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2021.08.05(木)

【記録と数字で楽しむ東京オリンピック】男子4×400mリレー

7月30日(金)から8月8日(日)の10日間、国立競技場と札幌(マラソンと競歩)を舞台に「第32回オリンピック」の陸上競技が開催される(ている)。

日本からは、65人(男子43・女22)の代表選手が出場し世界のライバル達と競い合う。

無観客開催となったためテレビやネットでのライブ中継で観戦するしかなくなったが、その「お供」に日本人選手が出場する26種目に関して、「記録と数字で楽しむ東京オリンピック」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ・・・」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある拙稿と同じ内容のデータも含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、五輪の間に隔年で行われる世界選手権もそのレベルは五輪とまったく変わらないので、記事の中では「世界大会」ということで同等に扱い、そのデータも紹介した。

記録は原則として7月28日判明分。
現役選手の敬称は略させていただいた。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目や展望記事などは、陸上専門二誌の8月号別冊付録の「東京五輪観戦ガイド」やネットにアップされるであろう各種メディアの「展望記事」などをご覧頂きたい。

大会が始まったら、日本陸連のTwitterで、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。




・予選 8月6日 20:25 2組3着+2

・決勝 8月7日 21:50


川端魁人(三重教員AC)
佐藤拳太郎(富士通)
鈴木碧斗(東洋大学)
伊東利来也(三菱マテリアル)
池田弘佑(あすなろ会)


17年ぶりの入賞と25年ぶりの日本新がターゲット

アメリカなどの強豪国がコロナのため出場を見送ったとはいえ、5月の「世界リレー」で日本は2位となった。その勢いで、地元での五輪での「17年ぶりの入賞」と「25年ぶりの日本新」に挑む。

今回エントリーしている5人と補欠1人の2021年ベストと自己ベストは、自己ベストの記録順に、

ウォルシュ・ジュリアン(富士通/45秒80。45秒13=19年)
佐藤拳太郎(富士通/45秒61。45秒58=15年)
川端 魁斗(三重教員AC/45秒75)
伊東利来也(三菱マテリアル/45秒85。45秒79=18年)
鈴木 碧斗(東洋大2年/45秒94)
(補欠)
池田 弘佑(あすなろ会/46秒45)

今季の400mの記録の上位4人の合計(45秒61・45秒75・45秒80・45秒85)は、「3分03秒01」。自己ベストの合計(45秒13・45秒58・45秒75・45秒79)は、「3分02秒25」だ。

が、予選の前日(5日)に、ウォルシュと池田を入れ替えて登録することになった。
よって、今季ベストの合計は(45秒61・45秒75・45秒85・45秒94)で「3分03秒15」。自己ベストの合計は(45秒58・45秒75・45秒79・45秒94)で「3分03秒06」となる。

◆五輪&世界選手権での入賞歴と最高記録◆
1932五輪 5位 3.14.6  ・日本記録(3.16.8)を上回ったが「日本記録変遷史」には未収録
1996五輪 5位 3.00.76 =アジア新
2004五輪 4位 3.00.99
2007   7位 3.03.15

「五輪」での最高記録は、
3分00秒76 1996年 決勝5位 =アジア新

「世界選手権」での最高記録は、
3分01秒26 1991年 予選1組4着 =アジア新


◆1600mリレー出場国の2021年400mベストの上位4人の合計記録◆
「表1」は、1600mRに出場する16カ国について、リレーにエントリーしている各国5人の今回の五輪の400m準決勝終了時点(8月2日)での2021年のシーズンベストを調べ、「上位4人の合計タイム」の順に並べたものだ。本来ならば400m決勝(8月5日)までの記録も加えたかったが、1600mR予選の前夜のレースのため、時間的な都合で入れられなかった。なお、2021年に400mを走っていない選手については、直近の年のベストとした(記録の後ろの「*」印)。参考までに、2021年の各国のそれ以下の層の厚さをうかがうため「10位」の記録も付記した。
リレーの4番目の選手のタイムと「10位」の差がほとんどない国もある。これは、リレーの5人がそれぞれの国の今季リストの順番で選ばれたわけではないことによる。

400mRと同様にリレーにエントリーしている5人以外の他種目(200m、800m、400mHなど)から参入してくる可能性もある。


【表1/2021年400mベストによるリレーエントリー上位4人の合計および国内10位記録】
国名  順)合計記録  1位 2位  3位  4位 / 10位記録
USA 1)2.56.79 43.85 44.07 44.35 44.52 / 1)44.71
JAM 2)3.00.22 44.92 45.04 45.09 45.17 / 2)45.87
BOT 3)3.00.68 44.47 45.27 45.38 45.56 / 4)46.13
TTO 4)3.00.73 44.73 44.74 45.34 45.92* / 16)48.45
RSA 5)3.00.95 44.56 45.03 45.53 45.83 / 3)46.06
NED 6)3.01.39 44.62 45.07 45.61 46.09 / 12)47.27
BEL 7)3.01.50 45.17 45.34 45.36 45.63 / 14)47.41
POL 8)3.02.93 45.14 45.51 46.10 46.18 / 9)47.11
COL 9)3.03.11 43.93 46.21 46.39 46.58 / 11)47.24
JPN 10)3.03.15 45.61 45.75 45.85 45.94 / 5)46.26
FRA 11)3.03.26 45.49 45.79 45.93 46.05 / 7)46.74
ITA 12)3.03.77 44.94 45.68 46.27 46.88 / 8)47.00
IND 13)3.03.78 45.68 45.75* 46.09 46.26 / 13)47.36
GBR 14)3.04.05 45.84 45.89 46.05 46.27 / 6)46.31
GER 15)3.04.45 45.88 45.91 45.91 46.75 / 10)47.12
CZE 16)3.06.00 46.47 46.47 46.52 46.54 / 15)47.70

これによると、シーズンベスト上位4人の合計タイムで日本は10位(3分03秒15)。
7位のベルギー(3分01秒50)とは差があるが、8位のポーランド(3分02秒93)から13位のインド(3分03秒78)までの6カ国が0秒85以内にひしめき合っている。このあたりが「ファイナル」を目指すライバルとなりそうだ。

過去の世界大会での各選手の400mフラットレースのシーズンベストとリレーでのスプリットを分析した筆者のデータによると、2走以降は加速がつくので、フラットの記録よりもひとりあたり0秒7前後、2~4走のトータルで2秒くらいのタイムの短縮が可能という結果だ。今回の上位4人のシーズンベストの合計タイム3分03秒15からすると、3分00秒76の日本記録(1996年アトランタ五輪5位)の23年ぶりの更新も十分に射程圏内といえよう。

21世紀以降の五輪&世界選手権の「決勝進出の最低ライン(通過最低記録)」と「決勝に進めなかった最高タイム(落選最高記録)」は以下の通りだ。


 年   通過最低   落選最高
2001   3.01.42    3.01.65
2003   3.02.35    3.02.89
2004五輪 3.03.32    3.03.35
2005   3.02.86    3.03.17
2007   3.02.49    3.02.59
2008五輪 3.00.74    3.01.26
2009   3.03.23    3.02.78
2011   3.00.97    3.01.54
2012五輪 3.02.62    3.02.86
2013   3.01.09    3.01.73
2015   2.59.80    2.59.95
2016五輪 3.00.43    3.00.82
2017   3.01.88    3.01.98
2019   3.01.40    3.02.05
-------------------
最高記録 2.59.80    2.59.95
五輪最高 3.00.43(2016) 3.00.82(2016)
世選最高 2.59.80(2015) 2.59.95(2015)


「決勝に進めなかった最高記録」は、上記の通り2015年世界選手権の2分59秒95(ボツワナ。予選・
第2組5着)で、この組では2分59秒80までが決勝進出というハイレベルで、予選2組トータルで9国が2分台、3分00秒台2国、01秒台で2国が走った。しかし、この年を除くと、3分00秒台~01秒台が決勝進出へのボーダーラインになることが多かった。
予選で日本記録(3分00秒76)前後を出すことが「ファイナル」への最低条件か?

ちなみに日本記録(3分00秒76/1996年アトランタ五輪5位)を出した時の4人の1995年から96年のレース直前までのベストは、1走から順に苅部俊二46秒38、伊東浩司46秒23、小坂田淳46秒03、大森盛一46秒00で合計は、3分04秒64だった。これと条件を同じにした20年と21年の上位4人のベストの合計は、3分03秒13でそれを1秒51上回っている。21年の記録でも3分03秒15で1秒49上回る。

とはいえ、日本記録の時のスプリットは、苅部45秒88・伊東44秒86・小坂田45秒08・大森44秒94でカバーし4人ともフラットの記録を大きく上回る好走だった。今回のメンバーにもフラットのタイムを上回る快走を見せてもらって、25年ぶりの日本記録の更新と「2分台」そして「初メダル」を期待したい。

◆五輪&世界選手権での1・3・8位の記録◆
「表」は、世界選手権が始まった1983年以降の五輪&世界選手権での1・3・8位の記録である。

【表/五輪&世界選手権の1・3・8位の記録】
 年   1位   3位  8位
1983   3.00.79 3.03.63 DNF
1984五輪 2.57.91 2.59.32 3.02.82
1987   2.57.29 2.59.16 DNS
1988五輪 2.56.16 3.00.56 3.04.69
1991   2.57.53 3.00.10 3.05.33
1992五輪 2.55.74 2.59.73 DNF
1993   2.54.29 2.59.99 3.05.35
1995   2.57.32 3.03.18 DNS
1996五輪 2.55.99 2.59.42 DNS
1997   2.56.65 3.00.26 DQ(1位アメリカ2.56.47が薬物違反で失格)
1999   2.58.91 3.00.20 DQ(1位アメリカ2.56.45が薬物違反で失格)
2000五輪 2.58.68 2.59.23 DQ(1位アメリカ2.56.35が薬物違反で失格)
2001   2.58.19 2.59.71 DQ(2位アメリカ2.57.54が薬物違反で失格)
2003   2.58.96 3.00.53 DQ(1位アメリカ2.58.88が薬物違反で失格)
2004五輪 2.55.91 3.00.90 3.02.49
2005   2.56.91 2.58.07 DQ(6位トリニダードトバゴ3.01.60で失格)
2007   2.55.56 3.00.05 3.07.40
2008五輪 2.55.39 2.58.81 DQ(3位ロシア2.58.06が薬物違反で失格)
2009   2.57.86 3.00.90 3.02.73
2011   2.59.31 3.00.10 DQ(4位ロシア3.00.22が薬物違反で失格)
2012五輪 2.56.72 2.59.40 DQ(5位ロシア3.00.09が薬物違反で失格)
2013   2.58.71 3.00.88 DQ(3位ロシア2.59.90が薬物違反で失格)
2015   2.57.82 2.58.51 3.03.05
2016五輪 2.57.30 2.58.49 3.03.28
2017   2.58.12 2.59.00 3.01.79
2019   2.56.69 2.58.78 DNF

五輪&世界選手権の決勝での「着順別最高記録」は、以下の通り。
順) 五輪          世界選手権
1)2.55.39 2008=USA  2.54.29 1993=USA
2)2.56.60 1996=GBR  2.56.75 1997=JAM
3)2.58.49 2016=BAH  2.58.07 2005=JAM
4)2.58.52 2016=BEL  2.58.51 2015=JAM
5)2.59.06 2016=BOT  3.00.24 2015=BEL
6)2.59.53 2016=CUB  3.00.46 1993=CUB
7)3.00.50 2016=POL  3.01.16 2011=GBR
8)3.02.49 2004=BOT  3.01.37 2011年=GER

以上の通りで2016年リオ五輪では6位までが2分台で走った。

国立競技場内で行われる競技の東京五輪の最終種目。
マイルリレーチームがこの舞台に立ってT&Fの「有終の美」を飾るとともに、札幌で翌8日朝に行われる「東京五輪・陸上競技最終種目」の男子マラソンにも勢いをつけてもらいたい。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト

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