6月9日~12日に大阪・ヤンマースタジアム長居で行われる「第106回日本選手権」の見どころや楽しみ方を『記録と数字』の視点から紹介する。
・第106回日本選手権 エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1652-4.pdf
・第106回日本選手権 TV&ライブ配信情報
https://www.jaaf.or.jp/jch/106/tv-live/
・オレゴン 2022 世界選手権 トラック&フィールド種目日本代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202112/16_191504.pdf
・決勝/6月11日(土)15:35
5月8日のセイコーGGPで北口榛花(JAL)が、今季アジア最高の63m93(=パフォーマンス日本歴代3位)をマーク。オレゴン世界選手権参加標準記録まであとわずか7cmに迫った。6月8日時点の今季世界最高との差もわずか1m77㎝。今大会全種目を通じて最もワールドリーダー(今季世界最高)に近い存在かもしれない。北口は過去64m以上を2019年に2度(66m00、64m36)投げており、世界選手権参加標準記録突破や大会記録更新の可能性は十分にある。
北口が勝てば3回目の優勝。1999年のやりの規格変更後では、海老原有希(9回)、三宅貴子(4回)に次ぐ優勝回数となる。斎藤、佐藤が勝てば2回目の優勝。その他の選手が勝てば初優勝となる。
海老原引退後の混戦状況から北口が一歩抜け出し、「北口時代」の足掛かりとするか。佐藤・斉藤の返り咲きか、はたまた新王者の誕生か。
過去、日本人で60m超えを果たしているのは8人いるが、その内5人がエントリー。日本歴代リスト順位では、北口が1位、佐藤が3位、武本が4位、斉藤が5位、上田が6位となっており、間違いなく過去最高レベルの戦いとなる。
昨年の世界リストを見ても、武本(62m39)が20位、北口(62m06)が24位、上田(61m75)が25位、佐藤(61m01)が37位と、資格記録上位4人が世界50傑入り。4人以上が60mを超える記録をマークしている国はアメリカ、中国、日本だけ。世界基準でもハイレベルな争いとなりそうだ。
60mスロワーの北口・上田・武本・斉藤が、シーズン序盤から自己記録に迫る記録を残しており、好調な出足。続く、長も5月1日の木南記念で、59m37の自己新を出し、日本人女子史上9人目の60m超えに近づいた。
入賞回数6回の北口・斉藤・久世、6年連続入賞中の佐藤など、長く安定して結果を残している選手が多い。佐藤については東大阪敬愛高3年時の2010年と東大阪大1年時の2011年にも4位に入賞しており、入賞回数は合計10回となる。
2位の順位別最高記録62m88は、2019年に北口が63m68で優勝した時に、佐藤が出した記録。複数選手が60m超えを果たしたのは、日本選手権では2019年のみ。日本選手権に限らず、あらゆる大会において、日本人2人が同時の62m超えをマークしたのは、過去この時のみである。
3位以下の順位別最高記録は全て2017年にマークされたもの。2017年は、今年と同じく長居が会場だった時である。エントリー選手の資格記録を見ても、3位以下の順位別最高記録が全て塗り替わる可能性は大いにある。
5年前と同じ長居の舞台で、ビッグスローの応酬を期待していただきたい。
日本選手権における60m以上の記録を出した選手をまとめた。一つ前で述べたように、過去複数選手が60mを超えたのは、2019年のみ。今年は、2人どころか史上初の3人、史上初の4人、史上初の…、の勝負となるかもしれない。
JAAFメディアチーム
写真提供:フォート・キシモト
やりの重さは男子用が800g、女子用が600gですが、選手が同じ条件で記録を競うことができるように、長さに加え、重心の位置や柄の直径など細かい規定があります。 やり投の世界記録は1984年には104mに達し、競技場の芝生を使って競技ができないという危機に直面しました。そのため1986年には規則が改定され重心を前に移動させた“飛ばない”やりが使用されるようになりましたが、今の世界記録は98m48。100mまであとわずかです。記録の更新が陸上競技の魅力なのですが、やり投は、飛び過ぎると困るという悩みを抱えているのです。
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【女子やり投】
・決勝/6月11日(土)15:35日本歴代6位中5人の60m超えの選手たちが参戦。過去最高レベルの戦いに注目
主な記録一覧(2022年6月8日現在)
・世界記録 | 72m28 |
---|---|
・アジア記録 | 67m98 |
・日本記録 | 66m00 |
・U20日本記録 | 61m38 |
・学生記録 | 66m00 |
・大会記録 | 63m68 |
・今季世界最高 | 65m70 |
・今季アジア最高 | 63m93 |
・今季日本最高 | 63m93 |
・‘22オレゴン世界選手権参加標準記録 | 64m00 |
過去10年の優勝者(所属は当時のもの)
年 | 記録 | 選手 | 所属 | 優勝回数 |
---|---|---|---|---|
2012年 | 62m36 | 海老原有希 | スズキ浜松 AC | 5回目 |
2013年 | 60m41 | 海老原有希 | スズキ浜松 AC | 6回目 |
2014年 | 57m77 | 海老原有希 | スズキ浜松 AC | 7回目 |
2015年 | 59m11 | 海老原有希 | スズキ浜松 AC | 8回目 |
2016年 | 58m35 | 宮下梨沙 | 大体大T.C | 2回目 |
2017年 | 60m64 | 海老原有希 | スズキ浜松AC | 9回目 |
2018年 | 60m79 | 斉藤真理菜 | スズキ浜松AC | 初 |
2019年 | 63m68 | 北口榛花 | 日本大 | 初 |
2020年 | 59m32 | 佐藤友佳 | ニコニコのり | 初 |
2021年 | 61m49 | 北口榛花 | JAL | 2回目 |
海老原引退後の混戦状況から北口が一歩抜け出し、「北口時代」の足掛かりとするか。佐藤・斉藤の返り咲きか、はたまた新王者の誕生か。
資格記録順(資格記録有効期間2021年1月1日~2022年5月22日)
資格記録 | 選手 | 所属 | 自己記録 |
---|---|---|---|
63.93 | 北口榛花 | JAL | 66.00 |
62.39 | 武本紗栄 | 佐賀スポ協 | 62.39 |
61.75 | 上田百寧 | ゼンリン | 61.75 |
61.01 | 佐藤友佳 | ニコニコのり | 62.88 |
59.42 | 斉藤真理菜 | スズキ | 62.37 |
59.37 | 長麻尋 | 国士舘クラブ | 59.37 |
58.87 | 奈良岡翠蘭 | 日本大 | 58.87 |
57.75 | 山元祐季 | 九州共立大 | 57.75 |
57.70 | 西村莉子 | 三菱電機 | 57.70 |
57.44 | 久世生宝 | コンドーテック | 58.98 |
昨年の世界リストを見ても、武本(62m39)が20位、北口(62m06)が24位、上田(61m75)が25位、佐藤(61m01)が37位と、資格記録上位4人が世界50傑入り。4人以上が60mを超える記録をマークしている国はアメリカ、中国、日本だけ。世界基準でもハイレベルな争いとなりそうだ。
2022年記録順(2022年6月8日現在)
記録 | 選手 | 所属 |
---|---|---|
63m93 | 北口榛花 | JAL |
60m49 | 上田百寧 | ゼンリン |
59m46 | 武本紗栄 | 佐賀スポ協 |
59m42 | 斉藤真理菜 | スズキ |
59m37 | 長麻尋 | 国士舘クラブ |
資格記録上位選手の日本選手権やり投入賞歴
選手 | ‘12 | ‘13 | ‘14 | ‘15 | ‘16 | ‘17 | ‘18 | ‘19 | ‘20 | ‘21 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
北口榛花 | 5 | 3 | 6 | 1 | 2 | 1 | ||||
武本紗栄 | 7 | 3 | ||||||||
上田百寧 | 3 | 4 | ||||||||
佐藤友佳 | 4 | 7 | 4 | 4 | 2 | 2 | 1 | 8 | ||
斉藤真理菜 | 3 | 6 | 2 | 1 | 6 | 2 | ||||
山元祐季 | 6 | |||||||||
西村莉子 | 8 | 5 | ||||||||
久世生宝 | 5 | 2 | 7 | 5 | 8 | 7 |
入賞回数6回の北口・斉藤・久世、6年連続入賞中の佐藤など、長く安定して結果を残している選手が多い。佐藤については東大阪敬愛高3年時の2010年と東大阪大1年時の2011年にも4位に入賞しており、入賞回数は合計10回となる。
日本選手権決勝における「順位別最高記録」
順位 | 記録 | 年 |
---|---|---|
1位 | 63m68 | 2019年 |
2位 | 62m88 | 2019年 |
3位 | 59m53 | 2017年 |
4位 | 59m10 | 2017年 |
5位 | 58m67 | 2017年 |
6位 | 57m74 | 2017年 |
7位 | 56m82 | 2017年 |
8位 | 55m34 | 2017年 |
3位以下の順位別最高記録は全て2017年にマークされたもの。2017年は、今年と同じく長居が会場だった時である。エントリー選手の資格記録を見ても、3位以下の順位別最高記録が全て塗り替わる可能性は大いにある。
5年前と同じ長居の舞台で、ビッグスローの応酬を期待していただきたい。
日本選手権における60m以上の記録 ★は日本新
年 | 記録 | 選手 |
---|---|---|
1989年 | 63m44 | 張麗 |
2001年 | 60m12 | 三宅貴子 |
2011年 | 60m08 | 宮下梨沙 |
2012年 | 62m36★ | 海老原有希 |
2013年 | 60m41 | 海老原有希 |
2017年 | 60m64 | 海老原有希 |
2018年 | 60m79 | 斎藤真理菜 |
2019年 | 63m68 | 北口榛花 |
2019年 | 62m88 | 佐藤友佳 |
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【やり投観戦におすすめの座席】
投てき前の選手の表情をご覧いただくには南サイドスタンド側のB席、やり投の軌道をご覧いただくにはSスタート側席やSテーブル席からの観戦がおすすめ!>>チケット購入はこちら
【初めての観戦でも大丈夫!やり投のルール】
やりの重さは男子用が800g、女子用が600gですが、選手が同じ条件で記録を競うことができるように、長さに加え、重心の位置や柄の直径など細かい規定があります。 やり投の世界記録は1984年には104mに達し、競技場の芝生を使って競技ができないという危機に直面しました。そのため1986年には規則が改定され重心を前に移動させた“飛ばない”やりが使用されるようになりましたが、今の世界記録は98m48。100mまであとわずかです。記録の更新が陸上競技の魅力なのですが、やり投は、飛び過ぎると困るという悩みを抱えているのです。
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