2021.03.23(火)その他

第4回ライフスキルトレーニングプログラム レポート ~働くうえで大切な価値観~



大学生アスリートを対象として、昨年12月から日本陸連が実施している「ライフスキルトレーニング」の第4回全体講義が、3月8日に開催されました。株式会社東京海上日動キャリアサービスのサポートを受け、選抜された第1期生( https://www.jaaf.or.jp/news/article/14514/ )に向けて行われてきたこの講義も、今回が最終回。これまで同様に、スポーツ心理学博士の布施努特別講師による講義と実際に社会で活躍する元アスリートをゲストスピーカーとするワークショップが、オンラインで行われました。

布施特別講師の講義で、最初のテーマになったのが、「重要なときに力を発揮できる思考の仕方」です。受講者たちは、フィギュアスケートの羽生結弦選手や体操競技の内村航平選手のケースを題材として、小グループのブレイクアウトアウトセッションに取り組んだのちに、布施特別講師から
・競争する能力には、向上するケース(適応競争力)と低下するケース(不適応競争力)があるが、ここまでに学んださまざまな考え方を使いこなすことによって、適応競争力を高めることができる、
・思考が組み立てられる際には、“獲得型”と“防御型“のパターンに分かれる。スポーツの場面では、「負けないためにプレーする」(防御型)ではなく、「勝つためにプレーする」(獲得型)思考で物事を捉えることを目指す、というポイントを学びました。

続いて、年代もタイプも異なる2人のリーダーに行ったインタビュー映像を事例として、「リーダーの在り方」「リーダーとしての役割分担」「ミーティングのコントロール法」「チームメンバーの心理的安全を構築する方法」などが紹介されました。
そして、ここまでに学んできた考え方を駆使してライフスキルを高めていくことによって獲得できるとして、最後に紹介されたのが「オートテリック(自己目的的)パーソナリティ」という概念。これは、与えられた目的を達成することに注力するよりも、自分が今取り組んでいること自体に喜びや楽しさを見出せる性格特性のこと。布施特別講師は、オートテリックを獲得するための条件を5つ紹介し、「これらを目指してトレーニングしていくことによって、気づいたときには“オートテリック”が獲得できている」と述べました。さらに、オートテリックパーソナリティーが身につくと、「やっていることがすごく楽しく感じられるし、“こうなったら楽しいな”という視点で将来像や理想像を描けるようになる」と説明。ライフスキルの獲得・向上により、自分の“最高”を引き出せるようになることで到達できる状態(=目指したい状態)を示し、最後の講義を締めくくりました。



休憩を挟んで行われた第2部のワークショップは、このプログラムをサポートしている株式会社東京海上日動キャリアサービス代表取締役社長の田﨑博道さんが、最終回のゲストスピーカーを自ら務めてのセッションとなりました。
中学から陸上競技を始めた田﨑社長は、中学では100mと100mHで、高校では100mと200mで全国トップクラスの活躍を見せてきました。慶應義塾大学進学後は、さらにハイレベルとなった環境下で競技に集中する日々を過ごし、2年時の1976年には日本選手権で100m優勝を果たし、日中国交正常化記念・日中対抗陸上の代表に選出されるなどの実績を残しています。しかし、3年時競技中に負ったケガが、その後の競技成績に影響を及ぼすようになったこと、さらに、アスリートとしてのさらなるキャリアに展望が描けなかったことなどから、陸上競技引退を決断。1979年4月に、当時、就職人気ランキング首位の東京海上火災保険株式会社(2004年合併により東京海上日動火災保険株式会社となる)に入社すると、その後は、さまざまな部署や地方勤務、役職を経て、2010年度に執行役員に就任。2012年に常務執行役員、2016年度から2年間、代表取締役専務執行役員を務めたのちに退任し、2018年から現職で活躍するとともに、昨年からは一般社団法人日本人材派遣協会の会長職も務めています。



「今回が最後なので、受講者たちとの対話を中心に据えたい」という田﨑社長の考えから、この日は事前に、「働くということ」「陸上競技経験者として思うこと」などをまとめた資料を受講者に配布。最初の講話では、競技者として過ごした10年と企業人として過ごした40年の歴史を足早に振り返り、その後、資料を読み込んできた受講者一人一人からの質問に応え、これまでに培ってきた「働くこと」に関する価値観を、次のように紹介していきました。

・知ったかぶりはしない。わからないことはそのままにせず勉強する。また、素直に人から学ぶ。
・まずは「こうなりたい」という夢や目標を具体的にデザインして取り組む。
・仕事観は、さまざまな経験をするなかで確立される。自分は、最終的に「社会課題の解決に貢献すること」となった。
・遭遇するさまざまな問題に、「逃げないで、起きていることには真向かってほしい」。
・失敗を恐れずに挑戦することは大切だが、徹底的に準備があっての挑戦である。
・もしものときに手をさしのべてくれる仲間、安心な組織はとても大切。
・人が成長するには、いろいろな意味で「素直さがある」かどうか。素直さがあれば、大切な気づきを得て、能力は開花していく。

どの回答も、ここまでに学んできた事柄に重なる内容で、受講者たちは、「理論」と「実践」が一つの線として繋がる形で、最後の全体講義を終えました。


文:児玉育美(JAAFメディアチーム)


■ライフスキルトレーニングプログラム特設サイトはこちら
https://www.jaaf.or.jp/lst/

■~競技パフォーマンス向上とキャリア自立の両立を目指して~第一回ライフスキルトレーニングプログラム レポート
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14540/

■第2回ライフスキルトレーニングプログラム レポート ~目標に向けて、自分にできることを~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14612/

■第3回ライフスキルトレーニングプログラム レポート ~自分の弱みを理解し、闘う世界を広げる~
https://www.jaaf.or.jp/news/article/14652/

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