第29回ユニバーシアード競技大会の陸上競技が、8月23~28日、チャイニーズ・タイペイの台北スタジアムにおいて行われました。この大会は、国際大学スポーツ連盟(FISU)が主催する国際総合競技大会。今回、38名の代表が選出された陸上競技の日本選手団(うち2名が故障により出場せず)は、金メダル7、銀メダル2、銅メダル7、合計16のメダルを獲得し、過去最高数だった前回の光州大会(韓国)の12を上回るとともに、メダルテーブルにおける国別対抗でトップの成績を収めたほか、入賞14、2種目で3つ(女子やり投、女子4×100mR予選、女子4×100mR決勝)の日本学生新記録を樹立する活況を見せました。
大会には、男子4×100mRで銅メダルを獲得した多田修平選手(関西学院大)をはじめとして、ロンドン世界選手権日本代表選手や、日本陸連が認定するダイヤモンドアスリートも出場しています。これらの選手やメダリストを中心に、大会の結果をご紹介しましょう。
◎1・2日目:男女10000mで銅メダル、100mの多田選手は7位に
日本選手団メダリスト第1号となったのは、大会初日に行われた女子10000m決勝で3位に食い込んだ細田あい選手(日本体育大)。残り2周を切ったところで上位選手に突き放されるまで先頭集団で粘りの走りを見せ、33分27秒89で銅メダルを獲得しました。なお、このレースでは、棟久由貴選手(東京農業大)の好走も健闘にも注目が集まりました。上位選手の残り700mでのスパートにつくことができず4位(33分40秒45)でのフィニッシュとなりましたが、スタート直後から前に出て9000mまでの各1000mのラップをすべて奪う果敢な走りに、会場では大きな賞賛が寄せられていました。
大会2日目には、男子10000mで、リオデジャネイロ五輪男子3000mSC代表の塩尻和也選手(順天堂大)が、序盤から4選手による先頭集団につくレースを展開。中盤から終盤に向かうあたりで上位2選手のペースアップにつくことができず、優勝争いには加われなかったものの、最後までよく粘って29分20秒96で銅メダルを獲得しました。
また、1・2日目に行われた男子100mには、多田修平選手(関西学院大)が優勝を狙って出場しました。世界選手権から帰国して、中4日で台北へ移動していた多田選手は、初日の第1次予選(10秒33、-1.3)、第2次予選(10秒29、±0)をともに1着で通過しましたが、連戦の疲労が色濃く、2日目の準決勝は3着(10秒27、±0)での通過となり、「いつも通りの走りができなかった」と当人も振り返った決勝は、持ち味のスタートから中盤に向けての加速部分に精彩を欠き、10秒33(-0.9)で7位にとどまりました。
◎3日目:男子三段跳で山本選手が銅! 女子やり投の斉藤選手は学生新記録で銀メダル!
大会3日目は、フィールド種目でロンドン世界選手権にも出場した2選手が、大活躍を見せました。
男子三段跳では、今大会、日本チームの主将を務める山本凌雅選手(順天堂大)が、1回目を16m80(+1.7)のセカンドベスト記録で滑り出し、優勝が狙える位置で2回目以降の試技に挑む展開となりました。前半の競技を終えた段階で、右脚にケイレンが出たため、4回目をパス、5回目で動きをチェックして、最後の6回目で勝負を懸けることに。逆転を狙って挑んだ最終跳躍は17m付近に着地したものの惜しくもファウルに終わりましたが、ユニバーシアードのこの種目では54年ぶりとなる銅メダル獲得を達成。ロンドン入りする直前に左膝裏の外側の筋を痛めた影響で、思うような結果を出せなかった(予選落ち)世界選手権の悔しさを晴らしました。
女子やり投では、国際陸連からのインビテーションでロンドン世界選手権出場を果たしていた斉藤真理菜選手(国士大、予選敗退ながら60m86のセカンドベストをマーク)が、2回目に自己記録まで1cmと迫る61m06を投げ、“最終投てき者”としてベスト8での試技に臨みました。5回目で2位に後退したものの、6回目でさらに上回ってくる選手は現れず銀メダル以上が確定。こうして挑んだ最後の1投は大きく伸びて62m37を記録。逆転優勝には届きませんでしたが、国士大の先輩である海老原有希選手(スズキ浜松AC)が持つ日本記録63m80に次ぐ日本歴代2位、国外日本人最高記録(従来の最高は、海老原選手が2010年広州アジア大会でマークした61m56)、北口榛花選手(日本大)が昨年樹立した61m38を塗り替える学生新記録を樹立しての銀メダル獲得を果たしました。
なお、女子やり投にはダイヤモンドアスリートの北口選手も出場して決勝進出を果たしましたが、前半の3回でうまく記録を伸ばすことができず56m30にとどまり、10位で競技を終えました。
◎4・5日目:男子20km競歩、男女ハーフマラソンでメダルラッシュ!
大会4日目と5日目には、台北市役所から総統府に向かって伸びる仁愛路に設けたコースを利用して、午前に20km競歩とハーフマラソンが行われました。出場選手の成績によって国別の団体戦としてもメダルが争われるこれらの種目で、日本チームは10のメダルを獲得し、圧倒的な強さを見せました。
まず、4日目に行われた男子20km競歩には山西利和(京都大)、及川文隆(東洋大)、野田明宏(明治大)の3選手が出場。スローな入りとなった序盤から、10km以降で山西選手がペースを上げて独歩態勢に持ち込むと、そのまま1時間27秒30秒でフィニッシュし、今大会日本勢最初の金メダルを獲得しました。3位で続いた及川選手が1時間30分11秒で、7位の野田選手も1時間31分00秒でフィニッシュし、日本は団体での金メダルを獲得しました。
5日目の8月27日は、午前7時に女子ハーフマラソンが、その15分後に男子ハーフマラソンがスタートするタイムテーブル。女子ハーフマラソンは、初日の10000mで4位に入賞している棟久選手のほか、福居紗希選手(城西大)、古谷奏選手(松山大)、山口可純選手(大東大)、出水田眞紀選手(立大)の5名が出場。棟久選手が1時間13分48秒で優勝し、福居選手が1時間14分37秒で銅メダルを獲得。さらに古谷選手が4位(1時間15分10秒)、出水田選手が5位(1時間16分24秒)、山口選手が11位(1時間21分55秒)という結果で、団体で前回に続く金メダルを獲得しました。
前回の光州大会で、個人のワン・ツー・スリーと団体金メダルを獲得した男子ハーフマラソンには、鈴木健吾(神奈川大)、工藤有生(駒澤大)、栃木渡(順天堂大)、片西景(駒澤大)、鈴木塁人(青山学院大)の5選手が出場しました。工藤選手が序盤から先頭を引っ張る形で形成された先頭集団から、徐々に選手が落ちていく展開となったレースは、最終的に駒澤大の先輩・後輩である工藤選手と片西選手による一騎打ちに。何度も片西選手を振り切ろうとしていた工藤選手を、逆にラストでスパートをかけて突き放したのは後輩の片西選手で、1時間06分09秒で先着し、金メダルを獲得しました。工藤選手が14秒差(1時間06分23秒)で銀メダル、3位には1時間06分56秒で鈴木健選手が続き、日本勢は2大会連続での上位独占を達成。さらに栃木選手6位、鈴木累選手12位で競技を終え、団体での金メダルも獲得しました。
なお、大会4日目の夜のセッションに行われた男子200mでは、ダイヤモンドアスリートの山下潤選手(筑波大)が準決勝を突破し、向かい風3.8mという強い向かい風のなか行われた決勝を21秒16(8位)でフィニッシュしました。大会5日目の夜のセッションでは、男子110mHで金井大旺選手(法政大)と野本周成選手(早稲田大)が2人揃って決勝に進出し、向かい風0.3mのなか行われた決勝では、金井選手が4位(13秒69)、野本選手が5位(13秒71)にそれぞれ入賞。また、ダイヤモンドアスリートの江島雅紀選手(日本大)が出場した男子棒高跳決勝は、悪天候の影響で1時間40分近く開始が遅れるなど悪条件下での試技となりました。江島選手は勝負所となった5m50のクリアがかなわず5m40で競技を終了。3位と同記録ながら試技内容の差で4位の成績でした。
◎6日目:男子4×100mRで金メダル、女子も銅メダルを獲得!
大会最終日となる8月28日は、夜のセッションのみの開催。日本勢は、男女4×100mRの決勝に出場しました。
まず行われたのは女子4×100mR決勝。竹内爽香選手(慶應大)、中村水月選手(大阪成蹊大)、壹岐いちこ選手(立命館大)、前山美優選手(新潟医療福祉大)の走順で、前日に行われた予選を学生新記録となる44秒71で1着通過していた日本は、決勝で44秒56をマーク。予選で出した学生記録をさらに塗り替え、4着でフィニッシュする健闘を見せました。レース後、新記録を連発しての結果を喜ぶ一方で、メダルに届かなかった悔しさも感じている様子でしたが、その後、意外な展開が4人を待ち受けていました。なんと、決勝をトップでフィニッシュしたカザフスタンが3走のレーン侵害により失格に。順位が繰り上がった日本は、銅メダルを獲得することになったのです。この種目でのメダル獲得は、1967年東京大会(銀メダル)以来。実に50年ぶりとなる快挙でした。
男子4×100mRでは、日本チームが連覇に挑みました。オーダーは、1走から田中佑典選手(日本ウェルネス大)、多田選手、北川翔選手(順天堂大)、山下選手の順。4組1着+4の条件で前日に行われた予選は、チャイニーズ・タイペイに先着を許して2着(39秒26)でフィニッシュ。プラス通過のチームでは最上位、トータルでは着順で通過したアメリカ、チャイニーズ・タイペイに続く3番目の記録で決勝に駒を進めていました。同じオーダーで臨んだ決勝では、1走の田中選手からトップ争いする走りで多田選手にバトンをつなぐと、ここで完全にリードを奪って3走の北川選手へ。そのままトップでバトンを受けたアンカーの山下選手は、チャイニーズ・タイペイをかわしたアメリカの猛追から逃げ切って、38秒65でフィニッシュ。2大会連続の金メダル獲得を達成するとともに、日本勢としてこの大会最後のレースを金メダルで終えました。
【メダリストコメント】
※記載は開催日程順。ハーフマラソン、競歩の国別団体戦を除く
◎女子10000m:
3位 33分27秒89 細田あい(日本体育大)
「メダルを獲得できたのは嬉しいが、私のほうが年上なのに後輩の棟久さんに引っ張ってもらってばかりになってしまった。最後だけ勝ってしまって、上級生として情けないレースだったなと思う。ラスト700mでカザフスタンとインドの選手がスパートしたときは、“もう、無理”という心境。切り替えができず、追いつくことができなかった。」
◎男子10000m:
3位 29分20分96 塩尻和也(順天堂大)
「レースは、ある程度の速いペースで進むのではないかと考えていて、ペースが落ちたら自分で行こうと思っていた。途中まではよかったのだが、中盤から終盤にかけて大きな飛び出しがあったときに、つききることができず、イメージしていたよりも早く離されてしまった。ただ、そこから追いつくことはできなかったものの、ある程度、粘ることができたのは、今日の収穫だったと思う。」
◎女子やり投:
2位 62m37 斉藤真理菜(国士舘大)=日本学生新記録
「(1位の選手を)抜けなかったのは悔しかったが、ここで自己ベストを出すこととメダルを獲得することが自分の目標だったので、それを達成できたのはすごく嬉しい。(自己記録に1cmに迫る)2回目の61m06は、“行った”という感触はなかったけれど、軽く飛んでいった。記録が61m06だったので、“2回目にしちゃ上出来。ベストが出せる”と思った。
後半に入ってからは、(岡田雅次)先生に言われたことを落ち着いて考えるよう心がけたが、いざ試技に入ると、どうしても肩に力が入り、フィニッシュに縮こまってしまうような投げになってしまった。最終投てきは、“もうやるしかない。リラックス、リラックス、楽しくやろう”と思って投げた。」
◎男子三段跳
3位 16m80(+1.7) 山本凌雅(順天堂大)
「1回目の16m80は、感覚はよくなかったが,結果的にうまく行ったという跳躍だった。1本目で上位に食い込める記録を残すことにポイントを置いていたので、そこをクリアできてよかった。3回目は踏み切ったところで、跳躍ができる踏み切りじゃないと感じたので跳ぶのをやめた。その後、右脚がつったので、4回目をパスして、6回目に懸けようと決め、5回目は、助走や跳躍を確認するつもりで跳んだ。6回目に入ると、ほかの選手たちが記録を伸ばしてきたことで楽しくなってきて、6本目は何も考えず思い切って跳んだ。ファウルだとは自分ではわからず、“キタ! キタッしょ!”という感触だった。実測はわからないが、周りの雰囲気では(17mは)超えていたように思う。
(予選落ちした)世界選手権の疲れはなく、というより“仕事”ができていなかったので、むしろ(この大会では)“やってやろう”という気持ちで臨んでいた。これまで日本代表になった試合で、よい結果が出せていなかったが、今回、やっと自分の力に近いものを出せたかなと思う。」
◎男子20mW
優勝 1時間27分30秒 山西利和(京都大)
「世界陸上の日程の関係で出場選手が少なかったし、世界陸上に出た選手は力的に上でも疲れていた。また、人数が少なくなったことで警告とかが出やすくて、自分のように歩型が安定している選手には有利なレースになった。勝負のレースなのでタイムは気にせず、ラスト5kmで(勝負しよう)と思っていたが、思っていた以上にスローペースでプランとは異なる展開となった。(10~12kmで)ペースを上げたのは、後続がラストでペースを上げてくると怖い。団体のためには自分がタイムを稼いだほうがいいと考えたから。今回、初めて団体戦のためにフルメンバーを出していただいているので、初回でどういう結果を取るかというのは大事だった。金メダルという結果を出せたのは収穫かなと思う。」
3位 1時間30分11秒 及川文隆(東洋大)
「後半勝負になると考えていたが、10km過ぎに2枚目(の警告)がついてしまってからはプランを変更せざるを得なくなってしまった。自分が失格にならなければ団体戦の金メダルは取れると思っていたので、順位は意識せず、とにかくゴールすることだけを考えて歩いた。(失格しないか)毎周、警告板を見るのがドキドキで、生きた心地がしなかった。前の選手が落ちてきてくれて結果的に3位となったが、レース途中は4位かと思っていた。」
◎男子ハーフマラソン:
優勝 1時間06分09秒 片西 景(駒澤大)
「(相手が同じ駒澤大の)先輩だったので、競っていて負けたくないという思いはあった。スローな展開になるとはスタッフからも言われていた。チームミーティングでも、序盤は集団でしっかり余裕を持って走り、後半勝負という話をしていた。今回、ユニバーシアードに出たことで、世界大会では、(他国の)選手と戦うということだけでなく、泊まるところとか食事とか普段と環境が違ってくることが大変だと実感した。それに対応できたことは、今後、陸上をしていくうえでいい経験になったと思う。」
2位 1時間06分23秒 工藤有生(駒澤大)
「レースプランでは、ラスト1周(レースは3周の周回コースで実施)で独走するつもりだった。
ずっと調子を落としていて、練習もうまくできていなかったので、スローな展開になったのはよかったのだが、練習不足がラストに出た感じ。片西は練習ができていたので来るかなと思っていたが、ラストで差されてしまったことは悔しい。団体で金メダルを取ることが目標だったので、それに貢献できてよかった。前回も出場したが、上位を日本選手が独占したなかで自分は5番で悔しさの残るレースだった。今回は、ラストはだめだったが、しっかりレースをつくることはできたと思う。」
3位 1時間06分56秒 鈴木健吾(神奈川大)
「右の股関節を痛めて、一時は棄権も考える状態だったが、やれることをしっかりやって、強い気持ちで臨み、なんとかチームに貢献(団体金メダル)できてよかった。脚の状態も悪かったので、とりあえずついていくことだけを考えて走った。一番きつかったのは、集団がばらけたとき。(4位の)ウガンダの選手とラスト勝負になったら厳しいなと思っていたので、向こうが(勝負を)諦めてくれてよかった。
(故障は)7月くらいから、かばいながらやっていて長引かせてしまった。完全に走れなかったわけではないが、それが悪いほうへ向かってしまったように思う。そういう意味では気持ちの部分で焦りがあったのかもしれない。臨む過程としてもレースとしても、心も身体もまだまだ世界で戦うには足りないなと痛感した。」
◎女子ハーフマラソン:
優勝 1時間13分48秒 棟久由貴(東京農業大)
「暑かったのと、団体での金メダルを考えていたので、日本人が引っ張っていくレースを想定していた。本当は最初から前で引っ張るつもりだったが、位置どりに失敗してしまったので、焦らずに(先頭に)出られるタイミングを待ち、2周目でトップに立ってからは、(1km)3分30秒の設定に沿って引っ張った。トルコ選手との並走となったとき、ロングスパートをかけないとついてくると思って18kmで仕掛けたが、(相手が)ついてこなかったのでここで逃げるしかないと思って逃げた。チームに貢献できる走りができてよかったし、10000mが4位だったので、個人でも金メダルを取ることができて、とても嬉しい。」
3位 1時間14分37秒 福居紗希(城西大)
「目標としていた団体で金メダルを取れたのでよかった。今回は、スタッフからも、“集団で走ろう、(前方を)日本で固めよう”言われていたので、そういうレースを心がけた。きつかったのは、15kmくらいのところ。暑さも厳しかった。(個人でも)銅メダルを取ることができたが、前半を引っ張ってもらってのレース。前回走った松江(レディースハーフマラソン)でも人の力を借りてのレースとなったので、自分で行けるようにしないと、世界で戦っていくことはできないなと実感した。」
◎女子4×100mR:
3位 44秒56 日本(竹内爽香、中村水月、壹岐いちこ、前山美優)=日本学生新記録
・1走:竹内爽香選手(慶應大)
「(決勝のあと)いったん4位という結果を受け入れていたので、いきなり3位(に繰り上がった)と言われたときは、“何が、何が?”とテンパってしまった。レースでは、2、3、4走が速いので、私はもう思いきり走るだけで、あとは全部託そうと思って、安心して走ることができた。今回、初めて国際試合の個人種目にも出たことで海外選手との差を知ることができた。個々の走力を上げつつ、日本が持ついいところを伸ばして、戦えるようになりたい。」
・2走:中村水月選手(大阪成蹊大)
「予選のときに、2走・3走のバトンパスが間延びして、ちょっと遠くなってしまったので、とりあえず死ぬ気で渡しにいこうと思って走った。スタートしたところで接触があったために、最初の30mくらいがうまく(加速に)乗れなかったが、そこからは自分の走りができたと思う。今まであまり海外の試合で結果を残せたことがなかったが、今回のユニバーシアードで、やっと“頑張れたな”と思うことができた一方で、やらなきゃいけないことも見えてきた。これを機に、世界を目指してコツコツと頑張りたい。」
・3走:壹岐いちこ選手(立命館大)
「3走を走るのは久しぶりだったが、絶対に水月さんが来てくれると思って、思いきり出た。また、日本が内側のレーンだったので、外のレーンのチームとの差をしっかり詰めていこうと走り、あとは、美優さんに託した。自分の走りはできたと思う。私は2回生なので、2年後にもまたユニバーシアードがある。今回、国際大会で走ったのは初めてで、課題もいっぱい見つかったので、これから練習や試合でも世界を意識して頑張りたい。」
・4走:前山美優選手(新潟医療福祉大)
「普段は2走で、1走がスタートしたらすぐに構えて走り、あとは見届ける感じなので、(アンカーの今回は)いつもとは違うリレーの感覚だったが、みんなの必死の走りを見て、“私も(頑張ろう)”と、すごく背中を押された。実際のレースのなかでは4着で、“あと1人”というところで終わったので、アンカーとしての役目を果たせなかったことが正直心残りだったけれど、結果として3位に繰り上がったのは、そのときに4位に入っていたからこそ。よかったと思った。日本の女子はなかなか世界で戦えないのが現状だが、男子があれだけ活躍している。私たちも世界で戦えるように頑張りたい。」
◎男子4×100mR:
優勝 38秒65 日本(田中佑典、多田修平、北川翔、山下潤)
・1走:田中佑典(日本ウェルネス大)
「個人が納得いかない結果だったので、金を取れたのはすごく嬉しい。いいレースができたと思う。けっこう(アウトのレーンにいた)メキシコとの差が縮まったので、あとはバトンさえつなげれば、うまくいけるんじゃないかと思った。多田さんがちゃんとつないでくれたのでよかった。もう、嬉しいという気持ちしかない。」
・2走:多田修平(関西学院大)
「自分の調子自体はあまりよくなかったので、優勝できて本当に嬉しい。バトンは完璧だった。バトンワークが優勝につながったと思う。不安もあったが、このチームなら金メダルは狙えると思っていた。メダルを取れるということは確信したというか、予選を終わった時点で“行けるな”というのはあった。金メダルということは世界のテッペン。獲得できて本当に嬉しい。」
・3走:北川 翔(順天堂大)
「予選と比べて決勝は、1~2走の流れがすごくよく、いい位置で来ていると思ったので、どれだけその位置をキープして、山下につなげられるかが自分の仕事だと思っていた。(外側のレーンの選手より先行していて)前に誰も見えなかったので、とりあえずがむしゃらに走った。フィニッシュで勝ったことはモニターを見ていたのですぐにわかった。もう最高の気持ち。頭が真っ白になって、ただ嬉しさだけがあったみたいな感じだった。」
・4走:山下 潤(筑波大)
「1位でバトンを持って来てくれるのがわかっていたので、何も考えずに本能に任せて逃げた。(アメリカの)バレルが来ているのはわかったのでヒヤリとしたが、力まずに走ることができたし、ちゃんとフィニッシュして(勝ったと確信して)から手を上げた。(昨年の)世界ジュニアでアメリカに負けて2位だったので、これで借りを返せたという気持ち。」
(文:児玉育美/JAAFメディアチーム)
(c)Takashi OKUI
■第29回ユニバーシアード(台北) フォト
・男子ハーフマラソン1,2,3!
・男子20kmW 金メダル!銅メダル!
・女子やり投 銀メダル!
・女子ハーフマラソン ダブルメダル獲得!
・男子棒高跳 ダイヤモンドアスリート
大会には、男子4×100mRで銅メダルを獲得した多田修平選手(関西学院大)をはじめとして、ロンドン世界選手権日本代表選手や、日本陸連が認定するダイヤモンドアスリートも出場しています。これらの選手やメダリストを中心に、大会の結果をご紹介しましょう。
◎1・2日目:男女10000mで銅メダル、100mの多田選手は7位に
日本選手団メダリスト第1号となったのは、大会初日に行われた女子10000m決勝で3位に食い込んだ細田あい選手(日本体育大)。残り2周を切ったところで上位選手に突き放されるまで先頭集団で粘りの走りを見せ、33分27秒89で銅メダルを獲得しました。なお、このレースでは、棟久由貴選手(東京農業大)の好走も健闘にも注目が集まりました。上位選手の残り700mでのスパートにつくことができず4位(33分40秒45)でのフィニッシュとなりましたが、スタート直後から前に出て9000mまでの各1000mのラップをすべて奪う果敢な走りに、会場では大きな賞賛が寄せられていました。
大会2日目には、男子10000mで、リオデジャネイロ五輪男子3000mSC代表の塩尻和也選手(順天堂大)が、序盤から4選手による先頭集団につくレースを展開。中盤から終盤に向かうあたりで上位2選手のペースアップにつくことができず、優勝争いには加われなかったものの、最後までよく粘って29分20秒96で銅メダルを獲得しました。
また、1・2日目に行われた男子100mには、多田修平選手(関西学院大)が優勝を狙って出場しました。世界選手権から帰国して、中4日で台北へ移動していた多田選手は、初日の第1次予選(10秒33、-1.3)、第2次予選(10秒29、±0)をともに1着で通過しましたが、連戦の疲労が色濃く、2日目の準決勝は3着(10秒27、±0)での通過となり、「いつも通りの走りができなかった」と当人も振り返った決勝は、持ち味のスタートから中盤に向けての加速部分に精彩を欠き、10秒33(-0.9)で7位にとどまりました。
◎3日目:男子三段跳で山本選手が銅! 女子やり投の斉藤選手は学生新記録で銀メダル!
大会3日目は、フィールド種目でロンドン世界選手権にも出場した2選手が、大活躍を見せました。
男子三段跳では、今大会、日本チームの主将を務める山本凌雅選手(順天堂大)が、1回目を16m80(+1.7)のセカンドベスト記録で滑り出し、優勝が狙える位置で2回目以降の試技に挑む展開となりました。前半の競技を終えた段階で、右脚にケイレンが出たため、4回目をパス、5回目で動きをチェックして、最後の6回目で勝負を懸けることに。逆転を狙って挑んだ最終跳躍は17m付近に着地したものの惜しくもファウルに終わりましたが、ユニバーシアードのこの種目では54年ぶりとなる銅メダル獲得を達成。ロンドン入りする直前に左膝裏の外側の筋を痛めた影響で、思うような結果を出せなかった(予選落ち)世界選手権の悔しさを晴らしました。
女子やり投では、国際陸連からのインビテーションでロンドン世界選手権出場を果たしていた斉藤真理菜選手(国士大、予選敗退ながら60m86のセカンドベストをマーク)が、2回目に自己記録まで1cmと迫る61m06を投げ、“最終投てき者”としてベスト8での試技に臨みました。5回目で2位に後退したものの、6回目でさらに上回ってくる選手は現れず銀メダル以上が確定。こうして挑んだ最後の1投は大きく伸びて62m37を記録。逆転優勝には届きませんでしたが、国士大の先輩である海老原有希選手(スズキ浜松AC)が持つ日本記録63m80に次ぐ日本歴代2位、国外日本人最高記録(従来の最高は、海老原選手が2010年広州アジア大会でマークした61m56)、北口榛花選手(日本大)が昨年樹立した61m38を塗り替える学生新記録を樹立しての銀メダル獲得を果たしました。
なお、女子やり投にはダイヤモンドアスリートの北口選手も出場して決勝進出を果たしましたが、前半の3回でうまく記録を伸ばすことができず56m30にとどまり、10位で競技を終えました。
◎4・5日目:男子20km競歩、男女ハーフマラソンでメダルラッシュ!
大会4日目と5日目には、台北市役所から総統府に向かって伸びる仁愛路に設けたコースを利用して、午前に20km競歩とハーフマラソンが行われました。出場選手の成績によって国別の団体戦としてもメダルが争われるこれらの種目で、日本チームは10のメダルを獲得し、圧倒的な強さを見せました。
まず、4日目に行われた男子20km競歩には山西利和(京都大)、及川文隆(東洋大)、野田明宏(明治大)の3選手が出場。スローな入りとなった序盤から、10km以降で山西選手がペースを上げて独歩態勢に持ち込むと、そのまま1時間27秒30秒でフィニッシュし、今大会日本勢最初の金メダルを獲得しました。3位で続いた及川選手が1時間30分11秒で、7位の野田選手も1時間31分00秒でフィニッシュし、日本は団体での金メダルを獲得しました。
5日目の8月27日は、午前7時に女子ハーフマラソンが、その15分後に男子ハーフマラソンがスタートするタイムテーブル。女子ハーフマラソンは、初日の10000mで4位に入賞している棟久選手のほか、福居紗希選手(城西大)、古谷奏選手(松山大)、山口可純選手(大東大)、出水田眞紀選手(立大)の5名が出場。棟久選手が1時間13分48秒で優勝し、福居選手が1時間14分37秒で銅メダルを獲得。さらに古谷選手が4位(1時間15分10秒)、出水田選手が5位(1時間16分24秒)、山口選手が11位(1時間21分55秒)という結果で、団体で前回に続く金メダルを獲得しました。
前回の光州大会で、個人のワン・ツー・スリーと団体金メダルを獲得した男子ハーフマラソンには、鈴木健吾(神奈川大)、工藤有生(駒澤大)、栃木渡(順天堂大)、片西景(駒澤大)、鈴木塁人(青山学院大)の5選手が出場しました。工藤選手が序盤から先頭を引っ張る形で形成された先頭集団から、徐々に選手が落ちていく展開となったレースは、最終的に駒澤大の先輩・後輩である工藤選手と片西選手による一騎打ちに。何度も片西選手を振り切ろうとしていた工藤選手を、逆にラストでスパートをかけて突き放したのは後輩の片西選手で、1時間06分09秒で先着し、金メダルを獲得しました。工藤選手が14秒差(1時間06分23秒)で銀メダル、3位には1時間06分56秒で鈴木健選手が続き、日本勢は2大会連続での上位独占を達成。さらに栃木選手6位、鈴木累選手12位で競技を終え、団体での金メダルも獲得しました。
なお、大会4日目の夜のセッションに行われた男子200mでは、ダイヤモンドアスリートの山下潤選手(筑波大)が準決勝を突破し、向かい風3.8mという強い向かい風のなか行われた決勝を21秒16(8位)でフィニッシュしました。大会5日目の夜のセッションでは、男子110mHで金井大旺選手(法政大)と野本周成選手(早稲田大)が2人揃って決勝に進出し、向かい風0.3mのなか行われた決勝では、金井選手が4位(13秒69)、野本選手が5位(13秒71)にそれぞれ入賞。また、ダイヤモンドアスリートの江島雅紀選手(日本大)が出場した男子棒高跳決勝は、悪天候の影響で1時間40分近く開始が遅れるなど悪条件下での試技となりました。江島選手は勝負所となった5m50のクリアがかなわず5m40で競技を終了。3位と同記録ながら試技内容の差で4位の成績でした。
◎6日目:男子4×100mRで金メダル、女子も銅メダルを獲得!
大会最終日となる8月28日は、夜のセッションのみの開催。日本勢は、男女4×100mRの決勝に出場しました。
まず行われたのは女子4×100mR決勝。竹内爽香選手(慶應大)、中村水月選手(大阪成蹊大)、壹岐いちこ選手(立命館大)、前山美優選手(新潟医療福祉大)の走順で、前日に行われた予選を学生新記録となる44秒71で1着通過していた日本は、決勝で44秒56をマーク。予選で出した学生記録をさらに塗り替え、4着でフィニッシュする健闘を見せました。レース後、新記録を連発しての結果を喜ぶ一方で、メダルに届かなかった悔しさも感じている様子でしたが、その後、意外な展開が4人を待ち受けていました。なんと、決勝をトップでフィニッシュしたカザフスタンが3走のレーン侵害により失格に。順位が繰り上がった日本は、銅メダルを獲得することになったのです。この種目でのメダル獲得は、1967年東京大会(銀メダル)以来。実に50年ぶりとなる快挙でした。
男子4×100mRでは、日本チームが連覇に挑みました。オーダーは、1走から田中佑典選手(日本ウェルネス大)、多田選手、北川翔選手(順天堂大)、山下選手の順。4組1着+4の条件で前日に行われた予選は、チャイニーズ・タイペイに先着を許して2着(39秒26)でフィニッシュ。プラス通過のチームでは最上位、トータルでは着順で通過したアメリカ、チャイニーズ・タイペイに続く3番目の記録で決勝に駒を進めていました。同じオーダーで臨んだ決勝では、1走の田中選手からトップ争いする走りで多田選手にバトンをつなぐと、ここで完全にリードを奪って3走の北川選手へ。そのままトップでバトンを受けたアンカーの山下選手は、チャイニーズ・タイペイをかわしたアメリカの猛追から逃げ切って、38秒65でフィニッシュ。2大会連続の金メダル獲得を達成するとともに、日本勢としてこの大会最後のレースを金メダルで終えました。
【メダリストコメント】
※記載は開催日程順。ハーフマラソン、競歩の国別団体戦を除く
◎女子10000m:
3位 33分27秒89 細田あい(日本体育大)
「メダルを獲得できたのは嬉しいが、私のほうが年上なのに後輩の棟久さんに引っ張ってもらってばかりになってしまった。最後だけ勝ってしまって、上級生として情けないレースだったなと思う。ラスト700mでカザフスタンとインドの選手がスパートしたときは、“もう、無理”という心境。切り替えができず、追いつくことができなかった。」
◎男子10000m:
3位 29分20分96 塩尻和也(順天堂大)
「レースは、ある程度の速いペースで進むのではないかと考えていて、ペースが落ちたら自分で行こうと思っていた。途中まではよかったのだが、中盤から終盤にかけて大きな飛び出しがあったときに、つききることができず、イメージしていたよりも早く離されてしまった。ただ、そこから追いつくことはできなかったものの、ある程度、粘ることができたのは、今日の収穫だったと思う。」
◎女子やり投:
2位 62m37 斉藤真理菜(国士舘大)=日本学生新記録
「(1位の選手を)抜けなかったのは悔しかったが、ここで自己ベストを出すこととメダルを獲得することが自分の目標だったので、それを達成できたのはすごく嬉しい。(自己記録に1cmに迫る)2回目の61m06は、“行った”という感触はなかったけれど、軽く飛んでいった。記録が61m06だったので、“2回目にしちゃ上出来。ベストが出せる”と思った。
後半に入ってからは、(岡田雅次)先生に言われたことを落ち着いて考えるよう心がけたが、いざ試技に入ると、どうしても肩に力が入り、フィニッシュに縮こまってしまうような投げになってしまった。最終投てきは、“もうやるしかない。リラックス、リラックス、楽しくやろう”と思って投げた。」
◎男子三段跳
3位 16m80(+1.7) 山本凌雅(順天堂大)
「1回目の16m80は、感覚はよくなかったが,結果的にうまく行ったという跳躍だった。1本目で上位に食い込める記録を残すことにポイントを置いていたので、そこをクリアできてよかった。3回目は踏み切ったところで、跳躍ができる踏み切りじゃないと感じたので跳ぶのをやめた。その後、右脚がつったので、4回目をパスして、6回目に懸けようと決め、5回目は、助走や跳躍を確認するつもりで跳んだ。6回目に入ると、ほかの選手たちが記録を伸ばしてきたことで楽しくなってきて、6本目は何も考えず思い切って跳んだ。ファウルだとは自分ではわからず、“キタ! キタッしょ!”という感触だった。実測はわからないが、周りの雰囲気では(17mは)超えていたように思う。
(予選落ちした)世界選手権の疲れはなく、というより“仕事”ができていなかったので、むしろ(この大会では)“やってやろう”という気持ちで臨んでいた。これまで日本代表になった試合で、よい結果が出せていなかったが、今回、やっと自分の力に近いものを出せたかなと思う。」
◎男子20mW
優勝 1時間27分30秒 山西利和(京都大)
「世界陸上の日程の関係で出場選手が少なかったし、世界陸上に出た選手は力的に上でも疲れていた。また、人数が少なくなったことで警告とかが出やすくて、自分のように歩型が安定している選手には有利なレースになった。勝負のレースなのでタイムは気にせず、ラスト5kmで(勝負しよう)と思っていたが、思っていた以上にスローペースでプランとは異なる展開となった。(10~12kmで)ペースを上げたのは、後続がラストでペースを上げてくると怖い。団体のためには自分がタイムを稼いだほうがいいと考えたから。今回、初めて団体戦のためにフルメンバーを出していただいているので、初回でどういう結果を取るかというのは大事だった。金メダルという結果を出せたのは収穫かなと思う。」
3位 1時間30分11秒 及川文隆(東洋大)
「後半勝負になると考えていたが、10km過ぎに2枚目(の警告)がついてしまってからはプランを変更せざるを得なくなってしまった。自分が失格にならなければ団体戦の金メダルは取れると思っていたので、順位は意識せず、とにかくゴールすることだけを考えて歩いた。(失格しないか)毎周、警告板を見るのがドキドキで、生きた心地がしなかった。前の選手が落ちてきてくれて結果的に3位となったが、レース途中は4位かと思っていた。」
◎男子ハーフマラソン:
優勝 1時間06分09秒 片西 景(駒澤大)
「(相手が同じ駒澤大の)先輩だったので、競っていて負けたくないという思いはあった。スローな展開になるとはスタッフからも言われていた。チームミーティングでも、序盤は集団でしっかり余裕を持って走り、後半勝負という話をしていた。今回、ユニバーシアードに出たことで、世界大会では、(他国の)選手と戦うということだけでなく、泊まるところとか食事とか普段と環境が違ってくることが大変だと実感した。それに対応できたことは、今後、陸上をしていくうえでいい経験になったと思う。」
2位 1時間06分23秒 工藤有生(駒澤大)
「レースプランでは、ラスト1周(レースは3周の周回コースで実施)で独走するつもりだった。
ずっと調子を落としていて、練習もうまくできていなかったので、スローな展開になったのはよかったのだが、練習不足がラストに出た感じ。片西は練習ができていたので来るかなと思っていたが、ラストで差されてしまったことは悔しい。団体で金メダルを取ることが目標だったので、それに貢献できてよかった。前回も出場したが、上位を日本選手が独占したなかで自分は5番で悔しさの残るレースだった。今回は、ラストはだめだったが、しっかりレースをつくることはできたと思う。」
3位 1時間06分56秒 鈴木健吾(神奈川大)
「右の股関節を痛めて、一時は棄権も考える状態だったが、やれることをしっかりやって、強い気持ちで臨み、なんとかチームに貢献(団体金メダル)できてよかった。脚の状態も悪かったので、とりあえずついていくことだけを考えて走った。一番きつかったのは、集団がばらけたとき。(4位の)ウガンダの選手とラスト勝負になったら厳しいなと思っていたので、向こうが(勝負を)諦めてくれてよかった。
(故障は)7月くらいから、かばいながらやっていて長引かせてしまった。完全に走れなかったわけではないが、それが悪いほうへ向かってしまったように思う。そういう意味では気持ちの部分で焦りがあったのかもしれない。臨む過程としてもレースとしても、心も身体もまだまだ世界で戦うには足りないなと痛感した。」
◎女子ハーフマラソン:
優勝 1時間13分48秒 棟久由貴(東京農業大)
「暑かったのと、団体での金メダルを考えていたので、日本人が引っ張っていくレースを想定していた。本当は最初から前で引っ張るつもりだったが、位置どりに失敗してしまったので、焦らずに(先頭に)出られるタイミングを待ち、2周目でトップに立ってからは、(1km)3分30秒の設定に沿って引っ張った。トルコ選手との並走となったとき、ロングスパートをかけないとついてくると思って18kmで仕掛けたが、(相手が)ついてこなかったのでここで逃げるしかないと思って逃げた。チームに貢献できる走りができてよかったし、10000mが4位だったので、個人でも金メダルを取ることができて、とても嬉しい。」
3位 1時間14分37秒 福居紗希(城西大)
「目標としていた団体で金メダルを取れたのでよかった。今回は、スタッフからも、“集団で走ろう、(前方を)日本で固めよう”言われていたので、そういうレースを心がけた。きつかったのは、15kmくらいのところ。暑さも厳しかった。(個人でも)銅メダルを取ることができたが、前半を引っ張ってもらってのレース。前回走った松江(レディースハーフマラソン)でも人の力を借りてのレースとなったので、自分で行けるようにしないと、世界で戦っていくことはできないなと実感した。」
◎女子4×100mR:
3位 44秒56 日本(竹内爽香、中村水月、壹岐いちこ、前山美優)=日本学生新記録
・1走:竹内爽香選手(慶應大)
「(決勝のあと)いったん4位という結果を受け入れていたので、いきなり3位(に繰り上がった)と言われたときは、“何が、何が?”とテンパってしまった。レースでは、2、3、4走が速いので、私はもう思いきり走るだけで、あとは全部託そうと思って、安心して走ることができた。今回、初めて国際試合の個人種目にも出たことで海外選手との差を知ることができた。個々の走力を上げつつ、日本が持ついいところを伸ばして、戦えるようになりたい。」
・2走:中村水月選手(大阪成蹊大)
「予選のときに、2走・3走のバトンパスが間延びして、ちょっと遠くなってしまったので、とりあえず死ぬ気で渡しにいこうと思って走った。スタートしたところで接触があったために、最初の30mくらいがうまく(加速に)乗れなかったが、そこからは自分の走りができたと思う。今まであまり海外の試合で結果を残せたことがなかったが、今回のユニバーシアードで、やっと“頑張れたな”と思うことができた一方で、やらなきゃいけないことも見えてきた。これを機に、世界を目指してコツコツと頑張りたい。」
・3走:壹岐いちこ選手(立命館大)
「3走を走るのは久しぶりだったが、絶対に水月さんが来てくれると思って、思いきり出た。また、日本が内側のレーンだったので、外のレーンのチームとの差をしっかり詰めていこうと走り、あとは、美優さんに託した。自分の走りはできたと思う。私は2回生なので、2年後にもまたユニバーシアードがある。今回、国際大会で走ったのは初めてで、課題もいっぱい見つかったので、これから練習や試合でも世界を意識して頑張りたい。」
・4走:前山美優選手(新潟医療福祉大)
「普段は2走で、1走がスタートしたらすぐに構えて走り、あとは見届ける感じなので、(アンカーの今回は)いつもとは違うリレーの感覚だったが、みんなの必死の走りを見て、“私も(頑張ろう)”と、すごく背中を押された。実際のレースのなかでは4着で、“あと1人”というところで終わったので、アンカーとしての役目を果たせなかったことが正直心残りだったけれど、結果として3位に繰り上がったのは、そのときに4位に入っていたからこそ。よかったと思った。日本の女子はなかなか世界で戦えないのが現状だが、男子があれだけ活躍している。私たちも世界で戦えるように頑張りたい。」
◎男子4×100mR:
優勝 38秒65 日本(田中佑典、多田修平、北川翔、山下潤)
・1走:田中佑典(日本ウェルネス大)
「個人が納得いかない結果だったので、金を取れたのはすごく嬉しい。いいレースができたと思う。けっこう(アウトのレーンにいた)メキシコとの差が縮まったので、あとはバトンさえつなげれば、うまくいけるんじゃないかと思った。多田さんがちゃんとつないでくれたのでよかった。もう、嬉しいという気持ちしかない。」
・2走:多田修平(関西学院大)
「自分の調子自体はあまりよくなかったので、優勝できて本当に嬉しい。バトンは完璧だった。バトンワークが優勝につながったと思う。不安もあったが、このチームなら金メダルは狙えると思っていた。メダルを取れるということは確信したというか、予選を終わった時点で“行けるな”というのはあった。金メダルということは世界のテッペン。獲得できて本当に嬉しい。」
・3走:北川 翔(順天堂大)
「予選と比べて決勝は、1~2走の流れがすごくよく、いい位置で来ていると思ったので、どれだけその位置をキープして、山下につなげられるかが自分の仕事だと思っていた。(外側のレーンの選手より先行していて)前に誰も見えなかったので、とりあえずがむしゃらに走った。フィニッシュで勝ったことはモニターを見ていたのですぐにわかった。もう最高の気持ち。頭が真っ白になって、ただ嬉しさだけがあったみたいな感じだった。」
・4走:山下 潤(筑波大)
「1位でバトンを持って来てくれるのがわかっていたので、何も考えずに本能に任せて逃げた。(アメリカの)バレルが来ているのはわかったのでヒヤリとしたが、力まずに走ることができたし、ちゃんとフィニッシュして(勝ったと確信して)から手を上げた。(昨年の)世界ジュニアでアメリカに負けて2位だったので、これで借りを返せたという気持ち。」
(文:児玉育美/JAAFメディアチーム)
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