
9月23日(水・祝)から29日(火)までの7日間、「愛知・名古屋2026アジア競技大会(第20回アジア競技大会)」の陸上競技が名古屋市瑞穂公園陸上競技場で行われる。
日本での開催は、1958年・東京、1994年・広島に続き32年ぶり3回目となる。
ここでは、日本人選手のこれまでのメダル獲得の話題を中心に「記録と数字で楽しむ2026名古屋アジア競技大会」をお届けする。
現地のスタンドでの生観戦、テレビやネット配信での観戦のお供にしていただければ幸いである。
なお、各種目の展望的な「名古屋では」の記事については、原稿締め切りの都合で他国のエントリーがほとんど判明していなタイミングで書いた。そのため、記事に名前がある選手がエントリーしていない可能性もある。
・外国人選手と日本人現役選手の敬称は略。過去の選手も文章中以外のデータでは敬称略。
・2026年の記録は、9月8日判明分。
女子100m
・予選/24日 19:33・準決勝/25日 19:13
・決勝/25日 22:05

・大会記録/11.15(-0.1)S・ジャヤシンゲ(スリランカ)2002.10.08 釜山
・日本のメダル数/獲得年
金:4/51、54、66、10
銀:6/58、62、66、70、78、14
銅:4/51、58、62、74
・日本人の「金」は、杉村清子(51/日女体大)、南部敦子(54/光華女短大)、佐藤美保(66/岐阜・長良高)、福島千里(10/北海道ハイテクAC)。
・66年の佐藤美保さんは、400mRとの2冠。
・2010年の福島千里さんは、100mと200mの2冠。
・個人での連覇は、82・86年のリディア・デ・ベガ(フィリピン)が唯一。
・国としての連覇は、上記以外に、58・62年のフィリピンと90・94・98年の中国による3連覇がある。
・同一国による金銀独占は、66年の日本と98年の中国の2回。
・金銀独占以外の同一国による複数メダルは、日本が、51年(金銅)、58年(銀銅)、62年(銀銅)。94年の中国(金銅)。
◆名古屋では
日本選手権で2年連続100mと200mとの2冠の井戸アビゲイル風果(東邦銀行。11秒35/+0.5/25年)と100m2位の御家瀬緑(住友電工。11秒33/+0.1、+0.6/25・26年)がエントリー。井戸は初出場、御家瀬は18年ジャカルタ大会での4×100mRに続き2度目の代表。ともに2001年6月生まれの同学年コンビだ。
25・26年の至近2年間のベスト記録では、中国の陳妤頡が11秒08(0.7/26年)でトップ。2008年12月29日生まれでまだ17歳。16歳だった25年にも11秒10(+0.7)をマークしていて、200mでは25年アジア選手権を制している。
中国は100mと200mに混合を含む400mRの代表として8名の名前が公表されているが、誰がどの種目に出場するのかは8月末時点では不明である。
陳妤頡以外でのこの2年間の記録では、バーレーンに11秒15(26年)、フィリピンに11秒19(26年)、中国の2人目も11秒19(25年)、シンガポールにも11秒24(26年)がいて、御家瀬の11秒33は1国2名でカウントして6番目。インドの11秒34(26年)が続き、井戸の11秒35が8番目。11秒4台までに1国2名で計15名あまりがいる。
中国の葛曼棋も19年に11秒04(+0.4)で走っていて、23年杭州大会の100mチャンピオンだ。
井戸と御家瀬がメダルを獲得できれば、14年仁川大会の福島千里の「銀」以来12年ぶりとなる。
女子200m
・予選/26日 11:30・準決勝/26日 19:55
・決勝/27日 19:35

・大会記録/22.48(+0.1)D・ダルシャ(スリランカ)1998.12.18 バンコク
・日本のメダル数/獲得年
金:6/51、54、58、70、10
銀:3/54、62、66
銅:5/58、66、74、78、14
・日本人の「金」は、岡本貴美子(51/京都・光華女高)、田中みどり(54/南日本新聞)、小林祐子(58/愛知・向陽高)、山田恵子(70/香川・丸亀高)、磯崎公美(82/神奈川・山北高)、福島千里(10/北海道ハイテクAC)。
・58年の小林祐子さん、70年の山田恵子さんは、400mRとの2冠。
・82年の磯崎公美さんは、400mに両リレーを合わせて4冠に輝いた。
・10年の福島千里さんは、100mと200mの2冠。
・個人で連覇した人は誰もいない。
・国としての連覇は、51・54・58年に3連覇した日本が唯一。
・同一国による金銀独占は、54年の日本が唯一。
・同一国による複数メダルは、金銀独占以外に日本は58年(金銅)、66年(銀銅)。他国では、中国が90年(金銅)、98年(銀銅)の2回。
◆名古屋では
日本選手権で2年連続100mとの2冠の井戸アビゲイル風果(東邦銀行。22秒79/+1.0/25年)と壹岐あいこ(大阪ガス。23秒41/+1.6、+0.5/26年、26年)がともに初出場。25・26年のベスト記録では、バーレーンのS・E・ナセルが22秒45(0.0/25年)がトップ。井戸の日本記録22秒79が2位。
他の22秒台は、シンガポール、中国、バーレーンの2人目でここまでで5名。1国2名でカウントして壹岐は12番目あたり。
ナセルは、13年にナイジェリアから国籍変更した選手で400mが専門。48秒14(19年)はアジア記録で世界歴代5位。このタイムで19年ドーハ世界選手権を制した。が、ドーピングで23年2月まで2年間の資格停止処分を受けている。ナセルが200mにも出場すれば優勝候補だが、26年は5月と8月の2レースに出場していずれも23秒3台を要している。ただ、8月30日には400mを49秒27で走っているので、200mも22秒台半ばではいけそうだ。
ナセルが200mに出場するのかどうかは気になるところだが、23年杭州大会と同年のアジア選手権を制しているS・V・ペレイラ(シンガポール)も強そうだ。ベストは23年の22秒57(-0.4)。25・26年も井戸と拮抗する22秒81で走っている。
また、この2年間は25年の22秒99(+0.7)がベストだが、バーレーンのO・オディオンのベストは22年の22秒43(+0.9)でナセルを上回りバーレーン記録。ナセルと同様に14年にナイジェリアから国籍変更した。
100mで名前をあげた中国の17歳・陳妤頡も今年5月には22秒84(+0.3)で走っている。
自己ベストでは、中国の葛曼棋も20年のタイムではあるが22秒69(+1.8)、100mも19年に11秒04(+0.4)で走っていて、23年杭州大会の100mチャンピオンだ。
以上のような選手に競り勝って井戸が「金」となれば、10年の福島千里さん以来16年ぶり、日本としては6人目となる。
また「銀」か「銅」のメダルなら14年の福島さん(銅)以来12年ぶりである。メダルを目指して競り合う中で自身の日本記録を更新してもらいたいところだ。
女子400m
・予選/25日 21:15・決勝/26日 21:45

・この種目が実施されたのは1966年から。
・大会記録/50.09 S・E・ナセル(バーレーン)2018.08.26 ジャカルタ
・日本のメダル数/獲得年
金:1/82
銀:4/74、78、82、10
銅:4/66、70、86、06
・日本人の「金」は、82年の磯崎公美(神奈川・山北高)が唯一。この時は、200mに両リレーも制して4冠女王に輝いた。
・個人での連覇は2人で、98・02年のスリランカの選手、06・10年のカザフスタンの選手。
・国としての連覇は、上記の個人以外で90・94年の中国、バーレーンが14・18・23年と3連勝中。
・同一国による金銀独占は、82年の日本、86年のインド、94年の中国、23年のバーレーンの4回。
・金銀独占以外の同一国の複数メダルは、10年のカザフスタン(金銅)がある。
・日本が金メダルを獲得できれば44年ぶり。
◆名古屋では
日本選手権で2年ぶり4回目のタイトルを獲得した松本奈菜子(東邦銀行。52秒14/25年)のみがエントリー。浜松市立高校3年生だった14年仁川大会以来12年ぶりのアジア競技大会だ。
東邦銀行は、松本と100m・200mの井戸アビゲイル風果によって女子短距離3種目と両リレー、さらには男女混合リレーにも代表選手を送り込んだことになる。吉田真希子監督も02年釜山大会と06年ドーハ大会の400mHに出場し入賞している。
48秒14のアジア記録(19年)と50秒09の大会記録(18年)を持つS・E・ナセル(バーレーン)が本命。23年杭州大会では50秒66のチームメイトのK・アデコヤに0秒26差で敗れて連覇を阻まれたが、今回は大丈夫だろう。26年は49秒27に対しアデコヤは50秒28。
松本のベスト52秒14は日本歴代2位で今回のアジア競技大会出場者の25・26年の至近2年間のベスト記録では、1国2名でカウントして8位(松本よりも上位記録の中国勢は400mには不出場)。
順当ならば、バーレーンの2人が金銀独占。銅メダルは、51秒台のウズベキスタン、インドの2人、イラン、52秒台前半のフィリピンに松本を加えたあたりの争いになりそう。
この種目での日本人の最後のメダルは、10年広州大会での千葉(旧姓・丹野)麻美さん(ナチュリル)の銀メダル。丹野さんの日本記録は51秒75(08年)で松本の52秒14は歴代2位。
51秒台の選手と競り合う中で18年ぶりに日本記録を更新してメダルを手にすることができれば「万々歳」だ。
女子4×100mリレー
・予選/27日 21:45・決勝/28日 22:04

・大会記録/42.73 バーレーン 2018.08.30 ジャカルタ
・日本のメダル数/獲得年
金:6/51、58、66、70、74、82
銀:4/54、62、78、06
銅:3/94、10、14
・日本の「金」は、上述の通り6個で66~74年は3連覇。中国が86~06年の6連覇を含めて8回優勝している。
・82年ニューデリー大会で神奈川・山北高校3年生だった磯崎公美さんは、200m・400m・両リレーで4冠に輝いた。58年の小林祐子さん(愛知・向陽高)と70年の山田恵子さん(香川・丸亀高)は、200mとの2冠。
◆名古屋では
個人種目にエントリーしている井戸アビゲイル風果(東邦銀行。11秒35/25年)と御家瀬緑(住友電工。11秒33/24・26年)、混合リレーを含むリレー要員の青木益未(七十七銀行。11秒42/26年)、三浦愛華(愛媛競技力本部。11秒42/25・26年)でバトンをつなぐとすると、4人の100mベスト記録の合計は、45秒52。2走以降は加速付きのパスワークによって2秒0前後から場合によってはそれ以上のタイム短縮も可能。
ということは日本記録43秒33(22年)の更新も期待できる。
日本記録の時の1走が青木、4走が御家瀬だった。
日本が最後にメダルを獲得したのが、12年前の14年仁川大会でその時の3走を担当したのが当時環太平洋大2年生の青木だった。
23年以降の至近4年間の記録で44秒00を切っているのは以下の6カ国。
42秒61 中国/26年
43秒63 日本/24年
43秒85 インド/26年
43秒88 タイ/25年
43秒91 ベトナム/25年
43秒97 フィリピン/25年
日本が大きなミスなくバトンをつなげられれば12年ぶりのメダルは有望そうだ。
女子4×400mリレー
・決勝/29日 21:05
・この種目は、1974年から実施。
・大会記録/3.27.65 バーレーン 2023.10.04 杭州
・日本のメダル数/獲得年
金:3/74、78、82
銀:2/86、14
銅:0
・日本の「金」は、この種目が採用された74年からの3連覇での3個。他国では、86年と02~18年に5連覇のインドが計6回、中国が90~98年に3連覇、直近の23年はバーレーンが制している。
・82年ニューデリー大会で神奈川・山北高校3年生だった磯崎公美さんは、200m・400m・両リレーで4冠に輝いた。
◆名古屋では
リレーメンバーとしては、森山静穂(いちご。53秒17/26年)、中尾柚希(園田学園大・4。53秒20/25年)、寺本葵(アットホーム。53秒14/25年)のエントリー。400m、場合によっては、200m・800m・400mHの選手が走る可能性もある。400mにエントリーしている松本奈菜子(東邦銀行)とリレー要員の4人の400mベストの合計は、3分31秒65。
2走以降は加速がつくのでフラットの記録よりも0秒7くらいの短縮が可能。
ということは、トータルで2秒ちょっとは縮められることになる。
リレーの日本記録は、3分28秒91(15年)。400mの合計タイムとの差は、2秒74。11年ぶりの「日本新」も可能そうなレベルにある。
23年以降の至近4年間の他国の最高記録は、
3分27秒65 バーレーン/23年
3分27秒85 インド/23年
3分30秒81 ベトナム/24年
3分30秒88 スリランカ/23年
3分32秒68 中国/26年
3分33秒87 カザフスタン/26年
日本はベストメンバーで走る機会がなく3分35秒26(23年)が23年以降の最高。
上述の通り、今回は日本記録を狙えそうなメンバーが揃うので12年ぶりのメダルの可能性も……。
400m48秒台に50秒台の大砲が2人いて残りが53秒台のバーレーン、26年のシーズンベストが51秒76から52秒57で4人が揃いそうなインドも強力だ。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
©️JOC
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愛知・名古屋2026アジア競技大会(第20回アジア競技大会)
開催日:2026年9月23日(水)~29日(火)会場:愛知・名古屋市瑞穂公園陸上競技場
特設サイト:https://www.jaaf.or.jp/asian-games/2026/
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「第111回日本陸上競技選手権大会
兼 北京2027世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会」
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