2025.04.01(火)
【東京2025世界陸上】マラソン日本代表記者会見レポート/吉田・近藤・安藤・小林、日本代表への意気込みを語る

日本陸連は、3月26日に開催された理事会において、東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)のマラソン日本代表選手を決定、5名の選手を発表しました。翌3月27日に、代表選手を招いての記者会見を行いました。
東京2025世界陸上マラソン日本代表選手会見は、3月27日に開催された「ジャパンマラソンチャンピオンシップ(JMC)シリーズ」の「シリーズⅣアワード」の第2部として行われました。会見に先立ち、日本陸連強化委員会の高岡寿成シニアディレクターが登壇して、3月26日に発表された5選手を改めて発表するとともに、「近年、日本のマラソンは非常にレベルが上がっている。選ばれた選手は、日本歴代順位が大きく入れ替わる、そんな厳しい選考を勝ち抜いた最強のメンバー。多くのファンの応援を力に、自分の持ち味を出すレースで世界に挑戦してほしいし、多くの夢を与える選手であってほしい」と、代表選手たちにエールを送るとともに活躍を期待しました。
【東京2025世界陸上マラソン日本代表選手】※3月26日発表分
<男子>
・吉田祐也(GMOインターネットGrp)・近藤亮太(三菱重工)
<女子>
・安藤友香(しまむら)・小林香菜(大塚製薬)
・佐藤早也伽(積水化学)
※残る男子1名については、基準ワールドランキングによる参加資格が確定したのち(5月7日以降)、第2次日本代表選手として発表。
その後、記者会見は男子・女子の順で行われ、都合により欠席した佐藤選手を除く4選手が登壇しました。会見では、まず、司会を務めたTBS石井大裕アナウンサーからの代表質問に答えたのち、参加したメディアと質疑応答を行いました。各選手のコメント(要旨)は、下記の通りです。
【東京2025世界陸上マラソン日本代表選手コメント(要旨)】
<男子>
吉田祐也(GMOインターネットグループ)
東京で行われる世界陸上の日本代表ということで、すごく身が引き締まる思い。大学を卒業して5年経過するが、何度も世界大会という機会はあったものの、なかなか結果が出すことができず、現実を突きつけられる気分になることが多かった。今回、日本歴代3位という記録で福岡国際マラソンを優勝することができ、そして、選考していただいたと考えている。率直な気持ちとしては、今まで積み重ねてきたものが結果として現れたことに、ほっとしているという気持ちのほうが強い。世界陸上に向けては、引き続き、僕自身ができることを最大限準備し続けて、その結果が上位入賞という形になればいいなと思っている。引き続き頑張っていきたい。
<本大会での目標は?>
2021年の東京オリンピックの際に、大迫傑さん(Nike)と一緒に練習をさせていただいて、大迫さんの練習の姿勢などを学んで、「世界大会に出たい」という思いが強くなった。まずは、その大迫さんがやっていたその過程を、今度は自分が体現して、そして、必ず大迫さんの順位(6位)を超えたいと思っている。
<自身の走りの強みや特徴を>
強みは、まず練習で継続した練習ができること。それに付随して、大学1年の時から故障していなくて、練習を長期間継続して安定した結果を残せるというのが最近の強みだと思っている。
<自国開催の世界選手権。どういう走りを見せたいか>
緊張はするが、まず、自分自身がやるべきことに集中しようというところが第一。現実的な順位としては、やはり大迫さんの順位を超えたいというのがある。指標もなく練習をするのはすごく苦しいことだが、自分の場合、アメリカに行った時に「大迫さんがこれくらいの練習をして、オリンピックで、あれだけの結果を残した」というプロセスを知っているのが大きいと思っている。そのプロセスを自分が超えられれば、自国開催の世界陸上であっても、動じることなくレースを進められると思う。
<暑熱への対策とコースの印象と攻略について>
暑さ対策については、すでに進めている。具体的なことは申し上げられないが、学者の先生に実際に話を聞きに行ったり、いろいろ論文や文献を自分で読んだりして、取捨選択をしている状況。確実に準備は進められているので、当日は万全な状態でいけるかなと思っている。コースについては、後半にアップダウンがちょっとあるかなという印象だが、赤﨑(暁)くんが活躍したパリオリンピックのように、すごく過酷というわけではない。ひとまずコースということは、カッコ(部分)に置いて、暑さ対策のほうにまず集中していければいいかなと個人的には考えている。
近藤亮太(三菱重工)

自国開催の世界選手権、私自身は初のマラソン日本代表となるが、チームとしては3度目の世界選手権(井上大仁=2017年ロンドン大会、山下一貴=2023年ブダペスト大会)となる。私自身の力だけではどうにもならないと思うが、チームメイト、そして多くの方々の声援を背に、これからまた頑張っていきたい。
<本大会での目標は?>
まずは、のびのびと自分の力を出していくこと。上位入賞を目指して頑張りたい。
<自身の走りの強みや特徴を>
私の強みは、比較的コンディションに左右されないというところだと思う。高校時代から振り返って、暑いレースであったり、土砂降りの雨の中のレースであったり、雪の中のレースであったりで勝ってきた実績がある。今回の東京でも暑さが予想されるが、そこに勝機を見いだして、1つでも上の順位を狙っていきたい。
<暑熱への対策とコースの印象と攻略について>
暑さについては、チームメイトの井上大仁選手や山下一貴選手、特に井上選手は、ジャカルタのアジア大会(2018年)で、暑く湿度も高い過酷な環境で金メダルを取った実績がある。夏のマラソンは私自身初めてだが、その練習をなぞっていくとともに、そうしたいろいろな先輩方から話を聞いたりして、対策をとっていきたいと考えている。コースについては、まだ試走とかで確認している状況ではないが、折り返しが6回くらいあって、私自身としてはコース云々より、「たくさん応援してもらえるな」という印象。それを楽しみに感じている。
<女子>
安藤友香(しまむら)
世界陸上は2017年のロンドン大会で初めて選ばれて、それ以来の出場となる。2017年の時はすごく悔しい思い(17位)をしたので、今回の東京大会は、まずは自分の今できるベストパフォーマンスをすることと、上位入賞を目指すことが目標。本当に最後まで諦めずに1つでも上の順位を目指したい。やれるだけのことをやって、後悔なく終われるようにしたい。
2017年の世界陸上に出場した際は、初マラソン(2017年名古屋ウィメンズマラソン:2時間21分36秒)を走った2本目のレースが世界陸上だったので、代表に選んでいただいたものの未熟で、いろいろな空気に呑まれてしまった。自分の力を発揮することができず、非常に悔しい思いをした。それから8年経った今回は、自国開催ということで、いろいろな方に応援していただけるし、自分としても、ここまでにいろいろな方に出会って成長させていただいたと感じている。自分らしく、そして、一番は後悔をしたくないという思い。今の力をしっかり出しきれるようにしたい。また、入賞を目指したいので、やれるだけの準備をしっかりして、当日、いい状態でスタートラインに立てるようにしたい。
<本番に向けて一番ポイントに置いているところと、そこに向けてどんな準備をしたいか?>
夏のレースになるので、もちろん気象条件がすごく大事になってくると思う。条件はみんな一緒。自分自身も対策はたくさんとるが、本番の気象条件を想定したなかで、そのイメージを常に持ってトレーニングに臨みたい。また、いろいろなアドバイスをもらって、どういうふうにしていけば夏の本番のレースで、自分のパフォーマンスが発揮できるかということを、しっかり相談しながらやっていきたい。
小林香菜(大塚製薬)

2023年10月にMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)が開かれた際に、私はまだ大学生(早稲田大4年)の市民ランナーだった。大塚製薬から内定をいただいていたため、MGC開催前には、「ロス五輪の選考レースが同じように開かれたら、自分はそこで代表権を争って走ることができているのかな」と考えながら一人でコース付近をジョグしていた。それから約2年で、まさか自分が日本代表のユニフォームを着て走ることができるようになるなんて、本当に信じられないような気持ちで嬉しく思っている。昨日の発表を受けてからは、実感が湧いていなかったのだが、(2時間21分19秒で日本人トップとなった)大阪国際女子マラソンのレース後のように、たくさんの方々から祝福の言葉をいただいて、ひと晩寝て目が覚めた今日、「あ、現実なんだな」と思っている。
本番では、後半の坂や暑さに負けず、たくさんの方の応援を借りて、笑顔でゴールすることを目標にしたい。まだ課題がたくさんあるので、残りの期間で強くなって、終わったあとに「楽しかった」と思えるようなレースにしたい。
<世界選手権に対するイメージは?>
私が実業団選手になったきっかけは、MGCを見て「かっこいいな」と思ったこと。なので、世界選手権は、それ以上の…“憧れ以上”(笑)といったようなものになる。世界のトップランナーの方々と一緒に戦える機会ということで、本当に貴重な機会だと思っている。
<本番に向けて一番ポイントに置いているところと、そこに向けてどんな準備をしたいか?>
自分はまだまだ暑さに弱いので、暑さ対策がポイントとなると思う。ただ、自分には練習面での知識が全然ないので、監督とかコーチとかにたくさん支えていただいて強くなりたい。あとは、今までのレースは、ペースメーカーの方が引っ張ってくださって、その中でタイムを狙う形だったが、今回は、それがなく戦う場となるので、ペース変動とかにも対応していくことが大切かなと思っている。
※代表選手のコメントは、記者会見において各選手が発言したコメントと質疑応答時の回答の一部を抜粋し、まとめています。
取材・構成:児玉育美(日本陸連メディアチーム)
写真提供:フォート・キシモト
【ライブ配信】JMCアワード/東京2025世界陸上マラソン代表会見
https://youtube.com/live/jRMVGQdpylo【東京2025世界陸上】マラソン日本代表選手
https://www.jaaf.or.jp/news/article/21504/
【JMCシリーズⅣアワード】最速タイム、完全制覇など特別発表!
https://www.jaaf.or.jp/jmc-series/news/article/21503/