2023.08.15(火)選手

【記録と数字で楽しむブダペスト世界選手権】男子20km競歩:山西利和が、V3に挑む(決勝8月19日)



8月19日(土)から27日(日)の9日間、ハンガリーの首都ブダペストを舞台に「第19回世界陸上競技選手権大会」が開催される。日本からは、76名(男子48名・女子28名)の代表選手が世界のライバル達と競い合う。

現地に赴く方は少ないだろうがテレビやネットでのライブ中継で観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する33種目に関して、「記録と数字で楽しむブダペスト世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある拙稿と同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中では五輪についても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

大会期間中は、日本陸連のSNS(Facebook or X)で、記録や各種のデータを随時発信予定。そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。
日本陸連Facebook:https://www.facebook.com/JapanAthletics
日本陸連X(Twitter):https://twitter.com/jaaf_official

現地と日本の時差は、7時間で日本が進んでいる。競技場内で行われる決勝種目は、日本時間の深夜から早朝にかけて競技が行われる。

睡眠不足にどうぞご注意を!


男子20km競歩

(実施日時は、日本時間。カッコ内は現地時間)
・決勝 8月19日 15:50(19日 08:50)

※記録は原則として7月31日判明分。現役選手の敬称は略させていただいた。トラック競技の予選・準決勝の通過条件(○組○着+○)は、ルールやこれまでの世界大会でのものを参考に記載したため、ブダペストではこれと異なる条件になる可能性もある。


山西利和が、V3に挑む

19年ドーハと22年オレゴンを連覇した山西利和(愛知製鋼)がこの種目では史上2人目の3連覇に挑む。03・05・07年にエクアドルのジェファーソン・ペレスが唯一のV3だ。
山西は、前回優勝者によるワイルドカードでの出場で3大会連続、五輪を含めると4大会連続での世界の舞台だ。
同じく3大会連続の池田向希(旭化成)も五輪をあわせて4回目の世界大会。高橋英輝(富士通)は、15年の北京から5大会連続でこれに16年リオと21年の東京五輪が加わる。これに初出場の古賀友太(大塚製薬)が加わって、2大会連続のカルテットでのエントリーとなった。

「英雄広場」付近の1kmの周回コースで実施される。


世界選手権&五輪での入賞者と最高記録

世界選手権&五輪の日本人入賞者は下記の通り。
20017位1.22.11.柳澤哲(綜合警備保障)
20114位1.21.39.鈴木雄介(富士通)
20136位1.22.09.西塔拓己(東洋大)
2016五輪7位1.20.22.松永大介(東洋大)
20191位1.26.34.山西利和(愛知製鋼)
6位1.29.02.池田向希(旭化成)
2021五輪2位1.21.14.池田向希(旭化成)
3位1.21.28.山西利和(愛知製鋼)
20221位1.19.07.山西利和(愛知製鋼)
2位1.19.14.池田向希(旭化成)
8位1.20.39.住所大翔(順大)

「日本人最高記録」は、
世界選手権が、
1.19.07. 山西利和(愛知製鋼)2022年 1位
五輪が、
1.20.22. 松永大介(東洋大)2016年 7位

19年以降の3つの世界大会で山西と池田で3大会連続入賞。2人で金2・銀2・銅1のメダルを獲得している。
また、22年オレゴンでは住所が8位となってトリオ入賞も達成した。

今回の4名が普通に力を発揮できればカルテットでの入賞やメダル独占も十分にありえる。エントリー記録(日本以外は1国3名でカウント)では山西10位、池田3位、高橋8位、古賀11位だ。

1国3名以内でカウントした50名のターゲットナンバー以内(50番目以内相当)のワールドランキングには日本人選手が12名も入っている。日本のレベルが高いため日の丸を胸につけられない選手が8名いるということだ。
大会初日の19日の午前8時50分(日本時間19日15時50分)スタートで、ブダペスト大会最初の種目である。

チームジャパンとしては、ここで大きな花火を打ち上げて勢いをつけたいところである。


2011年以降の世界大会の1・3・8位の記録

日本人選手が初入賞を果たした2001年からの世界選手権と五輪の「優勝・3位・8位の記録」は以下の通り。

優勝記録3位記録8位記録
20011.20.31.1.20.36.1.22.20.
20031.17.21.1.18.07.1.20.14.
2004五輪1.19.40.1.20.02.1.21.56.
20051.18.35.1.19.44.1.20.45.
20071.22.20.1.22.40.1.24.10.
2008五輪1.19.01.1.19.42.1.20.36.
20091.19.06.1.19.50.1.21.13.
20111.19.56.1.20.38.1.21.50.
2012五輪1.18.46.1.19.25.1.20.12.
20131.20.58.1.21.21.1.22.21.
20151.19.14.1.19.57.1.21.37.
2016五輪1.19.14.1.19.37.1.20.27.
20171.18.53.1.19.04.1.19.41.
20191.26.34.1.27.00.1.29.52.
2021五輪1.21.05.1.21.28.1.22.16.
20221.19.07.1.19.18.1.20.39.
最高記録1.17.21.1.18.07.1.19.41.
世選最高1.17.21.1.18.07.1.19.41.
五輪最高1.18.46.1.19.25.1.20.12.

2011年以降の各大会でのスタート時の「気温・湿度」「先頭の5㎞毎のスプリット」、「前半と後半」のデータを調べた。

なお、スプリットは各地点を先頭で通過した選手のタイムから算出したもので、優勝者のスプリットとは限らない。五輪の20㎞競歩については5㎞・15㎞のタイムが不明のため、5㎞は4㎞&6㎞、15㎞は14㎞&16㎞の通過タイムから推定した。「前後半差」の「△」は、後半の方が速かったことを示す。

スタート時優勝記録~5km~10㎞~15㎞~20㎞(前半+後半/前後半差)
201122℃・85%1.19.56.21.03.20.55.19.44.19.14.(41.58.+38.58./△3.00.)
2012五輪?℃・63%1.18.46.20.00.20.08.19.38.18.57.(40.00.+38.46./△1.14.)
201329℃・40%1.20.58.20.17.20.17.20.07.20.16.(40.34.+40.23./△0.11.)
201523℃・78%1.19.14.20.10.20.10.19.33.19.21.(40.20.+38.54./△1.26.)
2016五輪25℃・?%1.19.14.20.14.19.56.19.56.19.08.(40.10.+39.04./△1.06.)
201720℃・40%1.18.53.19.54.19.56.19.43.19.20.(39.50.+39.03./△0.47.)
201932℃・77%1.26.34.22.26.21.40.21.22.21.06.(44.06.+42.28./△1.38.)
2021五輪31℃・63%1.21.05.20.52.20.03.20.34.19.36.(40.55.+40.10./△0.45.)
202228℃・38%1.19.07.20.11.20.22.19.24.19.07.(40.33.+38.34./△1.59.)

以上の通り、次第にペースが上がっていく「ビルドアップ」がほとんど。特にラスト5㎞のアップが顕著で、高温多湿となった19年ドーハとこれまた気温が高かった13年・21年を除くと、19分台前半以内でカバーしている。もっと細かくみると、18㎞からの残り2㎞は、7分30秒前後(5㎞換算18分45秒ペース)のことが多い。東京五輪は7分35秒、22年オレゴンは7分31秒だった。

前半は「様子見」で、10㎞過ぎから振るい落としのサバイバルが始まり、15㎞まで生き残った選手でメダルや入賞を目指しての「ヨーイ、ドン!」である。


8月19日のブダペストの過去3年間の気象状況

19年ドーハ、21年東京五輪(競歩は札幌で開催)はスタート時に30℃を超える気温だったが、ブダペストはどうか?
レースがスタート(朝8時50分)する8月19日の過去3年間の気象状況は、以下の通りだ。

【過去3年間の8月19日のブダペストの気象状況】
時刻2022年2021年2020年
9時00分晴・28℃・45%晴・19℃・73%晴・21℃・77%
9時30分晴・29℃・43%晴・20℃・64%晴・22℃・73%
10時00分晴・30℃・40%晴・21℃・60%晴・23℃・69%

22年の気温は高かったが、19年ドーハ、21年札幌と比べて湿度が低かったようだ。21年と20年は20℃ちょっとということで、比較的良好なコンディションになりそうなの感じ。曇っていて直射日光が当たらなければ、より一層いい条件になる。

いずれにしても、日本人選手には4名が揃って「サバイバルレース」に最終盤まで生き残り、ドーハ・オレゴンに続く「金メダル」「複数メダル」さらには、全種目を含めて日本にとって史上初の「4名全員入賞」を果たしてもらいたい。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


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