競歩のロードシーズン幕開けを告げる大会として、秋の風物詩となっている「高畠競歩」が帰ってきました。第59回全日本35km競歩高畠大会は10月23日、来年開催されるブダペスト世界選手権(ハンガリー)と杭州アジア大会(中国)の日本代表選手選考競技会を兼ねて行われます。新型コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大の影響による中止が2年続いたことで、この大会が開催されるのは、実に2019年以来3年ぶり。世界大会の実施種目が50kmから35kmに変更したことに伴い、この大会でも今回から35kmでレースが行われます。
大会を翌日に控えた10月22日夕刻には、注目選手の前日会見が山形県の高畠町交流プラザで開かれました。会見には、男子35km競歩に出場する山西利和選手(愛知製鋼)と丸尾知司選手(愛知製鋼)、そして女子35㎞競歩に出場する園田世玲奈選手(NTN)の3名が出席。ここまでの経過や現在の体調、レースに向けての思いなどを述べたのちに、メディアからの質問に応えました。各選手のコメントは以下の通りです。
【前日会見コメント(要旨)】
◎山西利和(愛知製鋼)
(20km競歩で連覇を果たした)オレゴン世界選手権から約3カ月と、限られた期間のなかでの準備だったので、パーフェクトな準備ができたとはいえないが、まずは「35kmにチャレンジしてみたいな」という意思のもとに、ここへ来た。スタートラインに立つために、いろいろな方々のサポートをいただいたので、まずは、僕のわがままやエゴにつきあってくださったことを本当に感謝したい。
(35kmのレース出場は)、正直、そんなに明確なビジョンを持ってのチャレンジではない。20kmに繋がることはおそらくあると思うし、それがもしかしたら、将来的に、種目選択の一つの判断材料になるかもしれない。ただ、それは可能性の話としてあるわけで、そのことが目的というよりは、単純に35kmという距離、新しくできた種目に挑戦をしてみたいなという感情が先にあった。
目標に関しても、それほど明確に立てているわけではない。集団のなかでレースを進めながら、後半で勝負かなと思っている。
このレースに出ることで、たぶん足りないものがたくさん見えると思うので、それが一番楽しみ。自分の新たな課題を見つけるとともに、同時に可能性みたいなものを見ることができたらいいなと思う。おそらく20kmとはまたちょっと違うものが出てくると思う。そこを楽しみにしている。
◎丸尾知司(愛知製鋼)
ここまでのトレーニングは、特に大きな問題なく進めてくることができた。今回は(これまでやってきていた)50kmに向けての取り組みを捨てて、山西(利和)くんと練習させてもらいながら、35kmに向けての新しい準備をしてきた。ケガはなかったので、まずまず順調かなという感じ。明日は、優勝をターゲットにしながら、山西くんといいレースができればと思う。
今年4月(の日本選手権)で35kmを初めて歩いたときは、50kmの感覚がすごく残っていて、(レースに向けての準備も)距離を重ねてレースに向かう距離ベースの練習が多かったのだが、今回はどちらかというとスピードのほうを重視しながら、身体も、フォームも、練習も、すべて新しいものに変えてきた。(35kmだと)スピードが速くなってくるが、そこでスピードを楽に出せないと、結局、後半に力がなくなってしまうので、楽に速いスピードを出すというところに重きを置いてきた。
輪島(日本選手権)で負けて、(オレゴン)世界選手権に行けなかったことは、すごく悔しかったし、それを受け止めることもつらかった。しかし、いつもそうなのだが、(世界選手権出場を逃した)結果を報告したときに、(洛南)高校時代の恩師である中島道雄先生と柴田博之先生のお二人から、「この時間を大事にしないといけないよ」という言葉をいただいた。7月、8月は一人で追い込む練習が多かったのだが、その言葉を胸に、「もう一度、日本代表にカムバックするんだ」という思いで取り組んできた。それが、来年の夏(の世界選手権)にしっかり繋がればいいなと思っている。
◎園田世玲奈(NTN)
オレゴンの世界陸上が終わってから3カ月と短い期間ではあったが、「もう一度、世界の舞台を挑戦したい」という強い気持ちを忘れずに、ここまでは継続した練習を積み重ねてくることができた。世界選手権では、20kmでメダルを獲得された選手が、35kmでもメダルを獲るという結果だったことから、自分にはまだまだスピードの部分が足りないということを痛感し、この夏は、スピードに特化した練習を積み重ねてきた。その結果、先日の栃木国体(成年5000m競歩)で自己ベストに近いセカンド記録(21分48秒63:優勝)を出することができ、自信に繋がった。
この大会では、まずは(世界選手権でマークした)自己ベスト(2時間45分09秒)を更新して、来年の世界選手権に繋がるような歩きができるよう、精いっぱい頑張りたい。
オレゴン世界選手権のときには、前半を自分が引っ張る形となったことで、(後半でペースダウンして)ほかの選手の後半の力になってしまったという部分があった。明日は、前回のレースで落ちてしまった後半の部分を、維持するだけでなく、(ペースを)上げていけるようにすることを目指して取り組んでいきたい。
大会は、10月23日午前、山形県高畠町の「高畠まほろば競歩コース」(日本陸連公認コース1周2km)で行われます。今回、実施されるのは男女35km競歩と男女20km競歩の全4種目。まず、男女35km競歩が午前8時にスタートし、続いて男子20km競歩が8時10分に、女子20km競歩が8時30分に、それぞれスタートします。レースの模様は、日本陸連公式YouTubeチャンネルにおいてライブ配信の予定。大会スケジュール、エントリーリスト、ライブ配信等の詳細は、日本陸連公式サイト内の大会情報( https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1675/ )をご参照ください。
また、競歩特設サイト「Race walk Navi~競歩ナビ~」( https://www.jaaf.or.jp/racewalking/ )では、上記の情報のほか、歴史やルール、日本選手権歴代優勝者、ブダペスト世界選手権やアジア大会の内定条件なども紹介されています。観戦のお供に、ぜひご活用ください。
【LIVE配信】
(https://youtu.be/s3zUDMt6eBs)
文・写真:児玉育美(JAAFメディアチーム)
【競歩特設サイト】Race walking Navi~競歩ナビ~
競歩のルールや競歩を楽しむためのポイントを掲載中!■第59回全日本35km競歩高畠大会 大会ページ
https://www.jaaf.or.jp/competition/detail/1675/
■第59回全日本35km競歩高畠大会 エントリーリスト https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1675-4.pdf
■ブタペスト2023世界選手権 競歩日本代表選手選考要項 https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202208/30_124849.pdf
関連ニュース
-
2024.10.11(金)
【日本選手権リレー】男子4×100mリレー:早稲田大、11年ぶり22回目の優勝!
大会 -
2022.10.26(水)
【第59回全日本35km競歩高畠大会】レポート&コメント:男子は35km競歩初挑戦の山西利和が貫録の歩きで優勝、女子は園田が参加標準記録を突破して優勝!
大会 -
2022.10.20(木)
【ライブ配信実施!】10月23日(日)第59回全日本35km競歩高畠大会:ブタペスト2023世界選手権に向けた戦いが幕を開ける!
大会 -
2022.10.07(金)
第59回全日本35km競歩高畠大会のエントリーリストを掲載しました
大会 -
2022.09.14(水)
第59回全日本35km競歩高畠大会の大会要項を掲載しました
大会