第107回日本選手権混成競技が6月10~11日、ブダペスト世界選手権、アジア選手権、アジア大会の日本代表選考会を兼ねて、秋田県営陸上競技場において行われました。停滞する梅雨前線の影響で、この週末は国内の大半が雨模様となりましたが、開催地の秋田は2日間とも天気が崩れることはなく、やや風は強かったものの最高気温は晴れ間が見えた1日目は26℃、雲が広がった2日目は24℃と、上々のコンディション下での競技となりました。
男子十種競技では、7816点を獲得した丸山優真選手(住友電工)が初優勝。女子七種競技は、山﨑有紀選手(スズキ)が5810点で、2年ぶりに5回目のタイトルを手にしています。
十種競技・丸山、待望の初戴冠
男子十種競技は、前回初優勝を果たした奥田啓祐選手(第一学院高教)が、初日の朝に欠場を発表しました。奥田選手は、昨年秋に左すねを疲労骨折していましたが、治りかけのタイミングで2月のアジア室内に出場(銀メダル)したことで、回復が遅れる状態となっていました。今後、重要な世界大会が続いていくことを考慮し、まずは完治させることを優先しての決断です。この結果、十種競技は、全14選手での戦いとなりました。
奥田選手が欠場し、上位争いに絡むとみられていた田上駿選手(陸上物語)が2日目に、片山和也選手(烏城塗装工業)が初日で途中棄権する波乱もあったなか、地力の高さを見せつける形となったのが丸山優真選手(住友電工)でした。第1種目の100mを10秒90(+0.1)で滑りだした丸山選手は、続く走幅跳で種目別優勝となる7m30(-0.6)をマークして、ここで首位に立ちましたが、同時に走幅跳の踏み切りで、足首が痛めてしまうトラブルが発生。高得点を獲得したかった第4種目の走高跳は、強く踏み切ることができずに1m88に終わってしまいます。しかし、400mを49秒47でカバーし、2位に83点差の3980点でトップをキープして、前半を折り返しました。
2日目の110mHは丸山選手が最も得意とする種目ですが、前日痛めた足首の影響で14秒41(-0.1)と不発に終わってしまいます。しかし、その後は、円盤投で40m16、棒高跳で4m70、やり投で57m94と、足首の痛みを感じさせない安定したパフォーマンスで、着実に得点を重ねていきました。最終種目の1500mは、自身最も苦手とし、高校時代から自己記録を更新できていなかった唯一の種目でしたが、1日目終了後の囲み取材で、この大会に向けてトレーニングをしてきたことを明かし、「楽しみにしていてください!」と宣言していた通り、一時はトップに立って先頭争いする果敢なレースを披露して種目別で2位となる4分33秒85の自己新記録でフィニッシュ。総合得点でも日本歴代6位に収まる自己記録(7807点)を7816点へと引き上げて、待望の初優勝を飾りました。
田上選手が2日目の円盤投終了後に棄権したことで、混戦模様となった2位争いは、1日目を3位(3885点)で終えていた森口諒也選手(ティーハンド)が昨年4月に出していた7286点を塗り替え、7374点の自己新記録で初の日本選手権メダルを獲得。3位にも昨年出した自己記録(7113 点)を更新する7282点を挙げた前川斉幸選手(中京大)が続き、フレッシュな顔ぶれが並ぶ結果となりました。
併催のU20日本選手権男子十種競技は、鶴岡工業高(山形)3年の昨年に、この大会で5位に入賞している齋藤泰希選手(東海大)が、1日目を終えた段階の13位から、得意種目が集まる2日目で大躍進。自己記録(6340点)を大幅に更新する6774点を叩きだし、嬉しい全国優勝を果たしました。齋藤選手は、この大会で、砲丸投、走高跳、110mH、円盤投、1500mの5種目で自己新、棒高跳で自己タイをマークしています(両種目で優勝した丸山選手、齋藤選手のコメントは、下記をご参照ください)。
中村、「最後の日本選手権」は10位
腰に不安を持ちつつ、見せ場をつくった右代
男子十種競技には、5月中旬に今季限りの現役引退を発表していた中村明彦選手(スズキ)がエントリー、「最後の日本選手権」に挑みました。中村選手は日本歴代2位(8180点)の自己記録を持ち、日本選手権では4回優勝(2016年、2017年、2020年、2021年)。世界選手権には2015年・2017年に2大会連続出場、オリンピックには2016年に出場(2012年には400mHでも出場)を果たすなど、日本記録保持者(8308点)の右代啓祐選手(国士舘クラブ)との切磋琢磨により、日本の十種競技を世界水準へと近づけた名アスリート。今季は、春先に右アキレス腱周囲炎を発症したことで、木南記念の出場を見送って、この大会に向けて合わせてきていました。
1日目は、100m(10秒97、-0.4)、走幅跳(6m86、-1.6)と向かい風のなかでの記録でスタートしましたが、続く砲丸投は11m70、第4種目の走高跳では、種目別トップタイとなる1m94を3回目で鮮やかにクリアし、会場を沸かせる場面も。第5種目の400mは50秒40でフィニッシュし、前半を5位(3784点)で終了しました。
2日目も110mH(14秒73、-0.1)、円盤投(34m50)と着実に加点し、3位以内も見える状況となったなかで第8種目の棒高跳を迎えます。ここでは最初の高さとした4m50を、大きく身体を浮かせて1回で成功。しかし、4m60をパスして、4m70に挑もうと準備に入った際に、思いがけないアクシデントが待っていました。左アキレス腱の上部を痛めてしまったのです。右足だけで跳びはねるようにして勢いをつけて投げたやり投では、それでも1回ごとに記録を伸ばし、3回目に42m41をマークして最終種目に繋ぎます。「中村といえば1500m」という印象を残す快走を、これまでに何度も見せ続けてきた1500mは、スタート直後から大きく後れる形となったものの、「良くても悪くても、0点でも歩いてでもゴールしようと思っていた」という言葉の通り、最後まで止まることなく足を運び、5分53秒60でフィニッシュ。6748点・10位で競技を終えました。
競技終了後には、右代選手の呼びかけで準備された、中村選手の功績を称えるセレモニーが行われ、右代選手からは花束とともに温かいメッセージが、そして、家族から手づくりのメダルが贈られました。挨拶に立った中村選手は、時々涙で声を詰まらせつつ感謝の意を伝え、「今後は、十種競技の一番のファンとして、戦うアスリートのサポーターとして、記録向上の一助になるような存在を目指して、また、陸上競技(をやっていたとき)と同じくらい輝けるように頑張っていきたい」と、深々と頭を下げました。
「現役最後の試合は、長年の拠点であった母校・中京大の競技会で終えたい」と希望している中村選手。今後は、負傷した脚の回復に務めながら、現役最後の夏を過ごしていくことになります。
もう1人の「日本混成界のレジェンド」右代選手は、砲丸投・円盤投で種目別優勝を果たす見せ場をつくったものの、スプリント系の種目で苦しみ、総合では6956点で中村選手の1つ上の9位。教え子である岡泰我選手(国士舘大)に66点及ばず、入賞を逃す結果となりました。
競技を終えたあとのインタビューで、実は、木南記念のあと、日本選手権に向けたトレーニングを開始した矢先に、ぎっくり腰に見舞われ、直前の3週間はほとんど練習ができず、「この結果も覚悟したうえで臨んでいた」ことを明かしました。「そういう意味では長い2日間だった」と苦笑しつつ、「納得するような記録や順位ではなかったが、後半、なんとか挽回しようと1つ1つの種目を大切に戦うことができたので悔いはない」ときっぱり。さらに、中村選手の引退については、「寂しいことではあるが、中村選手らしい試合を最後まで見せてくれた」と労い、初優勝を果たした丸山選手には、「もともとポテンシャルのある選手。日本チャンピオンという器だけはないので、これから戦うことになるレベルの上がったステージで力を発揮できるように頑張ってもらいたい」とエールを送りました。
大接戦となった七種競技は
山﨑が最終800mで逆転勝利
女子七種競技は、初日に上位を占めた大玉華鈴(日体大SMG)、山﨑有紀(スズキ、日本記録保持者5975点)、熱田心(岡山陸協)の3選手が、2日目に4位以下の選手と大きな力の差を示すパフォーマンスで激しく競り合い、最終種目まで勝者が予測できない展開となりました。
1日目に先制パンチを放ったのは、大玉選手です。最初の100mHを全体2番目の13秒89(-0.3)でスタートすると、最も得意とする走高跳で、自己ベストタイとなる1m78に成功して、ここで大きくリードを奪います。続く砲丸投は12m33、初日最後の200mも25秒91(+0.1)とまとめて、3435点を獲得。木南記念でマークしていた自己最高の3505点(七種競技における1日目の日本最高)には及ばなかったものの、第3種目の砲丸投で自己記録を47cmも更新する13m59を投げて2番手に上がってきた山﨑選手に54点差のトップで初日を終えました。
2日目最初の走幅跳は、大玉選手にとっては、前回の木南記念で記録なしに終わる失敗を喫した種目でしたが、今回は、1回目からきっちりと記録を残し、3回目に5m75(+2.2)まで記録を伸ばしました。しかし、ここで山﨑選手が5m82(+0.8)を跳んで大玉選手との点差を縮めると、初日を3位(3299点)で終えていた熱田選手が、最も得意とするこの種目で、6m20(+2.6)の大ジャンプ。912点を獲得して、2点差ながら大玉選手を飛び越し、トップに躍り出ます。
3番手に順位を下げた山﨑選手は、48m62の自己記録(2021年)を持ち、今季は単独種目で47m94、混成競技中で45m00を投げているやり投での首位浮上を狙って、この種目に挑みましたが、記録が43m40にとどまる大誤算。熱田選手(40m72)は逆転できたものの、大玉選手が山﨑選手の記録を上回る44m27(種目別1位)をマークしたことで、大玉選手が再び首位に返り咲きます。こうして、1位の大玉選手と2位の山﨑選手は49点、2位の山﨑選手と3位の熱田選手は17点という僅差で、勝負の行方は、最終種目の800mに持ち込まれることとなりました。
大玉選手に4秒の差をつけて先着すれば逆転優勝という状態のなかでスタートラインに立った山﨑選手は、「周りを気にせず、しっかり自分のレースをする」ことに集中したレースを展開します。これが功を奏したのか、終わってみれば大玉選手(2分24秒60)に10秒以上の差をつける2分14秒41のセカンドベストでフィニッシュ。「記録には満足しない」と振り返ったものの、自身が木南記念を制した際にマークした5683点を上回る、5810点の今季日本最高記録で2年ぶり5回目の優勝を果たしました。
最後まで山﨑選手を苦しめながらも、あと一歩のところで優勝に届かなかった2位の大玉選手は、2年ぶりに自己記録(5633点)を塗り替え、初めて5700点台に乗せる5720点をマーク。これによって日本歴代では5位へとジャンプアップしました。また、3位の熱田選手も初の5600点台突入となる5639点の自己新記録をマーク。こちらも日本歴代7位となる好記録です。
同時開催されたU20日本選手権女子七種競技は、前回覇者の林美希選手(中京大中京高)が連覇を達成しました。林選手は、6月4~7日に韓国・醴泉で行われたU20アジア選手権に出場し、七種競技で銀メダル、100mHで金メダルを獲得。大会翌日の6月8日に帰国し、その足で秋田へ入るスケジュールでの参戦となりました。第1種目の100mHでは、シニアの部の含めての最高タイムとなる13秒83(-0.3)で滑りだしましたが、さすがに連戦および渡航の疲れは大きかったようで、その後は、思うように記録を伸ばしていくことができない状態が続きます。それでも1種目ごとに確実に得点を重ねて初日を3067点で折り返すと、「最低でも5000点台には乗せたかったので」と、最終種目の800mを想定していた2分27秒台を上回る2分24秒35で走りきり、5043点で逃げきりました。2位で続いたのも高校生の福島波暖選手(東大阪大敬愛高)選手。800mでは種目別1位となる2分18秒79をマークしています(各種目優勝者の山﨑選手と林選手の優勝コメントは、下記をご参照ください)。
【優勝者コメント】
<日本選手権混成競技>
◎男子十種競技
優勝 丸山優真(住友電工) 7816点
まず、こうやって“完走”できたこと、しっかり最後の1500mで自己ベストを出せて優勝できたことが、素直に嬉しい。
ここまで来るのは、やっぱり長かったという思いが強い。昨年、(優勝候補の筆頭に挙がりながら欠場をせざるを得なかった)ケガをする以前の5年くらい前の段階からずっと、自分のなかでは、もっともっと上を目指していきたかったのに、トレーニングの強度が上がっていくとケガをしての繰り返しになっていて、それができないことが続いていた。胸椎のヘルニアで競技から離れていた時期は、本当につらくて、諦めてしまいそうになるときもあったが、その間も、たくさんの周りの方々に支えていただき、ここまで来ることができた。少しずつ進歩していることは間違いないので、これからも諦めずに頑張っていきたい。
今日は、本来であれば、もっと記録を出したかった得意の110mHが、昨日の走幅跳と走高跳で圧迫捻挫のような状態になっていた足首の不安定さにより、なかなかスピードに乗ることができない状況でのスタートとなってしまったが、棒高跳と最後の1500mでは、けっこういいポイントを取ることができた。なかでも最後の1500mに関しては、ずっと苦手意識があったなか、今回はしっかり練習に取り組んできた成果が出せたので、もう「100点満点!」(笑)という気持ちでいる。
足にケガがあったなかでも、今回は、自己ベストの7816点を出すことができた。十種競技選手に多少のケガはつきもの。世界のトップ選手も必ずしも万全の状態で10種目をやりきっている人は、ほとんどいないのではないかと思っている。なので、そういったところで、自分も世界を目指す1人として、ここで諦めるわけにはいかないと思いながら臨んでいた。こういうケガがある状態のときに、自分がどうすればいいかということを考えながら(競技を)できたことが、今までよりも進歩したところかなと思っている。万全の状態で挑んでも、こうしたケガとかに見舞われることもあるわけで、そこをこなして8300点、8100点といった記録をちゃんと揃えられる右代啓祐さん(国士舘クラブ)と中村明彦さん(スズキ)は素晴らしいと思うし、本当に尊敬する。
これでアジア選手権(の出場)にも近づいたと思う。今回の経験は、必ずアジア選手権に生きる。アジア選手権では8000点台を出して絶対に優勝し、(エリアチャンピオンでの)世界選手権代表入りも決めたい。今回も走高跳が1m88にとどまるなどの取りこぼしがあったとことを考えると、8000点という数字は、しっかり見えている。1種目1種目がちゃんとできれば、記録は出せると考えている。
◎女子七種競技
優勝 山﨑有紀(スズキ) 5810点
ここまで接戦になる試合は、2019年の宇都宮さん(絵莉、長谷川体育施設)と800mまで勝負がもつれ込んで以来。心臓によろしくないというか(笑)…。今、振り返ると取りこぼしや失敗もたくさんあったので、そこをもうちょっと…という感じ。でも、日本選手権の優勝というのは別格のもの。勝つことができて、本当に嬉しい。
最終種目の800mで、大玉選手に4秒の差をつければ逆転できる状態で臨むこととなった。800mの自己ベストは2分13秒95だが、安定してそのタイムで走れているわけではないので、(逆転できるかどうかは)「走ってみないとわからないな」と思っていた。また、点数を稼げると思っていた(6種目めの)やり投が投げられなかったときは、正直、(動揺で)手が震えて、「どうしよう」と思った。
ただ、800mの前に、疋田(晃久)コーチから「“勝たなきゃいけない”じゃないだろう?」と言われて、「ああ、そうだ。自分は今まで、上のレベルの選手に“勝ちたい”と思ってやってきていたのに、その気持ちを少し忘れていたな」ということに気づいた。そこで、800mは、勝ちにこだわり、「しっかり自分のレースをする」ということにポイントを置いて臨んだ。その結果、セカンドベストで走りきることができ、気持ちいい勝ち方ができた。日本記録を出したときもそうだったが、追い込まれるのが好きなのか(笑)、「意地でも負けないぞ」という気持ちで走れたことが大きかったように思う。
今回は、大玉選手など他選手にずっとリードされる形で戦うことになった。もっと自分が走幅跳ややり投で点数を重ねて、首位の状態で800mを走りたかったのだが、うまくいかなくてこういう形となった。2位の大玉選手、3位の熱田選手も自己ベストを更新して、5700点、5600点台と、また一つ上のレベルに上がってきている。勝てたことは良かったが、(5810点という)記録には満足していないし、世界との差も大きいので、もっともっと上のレベルで戦っていけるようにしたい。
今季は、絶対にアジア選手権やアジア大会に出るということを目標にしていて、そこで優勝争いをしたいと思い描いていたので、それに一歩近づけたことは自分のなかでは大きなことかなと思っている。選ばれた際には、しっかり準備をして戦っていきたい。
<U20日本選手権混成競技>
◎U20男子十種競技
優勝 齋藤泰希(東海大) 6774点
去年もU20に出て5位。今年は、東海大に入って、醍醐直幸先生(走高跳前日本記録保持者)に教えてもらえるようになったので、優勝を目指して頑張った。僕は2日目に得意種目があるので、1日目は自己ベストに近い点数を狙って、ほかの人に引き離されないように耐えることを目指した。1日目に砲丸投と走高跳で自己ベストが出せたし、2日目は、110mH、円盤投、1500mで自己ベスト、棒高跳は自己タイと、ほぼ自己ベストのような感じで進めることができたので、展開は、かなり良かったと思う。総合得点の6774点も自己ベスト。6700点くらいは取りたいと思っていたので、その通りになった。
手応えを感じたのは1m80を跳べた走高跳。自己記録は1m78だが、今までずっと1m65前後しか跳べない状態が続いていた。大学で醍醐先生に基礎から教えてもらえたことで、うまく(踏み切りも)合って、クリアすることができた。
今季は、関東学生新人で、しっかり来年の関東インカレと日本インカレの参加標準を切ることを目標としている。U20規格から一般規格に変わるが、投てき種目は重さが変わっても動きがあまり変わらないことが武器なので、これからは高さの変わるハードルについて、特にしっかり基礎を積んでいきたい。
十種競技は、去年、「出てみれば」と声をかけてもらって始めたのが最初。それによって前回のこの大会にも出場できたし、5位に入賞したことで「大学でも、(十種を)やってみたいな」と思った。もし、東海大に入れていなければ、陸上をやめていたことを思うと、この競技に出合えて本当に良かったと思う。
◎U20女子七種競技
優勝 林美希(中京大中京高) 5043点
(U20アジア選手権からの)疲労のあるなかでの試合となったが、最低限の目標としていた連覇を達成できたので良かった。韓国からの帰国は2日前(6月8日)。羽田空港に着いて、そのまま秋田空港に飛んで会場入りしている。かなりきついという思いもあったが、(来週行われるインターハイ)東海(地区大会)を通過するという目標を立てていたので、その後のための種目練習という位置づけで、1つ1つの課題を克服できるようにという気持ちで出場した。
脚をあまり使わない砲丸投ややり投は、しっかり地面を押す(ことで力を得る)ところを意識しようと思って投げた。砲丸投の2回目のように、けっこういい感覚でできたものもあったが、安定性がなかったので、今後は同じようにいい投てきができるようにしたいなと感じた。また、最低限5000点台には乗せたいと思っていたので、最後の800mは2分27(秒)くらいで走ることを意識して走った。
連戦となっていることで、すごくつらくはあるのだが、そのおかげでメンタルは少しずつ強くなっているのかなと思う。一緒に戦うことになった木南記念も含めて、シニアのほうに出ている方々は、800mとか、みんな(走るのは)嫌なはずなのに、それを一切顔に出すことなく、嫌がっている自分に「頑張りや」と声をかけてくれるので、「心が強いな、メンタル面で、まだまだ自分は未熟だな」と感じている。今までは声をかけてもらってばかりだったが、上級生となったので、これからは自分も、インターハイなどで、そうやって、年下の選手たちに声をかけられるようになりたいなと思っている。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
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