2021.08.06(金)
【東京オリンピック】中間総括会見(長距離・マラソンヘッドコーチ)~これまでの成績の振り返りや今後の長距離・マラソンについて~
東京オリンピックのトラック中長距離種目は、日本選手の決勝進出や日本記録、自己記録の更新など快走が続いています。陸上競技日本代表選手団の河野匡長距離・マラソンヘッドコーチが8月5日にオンラインで会見し、大会前半(8月4日まで)の戦いぶりや結果を踏まえた中間総括と、大会終盤に実施されるマラソンに関する情報についてコメントしました。主な内容をご紹介します。
そういうパフォーマンスをテレビでご覧になっている方も多いと思うが、(競技場で)観客に生で見ていただきたかった。中長距離種目で日本の選手が先頭集団にいたり決勝に進んだりする姿を目の当たりにしてもらえば、感激もしただろうし、子供たちも「戦えるんだ、自分も中距離で頑張ろう」と思ってくれるだろう。これで観客がいればどれだけ盛り上がっただろうと毎日思う。オリンピック後に改めて、生で見ていただき、皆さんと一緒に喜べる場所を作りたいな、という思いでいっぱい。
Q:活躍した選手が多い一方で、男子の5000m、10000mは世界の壁を痛感させられる結果になった。
A:10000mの相澤晃選手はどうにか、戦えたとまで言いきれないが健闘した部分はあるが、男子は全体に大きな舞台に飲まれてしまった感じがある。世界の舞台を経験する場面が少なかったこと、ある程度は経験値がある選手の調整の状況、自分の練習の中身が世界の中では全く通用しなかったことを痛感させられたこと、などが(原因として)あるのかなと思う。今までの日本選手のよくあったパターンで、何回も壁に当たってもあきらめないで戦うしかない。一番悔しいのは選手自身なので、スタートラインに立つまでの過程と次の目標をしっかり立てて、今回の経験を次の舞台で生かしてほしい。それに対して必要なサポート、何がダメだったのかは我々も一緒に考えていきたいし、来年以降の世界選手権やオリンピックにつながる仕組みを考えたい。
Q:三浦選手の3000m障害物における適性、長所は。
A:技術的には、障害を越える時に加速できるのが強み。見ている人の中には、障害物を(足を乗せて越えており)跳び越えていないなどと言う人もいるが、166cmという身長や筋力的にアフリカの選手と比べてもかなり小さいので、(跳び越えた時に)受ける衝撃は大きい。無駄な力を使わず、勝負所で跳ぶというスタイルでいいと思う。魅力的なのは、障害ごとにスピードが上がり、しかも高いスピードレベルの中でそれができること。それは彼の能力だと思うし、走る能力だけでなく(幅広い)運動能力、対応能力が高いのではないか。3000m障害物をフィールドとして戦ってくれるのは、日本にとってもパリ2024オリンピック以降に向けて明るい材料だし、そういう選手が1人いると同じ種目で追随する選手も出てくる。今後、3000m障害物が日本にとって戦える種目になってくれたらありがたい。
Q:マラソン代表の選手について、担当コーチの目で見た状況を教えてほしい。
A:男子は大迫傑選手が覚悟を決めて、迷いのない目をしているなというのが、彼がアメリカから帰国して最初に会った時の印象。モチベーションと、やってきたトレーニングへの自信を持ってスタートラインにつけるのだろう。中村奨吾選手と服部勇馬選手は調整段階で練習をやりきれていない部分があるので、あとは本人がどう覚悟をもって臨むかだと思う。
女子は3人それぞれが自分の特徴を生かしたトレーニングをしっかりやってきたと思う。前田穂南選手は6月に少し足に不安があったが1週間ほどで回復した。3人ともに調子が良く、戦える準備ができたと評価している。
Q:札幌もかなり暑いが、マラソンにおける対策は。
A:我々にとっては想定内。札幌の夏はこういうこともあると想定していた。今の天気予報を見る限りでは暑熱対策が勝負の分かれ目になると思うので、今まで蓄積した対策をしっかり発揮したい。我々は元々、東京で実施される想定で準備してきて、蓄積に基づいていろいろな引き出しを持っているので、開けるべき引き出しをきちっと開けたい。今日(この会見の後)から競歩が始まるので、その状況も踏まえてマラソンの暑熱対策の方向性を最終的に決定したい。
※コメントはより明確に伝えることを目的として、一部、発言に修正、編集、補足説明を施しています。
■【東京オリンピック】特設サイト ~競技スケジュールや競技を楽しむ観戦ガイドを掲載中!~
https://www.jaaf.or.jp/olympic/tokyo2020/
■【東京オリンピック】各日のハイライトや選手コメントはこちら!
■【東京オリンピック】フォトギャラリー ~熱い戦いの瞬間を振り返る~
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■【東京オリンピック】日本代表選手への応援メッセージを大募集!!~共に戦おう!あなたもチームジャパンの一員に~
https://www.jaaf.or.jp/olympic/tokyo2020/news/article/15252/
河野匡 長距離・マラソンヘッドコーチ
前半戦の中長距離は驚きの連続で、我々が想定する以上の結果を残してくれた。担当者としては毎日、非常に感激をしている。男子3000m障害物の三浦龍司選手(順天堂大学)の走り。女子5000m予選の廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)、田中希実選手(豊田織機TC)、萩谷楓選手の3連続自己新記録。女子1500mでも田中選手、卜部蘭選手と、自己記録や日本記録を更新などが続いた。オリンピックは自分の力を100%、または100%以上出せるかが戦う上でのカギだと思っていたので、まだまだ世界との差を感じつつも、大きな舞台、かつ地元でのオリンピックでこれだけのパフォーマンスを見せてもらえたことは選手に感謝したい。中長距離にとっては歴史を変えられた大会になったと思う。そういうパフォーマンスをテレビでご覧になっている方も多いと思うが、(競技場で)観客に生で見ていただきたかった。中長距離種目で日本の選手が先頭集団にいたり決勝に進んだりする姿を目の当たりにしてもらえば、感激もしただろうし、子供たちも「戦えるんだ、自分も中距離で頑張ろう」と思ってくれるだろう。これで観客がいればどれだけ盛り上がっただろうと毎日思う。オリンピック後に改めて、生で見ていただき、皆さんと一緒に喜べる場所を作りたいな、という思いでいっぱい。
Q:活躍した選手が多い一方で、男子の5000m、10000mは世界の壁を痛感させられる結果になった。
A:10000mの相澤晃選手はどうにか、戦えたとまで言いきれないが健闘した部分はあるが、男子は全体に大きな舞台に飲まれてしまった感じがある。世界の舞台を経験する場面が少なかったこと、ある程度は経験値がある選手の調整の状況、自分の練習の中身が世界の中では全く通用しなかったことを痛感させられたこと、などが(原因として)あるのかなと思う。今までの日本選手のよくあったパターンで、何回も壁に当たってもあきらめないで戦うしかない。一番悔しいのは選手自身なので、スタートラインに立つまでの過程と次の目標をしっかり立てて、今回の経験を次の舞台で生かしてほしい。それに対して必要なサポート、何がダメだったのかは我々も一緒に考えていきたいし、来年以降の世界選手権やオリンピックにつながる仕組みを考えたい。
Q:三浦選手の3000m障害物における適性、長所は。
A:技術的には、障害を越える時に加速できるのが強み。見ている人の中には、障害物を(足を乗せて越えており)跳び越えていないなどと言う人もいるが、166cmという身長や筋力的にアフリカの選手と比べてもかなり小さいので、(跳び越えた時に)受ける衝撃は大きい。無駄な力を使わず、勝負所で跳ぶというスタイルでいいと思う。魅力的なのは、障害ごとにスピードが上がり、しかも高いスピードレベルの中でそれができること。それは彼の能力だと思うし、走る能力だけでなく(幅広い)運動能力、対応能力が高いのではないか。3000m障害物をフィールドとして戦ってくれるのは、日本にとってもパリ2024オリンピック以降に向けて明るい材料だし、そういう選手が1人いると同じ種目で追随する選手も出てくる。今後、3000m障害物が日本にとって戦える種目になってくれたらありがたい。
Q:マラソン代表の選手について、担当コーチの目で見た状況を教えてほしい。
A:男子は大迫傑選手が覚悟を決めて、迷いのない目をしているなというのが、彼がアメリカから帰国して最初に会った時の印象。モチベーションと、やってきたトレーニングへの自信を持ってスタートラインにつけるのだろう。中村奨吾選手と服部勇馬選手は調整段階で練習をやりきれていない部分があるので、あとは本人がどう覚悟をもって臨むかだと思う。
女子は3人それぞれが自分の特徴を生かしたトレーニングをしっかりやってきたと思う。前田穂南選手は6月に少し足に不安があったが1週間ほどで回復した。3人ともに調子が良く、戦える準備ができたと評価している。
Q:札幌もかなり暑いが、マラソンにおける対策は。
A:我々にとっては想定内。札幌の夏はこういうこともあると想定していた。今の天気予報を見る限りでは暑熱対策が勝負の分かれ目になると思うので、今まで蓄積した対策をしっかり発揮したい。我々は元々、東京で実施される想定で準備してきて、蓄積に基づいていろいろな引き出しを持っているので、開けるべき引き出しをきちっと開けたい。今日(この会見の後)から競歩が始まるので、その状況も踏まえてマラソンの暑熱対策の方向性を最終的に決定したい。
※コメントはより明確に伝えることを目的として、一部、発言に修正、編集、補足説明を施しています。
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