2022.06.11(土)大会

【日本選手権】第2日ハイライト/100m・サニブラウンは復活V、1500m・田中は3連覇で世界選手権日本代表内定!



第106回日本陸上競技選手権の第2日は6月10日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開催され、10種目の決勝が行われました。男子100mはサニブラウン アブデルハキーム(TumbleweedTC)が10秒08(+1.1)で3年ぶり3回目の優勝を飾り、7月15日~24日にアメリカ・オレゴンで開催される世界陸上競技選手権の日本代表に内定しました。女子1500mも昨年の東京五輪で8位に入賞した田中希実(豊田自動織機)が4分11秒83で順当勝ちし、同じく代表に内定。“即内定”となったのはこの2選手だけでしたが、その他にもワールドランキングでターゲットナンバー(参加人数枠)に入る可能性のある選手も多く、“日本一”の称号とともに日本代表入りを目指す戦いは白熱しました。


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今年の『日本最速』は誰なのか――。20時過ぎから行われた100mは男女ともに期待通りの好勝負が展開されました。
先に行われた女子は前日の予選、準決勝とも今季自己最高の11秒47で1着通過していた兒玉芽生(ミズノ)がスムーズに加速し、中盤でトップに立ちました。このまま3連覇か、と思われた矢先、一つ外側の5レーンに入った君嶋愛梨沙(土木管理総合)が追い上げ、兒玉に並びかけます。申し分のない走りに見えた兒玉をさらに君嶋が上回り、そのまま抜き去ってフィニッシュ。君嶋は11秒36(+0.6)と、大会前の自己記録を0秒15も短縮する日本歴代4位の好タイムで初優勝を飾りました。兒玉は3連覇を逃しましたが、自己ベストに0秒05と迫る11秒40で2位でした。



続く男子は前日の準決勝でオレゴン世界選手権の参加標準記録を突破する10秒04(+0.8)をマークしたサニブラウン アブデルハキーム(TumbleweedTC)に注目が集まりました。ところが、サニブラウンはスタートでやや出遅れ、その隙に飛び出したのは坂井隆一郎(大阪ガス)。中盤以降はサニブラウンが坂井との差を一気に詰めてフィニッシュ手前で逆転しましたが、混戦を一歩リードして見せ場を作った坂井の健闘も光りました。

10秒08(+1.1)で3年ぶりVを果たしたサニブラウンが世界陸上の日本代表に内定。坂井は自己記録を3年ぶりに0.02秒縮め、10秒10で2位でした。準決勝をU20日本歴代3位となる10秒16(±0)で1着通過していた大学1年生の柳田大輝(東洋大・ダイヤモンドアスリート)が10秒19で3位に入り、小池祐貴(住友電工)が柳田と同タイムの4位。5位は10秒27の鈴木涼太(スズキ)で、前日の準決勝が4着通過だった桐生祥秀(日本生命)は10秒27で6位にとどまりました。



6月10日の時点ではサニブラウン以外では桐生だけがワールドランキングで世界選手権のターゲットナンバーに入っており、個人での出場資格を持ちます。桐生よりも上位に入った選手が6月26日までに世界選手権参加標準記録突破かワールドランキングで世界選手権の出場資格を得られなければ、桐生が2枠目、3枠目の100m代表になる可能性は残されています。6月25~26日の布勢スプリントが記録挑戦の場となりそうです。



女子1500mは日本記録保持者の田中希実(豊田自動織機)が4分11秒83で3連覇。前半は田中が先頭を引っ張らないという国内では珍しい展開になりましたが、最後の300mは44秒でカバーして悠々と後続を振り切りました。昨年の東京五輪で標準記録を突破しているため、世界選手権の日本代表に内定しました。また、田中の練習パートナーである後藤夢(豊田自動織機)が2位に続き、豊田自動織機のワン・ツーフィニッシュとなりました。



その他の種目で世界選手権の即時内定はありませんでしたが、印象的な“復活V”や初優勝がありました。女子400mは予選で52秒74をマークした松本奈菜子(東邦銀行)が53秒03で完勝。浜松市立高(静岡)3年生だった2014年以来8年ぶりの栄冠でした。女子棒高跳も竜田夏苗(ニッパツ)が4m25で7年ぶりに制覇。どちらも現在の所属先になってからは初めての優勝です。



女子100mの君嶋のほか、男子400mは佐藤風雅(那須環境)が45秒49、男子1500mは飯澤千翔(東海大)が3分42秒82、男子三段跳は伊藤陸(近畿大工業高専)が16m57(+1.5)、女子ハンマー投は勝冶玲海(九州共立大)が61m94と、5人が初優勝を遂げました。男子ハンマー投も好勝負で、2年ぶり4回目の優勝となった柏村亮太(ヤマダ電機)は72m77と、日本歴代6位から4位に浮上しました。2位の古旗崇裕(BUAC)も日本歴代8位の71m34、3位の中川達斗(九州共立大)は70m44と、3人が70mを超え、4位と5位も69m台と、上位争いはハイレベルとなりました。

同時開催のU20日本選手権も10種目の決勝が行われ、女子ハンマー投では村上来花(九州共立大)が59m43の大会新で初優勝を飾るなど各種目で好記録が生まれました。

第3日は日本選手権、U20日本選手権とも7種目の決勝を実施します。競技日程や出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は公式ホームページや日本陸連公式SNSをご参照ください。


文:月刊陸上競技編集部
写真:フォート・キシモト



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