6月24日~27日に大阪(ヤンマースタジアム長居)で行われる「第105回日本選手権」の「見どころ」や「楽しみ方」を「記録と数字」という視点から紹介する。「上限5000人」とはいえ有観客での開催となったのは、喜ばしい限りだ。
なお「10000m」の日本選手権は5月3日に、「混成競技」は6月12・13日に終了。「リレー種目」は、10月22~24日に愛媛・松山市で実施される。
「日本一」と「五輪代表」を決める試合なので、全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「五輪代表争い」が熾烈であったり、「日本新」が期待されそうな種目を中心とした種目のみの紹介になったことをご容赦いただきたい。
また、過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。
「五輪代表選考要項」は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
を、
「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/athletes/tokyo2020/?event=8#searchbox
を、
選考に関わる世界陸連の「WAランキング」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14737/
をご覧頂きたい。
・記録は、6月20日判明分。
・記事中の「WAランキング」は6月15日時点のもの(毎週火曜日に発表されるので、日本選手権直前の6月22日時点のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月15日時点のものとした)。
・記事は、6月20日時点での情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。
なお、日本選手権の期間中、以下の記事で取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(Facebook or Twitter)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。

・準決/6月24日 19:32 3組2着+2
・決勝/6月25日 20:30
2013年以降の優勝者(所属は当時のもの)は、
2013 10.11(+0.7)山縣亮太(慶 大)=初優勝
2014 10.22(+0.6)桐生祥秀(東洋大)=初優勝
2015 10.28(-0.9)高瀬慧(富士通)=初優勝
2016 10.16(-0.3)ケンブリッジ飛鳥(ドーム)=初優勝
2017 10.05(+0.6)サニブラウンAハキーム(東京陸協)=初優勝
2018 10.05(+0.6)山縣亮太(セイコー)=2回目の優勝
2019 10.02(-0.3)サニブラウンAハキーム(フロリダ大)=2回目の優勝
2020 10.27(-0.2)桐生祥秀(日本生命)=2回目の優勝
以上の通りで、2013年以降は5年連続で初優勝の選手が戴冠。その後も連覇した選手はなく毎年チャンピオンが変わっている。
2013年以降のチャンピオン5人のうち高瀬慧を除く4人がエントリー。
エントリー記録は、下記の順で、
1) 9.95 山縣亮太(セイコー)
2) 9.97 サニブラウン・アブデル・ハキーム(TumbleweedTC)
3) 9.98 小池祐貴(住友電工)
4)10.01 桐生祥秀(日本生命。自己ベスト、9.98=2017)
4)10.01 多田修平(住友電工)
6)10.03 ケンブリッジ飛鳥(Nike)
7)10.12 坂井隆一郎(大阪ガス)
8)10.14 水久保漱至(第一酒造)
9)10.18 東田旺洋(栃木県スポーツ協会)
10)10.19 白石黄良々(セレスポ)
がトップ10。東京五輪参加標準記録の10秒05を有効期間内にクリアしているのは、多田までの5人。この5人は、「3位以内」に入れれば「五輪代表内定」となる。公認の自己ベストの9秒台は4人だが、追風参考では多田とケンブリッジも9秒台をマークしたことがある。つまり、上記の上位6人は、「9秒台のスピード」を経験しているのだ。9秒台経験者6人とは、「スプリント王国・アメリカ」につぐような素晴らしいレベルだ。
2021年の記録は、
1) 9.95 +2.0 山縣 6.06
2)10.01 +2.0 多田 6.06
3)10.13 +2.0 小池 6.06
4)10.18 +2.0 東田 6.06
5)10.22 +2.0 永田駿斗(住友電工)6.06
6)10.25 +1.5 鈴木涼太(城西大)5.20
7)10.27 +0.8 デーデー・ブルーノ(東海大)6.05
8)10.28 +2.0 ケンブリッジ 6.06
9)10.29 +1.7 宮本大輔(東洋大)5.20
10)10.30 +0.1 桐生 4.29
10)10.30 +0.9 鵜沢飛羽(筑波大)5.20
10)10.30 +1.7 桑原拓也(関学大)6.06
で、6月6日の布勢スプリントの記録が5位までを占め、日本新をたたき出した山縣と終盤まで併走した多田が一歩リードといった状況。山縣の9秒95は、2021年世界リストの8位タイ、多田の10秒01は20位タイではあるが、五輪に出場できる「1国3人以内」でカウントすると山縣は5位タイ、多田は13位タイだ。
なお、布勢の決勝を欠場した桐生も予選では追風2.6mながら10秒01、小池も4月11日に10秒04(+4.0)で走った。また、関東インカレでは、追風5.5mを受けたもののデーデーも10秒01のスピードを体感した。
2017年秋からアメリカ(フロリダ)に練習拠点を置いているサニブラウンは、19年秋のドーハ世界選手権以来1年8カ月ぶりに出場したアメリカでのレース(5月31日)は、10秒25(+3.6)で予選落ち。しかし、6月7日早々と帰国し、日本選手権に向けて仕上げてくることだろう。
五輪参加標準記録を未突破のケンブリッジ以下の各選手は、日本選手権での「標準突破」と「3位以内」での「一発大逆転」を目指すことになる。
この両者の2013年4月29日の織田記念での「初対決」からの決勝での対戦成績は、
<桐生・山縣の対戦成績/決勝レースに限る。どちらかが決勝を欠場した場合を除く>
記録では、桐生が先行したが、勝負では山縣がリード。日本選手権(決勝)に限っても山縣の3勝2敗だが、今回は?
山縣と10秒09以内の他の4選手との決勝レースでの対戦成績は、以下の通り(一方が、失格や欠場した場合を除く。収録漏れがあったらご容赦を)。
vsサニブラウンとは、1勝1敗。
vs小池とは、8勝1敗。
vs多田とは、7勝1敗。
vsケンブリッジとは、10勝3敗。
サニブラウンの山縣以外との対戦成績は、
vs桐生とは、3勝1敗(桐生の失格を含めると4勝1敗)
vs小池とは、1勝0敗。
vs多田とは、2勝1敗。
vsケンブリッジとは、3勝2敗。
桐生は、
vs小池とは、14勝2敗。
vs多田とは、13勝1敗。
vsケンブリッジとは、7勝5敗(桐生の失格を含めると、7勝6敗)
小池は、
vs多田とは、8勝4敗。
vsケンブリッジとは、4勝8敗。
最後に多田とケンブリッジは、多田の5勝6敗。
以上の通りで、6人の直接対決の対戦回数には違いがあるが、個人間の勝敗を総合すると、その序列は、
1)山縣、サニブラウン
3)桐生
4)ケンブリッジ
5)小池
6)多田
ということになる。
山縣が日本選手権で初入賞した2011年以降の10年間の6人の日本選手権での入賞歴をまとめた。
桐生とケンブリッジは5年連続、多田は4年連続、小池は3年連続入賞を継続中だ。
自己ベスト9秒台が4人に10秒0台が2人も揃ったことで、記録的にも大いに期待がかかる。
1)22回 桐生祥秀
2)14回 山縣亮太
3)10回 サニブラウンAハキーム
4)4回 (朝原宣治)、(伊東浩司)、小池祐貴
7)3回 ケンブリッジ飛鳥、多田修平
8)2回 (末續慎吾)
9)1回 飯塚翔太、(江里口匡史)、高瀬 慧、(塚原直貴)
だ。
今回エントリーしている上述の6人は、予選・準決・決勝で上記に3回上積みできる可能性がある。
また会場となる長居競技場は、トラックが硬いいわゆる「高速トラック」で、適度な追風が吹くことも多い。
これまで公認条件下での日本人の10秒09以内は、計70回。
競技場別では、長居と布勢(鳥取)が9回ずつでトップに並んでいることからも、日本新や複数の9秒台など好記録誕生の期待も高まる。
10秒09以内の今回の出場者6人が自己ベストをマークした時の「100mに要した歩数」「平均ピッチ」「平均ストライド」「ストライドの身長比」は、以下の通りだ。
・山縣亮太(177cm・70kg)
9.95(+2.0) 47.8歩 4.804歩/秒 209.2cm 118.2%
・サニブラウンAハキーム(188cm・83kg)
9.97(+0.8) 43.7歩 4.383歩/秒 228.8cm 121.7%
・桐生祥秀(176cm・70kg)
9.98(+1.8) 47.1歩 4.719歩/秒 212.3cm 120.6%
・小池祐貴(173cm・75kg)
9.98(+0.5) 51.0歩 5.110歩/秒 196.1cm 113.3%
・多田修平(176cm・66kg)
10.01(+2.0) 47.9歩 4.785歩/秒 208.8cm 118.6%
・ケンブリッジ飛鳥(180cm・76kg)
10.03(+1.0) 46.5歩 4.636歩/秒 215.1cm 119.5%
1)10.02 2019年
2)10.14 2018年/10.12w 1999年
3)10.16 2018年
4)10.17 2018年
5)10.22 2018年
6)10.30 2018年/10.28w 1999年
7)10.30 2018年/10.28w 1999年
8)10.33 2019年/10.30w 1999年
※「/」の後ろは、追風参考での最高記録
以上の通りで、2018年と2019年のレベルが高かったとがわかるが、今回は風次第では「日本新」に「複数9秒台」も期待できよう。さらには、各順位ともに上記を大きく上回るハイレベルなレースが予想される。
6月25日の20時30分、長居競技場のホームストレートに2.0m以内の絶好の追風が吹いてくれることを祈りたい。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
▼【日本選手権】応援メッセージキャンペーン!あなたの言葉で東京の舞台を目指す選手の背中を押そう!
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/news/article/14925/
▼東京2020オリンピック競技大会 代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
▼【日本選手権】エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1556-4.pdf
▼【日本選手権】競技日程
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/timetable/
なお「10000m」の日本選手権は5月3日に、「混成競技」は6月12・13日に終了。「リレー種目」は、10月22~24日に愛媛・松山市で実施される。
「日本一」と「五輪代表」を決める試合なので、全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「五輪代表争い」が熾烈であったり、「日本新」が期待されそうな種目を中心とした種目のみの紹介になったことをご容赦いただきたい。
また、過去に紹介したことがあるデータや文章もかなり含まれるが、可能な限り最新のものに更新した。
スタンドでの現地観戦やテレビ観戦の「お供」にして頂ければ幸いである。
「五輪代表選考要項」は、
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
を、
「代表内定選手」は、
https://www.jaaf.or.jp/athletes/tokyo2020/?event=8#searchbox
を、
選考に関わる世界陸連の「WAランキング」は、
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14737/
をご覧頂きたい。
・記録は、6月20日判明分。
・記事中の「WAランキング」は6月15日時点のもの(毎週火曜日に発表されるので、日本選手権直前の6月22日時点のものを盛り込みたいところだが、原稿の締め切りの都合で6月15日時点のものとした)。
・記事は、6月20日時点での情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。
・現役選手については敬称略をご容赦いただきたい。
なお、日本選手権の期間中、以下の記事で取り上げることができなかった種目以外の情報(データ)も日本陸連のSNS(Facebook or Twitter)で「記録や数字に関する情報」として、その都度発信する予定なので、どうぞご覧くださいませ。

【男子100m】
9秒9台4人に10秒0台2人が集結。3枚の五輪代表枠を目指してミクロの決戦か?
・予選/6月24日 15:40 7組3着+2・準決/6月24日 19:32 3組2着+2
・決勝/6月25日 20:30
★9秒台4人、10秒0台2人がエントリーで史上最高の激戦!★
2013年4月の織田記念で桐生祥秀(当時、京都・洛南高3年。現、日本生命)が「10秒01」で走ってから8年、毎年の日本選手権の「最注目種目」となっている。さらに、6月6日の布勢スプリントで山縣亮太(セイコー)が9秒95の日本新をマークし、その注目度が一段と高まった。今回の決勝は大会2日目、金曜日20時30分スタートの最終種目で、ゴールデンタイムに「NHK」で生中継される。2013年以降の優勝者(所属は当時のもの)は、
2013 10.11(+0.7)山縣亮太(慶 大)=初優勝
2014 10.22(+0.6)桐生祥秀(東洋大)=初優勝
2015 10.28(-0.9)高瀬慧(富士通)=初優勝
2016 10.16(-0.3)ケンブリッジ飛鳥(ドーム)=初優勝
2017 10.05(+0.6)サニブラウンAハキーム(東京陸協)=初優勝
2018 10.05(+0.6)山縣亮太(セイコー)=2回目の優勝
2019 10.02(-0.3)サニブラウンAハキーム(フロリダ大)=2回目の優勝
2020 10.27(-0.2)桐生祥秀(日本生命)=2回目の優勝
以上の通りで、2013年以降は5年連続で初優勝の選手が戴冠。その後も連覇した選手はなく毎年チャンピオンが変わっている。
2013年以降のチャンピオン5人のうち高瀬慧を除く4人がエントリー。
エントリー記録は、下記の順で、
1) 9.95 山縣亮太(セイコー)
2) 9.97 サニブラウン・アブデル・ハキーム(TumbleweedTC)
3) 9.98 小池祐貴(住友電工)
4)10.01 桐生祥秀(日本生命。自己ベスト、9.98=2017)
4)10.01 多田修平(住友電工)
6)10.03 ケンブリッジ飛鳥(Nike)
7)10.12 坂井隆一郎(大阪ガス)
8)10.14 水久保漱至(第一酒造)
9)10.18 東田旺洋(栃木県スポーツ協会)
10)10.19 白石黄良々(セレスポ)
がトップ10。東京五輪参加標準記録の10秒05を有効期間内にクリアしているのは、多田までの5人。この5人は、「3位以内」に入れれば「五輪代表内定」となる。公認の自己ベストの9秒台は4人だが、追風参考では多田とケンブリッジも9秒台をマークしたことがある。つまり、上記の上位6人は、「9秒台のスピード」を経験しているのだ。9秒台経験者6人とは、「スプリント王国・アメリカ」につぐような素晴らしいレベルだ。
2021年の記録は、
1) 9.95 +2.0 山縣 6.06
2)10.01 +2.0 多田 6.06
3)10.13 +2.0 小池 6.06
4)10.18 +2.0 東田 6.06
5)10.22 +2.0 永田駿斗(住友電工)6.06
6)10.25 +1.5 鈴木涼太(城西大)5.20
7)10.27 +0.8 デーデー・ブルーノ(東海大)6.05
8)10.28 +2.0 ケンブリッジ 6.06
9)10.29 +1.7 宮本大輔(東洋大)5.20
10)10.30 +0.1 桐生 4.29
10)10.30 +0.9 鵜沢飛羽(筑波大)5.20
10)10.30 +1.7 桑原拓也(関学大)6.06
で、6月6日の布勢スプリントの記録が5位までを占め、日本新をたたき出した山縣と終盤まで併走した多田が一歩リードといった状況。山縣の9秒95は、2021年世界リストの8位タイ、多田の10秒01は20位タイではあるが、五輪に出場できる「1国3人以内」でカウントすると山縣は5位タイ、多田は13位タイだ。
なお、布勢の決勝を欠場した桐生も予選では追風2.6mながら10秒01、小池も4月11日に10秒04(+4.0)で走った。また、関東インカレでは、追風5.5mを受けたもののデーデーも10秒01のスピードを体感した。
2017年秋からアメリカ(フロリダ)に練習拠点を置いているサニブラウンは、19年秋のドーハ世界選手権以来1年8カ月ぶりに出場したアメリカでのレース(5月31日)は、10秒25(+3.6)で予選落ち。しかし、6月7日早々と帰国し、日本選手権に向けて仕上げてくることだろう。
五輪参加標準記録を未突破のケンブリッジ以下の各選手は、日本選手権での「標準突破」と「3位以内」での「一発大逆転」を目指すことになる。
★10秒0台以内の6人の対戦成績は?★
2012年4月の織田記念で10秒08を出した山縣、2013年の織田記念で10秒01をマークした桐生。以後、常に「日本人初の9秒台」を注目されてきたこの2人がこの10年あまりの日本の100mを引っ張ってきたことは間違いないところだろう。この両者の2013年4月29日の織田記念での「初対決」からの決勝での対戦成績は、
<桐生・山縣の対戦成績/決勝レースに限る。どちらかが決勝を欠場した場合を除く>
年月日 | 大会名 | 場所 | 風 | 桐生祥秀 | vs | 山縣亮太 | タイム差 | 勝者 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2013.04.29 | 織田記念 | 広島 | +2.7 | 1) | 10.03 | ○ ● | 2) | 10.04 | 0.01 | 桐生 |
2013.06.08 | 日本選手権 | 東京 | +0.7 | 2) | 10.25 | ● ○ | 1) | 10.11 | 0.14 | 山縣 |
2014.06.08 | 日本選手権 | 福島 | +0.6 | 1) | 10.22 | ○ ● | 2) | 10.27 | 0.05 | 桐生 |
2015.03.28 | テキサスR | 米国 | +3.3 | 1) | 9.87 | ○ ● | 7) | 10.15 | 0.28 | 桐生 |
2016.05.08 | GGP川崎 | 川崎 | -0.4 | 4) | 10.27 | ● ○ | 2) | 10.21 | 0.06 | 山縣 |
2016.06.05 | 布勢SP | 鳥取 | -0.5 | 2) | 10.09 | ● ○ | 1) | 10.06 | 0.03 | 山縣 |
2016.06.25 | 日本選手権 | 名古屋 | -0.3 | 3) | 10.31 | ● ○ | 2) | 10.17 | 0.14 | 山縣 |
2017.03.11 | キャンベラ | 豪州 | -0.1 | 2) | 10.19 | ● ○ | 1) | 10.08 | 0.11 | 山縣 |
2017.06.24 | 日本選手権 | 大阪 | +0.6 | 4) | 10.26 | ○ ● | 6) | 10.39 | 0.13 | 桐生 |
2018.05.20 | GGP大阪 | 大阪 | -0.7 | 4) | 10.17 | ● ○ | 2) | 10.13 | 0.04 | 山縣 |
2018.06.23 | 日本選手権 | 山口 | +0.6 | 3) | 10.16 | ● ○ | 1) | 10.05 | 0.11 | 山縣 |
2018.09.21 | 日本実業団 | 大阪 | ±0.0 | 2) | 10.22 | ● ○ | 1) | 10.01 | 0.21 | 山縣 |
2019.05.19 | GGP大阪 | 大阪 | +1.7 | 2) | 10.01 | ○ ● | 5) | 10.11 | 0.10 | 桐生 |
2021.04.29 | 織田記念 | 広島 | +0.1 | 3) | 10.30 | ● ○ | 1) | 10.14 | 0.16 | 山縣 |
5 9 |
記録では、桐生が先行したが、勝負では山縣がリード。日本選手権(決勝)に限っても山縣の3勝2敗だが、今回は?
山縣と10秒09以内の他の4選手との決勝レースでの対戦成績は、以下の通り(一方が、失格や欠場した場合を除く。収録漏れがあったらご容赦を)。
vsサニブラウンとは、1勝1敗。
vs小池とは、8勝1敗。
vs多田とは、7勝1敗。
vsケンブリッジとは、10勝3敗。
サニブラウンの山縣以外との対戦成績は、
vs桐生とは、3勝1敗(桐生の失格を含めると4勝1敗)
vs小池とは、1勝0敗。
vs多田とは、2勝1敗。
vsケンブリッジとは、3勝2敗。
桐生は、
vs小池とは、14勝2敗。
vs多田とは、13勝1敗。
vsケンブリッジとは、7勝5敗(桐生の失格を含めると、7勝6敗)
小池は、
vs多田とは、8勝4敗。
vsケンブリッジとは、4勝8敗。
最後に多田とケンブリッジは、多田の5勝6敗。
以上の通りで、6人の直接対決の対戦回数には違いがあるが、個人間の勝敗を総合すると、その序列は、
1)山縣、サニブラウン
3)桐生
4)ケンブリッジ
5)小池
6)多田
ということになる。
★10秒0台以内の6選手の入賞歴★
6月25日の決勝では、この序列通りの順位になるのか、入れ替わりがあるのか、これ以外の選手がここに食い込んでくるのか……。山縣が日本選手権で初入賞した2011年以降の10年間の6人の日本選手権での入賞歴をまとめた。
年 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山縣亮太 | 4 | 3 | 1 | 2 | ・ | 2 | 6 | 1 | ・ | ・ |
桐生祥秀 | ・ | ・ | 2 | 1 | ・ | 3 | 4 | 3 | 2 | 1 |
サニブラウン | ・ | ・ | ・ | ・ | 2 | ・ | 1 | ・ | 1 | ・ |
ケンブリッジ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | 1 | 3 | 2 | 8 | 2 |
多田修平 | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | 2 | 5 | 5 | 5 |
小池祐貴 | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | ・ | 4 | 3 | 3 |
桐生とケンブリッジは5年連続、多田は4年連続、小池は3年連続入賞を継続中だ。
自己ベスト9秒台が4人に10秒0台が2人も揃ったことで、記録的にも大いに期待がかかる。
★「日本新」や好記録に期待!!★
公認条件下での「10秒09以内」の歴代の個人別回数は下記の通り(カッコは非現役)、1)22回 桐生祥秀
2)14回 山縣亮太
3)10回 サニブラウンAハキーム
4)4回 (朝原宣治)、(伊東浩司)、小池祐貴
7)3回 ケンブリッジ飛鳥、多田修平
8)2回 (末續慎吾)
9)1回 飯塚翔太、(江里口匡史)、高瀬 慧、(塚原直貴)
だ。
今回エントリーしている上述の6人は、予選・準決・決勝で上記に3回上積みできる可能性がある。
また会場となる長居競技場は、トラックが硬いいわゆる「高速トラック」で、適度な追風が吹くことも多い。
これまで公認条件下での日本人の10秒09以内は、計70回。
競技場別では、長居と布勢(鳥取)が9回ずつでトップに並んでいることからも、日本新や複数の9秒台など好記録誕生の期待も高まる。
★各選手の「平均ピッチ」と「平均ストライド」は?★
スタンドからのリアルタイムではその歩数を数えることは困難だろうが、TVやYoutubeの動画をスロー再生して、各選手の歩数をカウントして、「平均ピッチ」「平均ストライド」などを計算&比較してみるのも「楽しみ方」のひとつであろう。10秒09以内の今回の出場者6人が自己ベストをマークした時の「100mに要した歩数」「平均ピッチ」「平均ストライド」「ストライドの身長比」は、以下の通りだ。
・山縣亮太(177cm・70kg)
9.95(+2.0) 47.8歩 4.804歩/秒 209.2cm 118.2%
・サニブラウンAハキーム(188cm・83kg)
9.97(+0.8) 43.7歩 4.383歩/秒 228.8cm 121.7%
・桐生祥秀(176cm・70kg)
9.98(+1.8) 47.1歩 4.719歩/秒 212.3cm 120.6%
・小池祐貴(173cm・75kg)
9.98(+0.5) 51.0歩 5.110歩/秒 196.1cm 113.3%
・多田修平(176cm・66kg)
10.01(+2.0) 47.9歩 4.785歩/秒 208.8cm 118.6%
・ケンブリッジ飛鳥(180cm・76kg)
10.03(+1.0) 46.5歩 4.636歩/秒 215.1cm 119.5%
★「着順別最高記録」にも注目!★
日本選手権・決勝での「着順別最高記録」は、1)10.02 2019年
2)10.14 2018年/10.12w 1999年
3)10.16 2018年
4)10.17 2018年
5)10.22 2018年
6)10.30 2018年/10.28w 1999年
7)10.30 2018年/10.28w 1999年
8)10.33 2019年/10.30w 1999年
※「/」の後ろは、追風参考での最高記録
以上の通りで、2018年と2019年のレベルが高かったとがわかるが、今回は風次第では「日本新」に「複数9秒台」も期待できよう。さらには、各順位ともに上記を大きく上回るハイレベルなレースが予想される。
6月25日の20時30分、長居競技場のホームストレートに2.0m以内の絶好の追風が吹いてくれることを祈りたい。
野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト
▼【日本選手権】応援メッセージキャンペーン!あなたの言葉で東京の舞台を目指す選手の背中を押そう!
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/news/article/14925/
▼東京2020オリンピック競技大会 代表選手選考要項
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/201907/01_171958.pdf
▼【日本選手権】エントリーリスト
https://www.jaaf.or.jp/files/competition/document/1556-4.pdf
▼【日本選手権】競技日程
https://www.jaaf.or.jp/jch/105/timetable/