2025.11.06(木)その他

マラソンの安全安心な大会運営についてのお願い ~スタートのやり直しに関する競技規則の再確認~



マラソンなどのロードレース大会(※)において、トップアスリートから市民ランナーまで幅広い年代、競技レベルの、多くのアスリートが安心して競技に取り組める環境づくりを目指すため、スタートのやり直しに関してお知らせいたします。(競技規則・ルールの改変は行っておりません)
特に、何千人、何万人という大規模マラソン大会のスタートでは、一度動き出してしまうと、全員を同時に静止させることは難しく、転倒が転倒を生みドミノ倒しが発生するなど大事故につながる可能性もあります。すべてのランナーが安全に走りだせるよう、主催者の皆さま、ランナーの皆さまには、ご理解とご協力をお願いいたします。
※ロードレース大会とは、マラソンに限らず、ハーフマラソンや10kmレース、競歩など、すべてのロードレース大会を対象とします。


◆世界陸上男子マラソンの状況

東京2025世界陸上の男子マラソンにおいて、スタートライン最前列に並んでいた出場選手1名が、号砲が鳴る前にスタートラインを飛び出してしまいました。
その後号砲が鳴りレースがスタートしましたが、WA(世界陸連)のスタート審判長の判断により、選手が数十メートル走ったところでレースを中止し、その後再度整列、スタートのやり直しを行いました。
本レースは、出場選手数が全88名と少なく、リコールしても全員が玉突き状に衝突することなく止まることができる状況にあったため、レースを止めることができました。


◆スタートおよび計時の競技規則に関して

〇短距離:

規則が厳格に運用されています。人類は0.1秒未満の反応は不可能とされているので、それをスターティングブロック(対応している機材の場合)が検知すると自動的にフライングの通知が発信され、レースを止めることになります。
目視した事象に加えて、その反応時間をもとに不正スタート(フライング)失格とすることができます。


〇中距離以上:

立位のスタートは、バランスを崩しやすいため厳格に規則の運用は求められていません。目視で確認し、不正スタート(フライング)を判定します。たとえ号砲前に動いたとしても、通常はバランスを崩したとして、スタートのやり直しで済ませます。
(計時のルール:トラック種目は0.01秒に切り上げますが、道路競走は1秒に切り上げます。)


◆市民マラソンのスタートに関して

通常の市民マラソン(大規模大会)では、号砲後にレースを止めることは大きな危険を伴うため、安全を考慮しそのまま出す必要があります。悪質な違反等でない場合、道路競走は1秒単位の計時であり0.1秒を争わないので通常通りレースは成立とみなされます。
ただし、明確かつ故意の違反である場合は、レース途中またはレース終了後に失格とすることができます。
(審判長は、躊躇なく適切な措置を検討する。適切な措置は、失格だけでなく、イエローカード(YC)や口頭注意も理論上ありうる。)

マラソンなどの特に長い距離の種目においては、たとえ1、2秒先に出ていたとしても、集団が形成されるなどして実質的な利益とならない場合が多く、失格としないケースもあります。
失格か注意(イエローカード(YC)または口頭注意)かは、審判長の判断となります。


◆スタート時の対策(主催者ができること)

主催者は、号砲が鳴るまではスタートしない、後方に整列した選手が前方の選手を押し出さない、フィニッシュ後に失格もありうるといった内容を選手に知らせる必要があります。
すべてのランナーがフェアプレー精神に則り、公平に、安全にスタートを切ることができるよう、周知することが大切です。

・大会前に行われる、テクニカルミーティングで不正スタート(フライング)について説明をする。
・スタート前にスタートライン前方に並ぶ選手に対して、アナウンスを行う。
・エリートと一般の部で、スタート整列時に一定のスペースを設ける。
(後方からの押し出しを防ぐ工夫をすることも大切です)
・スタート地点にカメラを設置する。
(万が一不正スタート(フライング)があった際の抗議などに対応する際の材料をそろえておくことも大切です)


<参考>

ルールブック16.7.2 ⅱ
立位(スタンディング・ポジション)でスタートする競技者の方がバランスを崩しやすいため、偶発的に動いてしまったと考えられる場合、そのスタートは「ふらつき」と見なされ、不正スタートの対象として扱われるべきではない。
スタート前に突かれたり押されたりしてスタートラインの前に出てしまった競技者は、不正スタートとして罰せられるべきではない。

ルールブック55.6 斜字(規則の解釈)
競技場外種目でも、スタート規則の不正スタートの適用にあたり、過剰にならないよう強調される。
道路競走やその他の競技場外種目では、スタートの呼び戻しは困難であり、どんな場合でも大規模な参加者に対しては実用的ではない。


すべてのランナーが、42.195kmの道のりを駆け抜けられるよう、安全なスタートにご協力をお願いいたします。



https://www.jaaf.or.jp/safety-navi/

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