ワールドアスレティックス(以下、WA)が女子カテゴリーへの出場資格に関する新たな規則(次ページ参照)を承認しました。この規則は、2025年9月1日に施行され、東京2025世界陸上競技選手権大会に適用されることになっています。
陸上競技は現時点では、男子・女子の2つのカテゴリーに分かれて競技が実施されています。しかし、性の多様性は医学的な観点からも明らかになっており、国際的な人権の観点からも尊重・保護されるべきであるとされています。
したがって、日本陸上競技連盟としては、競技上の男子カテゴリー、女子カテゴリーという名称は、ジェンダーやセクシュアリティという、個人のアイデンティティと分かちがたい意味合いではなく、競技上の便宜から設けられたカテゴリーの名称として理解すべきだと認識しています。
日本陸上競技連盟は、この認識を大前提としつつ、今回の新たな規則に対し以下のように対応します。
(1) 選手が検査を受けるか否か、および検査結果にかかわらず、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の基本理念に則り、人権の尊重と保護に最大限の努力を尽くします。
(2) 東京2025世界陸上競技選手権大会の女子カテゴリーに出場することを希望する選手に検査を強制せず、その意思を最大限尊重します。また、選手が検査を拒否し、結果として東京2025世界陸上競技選手権大会に出場できない場合でも、当該選手をアスリート・センタードの精神に則り支援します。
(3) 東京2025世界陸上競技選手権大会の女子カテゴリーに出場することを希望する選手が検査を受ける場合、選手からの要望があれば、不安なく検査とその結果に向き合うことができるよう、適切な検査機関の提示やカウンセリング等を支援します。
(4) 現時点でWAから提示のあった新たな規則に関しては、策定過程における議論の詳細、排除される可能性がある個人に関するケア、公平性の基準の妥当性に関する情報、新たな規則が社会に与える影響に関する認識等についての詳細が不明であるため、引き続き、加盟団体として必要な情報を入手できるようWAと緊密な連携を図ります。
この規則は「アスリートの性の多様性に関するワーキンググループ」の提言にもとづき策定されました。同ワーキンググループは、1年以上にわたる法学・医学・社会学的検討を行い、以下を確認しました。
• 女子カテゴリーの制度とその目的の確認
• 上記にもとづく資格の改正
• DSD(性分化疾患)とトランスジェンダー選手に関する参加資格を統合し、それによってDSD選手の参加の機会が制限される場合には、既存の規則下でキャリアを形成してきた当該選手に対しては、経過措置や例外規定などの保護措置を講じる
• 女子カテゴリーで競技する全選手に参加資格の事前承認(適格性確認)を義務づける
• 性の多様性をもつエリートレベルのXY染色体を有する選手の支援を含む、将来的な取組を検討する
WAの女子カテゴリーは資格規定3.5に定義され、このカテゴリーで競技できるのは以下のアスリートに限ると定められています。
a. 生物学的女性(biological females)
b. 生物学的女性であって、World Athleticsのアンチ・ドーピング規則に基づき治療使用特例(TUE)**が認められたうえで、男性化を目的とする性別適合治療(male gender-affirming treatment)の一環としてテストステロンを使用した者
→この参加資格に該当する選手は、最後にテストステロンを使用してから一定期間が経過するまで、女子カテゴリーには出場できません。この期間は4年以上を下限とし、治療の開始時期・期間・投与量・効果などあらゆる要因を考慮したうえで、WAが個別に判断します。
c. 生物学的男性であるが完全型アンドロゲン不応症(CAIS)を有し、男性の性的発達―特にあらゆる種類の思春期的変化―を経ていない者
d. 性分化疾患(DSD)を持つ生物学的男性であって、WAが定めた経過措置(transitional provisions)を満たす者
なお、プレスリリースでは「経過措置はトランスジェンダー女性には適用されません。その理由は、現行規則の下、国際エリートレベルで競技しているトランス女性選手が存在しないためです」と記されています。
陸上競技は現時点では、男子・女子の2つのカテゴリーに分かれて競技が実施されています。しかし、性の多様性は医学的な観点からも明らかになっており、国際的な人権の観点からも尊重・保護されるべきであるとされています。
したがって、日本陸上競技連盟としては、競技上の男子カテゴリー、女子カテゴリーという名称は、ジェンダーやセクシュアリティという、個人のアイデンティティと分かちがたい意味合いではなく、競技上の便宜から設けられたカテゴリーの名称として理解すべきだと認識しています。
日本陸上競技連盟は、この認識を大前提としつつ、今回の新たな規則に対し以下のように対応します。
(1) 選手が検査を受けるか否か、および検査結果にかかわらず、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」の基本理念に則り、人権の尊重と保護に最大限の努力を尽くします。
(2) 東京2025世界陸上競技選手権大会の女子カテゴリーに出場することを希望する選手に検査を強制せず、その意思を最大限尊重します。また、選手が検査を拒否し、結果として東京2025世界陸上競技選手権大会に出場できない場合でも、当該選手をアスリート・センタードの精神に則り支援します。
(3) 東京2025世界陸上競技選手権大会の女子カテゴリーに出場することを希望する選手が検査を受ける場合、選手からの要望があれば、不安なく検査とその結果に向き合うことができるよう、適切な検査機関の提示やカウンセリング等を支援します。
(4) 現時点でWAから提示のあった新たな規則に関しては、策定過程における議論の詳細、排除される可能性がある個人に関するケア、公平性の基準の妥当性に関する情報、新たな規則が社会に与える影響に関する認識等についての詳細が不明であるため、引き続き、加盟団体として必要な情報を入手できるようWAと緊密な連携を図ります。
【参考】WAの新たな規則について(WAのプレスリリースにもとづく概要)
新たな規則では、ワールドランキング対象競技における女子カテゴリーの参加資格として、女子カテゴリーに出場するすべての選手は、SRY遺伝子検査(Y染色体の有無)を受けることを義務づけました(生涯に一度のみ)。検査は、頬粘膜または血液検査によって実施されます。この規則は「アスリートの性の多様性に関するワーキンググループ」の提言にもとづき策定されました。同ワーキンググループは、1年以上にわたる法学・医学・社会学的検討を行い、以下を確認しました。
• 女子カテゴリーの制度とその目的の確認
• 上記にもとづく資格の改正
• DSD(性分化疾患)とトランスジェンダー選手に関する参加資格を統合し、それによってDSD選手の参加の機会が制限される場合には、既存の規則下でキャリアを形成してきた当該選手に対しては、経過措置や例外規定などの保護措置を講じる
• 女子カテゴリーで競技する全選手に参加資格の事前承認(適格性確認)を義務づける
• 性の多様性をもつエリートレベルのXY染色体を有する選手の支援を含む、将来的な取組を検討する
WAの女子カテゴリーは資格規定3.5に定義され、このカテゴリーで競技できるのは以下のアスリートに限ると定められています。
a. 生物学的女性(biological females)
b. 生物学的女性であって、World Athleticsのアンチ・ドーピング規則に基づき治療使用特例(TUE)**が認められたうえで、男性化を目的とする性別適合治療(male gender-affirming treatment)の一環としてテストステロンを使用した者
→この参加資格に該当する選手は、最後にテストステロンを使用してから一定期間が経過するまで、女子カテゴリーには出場できません。この期間は4年以上を下限とし、治療の開始時期・期間・投与量・効果などあらゆる要因を考慮したうえで、WAが個別に判断します。
c. 生物学的男性であるが完全型アンドロゲン不応症(CAIS)を有し、男性の性的発達―特にあらゆる種類の思春期的変化―を経ていない者
d. 性分化疾患(DSD)を持つ生物学的男性であって、WAが定めた経過措置(transitional provisions)を満たす者
なお、プレスリリースでは「経過措置はトランスジェンダー女性には適用されません。その理由は、現行規則の下、国際エリートレベルで競技しているトランス女性選手が存在しないためです」と記されています。