2021.06.04(金)大会

【サトウ食品日本グランプリシリーズ】女子100mH寺田明日香、混合4×400mRが日本記録更新!/木南記念大会レポート&コメント

第8回木南記念陸上が6月1日、サトウ食品日本グランプリシリーズ「大阪大会」として、大阪市のヤンマースタジアム長居で開催されました。この大会は、ワールドアスレティックス(WA)が世界で展開する「WAコンチネンタルツアーブロンズ」大会としてカテゴライズされている国際競技会です。当初、5月5日に行われる実施されるはずでしたが、新型コロナウイルス感染症拡大により、4月24日に大阪市が緊急事態宣言を発出したことで直前での急な会期変更を余儀なくされました。例年、サブイベントとして実施していた中学・高校生の種目を中止、オンラインでのメディア対応に変更するなど、さまざまな感染症対策をとったうえで、6月1日に開催することに。残念ながら無観客での試合となりましたが、実況・解説をつけてのライブ配信を実施するなど工夫が施されました。
大会当日は、朝から快晴に恵まれました。午後になるとやや風が強まったものの、気温が28.5℃まで上がりながら湿度が低めだったことで蒸し暑さがなく、初夏を感じさせる快適な陽気となりました。グランプリ種目としては、男女ともにトラック・フィールド各8種目全16種目が実施。これに、特別種目として東京オリンピック出場権獲得を目指した男女混合4×400mRが組み込まれたほか、大阪選手権男子10000mが行われました.

会場のボルテージを高めたのが、正午前に実施された男女混合4×400mR。この種目は、5月1~2日にシレジア(ポーランド)で行われた世界リレーの予選で、日本記録(3分18秒76)をマークしたものの決勝進出がならなかったことで、東京オリンピックの出場権獲得を逃していました。この段階で、すでに13カ国が出場権を獲得。出場権を獲得できる残り3カ国内に入るタイムを目指すべく、日本国内を拠点に活動しているケニアの長距離選手たちの協力を得て、この大会で国際レースとしてのトライアルが実現しました。1走から順に、青山聖佳選手(大阪成蹊AC)、松本奈菜子選手(東邦銀行)、佐藤拳太郎選手(富士通)、川端魁人選手(三重県教員AC)のオーダーで臨んだレースは、競り合う場面がなく、ほぼ単独で展開する形となりましたが、各選手ともよく走り、日本記録を大きく上回る3分16秒67でフィニッシュ。ランキングで15位へと浮上し、上位16カ国に与えられるオリンピック出場権圏内へジャンプアップ。今後は、他国の結果を待つことになりますが、悲願の東京オリンピック出場に向けて望みを繋ぎました(日本新記録樹立に際する各選手のコメントは、別記ご参照ください)。

グランプリ種目においては、日本陸上界の草創期にハイハードルの第一人者として活躍した木南道孝氏の功績を記念して創設されたこの大会にふさわしく、男女スプリントハードルで好記録が続出しました。
まず、日本新記録が誕生した男女混合4×400mRに続いて行われた女子100mHの予選1組に出場した寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)が、日本人女子として初の12秒8台に突入し、オリンピック参加標準記録(12秒84)に0.03秒まで迫る12秒87(+0.6)をマーク。4月29日に更新していた自身の日本記録(12秒96)を再び塗り替えたのです。2時間30分のインターバルで行われた決勝は、12秒89(+0.3)でのフィニッシュとなり、再度の更新はならず。参加標準記録突破も次回へと持ち越されることとなりました。しかし、2レース連続で12秒8台をマークしたインパクトは強烈で、高いレベルでの安定性を見せつけるとともに、標準記録クリアの瞬間が間近に迫っていることを印象づけました(寺田選手のコメントは、別記ご参照ください)。
男子110mHは、4月29日の織田記念で13秒16の日本新記録を樹立した金井大旺選手(ミズノ)、5月20日(関東インカレ予選)に13秒30の学生新記録をマークするとともに13秒32のオリンピック参加標準記録突破を果たした泉谷駿介選手(順天堂大)が出場をとりやめたなかでのレースとなりましたが、予選で今季急成長中の村竹ラシッド選手(順天堂大)が学生歴代2位へと浮上する13秒44(±0)の好記録をマークすると、追い風0.3mの条件のなかで行われた決勝では、これをさらに大きく上回る13秒35でフィニッシュ。この記録は、U20カテゴリーでの世界歴代4位に相当する好記録で、泉谷選手が持っていたU20日本最高記録(13秒36、2019年、当時日本タイ記録)を塗り替えるとともに、オリンピック参加標準記録まで0.03秒まで迫りました。(村竹選手のコメントは、別記ご参照ください)。なお、決勝では、石川周平選手(富士通)が終盤まで村竹選手と競り合って13秒42で続き、自己記録の13秒39に続くセカンドベストをマークし、好調を維持している様子をうかがわせました。

このほかでは、女子1500mに、この種目の日本記録保持者で、5000mでオリンピック代表に内定済みの田中希実選手(豊田自動織機TC)が出場して注目を集めました。田中選手は、ラスト1周で切り替えるレースを披露、自己4番目のタイムとなる4分10秒06で制しました。また、向かい風0.8mのなか行われた男子200mには、この種目でオリンピック参加標準記録(20秒24)を突破済みの小池祐貴選手(住友電工)が出場して、20秒59で快勝しています。
女子やり投では、5月9日に国立競技場で行われたREADY STEADY TOKYOで優勝している上田百寧選手(福岡大)が、学生選手としては3人目の60mオーバーとなる 60m38(日本歴代7位)をマークして優勝。男子やり投は、今季好調の小南拓人選手(染めQテクノロジィ)が織田記念でマークした自己記録82m52(日本歴代4位)に迫るセカンドベストの82m43を投げて、81m06で首位に立っていたディーン元気選手(ミズノ)を逆転して制しました。また、男子棒高跳では、竹川倖生選手選手(丸元産業)が日本歴代7位に浮上する5m65の自己新記録のクリアに成功。シーズンベスト(5m55)をマークしたものの、5m65を攻略できなかった江島雅紀選手(富士通)を押さえて優勝を果たしています。

 

【新記録樹立者コメント】 ※記録誕生の順に掲載

男女混合4×400mR
1位 日本(青山聖佳、松本奈菜子、佐藤拳太郎、川端魁人) 3分16秒67 =日本新記録

・1走:青山聖佳(大阪成蹊AC)

今回は東京オリンピックの出場権獲得のために、タイムを狙って臨んだ。結果としてはタイムを更新して、今のところの出場圏内に入ることができたので、目標としては達成することができたわけだが、もう少し速いタイムを目指していたし、個人としてももっとチームに貢献できる走りができたはずだと思うので、悔しい気持ちもちょっと残っている。
ミックス(混合4×400mR)としては、これが最後の挑戦の機会だったので、あとはもう他力本願という形になるが、出場権を獲得することができたら東京オリンピックに向けて取り組んでいきたい。また、(同様に出場権が獲得できていない)女子のマイルリレーも、今週末の新潟大会(デンカチャレンジ)で挑戦する。まずはそこに向けてしっかりと準備を進めていきたい。

・2走:松本奈菜子(東邦銀行)

このレースでは3分15秒台というのを目標にしていたので、そこに届かなかったことは悔しいが、16秒台を出したという点ではぎりぎりのラインで及第点かなと思う。私自身の走りでは、もう少し追い込むような形で走れたらよかったのかなと思った。
青山も言ったように混合マイルについては、あとは「(獲得できるよう)願うばかり」の状態なので、そこは(実現を)願うとして、私も女子マイルのほうで(レースを)控えているので、まずは(6月)6日のデンカでタイムアタックに挑戦したい。東京オリンピック(出場)が確定したら、そこに向けてやっていきたいと思っている。

・3走:佐藤拳太郎(富士通)

今日のタイムで見ても最低限の記録だったなと思う。本当はもうプラス1秒くらい速く走って、出場権を確実にしておきたかった。そこは、この4人の力不足(が原因)のところで、そのなかでも最年長の僕が、もうちょっといい走りができていたらな、と感じている。
ミックスでの取り組みは、このあと本番まで大会がないので、これが最後。あとは、ここから個人で仕上げていくことになる。女子の2人については、これから(女子の)マイルリレー(出場権獲得への挑戦)もある。みんなで世界で戦うことを目標に、おのおのが調整をしていかなければいけないなという気持ちでいる。

・4走:川端魁人(三重県教員AC)

東京オリンピック出場権獲得に向けて最低限のタイムを更新できたことはチームとしてよかったと思う。(出場チームが少なく)競う相手がいないなかでの日本記録更新(に挑む)というのは、少し難しいことではあったが、今出せるタイムは最低限みんな出せたと思うので、僕はよかったかなと思っている。
ミックスは(他国の今後の)結果次第ということで、その上での準備をしっかりしていきたい。男子については、マイル(男子4×400mR)はすでに出場権を獲得している。このあとは日本選手権に向けて個々の力を高め合い、マイルでも世界と勝負できるように準備していきたい。

 

女子100mH
優勝 寺田明日香(ジャパンクリエイト)
12秒89(+0.3) 
※予選1組1着 12秒87(+0.6) =日本新記録

 

<日本新記録を樹立した予選直後>

織田記念で(12秒96の日本新が)出たときとは違って(12秒)8台が出たことはよかったが、今回は天候もよくて、標準(記録の12秒84)を出したいと思って来ているので、「もうちょっとかな」という感じ。(このあと決勝があるが)今日はよく晴れて、暑くなってくると思うが、それにうまく対応したい。風(の状態)がよくなることを願って(レースに)備えたい。

<決勝レース後>

決勝も(オリンピック参加標準記録の12秒)84を切るつもりで走ろうと思っていた。89(という結果)は残念だが、風がないなかでも(12秒)8台で走れるということは本当にこの2年間の大きな成長なのかなと思う。次(に出場を予定している)の鳥取(布勢スプリント、6月6日)がすぐにあるが、そこで(標準記録を突破するタイムが)出ればいいなと思っている。
(予選でマークした12秒87については)ここまでずっと12秒9台の後半とかで走っていて、「(12秒)8台で走らないと、(12秒)84は見えてこない」と思っていたので、まずは87が出せてよかった。しかし、気持ちとしては「悔しい」のほうが大きい。日本新を出したのは3回目となるが、日本新を出して、こんなに悔しいのは初めて。自分の目標は、世界のファイナル(決勝)。12秒6台で走るというところにある。1歩1歩ではあるが前進できていることは嬉しく思うけれど、やはりもっともっと先に行きたいと思うので…。見てくださる方が、「あ、寺田明日香、ファイナル(決勝)に残れるかもしれない」と思ってもらえるよう、さらに頑張っていかなきゃなと思う。
1つ前のテスト大会(READY STEADY TOKYO、5月9日)のときは、全体的に(身体が)浮く感じがあって気になっていたのだが、今回は前半を抑えて走れたというか、浮くことなく走ることができた。決勝のほうは後半で(浮くことが)気になったので、予選のほうがきれいな走りだったかなと思う。そこが安定して出てきたのはいいこと。もうちょっと“削れるところ”があるので、次の試合や日本選手権、オリンピックに向けて、削っていければいいなと思う。
(こうして記録を更新し続けることができている要因となっている練習はあるのか、の問いに)何か一つというわけではない。(陸上競技への復帰前に挑戦した7人制)ラグビーをやった経験もそうだが、身体づくり一つとっても、1回目の選手時代とは全然違う。私としては、バルクアップを恐れずに身体を変えられたことは、とても大きいと感じているのだが、そうしてバルクアップしてつくり込んだ身体で、新しい動きとか技術とかを組み込んでいけたという、いろいろな要素が、(記録向上の要因として)あると思っている。

(競技に復帰してからの2年で、13秒台を切って12秒87まで記録を更新していることについては)この2年間、本当にいろいろな人に関わってもらった。自分一人ではできなかったことが多かったので、私だけの記録ではなくて“チームあすか”としての記録だと思っている。まずは今日、みんなでいったん“おめでとう”をして“でも、悔しいよ”ということで(笑)、次回に持ち越したい。



男子110mH
優勝 村竹ラシッド(順天堂大)
13秒35(+0.3)=U20日本最高記録

正直なところ、13秒3台が出ると思っていなかった。ジュニアの新記録(U20日本最高・106.7㎝)なので、気持ちとしてはすごく嬉しい。(一方で、オリンピック標準記録の13秒32突破には僅か0.03秒届かなかったわけだが)標準記録に対しては今までちょっとぼんやりしていて、「ちょっと遠いかな」と感じていたのが、やっと具体的な数字にできたという感じ。日本選手権の前に、布勢スプリント(6月6日)にも出る予定なので、気負わず気楽に臨んでより近い記録を出して、最終的に(標準記録を)切れればいいなと思っている。
今回のレースでは、4月あたりの試合に比べるとスタートが格段によくなっている。昨年から変えたスタート(から第1ハードル)までの7歩が、シーズン最初のころはあまりしっくりきていなかったのだが、5月に入って試合を重ねたことでようやくいい形になってきた。スタートをうまく決められて、そこから流れを崩さずに最後まで行けたことが(この記録を出せたことの要因として)すごく大きかったと思う。スタート(の局面)はいい感じなので、あとは中盤から後半にかけて、そのスピードを落とさずにしっかり行ければ、(標準記録は)切れるんじゃないかと思う。
(前U20日本最高記録保持者で学生記録保持者の泉谷駿介選手とは同じ大学だが)泉谷さんとは学校の練習でもバチバチで競ったりしている。けっこう負けることが多いのだが、この先の試合で1回でも勝てたらいいなと思っている。
日本選手権では、まずはしっかりと決勝に残り、そのうえで3番以内に入って、オリンピックを目指せたらいいなと思う。ヘマをしなければ決勝には残れると思うので、そのうえで後悔のないよう自分の実力をしっかり出しきって、表彰台に上がりたい。

 
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ

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