2021.07.27(火)大会

【東京2020オリンピック】男女競歩日本代表公開練習コメント(今村文男 オリンピック強化コーチ)



日本陸連は7月24日、北海道・千歳市を拠点に合宿中の東京オリンピック男女競歩日本本代表選手のトレーニングを報道関係者に向けて公開するとともに、オンラインでのインタビューを中心とする合同取材を行いました。選手への取材終了後には、同種目を率いる今村文男オリンピック強化コーチも取材に応じ、代表選手たちの状況や本番に向けての展望等を話しました。概要は、以下の通りです。

 

競歩種目の現状と展望

今村文男

(日本陸連強化委員会オリンピック強化コーチ:男女競歩担当)


今、北海道千歳市で、代表全選手が揃ってコンディショニングのトレーニングをしている最中である。比較的、(レース会場となる)札幌に近いということで、気象条件に関してはレース当日をイメージしやすい状況といえる。

9選手のそれぞれの状態に関しては、個別に選手が話していると思うが、まず男子20kmは、2019年のドーハ世界選手権で金メダルを獲得した山西くん(利和、愛知製鋼)を中心に戦うことになる。昨年、自己記録を複数で更新してきている池田くん(向希、旭化成;東洋大所属の2020年に5000mで18分20秒14の日本記録、10000mで従来の日本記録を上回っての日本歴代2位37分25秒90をマーク)や高橋(英輝、富士通;2020年に10000mで37分25秒21の日本記録をマーク)あたりも、入賞ラインで戦える状態になるのかなとみている。
男子50kmに関しては、(ドーハ世界選手権に優勝して)最初に代表に内定していた鈴木雄介(富士通)がコンディションの不良ということで、急きょ勝木くん(隼人、自衛隊体育学校)に交代することとなった。東京オリンピックは、2019年の全日本競歩高畠大会で日本記録(3時間36分45秒)をマークして優勝した川野くん(将虎、当時東洋大、現旭化成)、今年の日本選手権で優勝した丸尾くん(知司、愛知製鋼)、そして勝木くんの3選手で戦うことになる。50km競歩は、種目自体が今回で最後。全員がフィニッシュして入賞というのが、私のなかでは一番の理想と考えている。

特に、川野くんは、日本記録を出した2019年10月以来となる久しぶりの50kmのレース。「日本記録を持っているから」と、チームのエースとして頑張ろうとすると空回りしてしまうこともあるので、先輩方のアドバイスや今までの取り組みをしっかりと発揮しつつも、レースを楽しんでくれれば…という思いでいる。そういったことも含めて、チームの雰囲気をつくり、選手個々のモチベーションを下げないようなサポートを心がけて、スタートラインに送り出したい。(急きょ代表入りすることになった)勝木くんに関しては、暑さの対応は十分にできている選手。一方で技術面の課題があるので、そこをスタートラインに立つまでしっかり準備していきたい。丸尾くんに関しても、ここ最近は3時間40分を切る記録を2回続けて出している。50km競歩は、彼を中心にレースが進んでいくのだろうなとみている。そのうえで暑熱の対策として、どのようなレース展開に持ち込んでいくかを、チームコーチや本人と一緒に考えながら対応したい。

女子の(20km)競歩に関しても、2019年のドーハ世界選手権で入賞した岡田さん(久美子、ビックカメラ)と藤井さん(菜々子、エディオン)の2人が出場する。去年は(コロナ禍で)競技会の中止や延期が生じたことで、思うような状態になかったが、ここ最近の練習や歩きの技術などを見ている限り、非常に落ち着いていて、安心して見ていられる状態にある。それをレースで発揮してくれれば、入賞ラインというところでは戦えると考えている。

3人目として7月にワールドランキングの選考で代表入りが決まった河添さん(香織、自衛隊体育学校)に関しては、参加標準記録の突破はならなかったが、そもそもコロナ禍の影響で競技会の中止や延期、国際審判員の派遣ができないといった状況により、突破に挑戦する機会自体が少なかったなかで得た資格で対応力はある。スタートラインに立つまでの準備を、所属先のコーチや本人としっかり相談しながら進めたい。




【質疑応答】


―――大会までの残り時間で、どういったところに重視して最後の調整をしたいか?
今村:まず、国際審判員の判定への対応力、技術面について、集中的に確認する。また、私たちも1年延期になったことで、個々の暑さの対策やレース中の準備、サポートなどについて十分にコミュニケーションがとれていない期間が生じたので、この間を利用して、しっかりと準備を進めていきたい。

―――コロナ禍によって、国際審判員のジャッジを受ける機会、海外選手とレースする機会が少なかった。この影響をどう感じているか? メリット・デメリットはあるか。
今村:確かに1年間、(国際審判員の)ジャッジを受ける機会や国際競技会に出場する機会はなかったが、国際審判員の判定傾向が大きく変わることはないと思っているので、そういった基礎データをもとに対応を考えていく。また、個人の技術ということでは、入賞するためのレベル、またはメダル獲得、さらにはメダルのなかでも「色」というところで求められるペースの変化に対する技術面という点も、IRWJの判定にかかわってくる。そういった意味では(必要となる)技術面を十分に把握しながら改善するトレーニングができたことは、男女の20kmに関しては非常によかったのではないかと思っている。男子の50kmに関しても、しっかりと鍛錬する期間をとることができたという点、判定に対する準備ができた点というところではよかったと考えている。
デメリットとしては、特にないと思っているが、敢えて挙げるならば、国際大会に継続して出られなかったということと、オリンピックが1年延期になったことで、次の世界選手権であったりオリンピックだったりまでの期間が短くなったということ。(東京オリンピックが)終わったあとのほうの影響が大きいのではないかと感じている。

―――中国の選手がよい記録をマークしているが、海外勢の状況をどう分析しているか。
今村:国際大会は記録ではなく順位。また、同じ時間にスタートしたときの対応力やレース展開ということを考えると、あまり記録に踊らされることなく、しっかりと自分のコンディションを整える、または技術面を見直していくことが、結果としていい順位になるという点を、選手たちもよく話している。これだけのネット社会なので、他国の情報は、調べようと思えば方法がいくらでもあるが、あまり人のことを気にするよりも、まず自分の取り組みにしっかりと集中することが大事だと考えている。

―――暑熱対策については、暑くなる想定で準備を進めている状況か?
今村:8月上旬は、札幌エリアは気温が高くなるという予報が出ている。早朝の時間はそう影響はないのだが、夕方の時間帯は、(日中の気温上昇による)熱が冷めない状況となるため、風が熱いというか、熱伝導の影響はあると考えている。そういったなかで身体を冷やす方法や、摂取する水分の温度などを、しっかりとこれからの期間で考えながら準備をしていくことで、それぞれの思うようなレースができると思っている。

―――五輪での獲得がない男子20kmのメダル獲得に対して、手応えはある陣容といえるか。
今村:20kmのレースの難しさは、紙一重の部分のスピード面や技術面の違い。そういったところがレースに向けてしっかりと準備できるかどうかによるところもあると思う。実際に、2012年ロンドン大会や2016年リオ大会を見ても、意気込みすぎて思うような準備ができていなかったという選手が多かったように思う。1年延期になったこの5年間のなかで、それぞれ選ばれた選手の培ってきたキャリアが、うまくオリンピック当日に成果となって、メダルなりに繋がっていくことに期待したい。

―――前回のリオ五輪のあと、「次の東京での目標は、複数でのメダル」と明言していた。コロナ禍の影響もあってJOCなどからは「メダルの数にこだわらない」という話も出てきている状況だが、日本競歩陣としては、その目標には変わりはないか?
今村:選手個々の目標、または今までの出場している国際大会の実績、そしてレースの対応力を考えると、それも可能と感じている。

―――今回の競歩チームは、過去のなかでも力を持った布陣と言ってよいか?
今村:(3種目ともフルエントリーとなる)9名の派遣は、2012年(ロンドン大会)以来2回目となる。個人的にはオリンピックというのは、記録よりも順位を争うものと思っているので、そういった順位を争うなかで、それぞれ自分のベストパフォーマンスを目指して、しっかりと結果に繋げられればいいなと思っている。何よりも、このコロナ禍で行われるオリンピックを終えたあとに、本人にとって、いい意味で記憶に残るようなレースであってほしい。今までにない状況であるだけに、これから選手村に入ったあと、そしてスタートラインに立つまでも、おそらく今までにないような対応力が求められると思う。そのなかで課題をクリアしながら準備していってほしいと願っている。
 
※コメントは、代表共同取材における発言をまとめました。より明確に伝えることを目的として、一部、修正、編集、補足説明を施しています。また、質疑応答については、一部を抜粋して掲載しています。

 
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真提供:アフロスポーツ

 
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