2023.07.16(日)大会

【アジア選手権】4日目ハイライト&メダリストコメント:混合4×400mリレーは日本新記録で銅メダル!女子400mハードルで宇都宮&山本が2・3位フィニッシュ



Day4:7月 15日(土)

バンコク2023アジア陸上競技選手権大会は7月15日、大会4日目を迎えました。バンコク・スパチャラサイ国立競技場の正面スタンドには、週末を迎えたこともあり、昨日までよりも地元の人々が大勢観戦に訪れ、国際大会らしい華やぎに。日本チームは、後半の3種目が行われ女子七種競技のほか、トラック3、フィールド3の全7種目の決勝に出場。また、最終日に決勝が組まれている男女800m予選、男女200mの予選・準決勝に挑みました。

活況を示したのは、トラック最初の決勝種目となった男女400mハードル。予選がなくなり、一発決勝で行われた女子400mハードルは、優勝したLAUREN BROWN Robyn選手(フィリピン)に続いて、宇都宮絵莉選手(長谷川体育施設)と山本亜美選手(立命館大学)がフィニッシュ。宇都宮選手が57秒73で銀メダル、山本選手は57秒80で銅メダルを獲得しました。続いて行われた男子400mハードルでは、今回が初の日本代表となった児玉悠作選手(ノジマT&FC)が首位争いを繰り広げる堂々のレースを展開。ホームストレートでMOHAMED A A HEMEIDA Bassem選手(カタール)にリードを広げられ、惜しくも金メダル獲得はなりませんでしたが、自身2度目の48秒台となる48秒96でフィニッシュし、見事、銀メダルを獲得しました。

日本が、2019年ドーハ大会、2022年オレゴン大会に続いて、3大会連続での世界選手権出場を目指す混合4×100mリレーには、男子400mで銀メダルを獲得した佐藤風雅選手(ミズノ)、女子400m4・5位の久保山晴菜選手(如水会今村病院)と松本奈菜子選手(東邦銀行)、混合マイルのメンバーとして代表に初選出された今泉堅貴選手(筑波大学)が出場。今泉選手、久保山選手、佐藤選手、松本選手の走順で、ブダペスト世界選手権、そしてパリオリンピックにもつながっていく重要な一戦に挑みました。日本は、序盤から上位争いを繰り広げ、何度かリードを奪う場面も見せましたが、最終的にインドとスリランカがアジア歴代2位・3位となる3分14秒70と3分15秒41の好記録で先着。日本はスリランカと0.3秒差の3位でのフィニッシュとなりましたが、3分15秒71をマークして、2021年の木南記念で樹立した3分16秒67の日本記録を更新しました。

後半の3種目が行われた女子七種競技は、山﨑有紀選手(スズキ)、大玉華鈴選手(日体大SMG)は、ともに順位を大きく上げる決め手となるパフォーマンスに欠ける展開となってしまいました。5696点を獲得した山﨑選手は、初日と順位は変わらず、2月のアジア室内に続いて銅メダルを獲得。前半を5位で折り返していた大玉選手は5487点を挙げて、4位へと順位を押し上げ、競技を終えました。

このほか、フィールドでは、残念ながらメダル獲得者は出なかったものの、男子走高跳、男子走幅跳、男子円盤投の決勝が行われました。男子走高跳は、長谷川直人選手(新潟アルビレックスRC)と赤松諒一選手(アワーズ)がともに2m23を成功したものの、メダル獲得ラインとなった2m26はクリアならず。無効試技数の差で、長谷川選手が4位、赤松選手は5位という結果になりました。男子走幅跳は、橋岡優輝選手(富士通)が直前のケガで欠場し、城山正太郎選手(ゼンリン)のみの出場となりました。城山選手は、3回目の試技でシーズンベストとなる8m01(+1.3)をマークして5位に浮上しましたが、後半の試技で記録を伸ばすことができず6位で競技を終了。男子円盤投は、58m90のシーズンベストをマークした堤雄司選手(ALSOK群馬)が5位、湯上剛輝選手(トヨタ自動車)は57m85で7位でした。

モーニングセッションで予選が、イブニングセッションで準決勝が行われた男女200mは、日本代表全選手が順当に明日の決勝に進出。イブニングセッションで予選が行われた男女800mは、金子魅玖人選手(中央大学)が10番目のタイムでのフィニッシュとなり予選突破を果たせませんでしたが、ほかの3選手は明日行われる決勝に駒を進めています。

大会4日目にメダルを獲得した日本選手のコメントは、以下の通りです。


【日本人メダリストコメント】

◎男子400mハードル 児玉悠作(ノジマT&FC)
2位 48秒96 



メダルを取って嬉しい気持ちと、優勝を逃して悔しい気持ちの半々という心境。「優勝して、一番で日本に帰りたかった」というのがあり、そういう意気込みで、今日はタイムよりもまず順位にこだわって走ったのだが、(自分が得意とする)最後で逆に差しきられてしまった。それが、ちょっと悔しい。
日本選手権で、前半を出しすぎたら失速するということがわかったので、今回はそれを踏まえて調整し、臨んでいた。日本選手権みたいにいっぱいいっぱいという感じはなく、けっこう最後まで走りきれた感じはあったのだが、それでも負けてしまったので、ある意味、相手が一枚上手だったなと思う。
48秒96はセカンドベスト。日本を出ての異国の地で、しかも3本目でのレースで出せたタイムなので、そこはけっこう嬉しい。初めての48秒台となったGGP(セイコーゴールデングランプリ)では「出ちゃった」感があったけれど、こうやってもう一回早いうちに(48秒台を)再現できたことは、これからの自信になる。
今回が初の代表入りだが、日本の選手団の方々や応援に来てくださった方々から温かい声援をいただいて、本当にそれがパワーになった。海外での試合だったが、僕的にはアットホームというか(笑)、そういう感じで、海外(のムード)に呑まれることは全くなかった。
これで世界陸上もたぶん出場ができる状態になると思う。これからの1カ月は、世界陸上があると見越して、しっかり調整していきたい。


◎女子400mハードル 宇都宮絵莉(長谷川体育施設)
2位 57秒73


写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)

タイムとか、内容とかは置いておいて、やっと2番という最低限の結果を出すことができた。けっこうこれまで4番とか5番とかばかりだったので、決勝で走りをまとめて銅メダルを手に入れられたことが素直に嬉しい。けどやっぱり2番…もちろん金メダルが欲しかったので、(それが達成できなかった)悔しさはある。
(優勝した)フィリピンの選手の気配は、9台目くらいで感じていたのだが、これまでの経験から、そこで「自分が行ける」と思っても失敗するし、「抜かされてしまう」と思うとその通りになってしまうので、ラストの直線は敢えて自分のレーンだけに集中して走った。
日本選手権後は、ノルウェー(オスロ)で1試合走ってきたが、海外特有のトラックの感触に自分が対応できず、「一度もスピードに乗らない400m」みたいな感じで走ることになってしまった。そのあと、バンコクに入ってきたら、チップのタータンだったので、最初に練習で会場に入った瞬間は、「うわあ(また苦手なやつだ)」と思った半面、ノルウェーで失敗したあと、どんなトラックでも走れるように自分の動きを見直すことを、トレーナーさんと一緒にやってきていたので、「ノルウェーの失敗は、このためだったのかな」というふうに感じることができた。幸いなことに予選もなくなって(レースまでの)準備期間も十分にとることができたので、自分にとってはかなり有利に働いたと思う。

ワールドランキングの順位を考えと、(世界選手権出場は)かなり厳しくなっている。オスロでもうちょっと走れていれば…という感じ。でも、この大会では集中して、しっかり3位内で走ることができたし、パリオリンピックを考えると、大きな取りこぼしなく、なんとか踏ん張れる試合になったとは思う。56秒台を出せば勝てるチャンスでもあったと思うと、(調子を)合わせることが精いっぱいになってしまった点は惜しまれるが、その悔しさは、明日以降のモチベーションにしたい。


◎女子400mハードル 山本亜美(立命館大学)
3位 57秒80  



「あー、3位かー」という感じ。やっぱり金メダルを欲しいと思っていたし、レースの内容的にも、タイムも全体的に遅かったので。1週間前の実学対抗では調整なしでも57秒5(57秒55)くらいで走れていたので、ここではもっと出せるイメージはしていたのだが、思ったよりも集中することができていなかった。それは、「1位を取りたい」という気持ちがある一方で、「タイム的に普通に行けば1位を取れるだろう」という余裕のようなものも感じていて、そこが良くなかったのかなと思う。
レースは(宇都宮)絵莉さんがいて、1つ内側のレーンに自分と一緒くらいの持ちタイムの選手がいたわけだが、1台目を跳んだときは先行されているのは把握できていて、「ちょっと速いな」と思ったりもしたのだが、気がついたらもう8台目まで来ていて、前に2人がいる状態(笑)。「あ、ヤバい、ここから行かなきゃ」と思って得意とする追い込みにかかったのだが、脚は動いていたものの差しきれないという感じでフィニッシュする結果となった。

今回が初めての日本代表だったが、すごく楽しかった。レースもそうだが、レースを向かうまでの1週間くらいを日本選手団の方々と一緒に過ごして、話したことのない人とかともいっぱい話すことができた。代表選手のレース以外の過ごし方というか、私生活の部分を見られたことで、より競技のときの集中力とのギャップを間近で知ることができた。「やっぱりカッコイイな!」と思うとともに、「代表に入っていない人からすれば、自分もカッコイイと思われる存在なのかな」とも考え、「もっと頑張って、自分もいいところを見せたいな」という気持ちになった。
このあと、ワールドユニバーシティゲームズ、アジア大会と、決まっているところで代表としてのレースが2試合ある。世界選手権は微妙なところだが、今回のレースを経験したことで、ワールドユニバーシティゲームズはやっぱり金メダルを取りたいなと思った。期待に応えられるように頑張りたい。


◎女子七種競技 山﨑有紀(スズキ)
3位 5696点



点数的には納得がいかないし、試合をしてみて、今回、ほかの強い選手の状態を見ても、優勝が狙えないわけではない記録だったので、そこも悔しく思う。しかし、こうやって試合で記録を出せていないのが自分の現状。それをきちんと受け止めて、しっかり修正し、アジア大会には自信を持って臨み、そこで自己ベストを出してリベンジしたいと今は思っている。
全体を振り返ると、砲丸投(13m54)は日本選手権から安定して投げることができている。そこは自信を持ってこれからもやっていきたいと思う。そのほかの種目については、「すっごく悪い」という結果はないのだが、自己ベストに比べると、どれも点数が低いので、もっと高い記録を安定させるために、練習の段階から、良いときと悪いときの波がないようにしていく必要がある。
不安を抱えていた左膝は、違和感が残っていた日本選手権以降、すごく良くなってきていて、テーピングも今は予防で貼っている状態。練習もしっかり積めるようになってきている。アジア大会までの2カ月を、ケガをせずにしっかり練習を積むことができたら、いい状態に仕上げられる。ケガだけには気をつけて、取り組んでいきたい。


◎混合4×400mリレー 日本(今泉堅貴、久保山晴菜、佐藤風雅、松本奈菜子)
3位 3分15秒71 =日本新記録



・1走:今泉堅貴(筑波大学)
これが、自分にとって初めての海外でのレース。何秒で走るとかではなく、いつもと違う環境でも、いつも通りの再現性の高い走りをすることにフォーカスして臨んだ。実際のところは帰って映像を見てからの評価になるが、主観的にはすごくリズムのいい走りができ、最後まで大崩れすることもなかった。その点では、内容として概ね満足している。
順位的に見ても、先頭のほうで(バトンを)渡さないと、のちのち響いてくると思ったので、必ず先頭集団からは後れをとらないという気持ちで走った。コーチ陣とは、最低でも日本記録は出そうということを話していた。タイムは3分15秒71ということで日本新記録。そこは満足している。
世界陸上はまだ走れるかわからないが、マイルメンバーを務めさせていただくということになれば、精いっぱい準備をして臨みたい。


・2走:久保山晴菜(如水会今村病院)
今回、個人の400mも走らせてもらったが、そこでの走りが不甲斐ないものだったので、個人種目が終わってから気持ちの面と走りの面を、もう一度しっかり見直して、レースに臨んだ。2走は男子からバトンを受けるということもあり、すごく加速つけて400mを走ることができるので、自分の持ち味であるスピードを生かしたレースができるのではないかと考えていた。そこはすごく冷静になって、アップの段階から取り組むことができたように思う。
ただ、レースとしてはやはりもう少し前の位置…1・2番手で(バトンを)持っていきたかったというのが正直なところ。200~300mの仕掛けるところで、海外の選手に先を取られてしまった。そこでもう一段階上げられたらよかったのだが、うまく走ることができなかった。そういう実戦的な練習が足りていなかったのかなと感じたので、これからは混み合った、人のいるなかでどう走っていくかというところを、もう一度見直していきたい。
まだまだ男子の方々に引っ張ってもらっていて、自分が足を引っ張らないようにしなければ…という状況にある。あと0.1秒、0.2秒(タイムを)上げるとなったときには、男子が上げるよりは、女子が上げなければならない。男子に頼りすぎることなく、女子もしっかり貢献できるように走力を上げていきたい。


・3走:佐藤風雅(ミズノ)
(2位となった400mと)同じことを言ってしまうことになるが、本当に悔しい。僕のところで先頭に立たなければという気持ちで走っていて、前半は、行ったというよりは、このまま行くと自分の脚が残らないと思ったので勝負に出たのだが、やはり後続のチームにうまく使われて、後半で差される展開になってしまった。世界陸上でこれをやってしまったら、去年みたいな結果にはできない。やりたかったことができなくて、本当に悔しい。
本当は、リードを奪ったまま、ラスト直線をキープする走りをイメージしていたのだが、やはり後半思うようにいかなくて、インドに差されてしまった。
今日走ったメンバーで、世界陸上の出場枠を獲得したいと思っていたし、個人(400m)が2番だったぶん、こちらでは1番を取りたいという気持ちがあったので、それができずに悔しい。


・4走:松本奈菜子(東邦銀行)
今回の目標は、最低でも日本記録、できれば(3分)14秒前半を出して、ブダペスト世界選手権に向けてつなげていくレースをすることだった。他国の選手と競うことでそれが実現できる機会だったし、自分は4走ということで目標とする記録が狙える走順、また勝負の面でも一番いい順位を取ってフィニッシュができる位置にいたわけで、積極的なレース展開はできたとは思うが、やっぱりラストで差されてしまったというところで、実力不足を痛感した。
女子は、自分の400mもそうだけど、短距離個人種目での世界選手権出場が厳しい状態が続いていて、そのなかで女子400mは、ありがたいことに男子の力を借りて、混合で世界選手権に出させていただけている。それだけに、このチャンスをきちんとつかんで、しがみついて、そこから自分の個人種目にもつなげていきたいと思っていた。やはり今回、タイムと優勝を逃してしまったというところは悔しかったなと思う。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


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