8月8日(日)、陸上競技最終日となる10日目のモーニングセッションは午前7時より北海道札幌市にて男子マラソンが行われ、日本からは中村匠吾選手(富士通)、服部勇馬選手(トヨタ自動車)、大迫傑選手(Nike)の3名が出場。大迫傑選手が有終の美を飾る素晴らしい走りで6位入賞を果たしました。各選手競技終了後のコメントをご紹介いたします。
◎大迫傑(Nike)
男子マラソン 決勝 6位 2時間10分41秒
「やりきった」という気持ちがすべて。皆さんにメダルを期待してもらって、僕自身もチャンスがあればと思っていたが、(どの選手も)みんなメダルを目指して走っていたので、今回はそのチャンスがなかった。ただ、自分自身の力はしっかりと出しきれたのではないかと思う。レースプランというのはあまり考えていなくて、どこのマラソンもそうであるように勝負自体は30km過ぎからと思っていたので、そこまでいかに自分の力を使いすぎず、一番最後のその(勝負すべき)瞬間に対応するかということを心掛けていた。
(先頭集団からキプチョゲ選手が出たときは)下手に3番以内に上がってしまうと、大きな崩れがあるので、1つ1つ自分の対応できる範囲で身体と相談しながら走った。(終盤で6位につけたときは)追うというよりは、自分自身の力を100%出しきりたいという思いだった。結果的に追いつけたらいいなとは思ってはいたが、自分のリズムで行くことを意識して走った。
(ここまで)まっすぐ進んできたので、これからも競技以外でもしっかりと、まっすぐに進んでいきたい。次の世代の人たちが頑張れば、絶対にこの6番のところからメダル争いに絡めると思う。ここからがスタートで、これが最低ラインだと思うので、日本人の多くの人にプライドを持って、来年のユージーン(オレゴン2022世界選手権)やパリ(オリンピック)、ロス(ロサンゼルスオリンピック)を戦っていってほしい。僕自身もそういう彼らの、6番からのもう一歩先へというところを手助けできるような活動をしていきたいと考えているし、また、僕自身の挑戦というのも、これからまた、まっすぐにしていきたいと思っている。
今日のレースをみても(優勝した)キプチョゲ選手は強いけれど、2位集団は「あと一歩だな」というところにあるといえる。それを後輩たちが必ずやってくれると思う。たぶん、(今日のレースを)見ていた選手たちも、「次は自分だ」と感じたはず。今回、それをできたことが、僕自身が最後の役割として、陸上界に残せたものではないかと思う。
🔽男子マラソン 粘り強い走りで6位入賞!大迫傑選手(Nike)からのメッセージ
◎中村匠吾(富士通)
男子マラソン 決勝 62位 2時間22分23秒
内定をいただいてからのこの2年間は、どちらかというと本当に辛いことのほうが多かったが、いろいろな方の支えでスタートラインに立つことができた。こういう結果ではあるが、最後まで走れてよかったという気持ち。これまで支えてくださった方々に感謝している。1月の故障が思っていたよりもが長引いてしまったが、完治して最後の何カ月かは精一杯やってきたつもりだった。(レースは)前半、もう少しスローペースで動くかと思っていたのだが、予想以上にある程度速いペースで進んでいたので、自分の身体と相談しながら後ろでしっかり自分のペースで行って、後半でしっかり行ければと考えていたのだが、それ以上に自分の身体が動かなくてゴールすることしかできなかった。ただ、ここまでやってきたことの結果なので、しっかり受け止めたい。
2013年に東京オリンピックの開催が決まってから、ずっとこの大会を目標にやってきたなかで、うまくいかなかったことも、また成長できたことも本当にたくさんあるが、結果がすべての世界なので、自分自身にこれからもっと厳しく向き合って、1日1日やっていくことを積み重ねて、また、この場に戻ってきたい。
◎服部勇馬(トヨタ自動車)
男子マラソン 決勝 73位 2時間30分08秒
(レース後)深部体温が 40℃以上に上昇した熱中症の重い症状だったため、医務室で冷却処置を行った。症状が落ち着いたため、現在はゆっくりと身体を休めている。オリンピックを迎えるにあたって目標としては入賞を目指していたため、先頭集団についてレースを展開したいという思いがあったので、迷いなく覚悟を決めて(先頭集団で)レースを進めた。遅れてからは何度も棄権ということも頭によぎった。しかし、これまで支えてくださった方や応援して下さる方が頭の中で思い出されて、その気持ちがあって最後までたどり着くことができた。また、これまで戦ってきたライバルや、MGC で共に戦った選手たちの思いを踏みにじるようなことは絶対にしたくないと思い、絶対に最後まで諦めずに走りたいと思った。
(直前のトレーニングパートナーを務めた弟の服部弾馬選手について)アキレス腱に痛みが出たり、膝の調子が悪かったりと、いろいろな不安のなかでトレーニングを積んできたが、そのような不安を吐き出せる一人の1選手として、最後に一緒にトレーニングをさせてもらって本当に心強かった。本当に何度もスタートラインに立てないのではないかと思う日もあって、そんな中でスタートラインに立てたことと、そして、結果は本当に悔しいけれどゴールできたことは、弾馬に対しても感謝の気持ちを伝えたいと思う。
まずは身体の状況をしっかり戻したい。また、ここから先もマラソンと共に生きていきたいと思っているので、強さのある選手になって、再びオリンピックの舞台に帰ってこられるように頑張りたい。全く勝負はできなかったが、この悔しい経験を忘れずに次のパリ五輪でしっかり勝負できるように精進していきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
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