第107回日本陸上競技選手権の第2日目は6月2日に、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、台風2号と梅雨前線の影響で大雨となり、跳躍種目が第3日目の6月3日に順延に。トラック、投てきの男女各4種目で決勝が実施されました。
そんな悪コンディションをものともせず、今大会のブダペスト世界選手権代表内定「第1号」が誕生。男子3000m障害で三浦龍司(順大)が堂々の3連覇を飾り、2大会連続の代表入りを決めました。
三浦は、昨年9月のダイヤモンドリーグ・ファイナルで大健闘の4位に入った時に出した8分12秒65(パフォーマンス日本歴代2位)で、すでに世界選手権参加標準記録(8分15秒00)は突破済み。3位以内に入れば代表に決まる状況でした。それでも、スタート直後からトップに立つ攻めの走りを見せ、最後までその座を譲らず8分21秒41でフィニッシュ。盤石のレースを見せました。
2021年の東京五輪では7位入賞を果たしましたが、昨年のオレゴン世界選手権は予選で敗退。その雪辱の舞台への切符を手にし、再び世界と戦う準備を整えるべく、ダイヤモンドリーグ出場のため渡欧する予定です。
三浦が作ったハイペースに乗って、2位以下もハイレベル。砂田晟弥(プレス工業)が日本歴代10位の8分26秒36、3位の菖蒲敦司(早稲田大)は学生歴代5位の8分28秒16をそれぞれマークしました。一方で、東京五輪、オレゴン世界選手権代表の青木涼真(Honda)が後半の障害手前で転倒するアクシデントがあり、7位にとどまりました。
同じく東京五輪入賞者で、世界を見据えた力強い走りを見せたのが女子1500mの田中希実(New Balance)。残り2周からのロングスパートで集団から一気に抜け出し、400mごとに64秒、61秒でカバーして4分08秒29で4連覇を達成しました。2年前に自身が出した大会日本人最高タイムも0.10秒更新しました。
参加標準記録(4分03秒50)はまだ突破していないため、今大会での即時内定は得られませんでした。ただ、ワールドランキングでのターゲットナンバー(56人)入りは濃厚。田中も五輪では8位入賞を果たしましたが、オレゴン世界選手権は800m、5000mとの3種目に挑戦する中で準決勝どまりでした。その悔しさを晴らすため、プロ転向など新たな挑戦を続けています。最終日の6月4日、2年連続3度目の2冠を懸けて5000mに出場する予定で、参加標準記録(14分57秒00)を突破しての達成なら、3大会連続の代表入りが決まります。
男子200mは新チャンピオンが誕生しました。大学3年の鵜澤飛羽(筑波大)が学生歴代4位の20秒32(-0.2)で快勝し、日本一の称号をつかみ取りました。
宮城・築館高2年時にインターハイ100m、200m2冠を獲得して、一躍注目を集めたスプリンター。その後はケガを繰り返した時期もありましたが、今年5月3日の静岡国際で追い風参考ながら20秒10(+2.6)をマークして復活ののろしを上げました。前日の予選でも、20秒52(+0.4)の1着通過。決勝は直線に入って一気に突き抜け、予選トップタイムの宇野勝翔(順大)、水久保漱至(第一酒造)の追い上げを許さずフィニッシュラインを颯爽と駆け抜けました。
注目を集めた女子やり投は、オレゴン世界選手権銅メダリスト・北口榛花(JAL)が1投目に59m92でトップに立ち、3連覇へ順調な出足を見せました。しかし、その後は記録を伸ばせません。その隙を突き、それまで2位だった斉藤真理菜(スズキ)が5投目に61m14のビッグスローで逆転。5年ぶり2度目の優勝を果たしました。2017年ロンドン大会以来2度目の世界選手権代表入りに向け、大きな一歩を刻みました。
北口は2位にとどまったものの、4月29日の織田記念で2度目の参加標準記録(63m80)突破となる64m50をマークし、すでに3大会連続の世界選手権代表に内定済み。この敗戦を胸に、今後は海外に主戦場を移し、世界選手権本番に備える予定です。
男子1500mは上位3人が、1991年に奥山光広(ヤクルト)が作った大会記録(3分38秒88)を32年ぶりに塗り替えるハイレベルのレースになりました。優勝は終盤に抜け出した日本記録保持者の河村一輝(トーエネック)で、3分38秒45で2年ぶりに王座を奪還。2位の高橋佑輔(北海道大大学院)が学生歴代7位の3分38秒69、3位の森田佳祐(SUBARU)は3分38秒75の自己新をマークしました。
男子円盤投は大雨の影響で、大会当日に開始時間が1時間半延期されて15時開始となりました。その中で、日本記録保持者・堤雄司(ALSOK群馬)が、すべてを懸けて「100%集中した」という1投目に57m98をマーク。そのままトップの座を譲らず、5年連続10回目優勝の金字塔を打ち立てました。これまで、この種目でV回数をふたケタに乗せたのは最多11回の優勝を誇る畑山茂雄のみで、史上2人目の快挙を成し遂げました。
女子短距離も熱戦となり、100mは君嶋愛梨沙(土木管理総合)が11秒59(-0.1)で2連覇を達成。400mは久保山晴菜(今村病院)が、静岡国際で5月6日の木南記念で出した日本歴代9位の自己ベスト(53秒06)に迫る53秒19で初優勝を飾りました。
同時開催のU20日本選手権はフィールド種目がすべて3日目に順延となり、トラック種目のみが実施。男子200mは予選で高校歴代8位・高2歴代3位の20秒78(+0.9)と快走を見せた若菜敬(佐野高・栃木)が、決勝も21秒18(+0.2)で制しました。
第3日は日本選手権が8種目、U20日本選手権は10種目で決勝を実施します。なお、U20男子円盤投とU20女子やり投はサブトラック(ヤンマーフィールド長居)で行います。当初の予定から大幅に変更になった競技日程、出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は公式ホームページや日本陸連公式SNSをご参照ください。
文:月刊陸上競技編集部
写真:フォート・キシモト
【日本選手権】楽しむポイント
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【チケット情報】
今年はスペシャルチケットとして、テーブル・コンセント付きの最上位グレード席となる「SS席」のほか、1日50席限定の「B席アスリート交流チケット」、1日15席限定の「カメラ女子席」、そして日本選手権では初めてサブトラックの観戦ができる「サブトラック観戦チケット」の販売をいたします。既に完売の席種もございますので、是非お早めにお買い求めください!■S席のポイント
S席はメインスタンド1階層の中央からフィニッシュ付近の座席です!
トラック種目のフィニッシュシーンを間近で観戦できます。
王者誕生の瞬間を近くで見届けたい方におすすめの座席です!
トラック種目のフィニッシュシーンを間近で観戦できます。
王者誕生の瞬間を近くで見届けたい方におすすめの座席です!
■A席のポイント
A席は南サイドスタンド側、フィニッシュ付近の自由席です!
トラック種目のフィニッシュを正面から観戦できるため、フィニッシュ直後の選手たちの表情も間近で見ることもできます。
また、投てき種目(やり投・ハンマー投・円盤投・砲丸投)のピットも近いので選手たちの投てき前の集中した表情も観戦できます。
トラック種目のフィニッシュを正面から観戦できるため、フィニッシュ直後の選手たちの表情も間近で見ることもできます。
また、投てき種目(やり投・ハンマー投・円盤投・砲丸投)のピットも近いので選手たちの投てき前の集中した表情も観戦できます。
■B席のポイント
B席はメインスタンドのスタート側から中央にかけての自由席です!
100m、100mハードル、110mハードルのスタートシーンが間近で観戦できます。
スタート前は選手の鼓動が聞こえるほどに静まり返ります。
100m、100mハードル、110mハードルのスタートシーンが間近で観戦できます。
スタート前は選手の鼓動が聞こえるほどに静まり返ります。
■C席のポイント
C席はサイドバックの自由席となります。
C席のチケットをお持ちの方の他、サブトラック観戦チケットを除く全てのチケットの方も移動しての観戦が可能です!!
バックスタンド側で実施される走幅跳・三段跳では是非、バックスタンド側のC席から大きな拍手で応援をお願いいたします。
また、北サイドスタンド側では3000m障害物の水郷付近での観戦が可能です。水しぶきをあげて駆け抜ける迫力のある走りを是非ご覧ください。
C席のチケットをお持ちの方の他、サブトラック観戦チケットを除く全てのチケットの方も移動しての観戦が可能です!!
バックスタンド側で実施される走幅跳・三段跳では是非、バックスタンド側のC席から大きな拍手で応援をお願いいたします。
また、北サイドスタンド側では3000m障害物の水郷付近での観戦が可能です。水しぶきをあげて駆け抜ける迫力のある走りを是非ご覧ください。
- 普及・育成・強化
- 第107回日本陸上競技選手権大会 第39回U20日本陸上競技選手権大会 兼 ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会 兼 バンコク2023アジア陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会 兼 杭州2022アジア競技大会 日本代表選手選考競技会
- 君嶋愛梨沙
- 久保山晴菜
- 田中希実
- 三浦龍司
- 青木涼真
- 斉藤真理菜
- 北口榛花
- チームJAPAN
- 第107回日本選手権ハイライト
- 頂点への挑戦
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