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【記録と数字で楽しむセイコーGGP2026】男子100m:清水空跳、世界歴代で「最も若く&最も小さな9秒台選手」となるか?



5月17日(日)に国立競技場で行われる「セイコーゴールデングランプリ陸上 2026 東京」。

世界陸連が、「コンチネンタルツアーゴールド」として開催する国際大会だ。

最終的なエントリーリストは、5月13日(水)に発表される予定だが、ここでは4月末時点でのエントリーをもとに現地観戦やTV観戦のお供に特に注目される種目について「記録と数字で楽しむGGP2026」をお届けする。
なお、原稿の締め切りの関係で、2026年シーズンの試合結果や情報は5月3日までに判明したものしか盛り込めていないことをお断りしておく。
また、記事の内容にはこれまでの各種競技会のこのコーナー(「記録と数字で楽しむ・・・」)で紹介したものもかなり含まれるが、データはできる限り最新のものに更新した。

・記録や情報は、原則として5月3日判明分。
・年齢は、2026年5月17日現在のもの。
・文中、敬称略。


清水空跳、世界歴代で「最も若く&最も小さな9秒台選手」となるか?

2023年ブダペスト世界選手権と24年パリ五輪で金、25年東京世界選手権で銅のノア・ライルズ(アメリカ)が参戦。

ファイナリスト8名全員が9秒台でフィニッシュラインに飛び込んだ超ハイレベルなパリ五輪のレースを制した時の9秒79(+1.0)が自己ベスト(世界歴代13位タイ)。日本記録(9秒95/山縣亮太/セイコー/2021年)を0秒16上回る。公認条件での9秒台は「28回」で追風参考が「11回」。

ライルズの胸を借りる日本勢の中心は、2017年9月に9秒98をマークし日本人の「9秒台」の扉をこじ開けた30歳の桐生祥秀(日本生命)、守祐陽(大東大→渡辺パイプ)、同じく10秒00の自己ベストが「U18世界最高記録」でもある17歳の清水空跳(石川・星稜高/3年)だ。

タイトルの通り、高校3年生の清水が9秒台で走れば、世界の歴代で「最も若く&最も背の小さな9秒台選手」となる。

清水は、2009年2月8日生まれでレースが行われる5月17日で、「17歳3カ月と9日」。2026年5月3日時点で「9秒台スプリンター」は世界歴代で217人(のべ1470回)。清水よりも若くて背の小さい人はこれまで世界のどこにもいない。

「9秒台の世界歴代最年少記録」は、「17歳7カ月7日」でテイト・テイラー(アメリカ/2007年9月26日生まれ)が2025年5月3日にマークした9秒92(+1.1)。ただし、この記録は、世界陸連に事前の申請がなされていない競技会でのものだったため世界陸連のリストには収録されていない。国際的に認められているテイラーの25年のベストは、10秒10(0.0/6月22日)だ。
世界陸連が認めている記録での「最年少9秒台」は、「17歳11カ月4日」。クリスチャン・ミラー(アメリカ/2006年5月16日生まれ)が2024年4月20日に9秒93(+1.6)で走ったものだ。清水が、2027年1月11日までに9秒台で走ればこれを更新することになる。また、テイラーの記録ならば、2026年9月14日までがその条件だ。是非とも「最年少9秒台」を達成してもらいたい。

清水の「10秒00」に関して、もう少し細かな話をすると、25年7月26日の広島での全国インターハイで「10秒00(+0.9)」で走った時の1000分の1秒単位のタイムは「9秒995」だった。ルールでは1000分の1秒の単位を切り上げて100分の1秒単位にしたものが正式記録とされるため「10秒00」となった。このレースでのリアクションタイム(スタート反応時間)は、「0秒135」だったので、100mに要した実質のタイムは「9秒995-0秒135=9秒860」となる。
「たら、れば」の話になるが、清水のリアクションタイムがあと0秒005早くて「0秒130」であったならば1000分の1秒単位のタイムは「9秒990」で公認記録も「9秒99」となるところだった。この時、清水は「16歳5カ月18日」でテイラーやミラーの「9秒台最年少記録」よりも1年以上も若かった。
なお、ルールでのリアクションタイムの最小値は「0秒100」。よって、清水がこれと同じ反応時間でスタートしていれば「9秒960(正式記録9秒96)」というタイムが生まれていたことになる。山縣亮太(セイコー)の日本記録9秒95(2021年6月6日)にあと0秒01である。

清水は2009年2月8日が誕生日でいわゆる「早生まれ」。陸上競技の年齢区分でいうと「U18(アンダー18=その年の12月31日までに18歳の誕生日を迎えない人)」。当然のことながらその上のクラスである「U20」の資格も2028年末まである。現在の「U20世界記録」は、「9秒91」だ。

10秒00は、「U18世界最高記録」で従来の10秒06を0秒06上回った。10秒06は、上述のミラーが23年7月8日に17歳1カ月22日の時に追風2.0mでマークしたタイムだった。それを更新したのが「16歳5カ月18日」の選手であったことは驚きのニュースとして世界に伝わった。
「U18」のカテゴリーの中心は、17歳の選手だがこの年齢層での1歳の差は非常に大きい。清水の前の「16歳世界最高記録」は、10秒09。16歳の世界歴代2位が10秒20、同歴代3位が10秒28だった。10秒00が16歳の記録としてはいかに飛び抜けたものであったかということがわかるだろう。

ここからは清水の「10秒00」をピッチとストライドという視点から他の選手のデータと比較してその特徴を紹介する。
10秒00の時、清水は100mを「48.9歩」で走った。1秒間あたりの平均ピッチ(脚の回転数)は「48.9歩÷10.00秒=4.890歩/秒」。1歩の平均ストライド(歩幅)は「100m÷48.9歩=204.5cm」となる。

上記の平均ストライド「204.5cm」は100mトータルでの「平均値」であって最大のストライドではない。スタート直後は細かくステップを刻むので当然そのストライドは短い。しかしトップスピードに乗った後半は、選手にもよるが平均ストライドよりも20~40cmくらいは大きくなる。日本陸連科学委員会の分析によると清水のトップスピードが出現したのは、50~60m地点でその秒速は「11.56m」。その時のストライドは「225cm」、ピッチは「5.15歩/秒」だった。
清水のデータは以上の通りだが、それが他の選手と比べてどうであるのかを調べてみた。日本歴代10傑以内の選手のデータが以下の表である。


【日本歴代10傑選手の100mに要した歩数・平均ピッチ・平均ストライド・ストライドの身長比】
・2026年5月3日現在
・参考までに自己ベストを上回る追風参考記録の時のデータも収録した
・氏名の前の「★」は、今大会出場者
1)★山縣亮太 
 9.95(+2.0)2021.06.0647.8歩4.804歩/秒209.2cm118.2% 
2)サニブラウンAハキーム  
 9.96(+0.5)2024.08.0444.0歩4.418歩/秒227.3cm119.6% 
 9.96w(+2.4)2019.06.0543.5歩4.367歩/秒229.9cm121.0%=追風参考
3)★桐生祥秀
 9.98(+1.8)2017.09.0947.1歩4.719歩/秒212.3cm120.6% 
 9.87w(+3.3)2015.03.2846.8歩4.742歩/秒213.7cm122.1%=追風参考
3)★小池祐貴
 9.98(+0.5)2019.07.2051.0歩5.110歩/秒196.1cm113.3% 
5)伊東浩司
 10.00(+1.9)1998.12.1344.8歩4.480歩/秒223.2cm122.6% 
5)★清水空跳
 10.00(+1.7)2025.07.2648.9歩4.890歩/秒204.5cm124.7% 
5)★守祐陽
 10.00(+1.3)2025.08.0349.8歩4.980歩/秒200.8cm116.7% 
 9.97w(+3.9)2025.05.0949.7歩4.985歩/秒201.2cm116.9%=追風参考
5)栁田大輝
 10.00(+0.3)2025.08.1645.1歩4.510歩/秒221.7cm121.8% 
 9.92w(+3.3)2025.08.1644.1歩4.446歩/秒226.8cm124.6%=追風参考
9)★多田修平
 10.01(+2.0)2021.06.0647.9歩4.785歩/秒208.8cm118.6% 
 9.94w(+4.5)2017.06.1047.0歩4.728歩/秒212.8cm120.9%=追風参考
10)朝原宣治
 10.02(+2.0)2001.07.1345.8歩4.581歩/秒217.9cm121.7% 
10)坂井隆一郎
 10.02(+1.1)2022.06.2652.1歩5.200歩/秒192.3cm112.5% 

100mに要した歩数が最も少ないのがサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)の44.0歩、最も多いのが坂井隆一郎(大阪ガス)の52.1歩。これと連動し最速ピッチは坂井の5.200歩/秒、最も遅いのがサニブラウンの4.418歩/秒。ストライドが最も大きいのがサニブラウンの227.3cmで最も小さいのが坂井の192.3cmだ。

清水の歩数48.9歩は、11人中の多い方から4番目。ピッチは早い方から4番目。平均ストライドは小さい方から4番目。注目すべきは、身長に対するストライドの比率である。清水の平均ストライド204.5cmは身長の「124.7%」にあたり11人の中で最も大きな数字だ。
ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が、2009年ベルリン世界選手権で現世界記録の9秒58(+0.9)を出した時、100mに要した歩数は「40.92歩」。平均ピッチは「4.271歩」で平均ストライドは「244.4cm」。身長に対する比率は「124.7%」だった。つまり清水の身長に対するストライド比124.7%はボルトと同じなのだ。ボルトといえば長身から繰り出す大きなストライドでライバル達を後半にどんどん引き離していくのが特徴だ。そんなボルトと同じ身長比のストライドで清水は走っているのだ。実際にはあり得ないことだが、ボルトが、清水と同じ1秒間「4.890歩」のピッチを刻むことができれば、100mは「8秒37」。マンガの世界でなければ不可能なタイムになる。
参考までに今回参戦するライルズがパリ五輪を自己ベストの9秒79で制した時のデータは以下の通り。平均ストライドの身長比は「124.6%」で清水とほぼ同じだ。

★ノア・ライルズ
 9.79(+1.0)2024.08.04 44.1歩 4.505歩/秒 226.8cm 124.6%

プログラムには掲載されていないマニアックな最高記録は以下の通り。

<日本国内&国立競技場でマークされた最高記録>
 9.77(+0.3)O・セビル(ジャマイカ)2025.09.14 国立 世界選手権
<日本人の日本国内最高記録>
 9.95 =日本記録と同じ
<日本人の国立競技場最高記録>
 10.06(+1.1)栁田大輝(東洋大・4)2025.05.18 GGP東京
<5月17日の世界最高記録>
 9.92(+0.6)U・ボルト(ジャマイカ)2008.05.17 ポート・オブ・スペイン

「日本新記録」がアナウンスされたり、日本人5人目となる「9秒台」に、守・清水が仲間入りすれば万々歳だが、それがかなわなくとも「日本人の国立競技場最高記録」を誰かが破るかもしれない。10秒06は、25年大会で上述のミラー(ベスト記録9秒93)と9秒76がベストのクリスチャン・コールマン(アメリカ)を抑えて栁田が優勝した時のものだ。

次に各選手のコンスタントな力を調べてみた。
個人の自己ベストから10番目の記録の平均値による日本歴代リストだ。

<個人別10傑平均記録による日本歴代リスト/10傑平均10秒199以内と清水空跳>
・2026年5月3日判明分
・氏名の前の「★」は今回出場の選手。「×」は非現役を示す
10傑平均記録氏名歴順)PB~10位10秒09以内回数
1) 9.996サニブラウンAハキーム2)9.96~10.041)26回
2)10.019★桐生祥秀3)9.98~10.041)26回
3)10.022★山縣亮太1)9.95~10.063)15回
4)10.070栁田大輝5)10.00~10.114)6回
5)10.081★小池祐貴3)9.98~10.114)6回
6)10.098坂井隆一郎10)10.02~10.1210)2回
7)10.097★多田修平9)10.01~10.148)3回
8)10.099ケンブリッジ飛鳥12)10.03~10.148)3回
9)10.102×朝原宣治10)10.02~10.156)4回
10)10.109末續慎吾12)10.03~10.1510)2回
11)10.135×伊東浩司5)10.00~10.246)4回
12)10.153★守祐陽5)10.00~10.2212)1回
13)10.157×江里口匡史14)10.07~10.2412)1回
14)10.160×塚原直貴16)10.09~10.2312)1回
15)10.160★鈴木涼太21)10.11~10.19-)-
16)10.162★井上直紀25)10.12~10.19-)-
17)10.169東田旺洋19)10.10~10.21-)-
18)10.179×高瀬慧16)10.09~10.2712)1回
19)10.180★飯塚翔太15)10.08~10.2412)1回
20)10.184和田遼19)10.10~10.22-)-
21)10.193★デーデー・ブルーノ30)10.14~10.22-)-
    
-)10.238★清水空跳5)10.00~10.3712)1回

日本記録を更新したことがある桐生、サニブラウン、山縣がコンスタントな力ということでも上位に並ぶが、22歳の栁田がどんどん順位を上げてきている。23年5月は15位、24年6月に9位、25年6月に4位という具合にトップ3との平均タイムの差もどんどん縮めてきている。

守も1年間で21位から12位までジャンプアップ。
現在はランク外の17歳の清水の個人別10傑は、9番目までが2025年の記録、10番目が24年のもの。26年シーズンにどこまでランクアップしてくるか?

100m全体の平均スピードであれば、10秒00の選手は「平均秒速10.0m/秒」だが、このクラスの選手のラスト10mの実際の秒速は、11.0m/秒前後(90~100mの10mを0秒90前後で走る)。よって、9秒98の桐生や10秒00の守・清水は、9秒79のライルズには距離にして2m30cm前後、ストライド1歩分くらいの差をつけられる計算になる。
今回のGGP東京の最終種目、桐生を筆頭に日本人選手がライルズに食らいつき、あるいはトップでフィニッシュでもすればスタジアムの興奮は最高潮に達するだろう。
そんなレースを期待したい。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


■チケット情報 好評発売中!

チケットの詳細は特設サイトのチケットページ(https://goldengrandprix-japan.com/2026/ticket/)をご確認ください。




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