2021.08.04(水)大会

【東京オリンピック】中間総括会見(監督・トラック&フィールド種目ヘッドコーチ) ~6日間の成績を振り返る~



東京オリンピックの陸上競技は7月30日から連日、レベルの高い熱戦、そして日本代表選手の活躍が続いています。大会は8月8日まで行われますが、4日午前までの結果を踏まえて同日午後、陸上競技日本代表選手団の麻場一徳監督と山崎一彦トラック&フィールド種目ヘッドコーチがオンラインにより中間総括会見を行い、これまでの戦いぶりや、背景にあるこれまでの強化方針などについて語りました。その主なコメントをご紹介します。

※オンライン会見は8月4日午後に実施したため、同日夜に行われた田中希実選手の女子1500m準決勝(3分59秒19の日本新記録で決勝進出)が実施される前の状況を踏まえてコメントしています。

◎麻場一徳 監督

8月4日の午前を終えた時点で、女子は9名が延べ10種目にチャレンジし、準決勝進出が2つ、決勝進出が2つ。日本記録が2つ、それ以外に自己新記録が4つ出た。選手それぞれが十分に力を発揮してくれたのではないか。男子は26名が延べ26種目に挑戦し、決勝進出が3つ(決勝のみ行われた10000mを除く)。その中で走幅跳の橋岡優輝選手(富士通)が6位、3000m障害物の三浦龍司選手(順天堂大学)が7位に入賞した。三浦選手が予選で出した8分09秒92の日本記録は世界レベルのパフォーマンスだと思う。
準決勝進出も3つあった。若い力が元気良く、すばらしい力を発揮してくれている。日本の若い選手たちが近い将来、いろんな種目で活躍してくれるのではないかという可能性を見させていただける内容だ。
5日から競歩が始まるなど、後半に我々がメダル獲得のための3本柱と位置付けて取り組んできたマラソン、競歩、リレーがあるので、選手たちのパフォーマンスに期待したい。


Q:期待されていた男子短距離勢で1人も準決勝に進めなかったことについては。
A:100m、200m、400mで1人も準決勝に進めていない点についてはいい結果ではなく、きちんと検証しなければいけない。ただ、今はリレーもあるので、しっかり切り替えてそちらに向かっていただきたい。

Q:男子4×100mリレーのチームの雰囲気などはどうか。
A:今日もバトン練習を見たが、しっかり切り替えて前を向いていることを感じ取ることができた。(銀メダルを獲得した)2008年北京オリンピックもそうだったが、個人種目がうまくいかなくてもしっかりリレーに合わせてくるのが日本の選手たちの長所。そこを信じている。

Q:予想を超える活躍を見せた選手は。
A:予想を超えるというか、予想通りというか――。三浦選手も橋岡選手も十分に入賞圏内にいると思っていたが、オリンピックだから、なかなかうまくいかないとも予想していた。そんな中で自分たちの力を発揮してくれて、見事だと思う。女子の田中希実選手(豊田織機TC)、廣中璃梨佳選手(日本郵政グループ)も大舞台で、中長距離にはいい気象条件とはいえない中で堂々と日本記録を更新した。田中選手はまだ準決勝と決勝があり、廣中選手は惜しくも入賞に届かなかったが、賞賛に値する。

Q:各国の選手たちがこのオリンピックにしっかりと合わせてきている印象があるが、そのことについては。
A:当初は新型コロナウイルスの影響もあってそんなに高いパフォーマンスが出ないのではないかという見方もあったが、そこは世界のアスリート。きちんとコンディションを整えてすばらしいパフォーマンスを見せてくれている。世界のレベルが停滞することなく上がっていることを目の当たりにし、それがオリンピックだと思う。日本も、もちろん力を発揮できなかった選手もいるが、全体的にはこれまでのオリンピックに比べて力を十分に発揮する選手が多いことは、胸を張って言えるのではないかと思う。

Q:プレッシャーを感じたという選手の声も聞くが、そのような面のサポートは。
A:最近の日本の選手の傾向として、ポジティブになってきている。そういうことを全体でどう推進していくかが大事だと思う。苦しいとか、耐えるとかいうイメージではなく、ワクワクするとか、開放的なパフォーマンスでレースや試技に臨むとか、そういう環境をどう作るかが大事になっていると感じる。

Q:世界新記録も連日出ている。この状況をどう感じるか。
A:一番感じるのは、スポーツの世界は陸上競技に限らず、人間の能力はどんどん進化していくものだということ。(それが発揮される)舞台の一つがオリンピックなんだと思う。スパイクや走路の(開発などの)影響とも相まって、驚くようなパフォーマンスが出ているのではないか。


◎山崎一彦 トラック&フィールド種目ヘッドコーチ

私は強化委員会のトラック&フィールドディレクターの仕事として、男子4×100mリレーなど「メダルカテゴリー」の種目に続いて、8位以内入賞を目指す「トップ8カテゴリー」の種目をいかに入賞できるところまで引き上げるかということに取り組んできた。今大会はその部分で特に伸びたと思う。男子走幅跳の橋岡選手、男子3000m障害物の三浦選手が入賞し、男子110mハードルで準決勝9番目の泉谷駿介選手、男子走高跳で決勝に進んだ戸邉直人選手も惜しかった。そのあたりは長期的なプランによる強化として2016年リオデジャネイロオリンピックの時から引き上げられたのではないかと思う。
男子短距離は気象等の条件はそんなに悪くなかったと思うが、日本選手の成績、記録が悪かったのはその通り。ただ、期待が大きく、注目され、たくさんの夢を抱いていた種目で残念な結果にとどまったのが目立っている面もある。全体的にはラウンドを勝ち進む選手も多く、私たちも2016年リオデジャネイロオリンピックの時より忙しい。
今回は日本からたくさんの選手が出場権を得た。コロナ禍の中でも日本で多くの競技会を開き、条件の良い状況の中で好成績を挙げ、世界ランキングを上げるというところが(出場権獲得のために)大きかった。一方で海外では、条件が悪い競技会でも結果を残しながらランキングを上げてきた選手が多かったのではないか。今大会でシーズンベストなど好記録を出している選手が多い。日本も多くの日本記録や自己記録が出ているが、そこには及ばなかったと言える。
日本も今後、条件の良い競技会で記録を出すだけでなく、例えば男子100mではどんな条件でも9秒台を出すとか、男子400mハードルではとんでもない世界記録が出たが、国立競技場の良い条件のスタジアムでは48秒台で喜ぶだけでなく47秒台を出していかなければならない、ということを感じた。
この6年くらい、ダイヤモンドアスリート制度などを作り、国際人を育成する、国際競技会で経験を積み活躍する、ということを積極的にやってきたが、この2年くらい(新型コロナウイルスの影響もあり国際的な活動が)止まってしまった。今回は私たちのような島国ではかなり厳しく、(出場権を争う期間に)記録を出すことで精一杯だったというのもある。今後、また違う形を作っていかなければと感じている。
それでも、選手たちは概ね力を発揮しているし、若い選手の活躍も多い。陸上は25歳かそのあとくらいがピークとされているので、2024年パリオリンピックやそれ以降に向けても明るい材料が多いと感じている。


Q:大学生年代の選手が力を発揮していることでチームに与える影響は。
A:私たちより選手が感じていると思う。男子3000m障害物では三浦選手が活躍することによって、年齢が一回り近く違う山口浩勢選手(愛三工業)も刺激を受けていると言う。若い選手が伸び伸びと戦っている印象だが、活躍することは好材料だと思う。彼らは新しいジェネレーションを作っている。今後は、先を見る整備をし、選手が経験を積める場をどう作るかが私たちの役目ではないか。どんどん壁を破り可能性や視野を広げていく選手たちを(環境を整備することで後押しして)支援してあげられればと思う。
一方で、ベテラン勢の中で、年齢的なものがプラスアルファにならなかったり、ピークが少しずれたところでオリンピックを迎えたりした選手は、そのままの結果が出ているのではないか。だが、これまでやってきたプロセスはとても大事だし、そこを評価してもらいたい。

Q:活躍している若い選手には、橋岡選手、男子110mハードルに出場した泉谷駿介選手(順天堂大学)、男子400mハードルに出場した黒川和樹選手(法政大学)ら、中学や高校の時に複数種目に取り組んだ選手が多い印象だが。
A:三浦選手も(小学生の時に)ハードルの経験がある。私たちは日本陸連としてかねてから、競技者育成指針などで複数種目に取り組むことを推奨してきた。先人たちもずっと言ってきたこと。(早い年代から種目を絞る)高度専門化が進んでしまった面がある一方で、複数種目を経験している選手が活躍した。そういう才能があったり、チャレンジしたり、中学高校の時の指導者のレベルが上がり複数種目にチャレンジできる環境を整えてくれたということもあったりして、このような結果が出たと思う。そうした選手を間近で見ていると、トレーニングや技の習得がとても早く、伸びしろもある。
私たちは、オリンピック(で結果を出すこと)にこだわるなら、(育成段階では)オリンピック種目にこだわらない種目に取り組むことが重要、という方針で進めてきた。今回の選手たちのようなケースが出てくることは、私たちの方針が間違っていないという証明。今後も政策を練って、日本陸連として組織的にやっていきたい。



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