男子110mハードル 予選
8月3日のイブニングセッション最初の種目は、男子110mハードル予選。レースは全5組で実施され、各組4着までと5着以降の記録上位者4名までが準決勝に進出する条件で行われました。日本勢は、まず第3組に高山峻野選手(ゼンリン)が出場。高山選手は上々の出足で第1ハードルをクリアしていきましたが、3台目のハードルを越えてからの接地で体勢を崩してしまい、そこから動きを立て直すことができず、6着でフィニッシュ。記録はまさかの13秒98(-0.1)にとどまり、悔しい予選敗退となりました。続く第4組には泉谷駿介選手(順天堂大学)が臨みました。1台目からトップに立った泉谷選手は、余裕を感じさせる走りでレースを進め、終盤で追い上げてきたオレル・マンガ選手と並走してのアプローチとなった第9ハードルをリード足で倒しましたが、走りには大きく影響せず、先着したマンガ選手に0.04秒差で続き、セカンド記録となる13秒28(-0.2)をマークして準決勝に進出しました。さらに第5組でのスタートとなった金井大旺選手(ミズノ)は序盤をトップで滑り出すと、中盤から終盤にかけての3着争いを制して13秒41(-0.1)でフィニッシュ。こちらも着順での予選突破となりました。予選の記録としては全体的に高い水準となったなか、泉谷選手はトータルで6位、金井選手は10位という位置で駒を進めた準決勝は、翌8月4日のモーニングセッションにおいて行われます。男子5000m予選
110mハードルに続いて行われた男子5000m予選には、坂東悠汰選手と松枝博輝選手(ともに富士通)が出場しました。この種目の予選は、全2組で行われ、各組上位5着までと6着以降の記録上位者5名が決勝に進むことができます。まず、坂東悠汰選手が第1組に入ってスタート。スローペースな展開となったために集団が大きな塊となったなか、坂東選手は集団の後方に位置して、レースを進めていきました。ペースは中盤を過ぎたあたりから徐々に上がり、それに伴い集団も縦に長く伸びていく隊列に。坂東選手は残り5周の周回で、徐々に後れ始め、ラスト3周を迎えるころには、その差は大きく開いてしまいます。結局、上位争いに絡むことなく、17着・14分05秒80でのフィニッシュとなりました。1組目がスローな展開となったことで、松枝選手が入った予選第2組は、1組目のタイムを基準にしつつも、これまたスローペースでレースが進む形となりました。松枝選手は、坂東選手と同様に、大集団の後方に位置をとってレースを進めていきましたが、残り4周となったところで集団のペースが上がったのと同時に、前方にいた選手が転倒するアクシデント。松枝選手は、この選手をかわそうと迂回したことでペースチェンジの対応に後れてしまいます。以後、上位集団から大きく離されての走りとなり、18着・14分15秒54でレースを終えました。
女子ハンマー投 決勝
このセッションでは、4種目で決勝が行われ、それぞれにハイレベルなパフォーマンスが飛び出しました。女子ハンマー投では、世界記録(82m98)保持者で35歳のベテラン、アニタ・ボダルチク選手(ポーランド)が2回目に76m01を投げてトップに立つと、3回目に77m44、そして4回目の試技で78m48へと記録を伸ばして圧勝。女子選手としては史上初となる五輪3連覇を達成しました。また、前評判の高かったアメリカ勢を抑えてポーランド勢が躍進し、マルビナ・コプロン選手が75m49で銅メダル、ヨアンナ・フィオドロフ選手が73m83で7位と、出場した3選手全員がシーズンベストをマークして入賞を果たしています。女子800m 決勝
女子800mは、U20年代の2選手が、今季世界最高記録を上回る好記録で上位を占めました。優勝したのは、アメリカのアシング・ムー選手。400mで49秒57の自己記録をもつムー選手は、スタート直後から先頭に立つと400mを57秒9で通過し、一度も先頭を譲ることのないまま1分55秒21のアメリカ新記録で優勝。19歳でオリンピックチャンピオンの称号を手にしました。2位にはイギリスの19歳・キーリー・ホジキンソン選手が終盤で順位を上げ、1分55秒88と、こちらもナショナルレコードをマークしてフィニッシュしています。3位にはレーブン・ロジャーズ選手(アメリカ)が、また4位にはジェマ・リーキー選手(イギリス)が続いて、上位をアメリカとイギリスが独占。決勝に進んだ8名のうち、6名が自己記録を更新しました。女子200m 決勝
トラック最終種目として行われた女子200mも好記録が誕生しています。100mチャンピオンのエレーン・トンプソン・ヘラ選手(ジャマイカ)が、100mに続いてこの種目でも世界歴代2位となる21秒53(+0.8)の好記録をマークして圧勝し、2016年リオ五輪に続く2大会連続2冠の偉業を達成しました。これに続いたのが18歳のクリスティン・エムボマ選手(ナミビア)。予選で22秒11、準決勝で21秒97とU20世界新記録を連発してきたエムボマ選手は、決勝ではこれを21秒81へと更新して銀メダルを獲得しています。また、3位にはアメリカのガブリエル・トーマス選手が21秒87で続いたほか、4位のシェリーアン・フレーザープライス選手(ジャマイカ、21秒94)までが21秒台をマークする、ハイレベルなレースとなりました。男子棒高跳 決勝
男子棒高跳決勝は、21歳の世界記録保持者、アルマント・デュプランティス選手(スウェーデン)が圧巻のパフォーマンスを披露しました。上位争いは5m87で4人となり、さらにメダル争いは5m92の高さでデュプランティス選手とクリストファー・ニルセン選手(アメリカ)の2人に絞られる展開に。ニルセン選手が自己新記録となる5m97を1回でクリアしたことで、バーは6m02に上げられましたが、デュプランティス選手は、この高さも実にあっさりと1回で成功。ニルセン選手が跳ぶことができずに、ここで優勝が確定すると、バーを一気に6m19まで上げ、自身が2020年の室内大会で成功させた6m18を1cm上回る世界新記録に挑戦しました。1回目の試技は、身体を大きく浮かせてバーを越え、成功したかと思わせましたが、最後の局面で僅かに胸がかすったことでバーが落ちる非常に惜しい跳躍。身体が上がりきらない失敗跳躍となった2回目の試技を挟んで臨んだ最終3回目も、身体は十分に上がりながらも僅かに頂点がずれて失敗に終わり、世界新記録の更新はなりませんでしたが、近い将来、大幅にクリアしていくことを予感させるジャンプを連発させて、シニアの世界大会を初制覇。名実ともに「世界一」の称号を手に入れる結果となりました。大会6日目となる8月4日のモーニングセッションからは、男女ともに混成競技(十種競技/七種競技)がスタート。また、決勝種目としては、世界記録更新の期待が高まる女子400mハードルが、11時30分から行われます。日本勢では、男子やり投予選に小南拓人(染めQ)が出場するほか、11時00分に予定されている男子110mハードルでは、泉谷選手と金井選手が決勝進出を懸けて挑みます
大会に関する情報は、東京オリンピック特設サイト( https://www.jaaf.or.jp/olympic/tokyo2020/ )および日本陸連公式Twitterをご参照ください。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:アフロスポーツ
▶【東京オリンピック】5日目イブニングセッション 選手コメント(男子110mハードル予選・男子5000m予選)
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