7月19日に大会5日目を迎えたオレゴン世界選手権2022。中日となるこの日からは、イブニングセッションのみの実施が続きます。この日は、女子走高跳、男子円盤投、男子1500m、男子400mハードルの決勝4種目が行われたほか、女子400mハードル予選、男女200mの準決勝が行われました。
日本は、男子200m準決勝に、昨日に行われた予選を通過した飯塚翔太選手(ミズノ)と上山紘輝選手(住友電工)が出場。全3組の各組上位2着までと3着以下の上位記録者2名が決勝に進出できる条件で行われました。
1組目に入った飯塚選手は、向かい風0.1mのなか20秒77・7着でフィニッシュ。3組目の出場となった上山選手は、20秒48(+0.3)で6着。20秒09で走らないとプラスでの決勝進出が叶わない、非常にハイレベルなラウンドでした。
競技後の各選手のコメントは、以下の通りです。
◎飯塚翔太(ミズノ)
男子200m 準決勝 1組7着 20秒77(-0.1)
2レーンで、思ったよりも(コーナーで身体が遠心力で)振られたが、自分のなかではうまく前半は走れているイメージがあったが、みんな速かった。もう最後まで必死で、(全力を)出しきれた感じがある。
(前半の100mは10秒63だったが、との問いに)予選に比べると少し遅いが、まあ、振られはしたけれど、感覚的にはうまく走れた気がする。ただ、後半はみんな(速くて)ヤバかった(笑)。
今回は、日本選手権が終わってから直線(100m)の練習に取り組んでいたこともあって、割と「スピードに乗る」「加速する」というイメージがつかめていた。ほとんど長い距離を走らずにここに来たのだが、(200mレース)前半の動きというのは、短い(距離の100mの)練習からつかめるんだなということを、準備の段階から見えたことは収穫といえる。あと、今回、走ってみて、(トップとの)距離はまだまだあるけれど、自分もまだ食らいついて頑張れるという感覚もあったので、そのことも収穫だった。
今回は、直前に出場が決まったが、「いつ言われても行く」準備をして、「飛行機が間に合えば走る」くらいの胸中で待っていた。意外と気持ちの面は大丈夫だったので、いつでも準備できるという気持ちを常に持っておくことは大事だと思った。
(来年のブダペスト世界選手権につなげていきたいという思いはあったか、の問いに)もちろんあった。この舞台、この緊張感で走るのは選手として幸せなこと。できる限り挑戦を続けたい。
(4×100mリレーに関しての質問に)今回、小池(祐貴)くんは不本意(コロナウイルスの陽性反応が出たことで欠場を余儀なくされた)で走ることができず、そういった選手たちがけっこうチームジャパンにいる。「その人たちのため」と言ったらおこがましいかもしれないが、リレーを含めて恥じないような結果を出して帰りたい。
リレーに関しては、特に(出走することの)打診は受けていないが、もちろん準備はしている。自分のできることを、全力でサポートしたい。今、僕らは毎朝連絡が来て、体調を聞かれて、毎日体温を測って、少しでも異常があったら検査をするという形で過ごしている。1日1日で動きがあるので、臨機応変に最後まで戦っていきたい。
◎上山紘輝(住友電工)
男子200m 準決勝 3組6着 20秒48(+0.3)
予選の前半が良かったぶん、自分の持ち味を発揮できなかったなというレースではあったが、今、出せる力は出したんじゃないかなと思う。準決勝も、予選同様に勝負していかないとダメだと思っていたので、予選並みに(前半から)行くつもりでいたのだが、周りは一段階上げてきていて、全然通用しなかった。予選のときだと、コーナーの出口まで1人抜けていた感じがあったが、どれだけ頑張っても周りに追いつかないし、置いていかれてしまう。力の差をすごく感じた。
予選ではタイムが出たぶん、いい動きができていて、(その影響で準決勝は)疲れもあった。予選と同じようには走れていないと思ったが、それでも日本にいたときに出していた(20秒)48…「また(20秒)48か」という感じはあるが(※20秒48はセカンドベストで、これで今季3回目のマークとなる)…が出たので、「それくらいの力はあるんだな」と感じた。
それでも、予選から自己記録を0.2秒も更新できて、20秒2で走れる力があると自分でもわかったので、今後、日本でも、海外に行っても、しっかりそれくらいのタイムで走れるような実力をつけていきたい。
また、予選でもっと余裕を持っていけるようにならないと、力を溜めて、準決勝や決勝で勝負することはできない。例えば、ライルズ選手(アメリカ)は予選を19秒98で走って、準決勝は19秒62で走ってくる力があるわけで、もう一段階、もう二段階くらいギアを上げる力が僕には必要だなと感じた。
(4×100m)リレーについては、小池(祐貴)さんのアクシデントもあって、どうなるかわからないけれど、任されたところを走るという考えは変わらない。しっかり日本のチームの力になって頑張りたい。
この大会は初出場で、準決勝を目標にはしてきたけれど、実際に、ベストも出して、準決勝も走れて、いい経験になっている。これを「いい経験」で終わるのではなくて、「次からは決勝を目指して頑張ります」とちゃんと言いきれるような力をつけて、来年のブダペスト(世界選手権)、再来年のパリ(オリンピック)に、代表としてまた戻ってこられたらなと思う。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト
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