2025.05.03(土)選手

【記録と数字で楽しむセイコーGGP2025】男子200m:19秒台の海外勢に食らいつき鵜澤・上山が「20秒の壁突破」に挑む



5月18日(日)に国立競技場で行われる「セイコーゴールデングランプリ陸上 2025 東京」。

世界陸連が、「コンチネンタルツアーゴールド」として開催する国際大会だ。
ワールドランキングにおいて「Aカテゴリー」に位置付けられており、順位に応じて付与されるポイントが非常に高いため、9月に国立競技場で開催される「東京世界選手権」への出場を目指す選手にとって非常に重要な大会である。

ここでは、現地観戦やTV観戦のお供に特に注目される種目について「記録と数字で楽しむGGP2025」をお届けする。
なお、原稿の締め切りの関係で、2025年シーズンの試合結果や情報は4月30日までに判明したものしか盛り込めていないことをお断りしておく。
また、記事の内容にはこれまでの各種競技会のこのコーナー(「記録と数字で楽しむ・・・」)で紹介したものもかなり含まれるが、データはできる限り最新のものに更新した。

・記録や情報は、原則として4月30日判明分。
・年齢は、2025年5月18日現在のもの。
・文中、敬称略。

※最新出場選手リスト(随時更新中)
https://goldengrandprix-japan.com/2025/athlete/



19秒台の海外勢に食らいつき鵜澤・上山が「20秒の壁突破」に挑む

2023年ブダペスト世界選手権と24年パリ五輪に連続出場した鵜澤飛羽(JAL/20秒23=2023年)と上山紘輝(住友電工/20秒26=2022年)が19秒台のベストを有する海外の2人に挑む。日本人スプリンターにとっては、悲願ともいえる「19秒台」への挑戦だ。

20秒03の日本記録(末續慎吾/ミズノ)がマークされたのは、2003年6月7日の横浜国際競技場(日産スタジアム)での日本選手権。23・24年の日本選手権を連覇した鵜澤が生まれたのが02年11月25日なので生後6カ月半。まだハイハイができていなかったかもしれない頃の話である。

22年前に世界歴代32位タイだった20秒03も現在(4月30日現在)では歴代125位にまで順位が下がってしまった。
国別記録(ナショナルレコード)の順位も22年前の13位が38位となった。
また、当時は「アジア記録」ではあったのだが、15年にカタールの選手が19秒97を出して更新され、19年には中国人選手が19秒88に伸ばし、アジア歴代3位となっている。
当時と同じ世界歴代32位に相当する現在の記録は「19秒77」であるが、まずは「19秒99以内」に到達してもらいたいところである。


◆東京五輪・金メダリストのドグラスが中心か?◆

レースでの目標となる海外選手は、19秒台の2人。
アンドレ・ドグラス(カナダ/19秒62=21年)アンドリュー・ハドソン(ジャマイカ/19秒87=22年)だ。
いずれも自己ベストは4・3・6年前のものだが、19年以降の年次ベストは以下のとおり(25年は4月30日現在)。24年のシーズンベストからすると日本人にとって丁度いい目標になりそうだ。

ドグラスハドソン
201919.8720.04
202020.24
202119.6220.02
202220.3819.87
202319.7620.11
202419.9820.02
202520.32
実績ではドグラスが群を抜く。200mは21年東京五輪で金メダル、16年リオ五輪と19年ドーハ世界選手権も銀で23年ブダペストが6位。100mでは15年の世界選手権から16年五輪・19年世界選手権・21年五輪と4大会ですべて銅メダルを獲得している。

200mの公認条件での19秒台は、世界歴代(25年4月30日現在)で112人が計551回マークしている。100mの9秒台は、205人が計1368回なので、200m19秒台の方が希少価値が高い。
アジアでは、F・オグノデ(カタール)の19秒97(2015年)が初19秒台で、それを破った謝震業(中国)の19秒88(2019年)の2回のみ。

日本記録の20秒03(末續慎吾/2003年6月7日)は世界歴代125位タイでアジア歴代3位。2003年の世界3位で当時のアジア新記録、2003年末時点の世界歴代32位タイだった。
まもなく「22歳」を迎えることになるが、五輪&世界選手権で実施される男女トラック種目の中では、男子400mH(47秒89/為末大/2001年8月10日)についで長く残っている日本記録だ。2023年には、1991年から残っていた男子400mの日本記録が32年ぶりに破られた。200mもこれに続いてもらいたい。


◆個人別10傑平均では鵜澤の順位が上昇中◆

100mと同じく、個人別10傑平均記録の日本歴代10傑を紹介する。
日本記録保持者の末續が10傑平均も自己10番目のタイムでも20年あまりトップの座を守っている。44歳になった24年も100m10秒台(10秒98)の走力を維持しているのは素晴らしい。
飯塚が19秒99で走れば、10傑平均で末續と肩を並べられる計算になるが、そのハードルは高い。22歳の鵜澤と26歳の上山は、これからどんどん平均値を上げていくことになるだろう。

<個人別10傑平均記録の日本歴代10傑(2025年4月30日現在)>
・氏名の前の「×」は今大会不出場。「▲」は、非現役
順)平均記録氏名1位 ~10位20秒30以内
1)20.263×末續慎吾20.03~20.377回
2)20.303×飯塚翔太20.11~20.394回
3)20.332サニブラウンAハキーム20.08~20.472回
4)20.339▲藤光謙司20.13~20.462回
5)20.346鵜澤飛羽20.23~20.442回
6)20.373▲伊東浩司20.16~20.463回
7)20.383×小池祐貴20.23~20.483回
8)20.404▲高瀬慧20.14~20.551回
9)20.436▲高平慎士20.22~20.521回
10)20.457上山紘輝20.26~20.531回
次)20.539×桐生祥秀20.41~20.60 

参考までに、今回出場する海外2選手の10傑平均は、
平均記録氏名1位~10位19秒台20秒29以内
19.807ドグラス19.62~19.9114回45回
20.050ハドソン19.87~20.131回17回



◆鵜澤・上山の対戦成績◆

鵜澤、上山の直接対決での対戦成績(決勝に限る)は、
鵜澤vs上山が、鵜澤の6勝2敗。


◆19秒台のための100mのタイムの条件は?◆

6年前に調査したもので最新のデータでないことをお断りしておくが、以下は、200m19秒台の選手の100mの最高記録を調べたものである。
それぞれの種目の平均値と標準偏差、100mに対する200mの記録の倍率を算出すると以下のようになる。
 100m200m倍率
平均10.00319.8261.982391
標準偏差0.1720.1650.030725
200m19秒台の選手の中には、「200mが本職」であったり「100mが本職」であったり、中には「400mが本職」という人が混在する。標準偏差が200mよりも距離の短い100mの方が大きいのはそのためであろう。

上記のデータからすると、200m19秒台の選手は平均的には100mのベスト記録の「1.982391倍」で200mを走っている。逆算すると、100mを「10秒08」で走れる選手ならば、200mを「19秒台(19秒99)」で走れるということになる。

鵜澤、上山と外国人2人のデータは、
<100m・200mベストとその倍率>
氏名100m200m倍率
鵜澤飛羽10.2520.231.973659
上山紘輝10.3120.261.965082
ドグラス9.8919.621.983822
ハドソン10.0719.871.973188
    
末續慎吾10.0220.031.997009
ボルト9.5819.192.003132
25年3月22日に鵜澤は宮崎で公認許容範囲を僅かにオーバーする追風2.1mながら、100mを10秒14で走った。これに上記の鵜澤の倍率を掛けると200mは「20秒02(1000分の1秒単位は、20秒013)」となる。

上記のそれぞれの倍率を基準として、200mを「19秒99以内」で走るための100mのタイムを逆算すると、
鵜澤は、10秒12
上山は、10秒17
となる。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)



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【ワールドアスレティックスコンチネンタルツアー】

ワールドアスレティックス(WA、世界陸連)が主催するダイヤモンドリーグ(2025年は15大会指定)以外の世界最高となるOne-Day 競技会のシリーズです。コンチネンタルツアーは世界各地で開催され、ゴールド、シルバー、ブロンズ、チャレンジャーの4つのレベルに分けられ、これらのレベルは、競技会の質と提供される賞金によって決まります。

本大会が位置付けられているWAコンチネンタルツアーゴールドは、2025年は世界で13大会のみ指定され、WAのワールドランキングのカテゴリー(格付け)で日本選手権(Bカテゴリー)より上位の「Aカテゴリー」に位置付けられており、東京2025世界陸上競技選手権大会への出場資格獲得を目指す海外、国内のトップアスリートにとって、ワールドランキングを向上させるために、重要な競技会です。



【アーカイブ】セイコーGGP2024


▼【セイコーGGP】2024特設サイト
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▼【セイコーGGP2024 大会レポート】
大歓声の中アスリートが躍動:北口最終試技で逆転V/豊田は歴代5位の自己記録で快勝!
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▼【セイコーGGP】2024ギャラリー
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