Newsニュース

2022.03.03(木)

【記録と数字で楽しむJMCシリーズ】女子世界記録保持者が出場の「東京マラソン2021」。日本勢はどう挑むか!?



・文中敬称略。
・所属は当時のもの。


女子

招待選手と有力な一般参加選手(マラソン2時間39分59秒以内。ハーフ1時間10分59秒以内、10000m31分台)は以下の通りだ。

No.氏名 年齢出場資格記録 自己記録
51ブリジット・コスゲイケニア272.14.04.2019 シカゴ2.14.04.
52アンジェラ・タヌイケニア292.17.57.2021 アムステルダム2.17.57.
53アシェテ・ケベデエチオピア332.18.18.2021 ロンドン2.18.18.
54ヒウォト・ゲブレキダンエチオピア262.19.35.2021 ミラノ2.19.35.
55ゴティトム・ゲブレシラシエエチオピア272.20.09.2021 ベルリン2.20.09.
56サラ・ホールアメリカ382.20.32.2020 チャンドラー2.20.32.
57ヘレン・ベケレエチオピア272.21.01.2019 東京2.21.01.
61一山麻緒ワコール242.20.29.2020 名古屋2.20.29.
62新谷仁美積水化学341.06.38.2020 ヒューストンハーフ1.06.38.
301大森菜月ダイハツ272.28.38.2021 名古屋2.28.38.
302兼重志帆GRlab関東322.28.51.2020 大阪国際女子2.28.51.
303下門美春埼玉医科大学G312.29.38.2018 ゴールドコースト2.27.54.
304岡田唯大塚製薬272.32.00.2020 名古屋2.32.00.
305水口瞳ユニクロ252.32.33.2020 大阪国際女子2.32.33.
306藤澤舞札幌エクセルAC472.35.52.2021 金沢2.35.52.
307澤畠朋美埼玉陸協292.35.58.2018 さいたま国際2.35.58.
327森田香織パナソニック261.10.28.2021 全日本実業団ハーフ1.10.10.
328加世田梨花ダイハツ2331.39.86.2020 日本陸上競技選手権31.39.86.

男子のキプチョゲとともに女子も世界記録(2.14.04./2019年・シカゴ)保持者のブリジット・コスゲイ(ケニア)が参戦。それ以外の海外招待選手も男子ほどではないがなかなか豪華だ。2月27日時点での世界歴代の順位は、1位・10位・13位・31位・46位・59位・75位。4人が「サブ20」で3人が日本記録(2.19.12.)を上回っている。

日本人では女子単独レース日本記録(2.20.29.)保持者である一山麻緒(ワコール)と13年ぶりのマラソン挑戦となる新谷仁美(積水化学)が招待選手。


世界記録保持者に一山&新谷が挑む

日本人ファンの注目は一山と新谷がどんな走りをするか? だろう。
が、世界記録保持者が参戦するのでまずはそちらにふれたい。
コスゲイは1994年2月20日生まれで28歳になったばかり。
21歳からマラソンに取り組み今回が15回目のレースとなる。

【ブリジット・コスゲイのマラソン歴】
12015.11.08ポルト1)2.47.59.
22016.04.03ミラノ1)2.27.45.
32016.10.02リスボン2)2.24.45.
42016.12.11ホノルル1)2.31.11.
52017.04.17ボストン8)2.31.48.
62017.10.08シカゴ2)2.20.22.
72017.12.10ホノルル1)2.22.15.
82018.04.22ロンドン2)2.20.13.
92018.10.07シカゴ1)2.18.35.
102019.04.28ロンドン1)2.18.20.
112019.10.13シカゴ1)2.14.04.=世界新
122020.10.04ロンドン1)2.18.58.
132021.08.07東京五輪2)2.27.36.
142021.10.03ロンドン4)2.18.40.

17年のシカゴで20分台(2.20.22.)を出してからその名が知られるようになった。
翌年のシカゴで18分台(2.18.35.)に突入しさらに1年後の同大会で2時間14分04秒の世界新。
ポーラ・ラドクリフ(イギリス)が03年のロンドンでマークした2時間15分25秒は、それまでの世界記録を3分22秒も更新した。その後もそれに迫る選手はなかなか現れなかった。
17年にマリー・ケイタニー(ケニア)が2時間17分01秒で走ったがそれでもまだ1分36秒もの差があった。
「少なくとあと10年くらいはラドクリフの記録が破られることはないのだろうなあ」
と思われていた。

ところが、どっこいでケイタニーの2年半後にコスゲイがそれまでのベスト(2.18.20.)を4分16秒も更新して、ラドクリフの名前を16年半ぶりにレコードブックの世界記録の欄から消したのだった。

コスゲイは当初からマラソンが中心でトラックの記録は、21年6月19日にケニアでの東京五輪選考会の10000mを走った32分18秒90(6位)が、筆者の見つけることができた唯一のもの。

札幌で行われた東京五輪には「ガチガチの本命」として臨んだ。が、蒸し暑い中で苦しい走りを強いられ、最終盤に同じケニアのペレス・ジェプチルチルに振り切られ16秒差で銀メダルだった。
今回の東京ではどんな走りを披露するか? 上述のマラソン歴の通り、2時間14分04秒の世界記録を持っているがセカンドベストは18分台。とはいえ18分台で4回も走っている。自己5番目のタイムが18分台というのは歴代でコスゲイのみ、ラドクリフでも18分台以内は4回だ。
東京での自身の世界記録更新は厳しいかもしれないが、日本国内最高記録で大会記録でもある2時間17分45秒がとりあえずのターゲットとなりそうだ。

日本人選手では一山と新谷が、コスゲイや17~19分台、あるいは20~21分台の海外招待選手を相手にどんな走りをするかが焦点だ。

ペースメーカーの設定は不明だが、最も速い設定なら大会記録の2時間17分台あたりかもしれない。日本記録の2時間19分前後も間違いなく設定されるだろう。

【一山麻緒のマラソン歴】
12019.03.03東 京7)2.24.33.
22019.04.28ロンドン15)2.27.27.
32019.09.15MGC6)2.32.30.
42020.03.08名古屋1)2.20.29.=女子単独レース日本新
52021.01.31大阪女1)2.21.11.
62021.08.08東京五輪8)2.30.13.

3年前の東京が初マラソンで日本人トップの7位だった。この時の記録が東京マラソンでの日本人最高記録として残っている。
マラソン挑戦1年目は成績に浮き沈みがあったが、20年の名古屋で女子単独レースの日本記録をマークしてからの3レースはしっかりと結果を残している。

五輪後、疲労などから9月と10月のトラックレースや11月の実業団駅伝でも本来の走りができていなかったようだ。が、東京マラソンにエントリーしたということは、冬場にしっかりとマラソンに向けたトレーニングが積めたということだろう。とすれば、そのターゲットは「サブ20」と野口みずきの日本記録(2.19.12.)更新かもしれない。

もうひとりの新谷は、冒頭でふれた通り13年ぶりのマラソン参戦だ。
東京五輪の10000mで本来の走りができずに精神的に落ち込んでいたようだが、チームのSNS(note)の中で、マラソン挑戦の理由を次のように語っている。
「私の頭が全く切り替えられていなくて、東京五輪の結果をズルズル引きずっている部分がどうしてもあった。そこからどうにかして、立ち上がって戦いたい。そんな想いの中で、今まで遠ざけていた、一番苦手とするマラソンに挑戦しよう決めました」

【新谷仁美のマラソン歴】
12007.02.18東 京1)2.31.01.
22008.08.31北海道2)2.32.19.
32009.03.08名古屋8)2.30.58.

第1回の東京がマラソンデビュー戦で初代チャンピオンとなった。
その後、2回目の北海道は2時間32分19秒で2位。3回目の名古屋は2時間30分58秒の自己新をマークしたものの8位だった。

今回のレースについては、
「マラソン挑戦をSNSで発表して、本当に多くの方が私のマラソンを楽しみにしてくださっていたんだと感じました。目標として、私自身、東京五輪の結果から立ち直りたい想いがある。この挑戦で自分が納得できて、みんなも喜んでくれるような結果で終われたら、と思っています」
また、2月1日の会見では、
「先のことは考えず東京マラソンで納得のいくタイムを出すことに集中する」とも。

東京マラソンに向けてのステップとして2月13日の全日本実業団ハーフに出場した。
15kmまでマラソンペース(1km3分18~20秒)でいってラスト5kmを上げてしっかり出し切って勝ちにいく。そして、レース後は、疲れた中で20kmを1km4分00秒ペースで……とマラソンを見据え、レースと練習をセットにしたメニューを組んでいた。

が、氷雨の中でのレースは途中から身体が動かずに1時間10分12秒で5位。レースで出し切れないままでの20km練習となり、当初の目論見とは違ったものになってしまったようだ。
レース後の会見では、東京マラソンに向けて「正直なところ、まったく自信はありません、という結果でした。気持ちを一度落ち着かせて、本番に合わせられるように頑張って行きます。練習を継続させるだけです」と。

常々「結果がすべて」と話す新谷にとっての東京マラソンでの「納得のいくタイム」は、日本記録の更新というところだろうか?

トラックやハーフの記録がそのまま通用するほどマラソンは簡単ではないのであろうが、世界陸連の採点表によると10000mの30分20秒44は「1229点」。ハーフの1時間06分38秒もまったく同じ「1229点」。マラソンの「1229点」に相当するタイムは「2時間20分27秒」だ。
新谷にとってこの数字は「納得のいくタイム」ではないかもしれないが、世界陸連採点表からは、そういうタイムが導き出される。

なお、筆者は他種目の記録からマラソンのタイムを予測するのに、x軸に距離(m)の対数値を、y軸に平均走速度(秒速)をとった片対数グラフから計算するという手法を用いることが多い。その方法で、新谷の10000mとハーフの記録(平均秒速)からマラソンの記録(平均秒速)を予測すると、その回帰式は、

y=8.160-0.6667 logx

だ。

この式の「x」にマラソンの「42195」を入れて秒速である「y」を求めると「5.076m/s」。
そこからマラソンの記録を計算すると野口の日本記録を39秒上回る「2時間18分33秒」となった。これならば、新谷自身にとって「納得のいくタイム」になるのだろうか?

話は少々それるが、01年のベルリンマラソンで高橋尚子(積水化学)が「史上初の2時間20分切り」の世界最高記録に挑戦した時、筆者は同じ手法でマラソンのタイムを予測したことがあった。
算出された予測記録は「2時間18分26秒」だった。実際のレース結果は「2時間19分46秒」で、予測タイムには1分20秒及ばなかった。
しかし、レース後に小出義雄監督は「本当の目標は、2時間18分32秒だった」と話した。

小出監督は筆者と同じ方法で「2時間18分32秒」を導き出した訳ではないだろう。おそらく毎日指導する中で、コーチとしての職人的感覚で「5km16分25秒のペースでなら押していけるはず、すると2時間18分32秒になる」というものであったのだろう。筆者の計算による予測と「コーチの眼」がほぼ一致したことに、思わずニンマリするとともに、上記の手法が間違っていないことに安心したものだ。

今回の新谷についても「2時間18分33秒」の予測が当たってもらいたい。

05年に野口が2時間19分12秒の日本新記録で走った時、世界歴代3位に位置していた。
それから17年が経過し、22年2月27日時点での歴代順位は、22位まで下がってしまった。

今回の東京で、一山と新谷には「17年ぶりの日本新!!」という嬉しいニュースを全国に流してもらいたいものである。

一般参加選手では、10000m31分台の加世田梨花(ダイハツ/31.39.86=20年)と森田香織(パナソニック/31.57.95=18年)が初マラソンに挑む。ともにハーフは走ったことがあり加世田は1時間11分29秒(19年)、森田は1時間10秒(18年)がベストである。
初マラソン日本最高は、安藤友香(スズキ浜松AC)の2時間21分36秒(17年・名古屋)とレベルが高いが、歴代10位の一山の2時間24分33秒(19年・東京)あたりが「いい目標」になりそうだ。


大会記録と日本人大会最高記録

大会記録は、2時間17分45秒 ロナー・チェムタイ・サルペーター(イスラエル)2020年。
日本人大会最高記録は、2時間24分33秒 一山麻緒(ワコール)2019年・7位。

大会記録は、その時点での世界歴代6位でパフォーマンス歴代8位。
22年2月27日現在でも同8位と同10位に位置し、日本国内でマークされた最高記録だ。


大会記録と日本人大会最高記録の5km毎は、

距離大会記録日本人大会最高記録
5km16.27./16.27.16.40./16.40.
10km32.49./16.22.33.16./16.36.
15km49.17./16.28.50.03./16.47.
20km1.05.38./16.21.1.06.45./16.42.
Half1.09.16.1.10.29.
25km1.22.00./16.22.1.23.31./16.46.
30km1.38.25./16.25.1.40.32./17.01.
35km1.54.19./15.54.1.58.12./17.40.
40km2.10.29./16.10.2.16.32./18.20.
Finish2.17.45./ 7.16.2.24.33./ 8.01.
前後半69.16.+68.29.70.29.+74.04.
前後半差△0.47.▽3.35.


野口みずき(グローバリー)の男女混合レースでの日本記録2時間19分12秒(2005年9月25日/ベルリン)の時は、

距離日本記録
5km16.24./16.24.
10km32.53./16.29.
15km49.22./16.29.
20km1.05.43./16.21.
Half1.09.19.
25km1.22.13./16.30.
30km1.38.48./16.35.
35km1.55.19./16.31.
40km2.11.53./16.34.
Finish2.19.12./ 7.19.
前後半69.19.+69.53.
前後半差▽0.34.

世界記録の更新はさすがに厳しいだろうが、コスゲイの2時間14分04秒(シカゴ/19年10月13日)の時は、

距離世界記録
5km15.28./15.28.
10km31.28./16.00.
15km47.26./15.58.
20km1.03.27./16.01.
Half1.06.59.
25km1.19.33./16.06.
30km1.35.18./15.45.
35km1.51.14./15.56.
40km2.07.11./15.57.
Finish2.14.04./ 6.53.
前後半66.59.+67.05.
前後半差▽0.06.


東京マラソンでの着順別最高記録

1)2.17.45.L・S・サルペーター(ISR) 2020年
2)2.18.35.B・ディババ(ETH) 2020年
3)2.20.30.S・アセファ(ETH) 2020年
4)2.21.42.S・チェピエゴ(KEN) 2020年
5)2.21.56.T・ギルマ(ETH) 2020年
6)2.22.58.A・ゲブル(ETH) 2020年
7)2.24.33.一山麻緒(ワコール) 2019年
8)2.26.24.J・チェリモ(KEN) 2019年
9)2.27.42.S・デミセ(SWE) 2020年
10)2.29.26.鈴木澄子(ホクレン) 2012年
11)2.31.20.兼重志帆(GRlab関東) 2020年
12)2.31.42.前田穂南(天満屋) 2019年
13)2.32.30.吉富博子(メモリード) 2019年
14)2.33.04.清田真央(スズキ浜松AC) 2019年
15)2.33.41.山口遥(AC・KITA) 2019年
16)2.35.04.M・ベレテ(BRN) 2019年
17)2.36.14.曹純玉(TPE) 2019年
18)2.36.16.坂本喜子(T・FOR) 2019年
19)2.36.37.兼重志帆(GRlab関東) 2019年
20)2.38.23.野上恵子(十八銀行) 2019年
21)2.38.43.川戸希望(京産大) 2019年

・以上、2時間40分00秒以内。

上位には前回20年大会、12位以降は19年大会の記録がずらりと並ぶ。
日本人選手のデータに限ると、「2時間30分切り」は14大会で計11回。大会の歴史の長さに違いはあるが大阪国際女子の39大会(95年は阪神淡路大震災のため中止)で計144回、名古屋ウィメンズの37大会(11年は東日本大震災のため中止)で計160回と比べると寂しい数字だ。
これまで男子は世界選手権や五輪の選考レースであったが、女子は大阪と名古屋との日程の兼ね合いから選考レースでなかったため有力選手が揃って出場することが少なかったことが大きい。


日本人選手の「2時間30分切り」の大会別・1分毎の回数

下表は、22年2月27日現在の日本人選手の「2時間30分切り」の回数を大会別に1分毎にまとめたものだ。
トータルでは173人が計494回。「名古屋ウィメンズ」と「大阪国際女子」が他の大会を大きく引き離している。

「2時間20分切り」の3回はいずれもベルリンでのもので、高橋尚子(2時間19分46秒=当時の世界最高/2001年)、渋井陽子(2時間19分41秒=当時、世界歴代4位/2004年)、野口みずき(2時間19分12秒=当時、世界歴代3位/2005年)と更新した。世界大会での入賞が狙える可能性がありそうな「2時間25分切り」は、42人・83回だ。

ちなみに、22年2月27日現在の世界歴代での「2時間20分切り」は、45人・74回。
「2時間25分切り」は、317人・857回。
「2時間30分切り」は、1137人・3855回。
「20分切り」の人数の日本のシェアは「6.7%」。「25分切り」が「13.2%」、「30分切り」が「15.2%」。
回数でのそれは「20分切り」が「4.1%」、「25分切り」は「9.7%」、「30分切り」は「12.8%」。
あくまでも歴代での人数や回数ではあるが、「20分切り」も「25分切り」も「30分切り」もエチオピア・ケニアに続き日本の層の厚さは世界3位だ。


【日本人選手の「2時間30分切り」の大会別・1分毎回数】
・2022年2月27日現在。
・大会名の「片or下」は「片道または下り坂コース」のため非公認。
分台→19分台20分台21分台22分台23分台24分台25分台26分台27分台28分台29分台合計
名古屋12310141420283038160
大阪女15410101027232727144
東京女111322313329
横浜女11523214
北海道2323414
東京11114311
MGC134
埼玉女112
防府22
神戸11
勝田11
91世選11
海外332391221121927111
             
合計3211102538427972101111494
(非公認)            
片or下112


「MGC出場権獲得」の条件は?

24年パリ五輪の代表切符を得るための最重要レースとなる23年秋に開催が予定されている「MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)」への出場資格を獲得することも上位の選手にとっては大きな目標となる。今回の東京での条件は、

・日本人1~3位で2時間28分00秒以内
・同4~6位で2時間27分00秒以内
・順位に関係なく2時間24分00秒以内
・「第1期」の2レースの平均で2時間28分00秒以内
そして、
・「シリーズⅠ」終了時点(22年3月31日)のJMCランキングで8位以内

である。

なお、日本陸連が設定している「オレゴン世界選手権・派遣設定記録」は「2時間23分18秒」だ。


「JMC」とは?

「JMC」についての詳細は、

https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/outline/

に詳しく説明されている。

また、大阪国際女子マラソンの時の拙稿のにももう少し簡単な説明がある。

https://www.jaaf.or.jp/news/article/15784/

ここでは、「記録ポイント」と「順位ポイント」を中心に説明しておこう。

「JMC」は、ひとつの年度を2つの「期」で区分し、2期分を「シリーズ」として、2期分の合計ポイントでシリーズ総合成績を争う。

シリーズ総合成績は、日本選手権の順位決定や日本代表の選考などにも直結し、安定して高いレベルのパフォーマンスを残した競技者が、日本選手権者や日本代表となる仕組みである。

そのスタートとなる今年度(シリーズⅠ)は、第0期(2020年12月1日~21年10月31日)と第1期(21年11月1日~22年3月31日)が対象となる。

日本陸連主催・共催のレースが「グレード1(G1)」、それ以外で「JMC」に加盟した大会を「グレード2(G2)」、現時点では存在しないが「グレード3(G3)」も今後加わる可能性がある。
世界陸連の「ラベルレース(エリートラベル以上で、第0期の東京五輪も含む/https://www.worldathletics.org/competitions/world-athletics-label-road-races/calendar-results)」が対象レースとなる。
それらのレースでの記録を世界陸連採点表(https://www.worldathletics.org/news/iaaf-news/scoring-tables-2017)から「記録ポイント」を算出。それに各大会のグレードに応じた「JMCポイント(順位によるポイント)」の合計「パフォーマンスポイント」を算出して順位を争うというものだ。

「シリーズⅠ(2021年度)」については、各選手が「第0期」と「第1期」に出場したレースで「パフォーマンスポイント=記録ポイント+順位ポイント(JMCポイント)」の上位2レースの合計ポイントで総合順位を決める(「シリーズⅡ」以降は3レースの総合ポイントによる)。ただし「第0期」については1レースのみがその対象、また海外レースも「第0期」「第1期」で1大会のみがその対象。
「第0期」に出場していない選手は、「第1期」の2レースに出場してポイントを獲得する必要がある。

女子の「第0期」と「第1期」の対象大会と大会グレードは下記の通り。

<G1>0期1期
大阪女
東京×
名古屋女
<G2>0期1期
大阪×

<海外>
https://www.worldathletics.org/competitions/world-athletics-label-road-races/calendar-results
を参照。

切りのいい記録に相当する「記録ポイント」と1100点以上の50点毎の記録は、

1300点2.13.38. 
1295点 2.14.04.=世界記録(男女混合レース。2.14.07.が1295点)
1285点 2.15.00.(2.15.04.が1285点)
1275点 2.16.00.(2.16.01.が1275点)
1264点 2.17.00.(2.17.04.が1264点)
1264点 2.17.01.=世界記録(女子のみのレース。2.17.04.が1264点)
1257点 2.17.45.=大会記録
1254点 2.18.00.(2.18.02.が1254点)
1250点2.18.25. 
1244点 2.19.00.
1242点 2.19.12.=日本記録(男女混合レース)
1233点 2.20.00.(2.20.04.が1233点)
1228点 2.20.29.=日本記録(女子のみのレース。2.20.33.が1228点)
1223点 2.21.00.(2.21.03.が1223点)
1213点 2.22.00.(2.22.01.が1213点)
1203点 2.23.00.
1200点2.23.18. 
1193点 2.24.00.
1187点 2.24.33.=日本人大会最高記録(2.24.35.が1187点)
1182点 2.25.00.(2.25.05.が1182点)
1172点 2.26.00.(2.26.05.が1172点)
1162点 2.27.00.(2.27.05.が1162点)
1152点 2.28.00.(2.28.05.が1152点)
1150点2.28.17. 
1142点 2.29.00.(2.29.06.が1142点)
1133点 2.30.00.
1123点 2.31.00.(2.31.01.が1123点)
1113点 2.32.00.(2.32.03.が1113点)
1103点 2.33.00.(2.33.04.が1103点)
1100点2.33.23. 

なお、五輪(&世界選手権)での記録ポイントは、完走した実際のタイムに関わらず「1200点(2.23.18.相当)」が基礎ポイントとして付与され、「2.23.18.」よりも記録がいい場合は、それに相当するポイントを獲得できる。が、東京五輪では3選手すべての「記録ポイント」は「1200点」だった。8位入賞の一山麻緒には下記の「順位ポイント」の60ポイントが付加された。

大会のグレード別の女子の「JMCポイント(日本人選手内での順位が対象。海外&東京五輪は外国籍選手を含む順位が対象)」は、

 G1G2五輪海外1海外2
1位70201357045
2位50151105035
3位45101004530
4位35 853525
5位30 753022
6位25 702520
7位20 652017
8位15 601515
9位40    
10位35    
11位30    
12位25    

以上の通りで、「第0期」「第1期」の2レースの合計ポイントで最上位の選手が「2021年度(第105回)日本選手権優勝者」となる。

また、22年7月のオレゴン世界選手権の代表選考にも利用される。

大阪マラソン終了時点でのMGC出場権を得ているのは、以下の6人。

【MGC出場権獲得者(ファイナリスト)一覧/22年2月27日現在】
No.名前所属登録陸協自己ベスト出場権を獲得した大会と記録 
1松田瑞生ダイハツ大阪2.20.52.41大阪国際女子1位(2.20.52.)
2上杉真穂スターツ千葉2.22.29.41大阪国際女子2位(2.22.29.)
3松下菜摘天満屋岡山2.23.05.41大阪国際女子3位(2.23.05.)
4谷本観月天満屋岡山2.23.11.41大阪国際女子4位(2.23.11.)
5阿部有香里しまむら埼玉2.24.02.41大阪国際女子5位(2.24.02.)
6佐藤早也伽積水化学千葉2.23.27.41大阪国際女子6位(2.24.47.)

下表は、大阪マラソン終了時点での「ポイントランキング」だ。
2レースの合計が2000pt以上の21人と1レースのみで1000pt以上の34人をリストアップし、東京への出場予定者に「★=招待選手」と「▲=一般参加選手」のマークを付記した。

1月30日の大阪国際女子マラソンを2時間20分52秒の自己新&大会新で制した松田瑞生(ダイハツ)が第0期の21年3月14日の名古屋ウィメンズ(2.21.51.で優勝)と合わせて抜け出ている。

今回の東京で松田に迫るか逆転でトップに立つ可能性があるのは、一山のみ。
一山が日本人トップで順位ポイントで「70pt」を獲得した場合、松田を上回るには、記録ポイントで「1218pt以上」が必要になる。具体的なタイムは「2時間21分32秒以内」だ。日本人2位(50pt)なら「2時間19分35秒以内」になる。

2時間19分12秒の日本記録をターゲットにするであろう一山にとっては、こちらもいい目標になりそうだ。

一般参加選手では、21年3月の名古屋を2時間28分38秒(11位)で走って「1146pt」を獲得している大森菜月(ダイハツ)が、ランク8位以内に入ってくる可能性がありそうだ。ただし、大森は翌週の名古屋にもエントリーしているので、東京を走らない可能性もある。


【JMC・第0期&第1期ポイントランキング暫定版(女子)/2022年2月28日現在】
・第0期は国内大会、オリンピックのみ。第1期の海外はニューヨークのみ。
・氏名の後ろの「★」は東京マラソンの招待選手、「▲」は一般参加選手。

順位名前所属都道府県総合ポイント第0期ポイント第1期ポイント
1松田瑞生ダイハツ 大阪257812841294 
2上杉真穂スターツ千葉247712191258
3松下菜摘天満屋岡山246012131247
4阿部有香里しまむら埼玉245312311222
5佐藤早也伽積水化学千葉244712371210
6谷本観月天満屋岡山235811221236
7加藤 岬九電工福岡232211741148
8田中華絵第一生命グループ東京231911941125
9川内理江大塚製薬徳島231411171197
10池満綾乃鹿銀鹿児島231211681144
11岩出玲亜千葉陸協千葉230211271175
12萩原歩美豊田自動織機愛知229112001091
13山口 遥AC・KITA東京2218 2218
13兼重志帆▲GRlab関東東京221811141104
15池内彩乃デンソー三重213910991040
16澤畠朋美▲埼玉陸協埼玉210010331067
17伊藤 舞大塚製薬徳島207010541016
18宮永光唯大阪芸術大大阪206410131051
19堀岡智子大阪陸協大阪204910271022
20藤澤 舞▲札幌エクセルAC北海道204510381007
21小川那月神戸学院大兵庫20181025993
・以上、2レースで「2000pt以上」。

・以下、1レースで「1000pt以上」。
順位名前所属都道府県総合ポイント第0期ポイント第1期ポイント
-一山麻緒★ワコール京都12911291 
-前田穂南天満屋岡山12481248 
-和久夢来ユニバーサル千葉12021202 
-鈴木亜由子JP日本郵政G東京12001200 
-赤坂よもぎスターツ千葉11891189 
-池田千晴日立茨城11561156 
-松田杏奈京セラ鹿児島11491149 
-福良郁美大塚製薬徳島11471147 
-大森菜月▲ダイハツ大阪11461146 
-竹本香奈子ダイハツ大阪11461146 
-足立由真京セラ鹿児島11421142 
-堀江美里シスメックス兵庫1131 1131
-大蔵玲乃ノーリツ兵庫11301130 
-福居紗希三井住友海上東京11281128 
-沼田未知豊田自動織機愛知1114 1114
-小原 怜天満屋岡山11131113 
-中野円花岩谷産業大阪11041104 
-池本 愛SWAC東京10881088 
-青木奈波岩谷産業大阪1085 1085
-吉冨博子メモリード佐賀10841084 
-儀藤優花肥後銀行熊本10831083 
-下門美春▲埼玉陸協埼玉10771077 
-竹地志帆ヤマダホールディングス群馬10751075 
-永尾 薫三田飲料東京10491049 
-清田真央スズキ静岡10481048 
-野村沙世ユニクロ東京1046 1046
-宇都宮恵理JP日本郵政G東京10391039 
-川内侑子AD損保東京10331033 
-西岡真紀モクレンRC和歌山10281028 
-大井千鶴NARA-X奈良10231023 
-松村幸栄埼玉陸協埼玉1017 1017
-坂本喜子teamF.O.R三重10091009 
-髙野美幸▲埼玉医科大学G埼玉10041004 


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

▼JMCシリーズ「第1期男子4戦目、女子第2戦目の大阪びわ湖マラソン」ダイジェスト



▼JMCシリーズ特設サイト

https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/

▼JMCシリーズポイントランキング

https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/series1/ranking/

▼オンエア情報(予定)

■テレビ中継
3月6日(日)
•日本テレビ(全国ネット) 9:00~11:50 エリートレース中継
•日本テレビ(関東ローカル) 12:00~12:45 市民マラソン中継
•日テレG+(CS) 9:00~16:30 車いすレース
・市民マラソン中継
•BS日テレ 16:30~21:00 エリートレース
■ラジオ中継
3月6日(日)
• ラジオ日本
8:45~11:50 「ラジオ日本スポーツスペシャル 東京マラソン2021実況中継」
<オンエア情報詳細> https://www.ntv.co.jp/tokyomarathon/

関連選手

JAAF Official Partner

  • アシックス

JAAF Official Sponsors

  • 大塚製薬
  • 日本航空株式会社
  • 株式会社ニシ・スポーツ
  • デンカ株式会社
  • 株式会社クリエイト

JAAF Official Supporting companies

  • 株式会社シミズオクト
  • 株式会社セレスポ
  • 近畿日本ツーリスト株式会社
  • JTB
  • 東武トップツアーズ株式会社
  • 日東電工株式会社
  • 伊藤超短波株式会社

PR Partner

  • 株式会社 PR TIMES