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2022.07.18(月)

【記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権】男子200m:2大会連続8回目となるフルエントリー

7月15日(金)から7月24日(日)の10日間(日本時間では16日~25日)、アメリカ・オレゴン州ユージーンのヘイワード・フィールドを舞台に「オレゴン2022世界陸上競技選手権大会」が開催される。

日本からは、67人(男子41・女26)の代表選手が出場し世界のライバル達と競い合う。

現地に赴く方は少ないだろうがテレビやネットでのライブ中継で観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する30種目に関して、「記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ・・・」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある拙稿と同じ内容のデータも含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中では五輪についても「世界大会」ということで、そのデータも紹介した。

記録は原則として7月7日判明分。
現役選手の敬称は略させていただいた。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門二誌の8月号別冊付録の「世界選手権観戦ガイド」やネットにアップされるであろう各種メディアの「展望記事」などをご覧頂きたい。

大会期間中は、日本陸連のSNSで、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。

現地と日本の時差は、16時間。マラソンと35km競歩以外の種目は、日本時間の深夜2時頃から昼頃まで競技が行われる。睡眠不足にどうぞご注意を!


(実施日時は、日本時間。カッコ内は現地時間)




男子200m

・予 選 7月19日 09:05(18日17:05) 7組3着+3
・準決勝 7月20日 10:50(19日18:50) 3組2着+2
・決 勝 7月22日 11:50(21日19:50)


フルエントリーは、2大会連続8回目

日本選手権を初制覇した上山紘輝(資格記録20秒46)と同2位の小池祐貴(資格記録20秒46)の住友電工コンビに加え、当初のワールドランキングではターゲットナンバー(56人)の圏外だったが上位者に辞退が出たため飯塚翔太(ミズノ)も出場できることになった。上山は初出場、小池は19年に続いての2大会連続(19年は200mと400mR予選の1走)で、東京五輪(100mと400mR4走)を含めると3大会連続の世界大会。飯塚は、19年の4×400mRを含め3大会連続4回目の世界選手権、五輪には3大会連続3回出場しているので、15年を除き世界大会は12年ロンドン五輪から7回目となる。

3人とも参加標準記録の20秒24には届かなかったが、出場枠56人のうち1国3人以内でカウントしたワールドランキングで上山が50位、小池が40位、そして飯塚が上述の通り追加で出場権を得た。

この種目にトリオで出場するのは、01年エドモントン、07年大阪、09年ベルリン、11年大邱、13年モスクワ、15年北京、19年ドーハに続き2大会連続8回目。

同じ所属の選手が出場するのは、01年エドモントン大会の東海大(末續慎吾・藤本俊之)以来2回目。
五輪での同一所属は、12年ロンドンの富士通(高平慎士・高瀬慧)の1回のみ。


◆世界選手権&五輪での日本人最高成績と最高記録

<世界選手権>  
最高成績3位20.38(+0.1)末續慎吾(ミズノ)2003年
最高記録20.22(±0.0)末續慎吾(ミズノ)2003年 準決勝2組2着

<五輪>  
最高成績準決勝2組6着20.45(+0.1)伊東浩司(富士通)1996年
準決勝3組6着20.77(-0.4)高平慎士(富士通)2012年
最高記録20.37(+0.3)末續慎吾(ミズノ)2000年 二次予選1組4着

世界選手権では、末續の3位の他、17年にサニブラウンアブデルハキーム(東京陸協)がウサイン・ボルト(ジャマイカ)の記録(18歳355日)を破るこの種目での史上最年少ファイナリスト(18歳157日)となって7位に入賞している。


◆五輪&世界選手権の予選・準決勝通過ライン

一次予選と二次予選が行われずに予選・準決勝・決勝の3ラウンド制になった2011年以降の五輪&世界選手権の至近7大会での「準決勝で落選した最高記録」と「予選で落選した最高記録」は、「表1」の通りだ。組や風速による運・不運はあるが、下記のタイムで走っても「落選」という選手がいたということだ。


【表1/2011年以降の五輪&世界選手権の準決勝と予選で落選した最高記録】
準決落最高予選落最高
201120.5820.75
2012五輪20.4220.65
201320.3620.60
201520.1420.39
2016五輪20.1320.34
201720.3020.58
201920.2820.44
2021五輪20.1620.53
   
最高記録20.1320.34
世選最高20.14(2015)20.39(2015)
五輪最高20.13(2016)20.34(2016)

以上のデータからすると上山も小池も飯塚も、まずは予選突破が目標となりそうだ。
参加資格記録で19秒台が9人、参加標準記録の20秒24以内は30人いる。

3人揃って準決勝に進めれば15年北京大会以来2回目となる。


◆200m19秒台は世界歴代で86人

これまでに何度も紹介してきているが、世界陸連のデータによると2022年7月1日現在の世界歴代で200mを19秒台で走った選手は86人(412回)。

一方、100mの9秒台は166人(1129回)だから、200m19秒台の方がその価値は高いといえる。全種目を網羅した世界陸連の採点表でも、100m9秒99は「1210点」、200m19秒99は「1222点」だ。100m9秒95の日本記録に相当する200mのタイムは19秒98。国別記録(ナショナルレコード)の「100m9秒台」は31カ国(日本記録の9秒95は26位タイ)、「200m19秒台」が26カ国だ(日本記録の20秒03は国別の30位タイ)。日本は「27カ国目」になれるか??

03年の日本選手権で末續慎吾(ミズノ。現在、EAGLE RUN)が20秒03(+0.6)の日本新をマークしてから19年。100m9秒台は17年以降に4人誕生したが、100m10秒03の末續が出した記録をそろそろ更新してもらいたいところである。19年にサニブラウンが走った20秒08が歴代2位だ。


◆19秒台のための100mのタイムの条件は、10秒08!!

3年前に書いたもので最新のデータでないことをお断りしておくが、以下は、200m19秒台の選手の100mの最高記録を調査し比較したものである。それぞれの種目の平均値と標準偏差、100mに対する200mの記録の倍率を算出すると以下のようになる。

 100m200m倍率
平均10.00319.8261.982391
標準偏差0.1720.1650.030725

200m19秒台の選手の中には、「200mが本職」であったり「100mが本職」であったり、中には「400mが本職」という人が混在する。標準偏差が200mよりも距離の短い100mの方が大きいのはそのためであろう。

上記のデータからすると、200m19秒台の選手は平均的には100mのベスト記録の「1.982391倍」で200mを走っている。逆算すると、100mを「10秒08」で走れる選手ならば、200mを「19秒台(19秒99)」で走れるということになる。

この倍率を、今回の200mに出場する100m9秒98(19年)の小池に当てはめると200mは、「19秒785」になる。ルールに従って1000分の1秒単位を切り上げると「19秒79」だ。標準偏差を考慮すると「19秒478~20秒091」。

10秒08(17年)の飯塚ならば、「19秒983(標準偏差を考慮すると、19秒952~20秒014)」。
10秒33(21年)の上山ならば「20秒478(標準偏差を考慮すると、20秒161~20秒796)」という計算で、自己ベストの20秒46はこれを0秒02上回っている。


◆1983年以降の世界選手権&五輪での順位別記録

世界選手権が始まった1983年以降の五輪&世界選手権の各大会での順位別の記録は「表2」の通りだ。


【表2/1983年以降の五輪&世界選手権の決勝での1~8位の記録】
・カッコ内は、のちにドーピング違反で失格となった記録で、後ろに当初の相当順位を記載。
風速1位2位3位4位5位6位7位8位
19831.220.1420.4120.5120.5220.5520.6320.6920.80
1984五輪-0.919.8019.9620.2620.3020.5120.5520.5520.85
1987-0.420.1620.1620.1820.2220.2320.2520.4520.78
1988五輪1.719.7519.7920.0420.0920.3920.4020.5120.58
1991-3.420.0120.3420.4920.4920.5120.5820.5920.78
1992五輪-1.00020.0120.1320.3820.4520.5020.5520.6720.80
19930.319.8519.9419.9920.1820.1820.2020.4920.56
19950.519.7920.1220.1820.2120.4020.5120.6720.77
1996五輪0.419.3219.6819.8020.1420.1720.2120.2720.48
19972.320.0420.2320.2620.3120.3220.3720.4420.44
19991.219.9020.0020.1120.2320.3020.3720.48DNS
2000五輪-0.620.0920.1420.2020.2020.2320.2820.3520.49
20010.220.0420.2020.2020.2020.2220.2420.2520.38
20030.120.3020.3120.3820.3920.4120.4720.4720.62
2004五輪1.219.7920.0120.0320.1420.1420.2420.64DNS
2005-0.520.0420.2020.3120.3420.4120.5820.8126.27
2007-0.819.7619.9120.0520.0620.2820.2820.5720.75
2008五輪-0.919.3019.9619.9820.2220.4020.59(19.82=2)(19.95=3)
2009-0.319.1919.8119.8519.9819.9820.3920.6120.68
20110.819.4019.7019.8019.9520.2920.3120.34DNF
2012五輪0.419.3219.4419.8419.9020.0020.1920.5720.69
2013±0.019.6619.7920.0420.0520.0820.1420.3520.37
2015-0.119.5519.7419.8719.8720.0220.1120.2720.33
2016五輪-0.519.7820.0220.1220.1220.1320.1920.2320.43
2017-0.120.0920.1120.1120.2420.2620.4420.6320.64
20190.319.8319.9519.9820.0320.0720.1020.1420.39
2021五輪-0.519.6219.6819.7419.9319.9820.2020.2120.39
          
最高記録 19.1919.4419.7419.8719.9820.1020.1420.33
世界選手権最高 19.1919.7019.8019.8719.9820.1020.1420.33
五輪最高 19.3019.4419.7419.9019.9820.1920.2120.39


◆ナイトン、男子全種目での「史上最年少金メダリスト」となれるか?

19年ドーハを制したノアー・ライルズ(アメリカ)がV2に挑む。自己ベストは19年7月にマークした19秒50(-0.1。当時、世界歴代4位)でその日から21年6月5日まで12連勝(決勝に限る)、17年から21戦20勝していた。しかし、ガチガチの本命と思われた東京五輪ではカナダのアンドレ・デグラスと同じアメリカのケニー・ベドナレクに遅れをとってよもやの3着。その後、21年8月21日から22年6月26日の全米選手権までは5連勝中だが、全米ではエリヨン・ナイトンに0秒02差の辛勝だった。

とにかくナイトンには、勢いがある。2004年1月29日生まれの18歳。21年には、ボルトが保持していたU18世界最高(20秒13)を破る20秒11(+1.6)を5月31日にマーク。6月末の全米では準決19秒88(+1.1)、決勝19秒84(+0.3)とこれまたボルトが持っていたU20世界記録(19秒93)をも立て続けに更新した。さらに、22年4月30日には、19秒49(+1.4)と自身のU20記録を一気に0秒35も更新し、ライルズのベストを上回り世界歴代4位に進出した。東京五輪の時は高校生でこの種目での45年ぶりの男子高校生のアメリカ代表だった。東京の決勝では4位だったが、「17歳187日」で五輪の200mでの「史上最年少ファイナリスト」となった。

世界選手権のこの種目の「最年少ファイナリスト」は、我らがサニブラウンの「18歳157日」。ライルズは、7月5日で「18歳157日」になるので、サニブラウンの最年少記録は今回も安泰だ。

と思っていたら、思わぬ選手が飛び出してきた。タイのフォーリポル・ブンソンだ。2006年1月13日生まれ。16歳164日だった今年6月26日、参加標準記録(20秒24)が有効となる最終日に20秒19(+1.7)で走ったのだ。もしも、ブンソンがオレゴンで決勝に残れば、その日(7月21日)が「16歳189日」で、サニブラウンの最年少記録を2年近くも更新することになる。さすがに、「メダル」は厳しいとは思われるが、21年の20秒70(+0.8)から大ブレイク。100mも21年10秒24(+1.1)、22年3月に10秒19(風不明)で走っている。

世界選手権の男子全種目での「最年少ファイナリスト」は、個人種目では05年ヘルシンキ大会800m7位のベラル・マンスール・アリ(バーレーン)の「16歳301日」。リレーを含めても93年シュツットガルト大会の400mRで7位となったコートジボワールの4走をつとめたイブラヒム・メイテの「16歳277日」。ブンソンは、それを更新できる有資格者だ。

世界選手権200mの「最年少メダリスト」は「19歳255日」。「最年少金メダリスト」は「22歳218日」。ナイトンが「金メダル」に手が届くかどうかは、ライルズ次第だが、「史上最年少メダリスト」の可能性は十分にありそうだ。

決勝が行われる7月21日、ライルズは「18歳173日」。世界選手権の男子のすべての種目を含めた「史上最年少金メダリスト」は、93年シュツットガルト大会5000mのイスマエル・キルイ(ケニア)の「18歳177日」なので、これを29年ぶりに破ることになる。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト

>>オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/


>>世界選手権ガイド
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/guide/


>>記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権

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