第107回日本選手権が6月1~4日、大阪市のヤンマースタジアム長居において、第39回U20日本選手権との併催で行われます。実施されるのは、別会期で予定されている男女混成競技(十種競技、七種競技)、男女10000mを除く34のトラック&フィールド種目。8月にハンガリーで開催されるブダペスト世界選手権、7月にタイで行われるバンコクアジア選手権、9月に中国で実施される杭州アジア大会の日本代表選考競技会を兼ねており、2023年日本チャンピオンの座を競うとともに、各種目で日本代表入りを懸けた激しい戦いが予想されています。
開幕を翌日に控えた5月31日には、前日会見が行われました。会見には、男子短距離のサニブラウン アブデルハキーム(東レ、100m)、男子長距離の三浦龍司(順天堂大、3000m障害物)、女子ハードルの福部真子(日本建設工業、100mハードル)の3選手が出席。それぞれに、ここまでの経過や現在のコンディション、大会に向けての抱負を述べました。
以下、各選手のコメント(要旨)をご紹介します。
【各選手コメント(要旨)】
※会見対応順に掲載◎福部真子(日本建設工業)
今の心境は、もう心臓がバックバク(笑)で、夜も寝られないくらい不安。この大会では、しっかり自分の走りをして、3番以内に入ることを目標にして走りたい。
今季は、織田記念では右手の(動きの)意識をハードル10台のうち何回できるか考えながら走り、ゴールデングランプリではリード足の出し方を10台中何台(やりたいと通りに)できるかと考えながら走った。そうしたレースが続いたことで、なかなか冬期(練習で)積んだエンジンを出しきれていないところに歯がゆさを感じている。また、練習でも「まだエンジンを使いこなせていない」と感じていて、噛み合ってこない、調子が上がってこないというのが今の正直な状態である。その状態でも、去年一番自分の身体が切れていたときのタイムを出せていることを、一段階上のレベルに行けていると捉えるのなら、悲観することでもないのかなと考えている。今回、予選・準決勝・決勝と3本(のラウンドが)あるので、そこでしっかりと、決勝に向けて自分の状態が上がっていくようなレースができればいいなと思う。
(12秒台の選手が複数存在するレベルの高さを問われて)陸上を始めてから、こんなにハイレベルなレースを体験するのは初めてとなるし、そもそも自分が世界選手権の参加標準記録(12秒78)を切ったうえで日本選手権に挑むということを、全く想像していなかった。なので不安もあり、その不安から自分で自分を追い詰めてしまうこともある。しかし、こういう感情を味わうのは、ほんの一握りの選手のこと。そういう感情を味わえていることに、感謝しなければいけないとも思ってはいるのだが、やはり不安とドキドキのほうが勝っていて(笑)、正直、レースから逃げたいという気持ち(笑)で、「レースから逃げて、代表になれたらいいのに」と何回も思っている。でも、自分の走りを楽しみにしてもらえるのは、すごくありがたいことなので、この環境に感謝しつつ、自分自身がしっかり楽しめるように、(レースまでの) あと 2日くらいを過ごしていきたい。
勝負という点については、AIと戦うのではなく同じ人間と戦うので、「絶対」はない。予選・準決勝といい走りができたからといって、次の日の決勝も確実にいい走りができるかといったら100%でない。それが陸上の面白さだし、醍醐味でもある。なので、どれだけ集中力を切らさずに、自分のリズムを崩さずに10台(のハードル)を越えていけるかというところが鍵になってくると思う。しっかりまとめたレースができれば結果はついてくるはず。この日本選手権を、笑って終えれたらいいなと思う。
◎三浦龍司(順天堂大)
この日本選手権は、世界陸上を決める重要な大会でもあり、今シーズンのサンショー(3000m障害物)の2回目のレースとなるので、いい緊張感(を持って臨むこと)と、自分がやりたいレースや走りをしっかりとやっていくところが目標となる。レースプランとしては、ゴールデングランプリ(GGP)のときと同じで、最初の2000mはリズムをつくって、ラストの1000mで一気に切り替えていくことを考えている。(ラスト1000mのタイムは)2分40秒あたりが目標になるが、今回は、GGPよりさらにキレのある走り、ラストスパートができればと思っている。
(3000m障害物の今季初戦だった)GGP以降は、障害に対しての距離勘などといった感覚を養っていく期間は十分にとることができた。GGPのときは、少し(障害飛越の際に)足の合わない場面が多かったが、その修正できていればいいなと思う。サンショーのレースを走ると、気分だったり走りの後半の身体の反応だったりが変わってくる。ここ数回の練習も踏まえて、いい感覚になってきていることを実感している。ただ、この種目の特性でもあるのだが、ケガなどいろいろなイレギュラーなことが起こり得る競技。競技へのリスペクトの思いも込めて、大会を問わず、どんなときでも緊張感を持って走りたい。
(ダイヤモンドリーグで記録が出ていることの感想を問われ)ダイヤモンドリーグの結果はもちろん見ていて、そこにすごく大きな刺激を受けている。ただ、自分も世界陸上に進むことができれば、対戦することも可能な相手なので、そこで戦えるように、まずは、ここまで自分が最高のパフォーマンスをした東京オリンピック(予選で8分09秒92の日本新記録をマークして決勝進出を果たし、7位入賞)のときの走りに近づけることを目指したい。そして、自分自身も記録を出して、世界のトップレベルにいる人たちに食いつけるような走りをしたい。
日本選手権は、国内で走ることのできる数少ない機会でもある。そのレースの機会を通じて、自分のラストスパートを磨くとか、障害に対しての距離勘を養うとか、そういう目的を試し、自分の感覚を確認できる場所でもある。いろいろな意味で重要なポイント。この機会をフル活用したい。
◎サニブラウン アブデルハキーム(東レ)
注:サ ニブラウンアブデルハキーム選手は、5月31日に、東レ株式会社とグローバルパートナーシップ契約を締結したため、所属名は本会見から東レとなりました。
今年の冬季にいろいろなことをやってきたので、それがしっかり出せればなと考えている。(7位入賞を果たした)昨年の世界選手権はけっこう良かったけれど、全体的に反応のところに関して、もうちょっとコンスタントに、しっかりしていかなければならないという反省があったので、冬はそこに取り組んできた。また、スタートの「出」の部分についても、スムーズに出るのではなく、もっとしっかりと(スターティング)ブロックを蹴って出ることをやってきた。練習から平均的には良くなってきたので、そこをしっかり出すことができたらいいなと思う。
今季は、ここまで2試合に出場した。1試合目(10秒13、+2.3)は完全に感覚を戻すような試合で、2試合目(10秒16。+2.9)も練習でやっていることと自分の身体の反応をレースで確認する試合だった。終えてみて、身体の状態は悪くなかったのだが、集中力が切れてしまう場面があったことが課題に挙がったので、それからは1試合1試合を大事にしていけるよう、日常からメンタルの面でもっと集中することを意識してきた
今回は、男子100mの日程が変わって、世界選手権に近い形となっている(ラウンドの分け方を、予選・準決勝/決勝でなく、予選/準決勝・決勝とした)。そもそもラウンドを走る大会というのがそんなにないので、そのなかで世界選手権と同じスケジュールで走れることは、すごくありがたい。実際には(準決勝と決勝の間の)時間自体は日本選手権のほうが空いてはいるが、そのなかでリカバリーの取り方などを確認できればと思う。
今季は、練習を順調に積めてきているが、結局、ここへ来て、レーンの前に立って、やるべきことは毎回一緒で、練習で積み上げてきていることを出すだけ。レースを迎えるにあたっての心境は、例年とあまり変わりはない。また、標準記録(10秒00)突破については、「この大会で」という具体的なターゲットはあまり持っていない。でも、(世界選手権に向けて)仕上げていく過程で、勝手にポンと出るかなという感じでいる。連覇についても、あまり意識はしていないが、でも勝ちたいという気持ちはあるので、気を緩めずに行こうと考えている。毎ラウンド毎ラウンドで、コンディショニングを上げていくようにしたい。
日本で走る機会がそもそもなかなかないので、日本選手権は、いつも応援してくださっている方々の前で、いい走りが見せられるいい機会だと思っている。また、やっぱり地元(の日本)で走るのが、自分にとっては一番いい試合だという思いもある。アメリカからは昨日帰ってきたばかりだが、この会見の直前にパートナーシップ契約を締結し、東レの所属で日本選手権に臨むことになった。自分自身、アメリカの大学に行き、プロ契約をして…と、ここまでいろいろと新しいことにチャレンジしてきたなかで、またパートナーシップ契約ということで、東レさんと一緒に新しいことをやっていくことになった。アスリートとして自分がすべき仕事は、競技面では一つ。契約して初の大会がこの日本選手権になるので、しっかりといい姿をお見せしたい。
大会第1日の6月1日は、併催されるU20日本選手権女子円盤投決勝(10時40分)からスタート。日本選手権の部は、12時40分から始まる女子円盤投決勝で幕を開け、同種目のほか女子3000m障害物、男子5000m、女子走高跳、男子三段跳、男子やり投の全6種目で日本一の座が競われます。
日本陸連では、公式ホームページ内に日本選手権大会サイトを特設。タイムテーブルやスタートリスト、結果の速報、テレビ放映スケジュールやライブ配信情報、大会展望企画など、競技に関する情報はもちろんのこと、期間中に予定されているサブイベントやスタジアム外に設営される『わくわくパーク』やスポンサーブースの紹介、キッチンカーの出店案内など、会場で楽しめるさまざまな情報をリリースしています。
また、5月12日からスタートしている出場選手に向けた「応援メッセージキャンペーン」も、最終日の競技終了時刻まで募集しています。皆さまからいただいたメッセージは、大会特設サイトや会場の大型ビジョン、アナウンス、本連盟公式SNSで紹介して、選手に届きます。応募者には、抽選による素敵なプレゼントも用意しています!
これらに関する情報は、随時更新中! ぜひ、ご活用ください。
第107回日本選手権 大会特設サイト
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
>>チケット好評販売中
>>オンエア情報はこちら
【ライブ配信1日目】6月1日(木)
競技開始~18:00頃まで配信予定◆メインチャンネル
◆フィールドチャンネル
【ライブ配信2日目】6月2日(金)
競技開始~18:30頃まで配信予定◆メインチャンネル
◆フィールドチャンネル
【ライブ配信3日目】6月3日(土)
競技開始~16:30頃まで配信予定◆メインチャンネル
◆フィールドチャンネル
【ライブ配信4日目】6月4日(日)
競技開始~16:30頃まで配信予定◆メインチャンネル
◆フィールドチャンネル
ライブ配信は状況により時間・内容を変更することがございます。
ライブ配信終了後は、NHK放送をご覧ください
▼https://www3.nhk.or.jp/sports/athletics/
【日本選手権】楽しむポイント:おすすめ情報掲載!
>>https://www.jaaf.or.jp/jch/107/enjoy/
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/message/
■【わくわくパーク】会場の外で楽しめる!消防車やパトカーがやってくる!
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/news/article/18021/
■【キッチンカー】観戦に欠かせないグルメ!スタジアムに集まるキッチンカーをご紹介!
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/news/article/18033/
■【スポンサーブース】グルメから体験型まで!どなたでも楽しめる
https://www.jaaf.or.jp/jch/107/news/article/18046/
■記録と数字で楽しむ 第107回日本選手権
■第107回日本選手権展望:みどころをチェック!
【第107回日本陸上競技選手権大会】
今年はスペシャルチケットとして、テーブル・コンセント付きの最上位グレード席となる「SS席」、1日50席限定の「B席アスリート交流チケット」、1日15席限定の「カメラ女子席」、そして日本選手権では初めてサブトラックの観戦ができる「サブトラック観戦チケット」を販売!既に一部の席は完売となっておりますので是非お早めにお買い求めください!
- 第107回日本陸上競技選手権大会 第39回U20日本陸上競技選手権大会 兼 ブダペスト2023世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会 兼 バンコク2023アジア陸上競技選手権大会 日本代表選手選考競技会 兼 杭州2022アジア競技大会 日本代表選手選考競技会
- 三浦龍司
- 福部真子
- チームJAPAN
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