ダイヤモンドリーグ第11戦となる「アニバーサリーゲームズ」(以下、ロンドンDL)。大会2日目の7月22日には、欧州遠征中の日本チームが出場する男子4×100mRと男子200mが行われました。日本は男子4×100mRに小池祐貴選手(ANA)、飯塚翔太選手(ミズノ)、桐生祥秀選手(日本生命)、ケンブリッジ飛鳥選手(Nike)のオーダーで臨み、日本歴代7位となる38秒09をマークして2位に。また、ウエイティングの状態から急きょ出場が決まった男子200mの小池選手は、20秒56(+0.1)・8位でのフィニッシュとなりました。
この日、日本チームは、午前10時半ごろに会場入り。13時20分のレースに向けて、ウォーミングアップを始め、バトンパスしながらの流し、そして各パートでのバトン合わせを行い、スタジアムへと入っていきました。
日本は6レーンで、このほかの出場国は、1レーンにアイルランド、2レーンにフランス、3レーンは中国、4レーンにイギリスのチーム2、5レーンがイギリスのチーム1、そして日本のアウトとなる7レーンにはイギリスのU20が、8レーンにはスイスが、9レーンにオランダが入る番組編成。
このうち、中国は100mアジア記録保持者(9秒91)の蘇炳添を外してのオーダー。日本のライバルは、昨年のロンドン世界選手権を37秒47のナショナルレコードで制したメンバーが3人(Chijindu UJAH選手、Adam GEMILI選手、Nethaneel Mitchell-BLAKE選手)を擁するイギリスのチーム1と見込まれました。イギリスチーム1は、世界選手権で2走を務めたGEMILI選手を3走に配し、2走にZharnel HUGHES選手が入る走順でレースに臨んできていました。
1走の小池選手は、初めてとは思えない落ち着きぶりで、2走の飯塚選手にバトンパス。飯塚選手もベストに近い走りでレースを進めますが、5レーンに入ったイギリスのHUGHES選手が終盤で大猛追。ややリードを奪われた状態で桐生選手にバトンが渡りました。桐生選手は、先行するGEMILI選手を追う展開となりましたが差が詰まるには至らずに、バトンはアンカーのケンブリッジ選手へ。イギリスチーム1がそのまま逃げ切って先着、大会新記録の37秒61で優勝し、日本は38秒09で続きました。
3位にはオランダが38秒21(同国新記録)でフィニッシュ。フランスが38秒75で4位。中国は、2走までで遅れていた上に、3走の謝震業選手とアンカーの许周政選手 のバトンパスで両者が接触するアクシデントもあって39秒09・5位にとどまりました。
37秒台には届かなかったものの日本がマークした38秒09は、日本歴代7位にランクインする好記録。しかし、イギリスチーム1の37秒61は、日本がゴールデングランプリでマークした今季世界最高記録を更新し、同国歴代2位となるもの。イギリスの4選手の100mベスト記録は、UJAH選手が9秒96、HUGHES選手が9秒91、GEMILI選手が9秒97、Mitchell-BLAKE選手が9秒99と全員9秒台。この走力に加えて、イギリスの近年のバトンパスワークの安定感が明確に出た結果といえそうです。
1レーンに入った小池選手は、スタート直後から果敢に飛ばして、上位争いをしながらコーナーを抜けていきましたが、終盤で、アウトのレーンを走る選手たちにかわされ20秒56(+0.1)・8位でレースを終えました。
優勝したのはAkeem BLOOMFIELD選手(ジャマイカ)で、パーソナルベストの19秒81をマーク。2位・3位にはAlonso EDWARD選手(パナマ)が20秒01、エクアドルのAlex QUIÑÓNEZ選手が20秒13で続き、4×100mRで優勝したイギリスチーム1メンバーのMITCHELL-BLAKE選手が20秒21のシーズンベストで4位に、GEMILI選手が20秒30・5位でフィニッシュしています。
◇
ロンドンDL終了後は、ケンブリッジ選手は、25日にスウェーデンで開催される「Karlstad Grand Prix」に出場するため、23日朝、Karlstadに向けて出発しますが、飯塚、桐生、小池選手は、予定されていたすべての日程を終え、23日夜にヒースロー空港を出発する便で帰国の途に就きます。
・1走:小池祐貴選手(ANA)
(ほかのメンバーの)皆さんが、自分が緊張するだろうと気遣ってくれていたので、会場の雰囲気にのまれることもなく走ることができた。今回は(山縣亮太選手の)代走だったが、「いつでも走れる、どこの走順でも行けるぞ」という準備をしていきたいと思う。
・2走:飯塚翔太選手(ミズノ)
走りは出しきれたと思うが、バトンのほうにはまだ伸びしろがある。その課題をしっかりクリアしていけば、これからの期間で0.1(秒)くらいは伸びる。しっかりやっていきたい。この結果にメンバーの悔しい気持ちは一致していると思う。でも、「イギリスに負けて、38秒09で悔しがる」というのは、僕らも強くなった証拠。自分たちが満足できる結果を残していきたい。
・3走:桐生祥秀選手(日本生命)
僕のところの受け渡しは、これまでずっとやってきたメンバーだし、本番前の練習で1本合わせてしっかり行けたので、バトンに関しての不安はなかった。37秒台は、確実に出したかったし、東京(オリンピック)のことを考えると優勝しておきたかったという思いはある。今日のバトンは遠くもなく近くもなくという感じ。攻めようと思えばまだまだ行ける。37秒台を安定して出せるように、しっかりバトン練習をしていきたい。
・4走:ケンブリッジ飛鳥選手(Nike)
(3・4走の)バトンはよかったと思う。練習でもいいタイムが出ていたし、リオ(オリンピック)のときと比べても完成度は上がってきているとお互いに感じている。(バトンをもらった段階で)イギリスのほうが少し前にいたが、しっかり詰めてゴールしたいなという思いで走った。今回、37秒台を出せなかったことは残念だが、安定していいレースができていると思うので、あとは毎回37秒台を出せるようにしていきたい。アジア大会では日本記録を更新できるよう、みんなで頑張っていきたい。
初めてだったので自分の走りに集中することを課題にしていた。(先に走った)リレーは、正直なところ最初は緊張していたのだが、周りのメンバーが「いつも通り気楽に」というスタイルでいたので、その雰囲気に乗ることができた。そのおかげで、200mもそのままの気持ちで臨むことができたように思う。
(序盤は上位争いに加わっていたが)1レーンはやはりきつかった。1レーンを走るのは本当に久々だったので、対応できなかったというのはある。しかし、今のままでも中の(レーンで)で一緒に走れば勝負できるなということも感じていて、自分は(トップ選手たちに)近いところまでは来ているんだなと思うことができた。
こっち(海外)の選手は、「レーンなんて関係ないよ」っていう走りをする。そういう意味では、日本人が持つ繊細なところからは、もう少し図太くならなきゃいけないなということを、この転戦を通じて感じた。
文・写真:児玉育美(日本陸連メディアチーム)
◎4×100mRはイギリスが今季世界最高でV 2位の日本は38秒09でフィニッシュ!
大会2日目のロンドンも、ところどころ雲が広がる空模様。気温は27℃とやや高くなりましたが、湿度は46%と過ごしやすい天候となりました。この日、日本チームは、午前10時半ごろに会場入り。13時20分のレースに向けて、ウォーミングアップを始め、バトンパスしながらの流し、そして各パートでのバトン合わせを行い、スタジアムへと入っていきました。
日本は6レーンで、このほかの出場国は、1レーンにアイルランド、2レーンにフランス、3レーンは中国、4レーンにイギリスのチーム2、5レーンがイギリスのチーム1、そして日本のアウトとなる7レーンにはイギリスのU20が、8レーンにはスイスが、9レーンにオランダが入る番組編成。
このうち、中国は100mアジア記録保持者(9秒91)の蘇炳添を外してのオーダー。日本のライバルは、昨年のロンドン世界選手権を37秒47のナショナルレコードで制したメンバーが3人(Chijindu UJAH選手、Adam GEMILI選手、Nethaneel Mitchell-BLAKE選手)を擁するイギリスのチーム1と見込まれました。イギリスチーム1は、世界選手権で2走を務めたGEMILI選手を3走に配し、2走にZharnel HUGHES選手が入る走順でレースに臨んできていました。
1走の小池選手は、初めてとは思えない落ち着きぶりで、2走の飯塚選手にバトンパス。飯塚選手もベストに近い走りでレースを進めますが、5レーンに入ったイギリスのHUGHES選手が終盤で大猛追。ややリードを奪われた状態で桐生選手にバトンが渡りました。桐生選手は、先行するGEMILI選手を追う展開となりましたが差が詰まるには至らずに、バトンはアンカーのケンブリッジ選手へ。イギリスチーム1がそのまま逃げ切って先着、大会新記録の37秒61で優勝し、日本は38秒09で続きました。
3位にはオランダが38秒21(同国新記録)でフィニッシュ。フランスが38秒75で4位。中国は、2走までで遅れていた上に、3走の謝震業選手とアンカーの许周政選手 のバトンパスで両者が接触するアクシデントもあって39秒09・5位にとどまりました。
37秒台には届かなかったものの日本がマークした38秒09は、日本歴代7位にランクインする好記録。しかし、イギリスチーム1の37秒61は、日本がゴールデングランプリでマークした今季世界最高記録を更新し、同国歴代2位となるもの。イギリスの4選手の100mベスト記録は、UJAH選手が9秒96、HUGHES選手が9秒91、GEMILI選手が9秒97、Mitchell-BLAKE選手が9秒99と全員9秒台。この走力に加えて、イギリスの近年のバトンパスワークの安定感が明確に出た結果といえそうです。
◎小池選手、ダイヤモンドリーグ個人初レースは20秒56で8位
男子4×100mRの約2時間後に行われた男子200mには、大会直前に出場が決まった小池祐貴選手(ANA)が、他のリレーメンバーがスタンドのアスリート席から応援するなか、ダイヤモンドリーグ初レースに臨みました。1レーンに入った小池選手は、スタート直後から果敢に飛ばして、上位争いをしながらコーナーを抜けていきましたが、終盤で、アウトのレーンを走る選手たちにかわされ20秒56(+0.1)・8位でレースを終えました。
優勝したのはAkeem BLOOMFIELD選手(ジャマイカ)で、パーソナルベストの19秒81をマーク。2位・3位にはAlonso EDWARD選手(パナマ)が20秒01、エクアドルのAlex QUIÑÓNEZ選手が20秒13で続き、4×100mRで優勝したイギリスチーム1メンバーのMITCHELL-BLAKE選手が20秒21のシーズンベストで4位に、GEMILI選手が20秒30・5位でフィニッシュしています。
◇
ロンドンDL終了後は、ケンブリッジ選手は、25日にスウェーデンで開催される「Karlstad Grand Prix」に出場するため、23日朝、Karlstadに向けて出発しますが、飯塚、桐生、小池選手は、予定されていたすべての日程を終え、23日夜にヒースロー空港を出発する便で帰国の途に就きます。
【レース後コメント】
◎男子4×100mR:日本 2位 38秒09
・1走:小池祐貴選手(ANA)
(ほかのメンバーの)皆さんが、自分が緊張するだろうと気遣ってくれていたので、会場の雰囲気にのまれることもなく走ることができた。今回は(山縣亮太選手の)代走だったが、「いつでも走れる、どこの走順でも行けるぞ」という準備をしていきたいと思う。
・2走:飯塚翔太選手(ミズノ)
走りは出しきれたと思うが、バトンのほうにはまだ伸びしろがある。その課題をしっかりクリアしていけば、これからの期間で0.1(秒)くらいは伸びる。しっかりやっていきたい。この結果にメンバーの悔しい気持ちは一致していると思う。でも、「イギリスに負けて、38秒09で悔しがる」というのは、僕らも強くなった証拠。自分たちが満足できる結果を残していきたい。
・3走:桐生祥秀選手(日本生命)
僕のところの受け渡しは、これまでずっとやってきたメンバーだし、本番前の練習で1本合わせてしっかり行けたので、バトンに関しての不安はなかった。37秒台は、確実に出したかったし、東京(オリンピック)のことを考えると優勝しておきたかったという思いはある。今日のバトンは遠くもなく近くもなくという感じ。攻めようと思えばまだまだ行ける。37秒台を安定して出せるように、しっかりバトン練習をしていきたい。
・4走:ケンブリッジ飛鳥選手(Nike)
(3・4走の)バトンはよかったと思う。練習でもいいタイムが出ていたし、リオ(オリンピック)のときと比べても完成度は上がってきているとお互いに感じている。(バトンをもらった段階で)イギリスのほうが少し前にいたが、しっかり詰めてゴールしたいなという思いで走った。今回、37秒台を出せなかったことは残念だが、安定していいレースができていると思うので、あとは毎回37秒台を出せるようにしていきたい。アジア大会では日本記録を更新できるよう、みんなで頑張っていきたい。
◎男子200m:小池祐貴(ANA) 8位 20秒56(+0.1)
初めてだったので自分の走りに集中することを課題にしていた。(先に走った)リレーは、正直なところ最初は緊張していたのだが、周りのメンバーが「いつも通り気楽に」というスタイルでいたので、その雰囲気に乗ることができた。そのおかげで、200mもそのままの気持ちで臨むことができたように思う。
(序盤は上位争いに加わっていたが)1レーンはやはりきつかった。1レーンを走るのは本当に久々だったので、対応できなかったというのはある。しかし、今のままでも中の(レーンで)で一緒に走れば勝負できるなということも感じていて、自分は(トップ選手たちに)近いところまでは来ているんだなと思うことができた。
こっち(海外)の選手は、「レーンなんて関係ないよ」っていう走りをする。そういう意味では、日本人が持つ繊細なところからは、もう少し図太くならなきゃいけないなということを、この転戦を通じて感じた。
文・写真:児玉育美(日本陸連メディアチーム)
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