第106回日本陸上競技選手権は6月9日、大阪市のヤンマースタジアム長居で開幕しました。今大会は7月15日~24日にアメリカ・オレゴンで開催される世界陸上競技選手権の代表選考競技会を兼ねて開催され、日本一とともに最大3人の枠をめぐる争いにも注目が集まりました。
今回の代表選考は日本選手権の成績が重視され、参加標準記録突破者やターゲットナンバー(参加人数枠)での世界ランキングによる出場は日本選手権の上位3選手が優先されます。このため、多くの選手が「3位以内」を意識した戦いが繰り広げられました(敬称略)。
今大会の代表内定第1号となったのは男子5000mで2連覇を果たした遠藤日向(住友電工)。5月4日の「ゴールデンゲームズinのべおか」で参加標準記録を突破する13分10秒69(日本歴代2位)をマークしており、3位以内に入れば即内定という状況の中、残り800mからロングスパートをかけて東京五輪代表の松枝博輝(富士通)らを圧倒しました。13分22秒13は日本人の優勝タイムでは歴代2番目。ゴールデンゲームズではアフリカ勢にも先着するほどのスパート力を持つ遠藤は、世界の舞台でも予選突破や入賞の期待がかかります。なお、4月に13分22秒91のU20日本記録を樹立した佐藤圭汰(駒澤大)は13分55秒08で17位にとどまりました。
代表入りに大きく前進したのは男子走高跳を2年ぶりに制した真野友博(九電工)。自己記録にあと1cmと迫る2m30に成功。参加標準記録の2m33はクリアできませんでしたが、世界ランキングのポイントでは出場が有力な位置にいます。今回を含めて2m30以上が2020年以降で4回というアベレージの高さは世界の舞台でも武器になりそうです。
女子走幅跳は秦澄美鈴(シバタ工業)が6m43(-2.5)で悠々と2連覇を果たしました。至近6年間は秦と高良彩花(筑波大)が3回ずつ優勝しており、今回は高良が2位。秦はワールドランキングで世界選手権のターゲットナンバーに入っており、初出場の可能性が有力です。
円盤投は男女とも日本記録保持者が優勝しました。男子は堤雄司(ALSOK群馬)が2位の湯上剛輝(トヨタ自動車)をわずか2cm差で退け、59m45で4年連続9回目のV。女子は郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が日本記録(59m03)に迫るパフォーマンス日本歴代2位の58m70で、齋藤真希(東京女子体育大)の連勝を「2」で止めました。砲丸投は4回優勝している郡ですが、この種目は初優勝でした。
男女100mの予選と準決勝も行われました。男子は9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(セイコー)が昨年10月に右膝を手術した影響から欠場しましたが、前日本記録(9秒97)保持者のサニブラウン アブデルハキーム(TumbleweedTC)が好調。予選10秒11(±0)、準決勝10秒04(+0.8)といずれも全体1位のタイムで悠々と勝ち上がり、世界選手権の参加標準記録(10秒05)も突破しました。一方、前回覇者の多田修平(住友電工)は準決勝2組で10秒41(±0)の6着で決勝進出はならず。日本人初の9秒台スプリンター・桐生祥秀(日本生命)も準決勝は10秒24(+0.5)で1組4着にとどまり、着順以外の上位タイム2名枠の2番目で通過するという波乱の展開となりました。もう一人の9秒台スプリンター、小池祐貴(住友電工)は予選、準決勝とも1着で通過。決勝はどんなレースになるでしょうか。
女子は前回まで2連勝中の兒玉芽生(ミズノ)が予選、準決勝とも11秒47で1着通過を決めましたが、準決勝1組では2019年の優勝者である御家瀬緑(住友電工)が同年マークした自己記録に並ぶ11秒46(+0.6)の快走。同組では君嶋愛梨沙(土木管理総合)も11秒48、100mハードル日本記録保持者の青木益未(七十七銀行)が11秒51といずれも自己記録を塗り替え、存在をアピールしました。決勝も好レースが期待できそうです。
予選が行われた400mは、女子の松本奈菜子(東邦銀行)が日本歴代4位となる52秒74を叩き出して決勝に進みました。男子は東京五輪代表のウォルシュ・ジュリアンと佐藤拳太郎(ともに富士通)が落選。佐藤風雅(那須環境)が45秒55とただ一人45秒台を出しており、好調さが際立ちました。
男女1500m予選は日本記録保持者が順当に通過。女子は今大会800m、1500m、5000mの3種目に挑む東京五輪8位の田中希実(豊田自動織機)が4分15秒19で全体のトップ。男子は河村一輝(トーエネック)が1組4着で決勝に駒を進めました。
また、今年も20歳未満の競技者が参加できる第38回U20日本選手権が同時開催され、8月1日~6日にコロンビア・カリで開かれるU20世界選手権の代表選考会も兼ねています。初日は6種目の決勝が行われ、インターハイ地区大会を控える高校生の参加は多くありませんでしたが、男子5000mでは吉岡大翔(佐久長聖高・長野)が、女子走幅跳では秦くるみ(伊豆中央高・静岡)が優勝を飾りました。
第2日は男女100mなど日本選手権、U20日本選手権とも10の決勝種目を実施します。競技日程や出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は公式ホームページや日本陸連公式SNSをご参照ください。
文:月刊陸上競技編集部
写真:フォート・キシモト
あなたの言葉で選手へエールを届けよう!
■第106回日本陸上競技選手権大会 特設サイト!
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/ticket/
■日本選手権を楽しむポイント~大会展望や会場で体験できるイベントなど紹介~
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/enjoy/
■オレゴン2022世界陸上競技選手権大会 日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202112/16_191504.pdf
今回の代表選考は日本選手権の成績が重視され、参加標準記録突破者やターゲットナンバー(参加人数枠)での世界ランキングによる出場は日本選手権の上位3選手が優先されます。このため、多くの選手が「3位以内」を意識した戦いが繰り広げられました(敬称略)。
今大会の代表内定第1号となったのは男子5000mで2連覇を果たした遠藤日向(住友電工)。5月4日の「ゴールデンゲームズinのべおか」で参加標準記録を突破する13分10秒69(日本歴代2位)をマークしており、3位以内に入れば即内定という状況の中、残り800mからロングスパートをかけて東京五輪代表の松枝博輝(富士通)らを圧倒しました。13分22秒13は日本人の優勝タイムでは歴代2番目。ゴールデンゲームズではアフリカ勢にも先着するほどのスパート力を持つ遠藤は、世界の舞台でも予選突破や入賞の期待がかかります。なお、4月に13分22秒91のU20日本記録を樹立した佐藤圭汰(駒澤大)は13分55秒08で17位にとどまりました。
代表入りに大きく前進したのは男子走高跳を2年ぶりに制した真野友博(九電工)。自己記録にあと1cmと迫る2m30に成功。参加標準記録の2m33はクリアできませんでしたが、世界ランキングのポイントでは出場が有力な位置にいます。今回を含めて2m30以上が2020年以降で4回というアベレージの高さは世界の舞台でも武器になりそうです。
女子走幅跳は秦澄美鈴(シバタ工業)が6m43(-2.5)で悠々と2連覇を果たしました。至近6年間は秦と高良彩花(筑波大)が3回ずつ優勝しており、今回は高良が2位。秦はワールドランキングで世界選手権のターゲットナンバーに入っており、初出場の可能性が有力です。
円盤投は男女とも日本記録保持者が優勝しました。男子は堤雄司(ALSOK群馬)が2位の湯上剛輝(トヨタ自動車)をわずか2cm差で退け、59m45で4年連続9回目のV。女子は郡菜々佳(新潟アルビレックスRC)が日本記録(59m03)に迫るパフォーマンス日本歴代2位の58m70で、齋藤真希(東京女子体育大)の連勝を「2」で止めました。砲丸投は4回優勝している郡ですが、この種目は初優勝でした。
男女100mの予選と準決勝も行われました。男子は9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(セイコー)が昨年10月に右膝を手術した影響から欠場しましたが、前日本記録(9秒97)保持者のサニブラウン アブデルハキーム(TumbleweedTC)が好調。予選10秒11(±0)、準決勝10秒04(+0.8)といずれも全体1位のタイムで悠々と勝ち上がり、世界選手権の参加標準記録(10秒05)も突破しました。一方、前回覇者の多田修平(住友電工)は準決勝2組で10秒41(±0)の6着で決勝進出はならず。日本人初の9秒台スプリンター・桐生祥秀(日本生命)も準決勝は10秒24(+0.5)で1組4着にとどまり、着順以外の上位タイム2名枠の2番目で通過するという波乱の展開となりました。もう一人の9秒台スプリンター、小池祐貴(住友電工)は予選、準決勝とも1着で通過。決勝はどんなレースになるでしょうか。
女子は前回まで2連勝中の兒玉芽生(ミズノ)が予選、準決勝とも11秒47で1着通過を決めましたが、準決勝1組では2019年の優勝者である御家瀬緑(住友電工)が同年マークした自己記録に並ぶ11秒46(+0.6)の快走。同組では君嶋愛梨沙(土木管理総合)も11秒48、100mハードル日本記録保持者の青木益未(七十七銀行)が11秒51といずれも自己記録を塗り替え、存在をアピールしました。決勝も好レースが期待できそうです。
予選が行われた400mは、女子の松本奈菜子(東邦銀行)が日本歴代4位となる52秒74を叩き出して決勝に進みました。男子は東京五輪代表のウォルシュ・ジュリアンと佐藤拳太郎(ともに富士通)が落選。佐藤風雅(那須環境)が45秒55とただ一人45秒台を出しており、好調さが際立ちました。
男女1500m予選は日本記録保持者が順当に通過。女子は今大会800m、1500m、5000mの3種目に挑む東京五輪8位の田中希実(豊田自動織機)が4分15秒19で全体のトップ。男子は河村一輝(トーエネック)が1組4着で決勝に駒を進めました。
また、今年も20歳未満の競技者が参加できる第38回U20日本選手権が同時開催され、8月1日~6日にコロンビア・カリで開かれるU20世界選手権の代表選考会も兼ねています。初日は6種目の決勝が行われ、インターハイ地区大会を控える高校生の参加は多くありませんでしたが、男子5000mでは吉岡大翔(佐久長聖高・長野)が、女子走幅跳では秦くるみ(伊豆中央高・静岡)が優勝を飾りました。
第2日は男女100mなど日本選手権、U20日本選手権とも10の決勝種目を実施します。競技日程や出場選手、テレビ放映およびライブ配信スケジュール、結果・速報など、大会に関連する情報は公式ホームページや日本陸連公式SNSをご参照ください。
文:月刊陸上競技編集部
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- 普及・育成・強化
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