2023.08.19(土)選手

【記録と数字で楽しむブダペスト世界選手権】男子棒高跳:日体大3年・柄澤が「師」以来の世界の舞台に(予選8月23日、決勝26日)



8月19日(土)から27日(日)の9日間、ハンガリーの首都ブダペストを舞台に「第19回世界陸上競技選手権大会」が開催される。日本からは、76名(男子48名・女子28名)の代表選手が世界のライバル達と競い合う。

現地に赴く方は少ないだろうがテレビやネットでのライブ中継で観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する33種目に関して、「記録と数字で楽しむブダペスト世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある拙稿と同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中では五輪についても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

大会期間中は、日本陸連のSNS(Facebook or X)で、記録や各種のデータを随時発信予定。そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。
日本陸連Facebook:https://www.facebook.com/JapanAthletics
日本陸連X(Twitter):https://twitter.com/jaaf_official

現地と日本の時差は、7時間で日本が進んでいる。競技場内で行われる決勝種目は、日本時間の深夜から早朝にかけて競技が行われる。

睡眠不足にどうぞご注意を!


男子棒高跳

(実施日時は、日本時間。カッコ内は現地時間)
・予選 8月23日 17:15(23日10:15)
・決勝 8月27日 02:25(26日19:25)

※記録は原則として7月31日判明分。現役選手の敬称は略させていただいた。トラック競技の予選・準決勝の通過条件(○組○着+○)は、ルールやこれまでの世界大会でのものを参考に記載したため、ブダペストではこれと異なる条件になる可能性もある。


日体大3年・柄澤が「師」以来の世界の舞台に

参加標準記録は5m81、ターゲットナンバーは36名。記録の有効期限最終日である7月30日時点の1国3名以内のワールドランキングで日本人最上位の柄澤智哉(日体大3年)は1つ及ばない37位だった。が、8月7日のエントリーで上位者に辞退が出たため繰り上げ当選で初出場となった。エントリー記録は5m56(23年)・自己ベストは5m60(22年)。
この種目に日体大関係者が出場するのは、99年セビリア・03年パリに出場した柄澤のコーチである小林史明さん(「ミキハウス」と「日体大AC」の所属で出場)以来2人目。

小林さんは、両大会ともファイナル進出はならなかったが、柄澤には是非とも「師」を超えてもらいたいところである。


世界選手権&五輪での入賞者と日本人最高記録

1928年五輪6位3.90中沢米太郎(東京高師)
1932年五輪2位4.30西田修平(早大)=日本新
五輪5位4.00望月倭夫(東京高師)
1936年五輪2位4.25西田修平(日立)
五輪3位4.25大江季雄(慶大)
五輪6位4.00安達清(早大)
1952年五輪6位4.20沢田文吉(岐阜市教委)
2005年 8位5.50澤野大地(ニシ・スポーツ)
2013年 6位5.75山本聖途(中京大)
2016年五輪7位5.50澤野大地(富士通)

なお、「6位まで入賞」だった1976年モントリオール五輪で、高根沢威夫さん(本田技研)が5m40で8位になっている。

世界選手権での日本人最高記録は、山本が13年に6位になった時の5m75。

五輪での日本人最高記録は、
5m70 澤野大地(ニシ・スポーツ)2004年 予選A組7位


◆1983年以降の世界選手権&五輪での1・3・8位の記録と決勝に進めなかった最高記録◆

世界選手権が始まって以降の1・3・8位の記録と決勝に進むことができなかった最高記録は、以下の通り。
1位3位8位予選落最高
19835.705.605.405.40
1984五輪5.755.605.305.20
19875.855.805.605.30
1988五輪5.905.805.605.30
19915.955.855.605.45
1992五輪5.805.755.405.50
19936.005.805.705.65
19955.925.865.605.55
1996五輪5.925.925.705.60
19976.015.915.705.60
19996.025.805.705.55
2000五輪5.905.905.805.65
20016.055.855.755.70
20035.905.855.705.60
2004五輪5.955.855.655.65
20055.805.655.505.45
20075.865.815.815.65
2008五輪5.965.705.605.55
20095.905.805.655.55
20115.905.855.655.50
2012五輪5.975.915.505.50
20135.895.825.655.40
20155.905.805.655.65
2016五輪6.035.855.505.60
20175.955.895.655.60
20195.975.875.705.70
2021五輪6.025.875.705.65
20226.215.948.805.65
最高記録6.055.925.815.70
世選最高6.055.915.815.70
五輪最高6.035.925.805.65

まずは、このところ5m70か5m75に設定される予選通過標準記録をクリアすることだが、実際にはそれよりも低い高さで通過できることも多い。ただし、それまでをノーミスでないと試技内容の差で明暗が分かれるケースもある。いずれにしても柄澤が、予選で自己ベストの5m60を更新するような跳躍をみせないことには決勝進出は厳しそうだ。

メダルを獲得するには、日本記録(5m83)を上回るレベルを跳ばなければならないだろうが、入賞ラインは19年と21年東京五輪は5m70だったものの、それ以前は08年の五輪以降8大会連続で5m65かそれよりも低い高さで決まっている。ファイナルに進めれば、柄澤にもチャンスはありそうだ。


◆五輪&世界選手権2冠のデュプランティス、2大会連続の世界新なるか?◆

22年オレゴンを制し21年東京五輪との2冠に輝いたアルマド・デュプランティス(スウェーデン)が連覇に挑む。オレゴンの男子種目で唯一の世界新記録をマークした選手だ。
世界大会2冠を達成しているのは、「世界の鳥人」ことセルゲイ・ブブカ(ソ連→ウクライナ/世界選手権83~97年に6連覇。五輪88年)、マクシム・タラソフ(ロシア/五輪92年。世界選手権99年)、スティーブン・フッカー(オーストラリア/五輪08年。世界選手権09年)でデュプランティスで4人目。

オレゴン世界選手権最終日の22年7月24日19時58分、ヘイワード・フィールドのスタンドの眼は6m21の世界新記録のバーに挑むデュプランティスただひとりに注がれていた。トラックの最終種目となった女子4×400mRで地元アメリカがトップでフィニッシュしたのは2分ほど前。19時50分過ぎに挑んだ6m21の1回目は失敗した。そのあとにリレーがスタートし、アメリカが優勝。スタジアムの熱狂はピークに達した。そして、残る競技は22歳のデュプランティスの6m21への挑戦のみ。自身がオレゴン世界選手権の「トリ」を飾るべく、1回目の失敗でその舞台をセッティングしたのではないかとさえ思えるシチュエーションとなった。「主役は自分だ」とばかりにスタンドに手拍子を求め助走を開始、バーが6m30にかかっていてもクリアできたのではないかと思えるほど身体が浮いて、19時58分58秒に見事にクリア。「おいしいところ」をすべて持っていった。

それから、1年1カ月と2日後の8月26日、23歳になった絶対王者はブダペストでどんなジャンプを見せるのか? そしてその記録は?
2大会連続の世界新での連覇は、男子4×100mRでアメリカ(91・93年)とジャマイカ(09・11年)が達成しているが、個人種目では男女全種目を含めて誰もいない。
デュプランティスがその第一号となるためのバーの高さは、6m23以上である。


◆ブブカとデュプランティスの比較◆

19歳の83年から33歳の97年まで世界選手権6連覇を果たし、世界記録を屋外で17回・室内で18回更新した鳥人・ブブカとデュプランティスの年齢毎の記録を比較した。

・年齢は記録を出した日の満年齢
 ブブカデュプランティス
 (63年12月4生)(99年11月10日生)
9歳----2.89/2.89i
10歳----3.84
11歳--------/3.88i
12歳--------/3.97i
13歳----4.15
14歳----4.60
15歳----5.30/5.11i
16歳----5.51/5.49i
17歳5.405.90/5.82i
18歳5.556.05/5.88i
19歳5.70/5.30i6.00/5.92i
20歳5.94/5.83i6.15/6.18i
21歳6.00/5.75i6.10/6.10i
22歳6.01/5.95i6.21/6.20i
23歳6.03/5.97i6.12/6.22i
24歳6.06/5.88i 
25歳----/6.03i 
26歳5.90/6.05i 
27歳6.10/6.12i 
28歳6.13/6.13i 
29歳6.05/6.15i 
30歳6.14/6.05i 
31歳6.00/6.00i 
32歳6.02/5.95i 
33歳6.05 
34歳5.80/5.91i 
35歳---- 
36歳5.55/5.60i 

17歳から棒高跳に取り組んだブブカ、9歳からのデュプランティスと開始年齢には大きな違いがあるが、日本の小学校4年生の時に2m89を、5年生で3m84、6年生で3m88を跳んだデュプランティススが「かなり異常な存在」ということになろう。
2人の年齢が重なる17歳からはいずれもデュプランティスの記録が上回る。ブブカのピークは、記録からみると27歳から30歳4年間あたり。デュプランティスがその年齢で競技会に出場するのは、2027年から30年のシーズンであと4年後以降になる。その頃、世界記録はどれくらいになっているのだろうか?

 ブブカデュプランティス
「初6m台の年齢」21歳8カ月と9日目18歳10カ月と2日目
「6m00以上の回数」44回49回
「5m80以上の回数」184回89回
「個人別10傑平均記録」6m125(6m15i~6m10)6m171(6m22i~6m11)
「年次世界1位記録の回数」11回5回 
「連続での年次1位記録」5年、4年、2年4年
「試合での連勝記録」14連勝が3回、13連勝23連勝、20連勝、12連勝が3回

「6m00以上の回数」では、ブブカが生涯で「44回」を跳ぶのに21歳から33歳まで足かけ13年間を要した。一歩、23年8月8日現在でデュプランティスはそれを上回る「49回」を現在進行中の6年目で達成している。なお、これまで屋外と室内を合わせて6m台の記録は世界歴代で175回(屋外104回・室内71回)マークされているが、「44回」のブブカのシェアは「25.1%」、「49回」のデュプランティスは「28.0%」を占める。2人合わせて「93回」で「53.1%」と過半数を超える。

「5m80以上の回数」は、キャリア20年のブブカ(184回)とまだ23歳のデュプランティス(89回)では倍以上の差があるのは致し方のないところだろう。

「個人別10傑平均記録」では22年オレゴン世界選手権でデュプランティスが6m21の世界新記録を跳んだ段階で、ブブカの自己ベスト「6m15i」を10傑平均記録で上回る「6m153」となった。6m15はデュプランティスにとっての自己8位タイにあたる。なお、10傑平均記録の3位はレナルド・ラビレニ(フランス)の「6m054(6m16i~6m02)」。その他には6m以上の平均記録の選手はいない。デュプランティスとブブカがいかに抜きんでているかということがわかるだろう。

「年次世界1位記録の回数」は、各年の世界リストで1位になったことが何回あるかを比較したものだ。ブブカはキャリア20年のうちの11回。デュプランティスは、世界100位以内に初めて入った16歳の時からでは、8年間で5回。また連続して年次世界1位記録をキープした年数は、ブブカが5年(84~88年)、デュプランスティスが4年(20~23年)でこちらは継続中。

「試合での連勝記録」は、文字通り何試合連続で勝ち続けたかという記録だ。ブブカは14連勝が3度、デュプランティスは23連勝が最多で、20年2月4日から21年5月3日までの1年3カ月間1度も負けなかった。

ブブカが、「6m00台」「6m10台」の時代を切り開き、デュプランティスが「6m20台」の扉を開けた。次の「6m30台」にいち早く到達するのもデュプランティスになるのだろうか? ブダペストでどのように空を舞うのか、世界中の人が注目している。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


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■国立競技場で笑顔になろう!「みんなでつなごうリレーフェスティバル2023」参加者募集中!

「リレフェス」はあの東京五輪の舞台“国立競技場”で開催する、誰でも気軽に参加できるリレーイベントです。
自由に走れる喜び、ドキドキする緊張感、みんなと走れる楽しさで笑顔があふれ、感動も分かち合えるリレー。
全16種目のリレーで、スポーツの垣根を越えて、子どもからお年寄りまでみんなが笑顔でつながります。

開催日:2023年10月7日(土)、8日(日)
開催地:国立競技場
大会特設サイト:https://www.jaaf.or.jp/relayfes/
参加申込:https://www.jaaf.or.jp/relayfes/2023/about/unofficial.html

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