氏と共に審査を行い、確かな価値を持つデザイン案である事を確認する事が出来ました。
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玉井 美由紀(たまい みゆき)委員 |
株式会社FEEL GOOD CREATION代表取締役/CMFデザイナー、CMFクリエイティブディレクター
世界最高峰の陸上世界大会が東京で開催されるという事でメダリストには特に思い出深いものになってもらいたいと、メダルの審査を行いました。審査は私たちのようなデザインの専門家と陸上選手の合同で行われたため、大会に掛ける選手の想いを共有しながら審査ができた事にも大きな意味があったと感じています。直線と円という最小限の要素で構成された日本らしいロゴデザインをベースに選ばれたメダルデザインはモチーフを揃え、立体的に表現される事で、精緻でありながら力強さも感じられるものとなっています。実際のメダル化の際に困難となりそうな細い溝なども日本の加工技術で美しく表現されることを想像し、デザインが決定しました。
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梅野 倖子(うめの ゆきこ)委員
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陸上競歩選手/ 株式会社LOCOK所属(委員会実施時:順天堂大学)
東京世界陸上のメダルデザイン選定に参加して、3つの中から1番良いメダルのデザインを選ぶことができたのではないかと思います。実際にメダルのデザインを選ぶことで、世界陸上に向けてより努力していこう、自分で選んだデザインのメダルを取りに行こうという気持ちが強くなりました。他大学の方、デザイナーの方と多く言葉を交わし、様々な意見を聞く中で選ぶことができたので一生に一度のとても良い経験になりました。
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北田 琉偉オスカー誠治郎(きただ るいおすかーせいじろう)委員
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陸上棒高跳選手 / 日本体育大学
このたびメダルデザイン選定委員会に参加できたことを、心から光栄に感じています。どの案にも想いや工夫が込められていて、選ぶのは本当に悩みました。それでも、大会の想いを多くの人に伝えられるデザインを、と願いを込めて選びました。
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齋藤 真希(さいとう まき)委員
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陸上円盤投選手 / 太平電業株式会社所属(委員会実施時:東海大学大学院)
この度は、メダル選定委員に選んでいただきありがとうございます。東京世界陸上のメダルのデザインを選ぶことに携われることを光栄に思います。私自身も東京世界陸上を目標としています。選んだメダルをとりにいけるように精一杯頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
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三輪 颯太(みわ そうた)委員
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陸上短距離選手 / 委員会実施時:慶應義塾大学
東京2025世界陸上のメダルデザイン選定委員として、選手の視点から選考に携われたことに深く感謝しています。選考では、受け取った選手が誇りに思えるデザイン、そして東京ならではのデザインであるということを最優先に考えました。大学時代に部活の広報で、SNS投稿の作成経験なども活かし、誰もが手にしたくなるメダルを選べたと自負しています。このメダルが、選手たちの努力と情熱を象徴するものとなることを願っています。
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中川 亮(なかがわ りょう)東京2025世界陸上財団ブランドディレクター
「今回の選定委員会にはデザインした10案のメダルから議論を経て選ばれた3案をもって挑みました。ロゴをデザインした時から僕の中には、東京2025世界陸上がどのような大会となって欲しい、すべてが東京を表現するような美しいデザインであって欲しいというイメージと想いがありました。今回選ばれたデザインは間違いなくそれらが一本の線に結ばれていて東京大会を象徴する美しいものであると確信しています。
熱い想いを持って真摯に選定に向き合っていただいた現役アスリートの皆様、デザインの専門家の皆様に感謝いたします。」
多摩産のスギ、ヒノキ、ケヤキ、サクラを使用して8本のストライプでデザインされています。このストライプは、大会ロゴともつながりのある陸上トラックをイメージしています。ケースの表面には、大会ロゴが焼印で施されており、ケースを開けるとメダリストを称えるメッセージが添えられています。
メダルケース表面
メダルケースを開いたときの様子