2022.07.12(火)
【記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権】男子20km競歩:日本人カルテットが「頂点」に挑む
7月15日(金)から7月24日(日)の10日間(日本時間では16日~25日)、アメリカ・オレゴン州ユージーンのヘイワード・フィールドを舞台に「オレゴン2022世界陸上競技選手権大会」が開催される。
日本からは、68人(男子41・女27)の代表選手が出場し世界のライバル達と競い合う。
現地に赴く方は少ないだろうがテレビやネットでのライブ中継で観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する30種目に関して、「記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権」をお届けする。
なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ・・・」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある拙稿と同じ内容のデータも含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中では五輪についても「世界大会」ということで、そのデータも紹介した。
記録は原則として7月7日判明分。
現役選手の敬称は略させていただいた。
日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門二誌の8月号別冊付録の「世界選手権観戦ガイド」やネットにアップされるであろう各種メディアの「展望記事」などをご覧頂きたい。
大会期間中は、日本陸連のSNSで、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。
現地と日本の時差は、16時間。マラソンと35km競歩以外の種目は、日本時間の深夜2時頃から昼頃まで競技が行われる。睡眠不足にどうぞご注意を!
(実施日時は、日本時間。カッコ内は現地時間)
「日本人最高記録」は、
世界選手権が、
1.20.04. 藤沢 勇(ALSOK)2017年 11位
五輪が、
1.20.22. 松永大介(東洋大)2016年 7位
19年以降の至近2世界大会では山西と池田で連続ダブル入賞。2人で金・銀・銅のメダルを揃えた。
今回の4人が普通に力を発揮できればカルテットでの入賞やメダル独占も十分にありえる。参加資格記録(日本以外は1国3人でカウント)では山西2位、池田7位、高橋9位、住所20位だ。
60人のターゲットナンバー以内のワールドランキングには日本人選手が10人が入っている。日本のレベルが高いため日の丸を胸につけられないのだ。
大会初日の15日15時10分(日本時間16日7時10分)スタートで、男子の最初の決勝種目(女子20km競歩がその2時間前)である。
日本としては、ここで「どかーん」と大きな花火を打ち上げてその後の選手たちに勢いをつけたいところである。
2011年以降の各大会でのスタート時の「気温・湿度」「先頭の5km毎のスプリット」、「前半と後半」のデータも調べてみた。
なお、スプリットは各地点を先頭で通過した選手のタイムから算出したもので、優勝者のスプリットとは限らない。五輪の20㎞競歩については5km・15kmのタイムが不明のため、5kmは4km&6km、15kmは14km&16kmの通過タイムから推定した。「前後半差」の「△」は、後半の方が速かったことを示す。
以上の通り、次第にペースが上がっていく「ビルドアップ」がほとんど。特にラスト5kmのアップが顕著で、高温多湿となった19年ドーハ世界選手権とこれまた気温が高かった13年を除くと、19分そこそこでカバーしている。もっと細かくみると、18kmからの残り2kmは、7分30秒前後(5km換算18分45秒ペース)のことが多い。東京五輪は、7分35秒だった。
つまり、前半は「様子見」で、10km過ぎから振るい落としのサバイバルが始まり、15kmまで生き残った選手でメダルを目指しての「用意、ドン」である。
レースがスタートする7月15日の過去3年間の気象状況は、以下の通りだ。
【過去3年間の7月15日のユージンの気象状況】
2020年の気温は30℃を超えているが、ドーハや札幌と比べて湿度が低いのが幸いだ。曇っていて直射日光が当たらなければ、ドーハや札幌のようにまとわりつくような蒸し暑さはそれほど感じないかもしれない。
いずれにしても、日本人選手には4人が揃って「サバイバルレース」に最終盤まで生き残り、ドーハに続く「金メダル」「複数メダル」さらには「全員入賞」を果たして、最終日の35km競歩にも勢いをつけてもらいたい。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
>>オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 特設サイト
日本からは、68人(男子41・女27)の代表選手が出場し世界のライバル達と競い合う。
現地に赴く方は少ないだろうがテレビやネットでのライブ中継で観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する30種目に関して、「記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権」をお届けする。
なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ・・・」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある拙稿と同じ内容のデータも含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中では五輪についても「世界大会」ということで、そのデータも紹介した。
記録は原則として7月7日判明分。
現役選手の敬称は略させていただいた。
日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門二誌の8月号別冊付録の「世界選手権観戦ガイド」やネットにアップされるであろう各種メディアの「展望記事」などをご覧頂きたい。
大会期間中は、日本陸連のSNSで、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。
現地と日本の時差は、16時間。マラソンと35km競歩以外の種目は、日本時間の深夜2時頃から昼頃まで競技が行われる。睡眠不足にどうぞご注意を!
(実施日時は、日本時間。カッコ内は現地時間)
男子20km競歩
・決勝 7月16日(土)07:10(15日15:10)日本人カルテットが「頂点」に挑む
19年ドーハ世界選手権を制した山西利和(愛知製鋼)が連覇を、世界選手権2大会連続出場で21年東京五輪2位の池田向希(旭化成)が一番輝くメダルを、16年と21年の五輪2大会連続出場で世界選手権も4大会連続出場の高橋英輝(富士通)は6度目の正直で頂点を目指す。そして、世界大会デビュー戦の住所大翔(順天堂大学)がこれに加わり若い力でメダルを目指す。山西が前回優勝者のワイルドカードで出場できるため、日本は史上初めて4人のエントリーとなった。◆世界選手権&五輪での入賞者と最高記録
世界選手権&五輪の日本人入賞者は下記の通り。2001 | 7位 | 1.22.11. | 柳澤哲(綜合警備保障) |
---|---|---|---|
2011 | 4位 | 1.21.39. | 鈴木雄介(富士通) |
2013 | 6位 | 1.22.09. | 西塔拓己(東洋大) |
2016五輪 | 7位 | 1.20.22. | 松永大介(東洋大) |
2019 | 1位 | 1.26.34. | 山西利和(愛知製鋼) |
〃 | 6位 | 1.29.02. | 池田向希(旭化成) |
2021五輪 | 2位 | 1.21.14. | 池田向希(旭化成) |
〃 | 3位 | 1.21.28. | 山西利和(愛知製鋼) |
「日本人最高記録」は、
世界選手権が、
1.20.04. 藤沢 勇(ALSOK)2017年 11位
五輪が、
1.20.22. 松永大介(東洋大)2016年 7位
19年以降の至近2世界大会では山西と池田で連続ダブル入賞。2人で金・銀・銅のメダルを揃えた。
今回の4人が普通に力を発揮できればカルテットでの入賞やメダル独占も十分にありえる。参加資格記録(日本以外は1国3人でカウント)では山西2位、池田7位、高橋9位、住所20位だ。
60人のターゲットナンバー以内のワールドランキングには日本人選手が10人が入っている。日本のレベルが高いため日の丸を胸につけられないのだ。
大会初日の15日15時10分(日本時間16日7時10分)スタートで、男子の最初の決勝種目(女子20km競歩がその2時間前)である。
日本としては、ここで「どかーん」と大きな花火を打ち上げてその後の選手たちに勢いをつけたいところである。
◆2011年以降の世界大会の1・3・8位の記録
日本人選手が入賞を果たした2001年からの世界選手権と五輪の「優勝・3位・8位の記録」は以下の通り。年 | 優勝記録 | 3位記録 | 8位記録 |
---|---|---|---|
2001 | 1.20.31. | 1.20.36. | 1.22.20. |
2003 | 1.17.21. | 1.18.07. | 1.20.14. |
2004五輪 | 1.19.40. | 1.20.02. | 1.21.56. |
2005 | 1.18.35. | 1.19.44. | 1.20.45. |
2007 | 1.22.20. | 1.22.40. | 1.24.10. |
2008五輪 | 1.19.01. | 1.19.42. | 1.20.36. |
2009 | 1.19.06. | 1.19.50. | 1.21.13. |
2011 | 1.19.56. | 1.20.38. | 1.21.50. |
2012五輪 | 1.18.46. | 1.19.25. | 1.20.12. |
2013 | 1.20.58. | 1.21.21. | 1.22.21. |
2015 | 1.19.14. | 1.19.57. | 1.21.37. |
2016五輪 | 1.19.14. | 1.19.37. | 1.20.27. |
2017 | 1.18.53. | 1.19.04. | 1.19.41. |
2019 | 1.26.34. | 1.27.00. | 1.29.52. |
2021五輪 | 1.21.05. | 1.21.28. | 1.22.16. |
最高記録 | 1.17.21. | 1.18.07. | 1.19.41. |
世選最高 | 1.17.21. | 1.18.07. | 1.19.41. |
五輪最高 | 1.18.46. | 1.19.25. | 1.20.12. |
2011年以降の各大会でのスタート時の「気温・湿度」「先頭の5km毎のスプリット」、「前半と後半」のデータも調べてみた。
なお、スプリットは各地点を先頭で通過した選手のタイムから算出したもので、優勝者のスプリットとは限らない。五輪の20㎞競歩については5km・15kmのタイムが不明のため、5kmは4km&6km、15kmは14km&16kmの通過タイムから推定した。「前後半差」の「△」は、後半の方が速かったことを示す。
年 | スタート時 | 優勝記録 | ~5km | ~10㎞ | ~15㎞ | ~20㎞(前半+後半/前後半差) |
---|---|---|---|---|---|---|
2011 | 22℃・85% | 1.19.56. | 21.03. | 20.55. | 19.44. | 19.14.(41.58.+38.58./△3.00.) |
2012五輪 | ?℃・63% | 1.18.46. | 20.00. | 20.08. | 19.38. | 18.57.(40.00.+38.46./△1.14.) |
2013 | 29℃・40% | 1.20.58. | 20.17. | 20.17. | 20.07. | 20.16.(40.34.+40.23./△0.11.) |
2015 | 23℃・78% | 1.19.14. | 20.10. | 20.10. | 19.33. | 19.21.(40.20.+38.54./△1.26.) |
2016五輪 | 25℃・?% | 1.19.14. | 20.14. | 19.56. | 19.56. | 19.08.(40.10.+39.04./△1.06.) |
2017 | 20℃・40% | 1.18.53. | 19.54. | 19.56. | 19.43. | 19.20.(39.50.+39.03./△0.47.) |
2019 | 32℃・77% | 1.26.34. | 22.26. | 21.40. | 21.22. | 21.06.(44.06.+42.28./△1.38.) |
2021五輪 | 31℃・63% | 1.21.05. | 20.52. | 20.03. | 20.34. | 19.36.(40.55.+40.10./△0.45.) |
以上の通り、次第にペースが上がっていく「ビルドアップ」がほとんど。特にラスト5kmのアップが顕著で、高温多湿となった19年ドーハ世界選手権とこれまた気温が高かった13年を除くと、19分そこそこでカバーしている。もっと細かくみると、18kmからの残り2kmは、7分30秒前後(5km換算18分45秒ペース)のことが多い。東京五輪は、7分35秒だった。
つまり、前半は「様子見」で、10km過ぎから振るい落としのサバイバルが始まり、15kmまで生き残った選手でメダルを目指しての「用意、ドン」である。
◆7月15日のユージンの過去3年間の気象状況
19年ドーハ、21年東京五輪(競歩は札幌で開催))はスタート時に30℃を超える気温だったが、ユージンはどうか?レースがスタートする7月15日の過去3年間の気象状況は、以下の通りだ。
【過去3年間の7月15日のユージンの気象状況】
時刻 | 2021年7月15日 | 2020年7月15日 | 2019年7月15日 |
---|---|---|---|
14時54分 | 晴・24.4℃・45% | 晴・31.7℃・28% | 曇・24.4℃・56% |
15時54分 | 晴・26.7℃・39% | 晴・32.2℃・29% | 曇・25.6℃・52% |
16時54分 | 晴・27.2℃・38% | 晴・32.2℃・29% | 曇・25.6℃・54% |
2020年の気温は30℃を超えているが、ドーハや札幌と比べて湿度が低いのが幸いだ。曇っていて直射日光が当たらなければ、ドーハや札幌のようにまとわりつくような蒸し暑さはそれほど感じないかもしれない。
いずれにしても、日本人選手には4人が揃って「サバイバルレース」に最終盤まで生き残り、ドーハに続く「金メダル」「複数メダル」さらには「全員入賞」を果たして、最終日の35km競歩にも勢いをつけてもらいたい。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
>>オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/
>>世界選手権ガイド
https://www.jaaf.or.jp/wch/oregon2022/guide/>>記録と数字で楽しむオレゴン世界選手権
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