2016.09.14(水)選手

【リオ五輪帰国後インタビュー】 第4回 男子棒高跳[澤野選手](その3)

4×100mRメンバーのようなチームワークを
陸上界全体に波及していけたら

――今回は、陸上日本選手団の主将という立場で、大会に臨みました。そういったことも含めて、今回のオリンピックで、感じたことや学んだこと、改めて実感したことはありますか? あるいは日本の陸上界の課題や、“こうしなきゃ”と感じたことがあったら、お聞かせください。
澤野:今回、主将という役割を受けた際、“自分は何をすればいいのか”という思いがすごくありました。“自分に何ができるんだろう”って考えて、まずは自分の競技を一所懸命やることを、そして、あとはできるだけみんなとコミュニケーションをとっていこうということを意識しました。陸上競技の場合、話したこともない人っているんですよね、テレビでは見ていて知っているけれど・・・みたいな感じで。

――ほかの競技と比べて種目数が多いし、種目によって特性も環境も全然違いますからね。
澤野:そうなんです。たぶん今回、私は、ほとんどの選手と話したんじゃないかと思います。(自分の)試合が終わってからは特に、一緒にほかの選手を応援しながら話したり、エレベーターで会ったときに自分から話しかけたりしました。そういうコミュニケーションの積み重ねが、“チームジャパンとしての絆”になっていくのかなと思ったので。銀メダルを獲得した4×100mRのメンバーを見ていると、すごく絆が強いじゃないですか。彼らは、1つの目標に向かって、同じ足並みで、同じ方向を目指すことができていて、その上で、それぞれにコミュニケーションがとれていて、互いを信じ合えている。彼らのチームワークって、そこから生まれているんじゃないかなと感じます。そういうのを陸上競技全体に波及していけたらいいなと思いますね。2020(東京五輪)に向けては、確実にそういうことが、チームとしてあったほうがいいんじゃないかなって、今回、強く思いました。

――陸上界が1つのチームになれるよう、選手間でもコミュニケーションをもっと取りあっていくというのが、2020年に向けた課題ということですね? 今回、主将として、それをやれたという実感はありますか?
澤野:やれたと言い切れるかどうかはわからないけれど、強化委員長からも“今回、両主将・・・澤野、海老原(有希、スズキ浜松AC、やり投)はよくやってくれた”と言っていただけたりしているので、まあ、よかったのかなというのはあります。エビちゃん(海老原選手)も、女子主将として、すごくみんなに気を使ってくれて、僕ら2人で“みんなで一緒に応援しようよ”という雰囲気をつくることができました。4×100mRのときは、みんなに“一緒に応援しよう!”ってLINEで呼びかけて、それでみんなが自然と集まって、あんな感じ(日本選手団が集まって一緒に応援していた)になったので・・・。

――ああ、それは素敵なことですね。
澤野:はい。そう思います。

みんな、力は十分に持っている
いかに“普段通り、いつも通りの自分”でいられるか

――今回の経験のなかで、陸上をやっている次の世代に人たちに伝えていきたいなと思ったことはありますか?
澤野:まずはオリンピックを、みんなが目指してほしいし、この舞台を経験してほしいと思いますね。僕は、今回、3回目でしたけど、出て思ったのは、本当にこのために今までやってきてよかったなということ。その場に立てたからこそ感じることや思うことってすごくあるし、やっぱりオリンピックはオリンピックなんだなって感じましたね。もう1つは・・・、とにかく普段通りにやってほしいな、と。

――ああ、なるほど。
澤野:そうなんです。みんな、力は十分に持っているじゃないですか。あの場で、それ以上のものを出すのはなかなか難しいけれど、でも、それ以下のものであるはずはないんです。いつもと同じ通りにやればいいのかなっていう気がします。

――でも、それがとっても難しいのでしょうけどね…(笑)。
澤野:…まあ、そうですね(笑)。私もずっとやってきて・・・。

――今年ようやく、それを体得したって感じですものね?(笑)
澤野:そうなんですけどね(笑)。難しいことかもしれないけれど、“やってやろう”っていう闘争心も必要なのかもしれないけれど、今回、僕がやったことって、闘争心じゃないんですよね、“やってやろう”じゃない。“普段通り、いつも通りの自分”を表現しただけなんです。それができるようにすることが大事なのかなと。

――4年後の東京五輪は、地元開催で期待も今まで以上に高まるでしょうから、余計にそういう境地で臨むことが必要かもしれませんね。
澤野:そんな気がします。普段通りにできれば、結果はついてくると思います。私自身も同じ。これからも試合に臨んでいくなかで、自分が今までやってきたことを信じて、自分を信じてやっていくしかないかなと思っています。

――今日は、ありがとうございました。なんか、とてもしっとりとした大人なインタビューになりました(笑)。
澤野:(笑)。なんでしょうね。僕、なんかこうなっちゃうんですよ、最近(笑)。

(2016年8月24日収録)




>>リオ五輪帰国後インタビュー 第4回 男子棒高跳[澤野選手](その1)はこちら
>>リオ五輪帰国後インタビュー 第4回 男子棒高跳[澤野選手](その2)はこちら


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◎写真/競技写真:フォート・キシモト、インタビュー写真:高橋将志
◎取材・構成/児玉育美(JAAFメディアチーム)

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