第109回日本陸上競技選手権大会一覧

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2025.06.28(土)

【記録と数字で楽しむ第109回日本選手権】男子100m:自己ベスト日本歴代1~4位の9秒台が勢揃い!10秒0台3名、10秒1台17名が3枚の代表切符を争う。ミクロの戦いを制するのは誰だ?



9月13日~21日に開催される世界選手権の代表選手選考会を兼ねて行われる「第109回日本選手権」。その舞台は、同じ国立競技場だ。日本選手権が国立競技場で行われるのは、2005年の第89回大会以来20年ぶり。新しい国立競技場ではもちろん初めての開催だ。

国立競技場のスタンドでの現地観戦、あるいはテレビやライブ配信での観戦のお供に、「記録と数字で楽しむ第109回日本選手権」をお届けしよう。
・記録やデータは、エントリー締め切り時の6月12日判明分
・現役選手の敬称は略

テレビの中継予定は以下のとおり(ライブ配信の予定は、後日発表)
【NHK BS・総合】
・第1日:7月4日(金)
BS 18:30~19:30/総合 19:30~20:42
・第2日:7月5日(土)
総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル
・第3日:7月6日(日)
総合 16:30~18:43 ※17:59~18:05はサブチャンネル


自己ベスト日本歴代1~4位の9秒台が勢揃い!10秒0台3名、10秒1台17名が3枚の代表切符を争う。ミクロの戦いを制するのは誰だ?

・予選/7月4日(金)15:35 7組3着+3
・準決/7月4日(金)20:25 3組2着+2
・決勝/7月5日(土)18:30


自己ベスト9秒台4名+10秒0台&1台20名=24名で史上最高のハイレベル

タイトルにある通り自己ベスト記録では9秒台4名、10秒0台3名、10秒1台17名が出場予定。10秒19以内24名は史上最多。21年が11名、22年が10名、23年が13名、24年が19名だった。なお、申込資格記録は、21・22・23年ともに10秒1台までが9名、24年が15名、今回は21名だ。
「9秒9台4名」というのは、日本人で9秒台で走った全員ということだ。24年はパリ五輪の代表に内定していたサニブラウン・アブデル・ハキーム(東レ)が本番に集中するため日本選手権を回避。日本記録保持者の山縣亮太(セイコー)も春先からの右脚の違和感のため出場を見送ったのだった。が、今回は全員が顔を揃える。


自己ベスト10秒09以内の7名は?

自己ベスト10秒09以内の7名の日本歴代順位と申込資格記録の順位は以下の通り。
1)9.95(+2.0)山縣亮太2021.06.0633)10.26=申込資格記録
2)9.96(+0.5)サニブラウン2024.08.041)9.96
3)9.98(+1.8)桐生祥秀2017.09.0915)10.15
3)9.98(+0.5)小池祐貴2019.07.203)10.09
6)10.01(+2.0)多田修平2021.06.0620)10.18
7)10.02(+1.1)坂井隆一郎2022.06.264)10.10
7)10.02(0.0)栁田大輝2023.07.142)10.02

上記のとおりで、日本歴代の上位がずらりと並ぶ。史上最高レベルのメンバーが揃ったことになる。
10秒02以内の歴代選手のうちここに名前がないのは、5位・10秒00の伊東浩司さん、7位・10秒02の朝原宣治さんのみ。いずれも1990年代から2000年代に日本の短距離を牽引してきた方だ。


出場者は史上最速の10秒31まで

今回の日本選手権の申込資格記録は「10秒34」で、24年1月1日から25年6月11日が有効期間。締切日の5月12日12時00分までに73名が申し込んだ。
が、ターゲットナンバー(上限人数)は「56名」だった。つまり「10秒34以内」をクリアしていても57位以下の選手は出場できないのだ。「56番目」は10秒31。52番目の10秒31に同タイムで8名いて計59名。10秒32~10秒34の14名は残念ながら出場できないことになった。なお国立競技場は9レーンあるので、56番目タイがいても7組で行われる予選には最大63名までが出場可能である。

参考までに、21・22・23・24年もターゲットナンバーは「56名」だった。申込資格記録は21・22年が「10秒45」。21年は10秒45以内の52名が、22年は10秒41以内の63名が、資格記録がアップした23年は10秒35以内の59名がエントリーできた。24・25年は、申込資格記録が23年の10秒39から0秒05のアップで10秒34に。実際に出場できたボーダーラインは24年10秒32、25年10秒31となった。

オールドファンには懐かしいお名前であろうが、かつての日本記録保持者で五輪代表だった飯島秀雄さんも不破弘樹さんも、全盛期のタイムをもってしても24年も25年も日本選手権の予選のスタートラインに立つことができなかったことになる。
飯島さんは1964年東京五輪と68年メキシコ五輪で準決勝に進出。メキシコの準決勝でマークした10秒34は当時のアジア記録だった。
不破さんは84年ロサンゼルス五輪に群馬・東農大二高の時に出場。不破さんの当時のベストも飯島さんと並ぶ10秒34でその後10秒33に日本記録を縮めた。
飯島さんは、スタートダッシュが素晴らしくメキシコ五輪の準決勝では70~80m付近までトップを走った。また、不破さんは後半が強く終盤に一気に抜け出してくるタイプだった。60~40年あまり前に圧倒的な強さを示した飯島さんと不破さんが今では日本選手権に出場できないというのは、その頃を知る人にとっては何とも感慨深いものがあるだろう。


2012年以降の連覇は坂井のみ

<2012年以降の男子100m優勝者>
・所属は当時のもの
201210.29(±0)江里口匡史(大阪ガス)=2009年から4年連続4回目
201310.11(+0.7)山縣亮太(慶大)=初優勝
201410.22(+0.6)桐生祥秀(東洋大)=初優勝
201510.28(-0.9)高瀬慧(富士通)=初優勝
201610.16(-0.3)ケンブリッジ飛鳥(ドーム)=初優勝
201710.05(+0.6)サニブラウンAハキーム(東京陸協)=初優勝
201810.05(+0.6)山縣亮太(セイコー)=5年ぶり2回目
201910.02(-0.3)サニブラウンAハキーム(フロリダ大)=2年ぶり2回目
202010.27(-0.2)桐生祥秀(日本生命)=6年ぶり2回目
202110.15(+0.2)多田修平(住友電工)=初優勝
202210.08(+1.1)サニブラウンAハキーム(タンブルウィードTC)=3年ぶり3回目
202310.11(-0.2)坂井隆一郎(大阪ガス)=初優勝
202410.13(-0.2)坂井隆一郎(大阪ガス)=2年連続2回目

以上の通りで、2013年以降は5年連続で初優勝の選手が戴冠。その後も連覇した選手はなく毎年チャンピオンが変わってきていた。が、23・24年と坂井が優勝し、09~12年に4連勝した江里口匡史さん以来の連覇を果たした。今回、坂井は「3連覇」の有資格者だが4月の出雲陸上での故障からどう立て直してくるかである。
これまで3連勝以上した人は、

<男子100mの3連勝以上>
1922~19253連勝谷三三五(1924年は開催されず)
1938~19403連勝吉岡隆徳
1956~19583連勝潮喬平
1968~19714連勝神野正英
1973~19753連勝神野正英
2000~20023連勝朝原宣治
2006~20083連勝塚原直貴
2009~20124連勝江里口匡史

いずれもオリンピックの舞台に立った人たちだ。


自己ベスト10秒09以内と22&23&24年ファイナリストの日本選手権での成績

日本記録保持者の山縣が日本選手権に初出場した2011年以降の表題の選手の日本選手権での成績をまとめた。

<今回出場する自己ベスト10秒09以内の選手&22~24年決勝進出者の日本選手権の成績>
・記載は、25年出場者で自己ベスト10秒09以内は記録順。22・23・24年決勝進出者は順位順。
・「途」=決勝で途中棄権
・「準」=準決勝落選
・「予」=予選落選
・「-」=不出場
 1112131415161718192021222324
山縣亮太43122613
サニブラウン211618
桐生祥秀2134321565
小池祐貴433443
多田修平25551
坂井隆一郎6211
栁田大輝77323
==== 以上、自己ベスト10秒09以内の今回出場者

 1112131415161718192021222324
東田旺洋82
デーデー・ブルーノ24
和田遼6
鈴木涼太6567
山本匠真8
==== 以上、24年決勝進出者

 1112131415161718192021222324
本郷汰樹5
灰玉平侑吾7
==== 以上、23年決勝進出者

栁田は5年連続、坂井と鈴木は3年連続入賞を継続中。さらに坂井と栁田は3年連続表彰台。


10秒09以内の回数の日本歴代リスト

公認条件下での「10秒09以内」の個人別回数は下記の通り。

<10秒09以内の回数>
・2025年6月11日現在。公認記録に限る。
・氏名の( )囲みは、非現役
1)26回サニブラウンAハキーム
2)23回桐生祥秀
3)14回山縣亮太
4)5回小池祐貴、栁田大輝
6)4回(朝原宣治)、(伊東浩司)
8)3回ケンブリッジ飛鳥、多田修平
10)2回末續慎吾、坂井隆一郎
12)1回飯塚翔太、(江里口匡史)、(高瀬慧)、(塚原直貴)、宇野勝翔
計)96回 

上位には9秒台の4人が並ぶ。そこに食い込んでいるのが栁田だ。世界のセミファイナリストになった朝原宣治さん、伊東浩司さんが4位タイに名を連ねているのは、さすがである。今回エントリーしている桐生、山縣、小池、栁田、多田、坂井は、予選・準決・決勝で上記に最大3回を上積みできる可能性がある。


個人別10傑平均記録の日本歴代リスト

先に紹介した「10秒09以内の回数」が多い選手が上位に並ぶのは当たり前だが、個人の自己ベストから10番目の記録の平均値による日本歴代リストを調べたのが下表だ。

<個人別10傑平均記録による日本歴代リスト/10傑平均10秒199以内>
・2025年6月12日判明分
・氏名の前の「△」は今回不出場の選手。「×」は非現役を示す
10傑平均記録氏名歴順)PB~10位10秒09以内回数
1)9.996サニブラウンAハキーム2)9.96~10.041)26回
2)10.022山縣亮太1)9.95~10.063)14回
3)10.024桐生祥秀3)9.98~10.042)23回
4)10.087栁田大輝7)10.02~10.134)5回
5)10.088小池祐貴3)9.98~10.134)5回
6)10.098坂井隆一郎7)10.02~10.1210)2回
7)10.099△ケンブリッジ飛鳥10)10.03~10.148)3回
8)10.101多田修平6)10.01~10.158)3回
9)10.102×朝原宣治7)10.02~10.156)4回
10)10.109△末續慎吾10)10.03~10.1510)2回
11)10.135×伊東浩司5)10.00~10.246)4回
12)10.157×江里口匡史12)10.07~10.2412)1回
13)10.160×塚原直貴14)10.09~10.2312)1回
14)10.169東田旺洋17)10.10~10.21-)-
15)10.174鈴木涼太21)10.12~10.21-)-
16)10.178井上直紀21)10.12~10.27-)-
17)10.179×高瀬慧14)10.09~10.2712)1回
18)10.184和田遼17)10.10~10.22-)-
19)10.191△飯塚翔太13)10.08~10.2512)1回
20)10.193デーデー・ブルーノ27)10.14~10.22-)-
21)10.194守祐陽24)10.13~10.24-)-

自己ベストが10秒09以内で日本歴代で名前を連ねている16名のうち15名が、この「個人別10傑平均記録(10秒199以内)日本歴代リスト」にも入っている。つまり、15名の10秒09以内の自己ベストが、好条件に恵まれての「一発」ではなかったことを証明しているといえよう。
23年5月中旬段階では「10秒206」で15位だった栁田大輝(東洋大4年)が24年6月には9位に、そして今回25年6月には4位にまで上がってきた。2003年7月25日生まれで、今年の日本選手権の段階で21歳と11カ月。追風参考での「9秒台」を2回経験してい日本人5人目の公認での9秒台に最も近い存在かもしれない。

自己ベストと10番目のタイムの差が最も小さいのは、桐生の0秒06、次がサニブラウンとデーデー・ブルーノの0秒08、鈴木の0秒09、0秒10の坂井、0秒11の山縣・栁田・ケンブリッジ・東田と続く。


各選手の「平均ピッチ」「平均ストライド」「ストライドの身長比」は?

スタンドからのリアルタイムでその歩数を数えることは困難だが、TV中継やネットにアップされている動画をスロー再生して、各選手の歩数をカウントして、「平均ピッチ」「平均ストライド」などを計算&比較してみるのも面白い。

自己ベスト9秒台の日本歴代の上位4名。10秒09以内の記録を持つ今回の出場者計7名が自己ベストをマークした時の「100mに要した歩数」「平均ピッチ」「平均ストライド」「ストライドの身長比」を調べたのが以下の表だ。

<自己ベスト10秒09以内の現役選手がそのタイムをマークした時の100mに要した歩数・ピッチ・ストライド・身長比>
・自己ベストの記録順に掲載
・身長・体重は記録を出した時に公表されていた数値
山縣亮太(177cm・70kg)9.95(+2.0)47.8歩4.804歩/秒209.2cm118.20%
サニブラウンAハキーム(190cm・83kg)9.96(+0.5)44.0歩4.418歩/秒227.3cm119.60%
桐生祥秀(176cm・70kg)9.98(+1.8)47.1歩4.719歩/秒212.3cm120.60%
小池祐貴(173cm・75kg)9.98(+0.5)51.0歩5.110歩/秒196.1cm113.30%
多田修平(176cm・66kg)10.01(+2.0)47.9歩4.785歩/秒208.8cm118.60%
坂井隆一郎(171cm・64kg)10.02(+1.1)52.1歩5.200歩/秒192.3cm112.50%
栁田大輝(182cm・68kg)10.02(0.0)45.2歩4.511歩/秒221.2cm121.60%
栁田大輝(182cm・68kg)9.95w(+4.5)44.4歩4.446歩/秒225.2cm123.7%=追風参考

サニブラウンの大きなストライド(1歩平均227.3cm)、坂井と小池の毎秒5歩を超える極めて速いピッチが特徴的。特に坂井の「1秒間平均5.200歩」というピッチは、世界の歴代上位選手にも見当たらないような「超高速ピッチ」である。

サニブラウンの「平均ストライド227.3cm」と坂井の1秒間の「平均ピッチ5.200歩」を結合して100mを走ったら「8秒46」になる。
逆に、坂井の平均ストライド(192.3cm)でサニブラウンの平均ピッチ(4.418歩)ならば「11秒77」。このタイム以内で走れる日本の中学生は、年に少なくとも2千名以上いるはずだ。

ウサンイン・ボルト(ジャマイカ)が、2009年ベルリン世界選手権で現世界記録の9秒58(+0.9)を出した時、100mに要した歩数は「40.92歩」。その平均ストライドは「244.4cm」。196cmの身長に対する比率は「124.7%」。最後の1歩は「302cm」。1秒間の平均ピッチは「4.271歩」だった。

ボルトの「平均ストライド244.4cm」で、坂井の「平均ピッチ毎秒5.200歩」を刻んで走れれば「7秒87」が出る計算になる。
坂井の平均ストライド(192.3cm)にボルトの平均ピッチ(4.271歩)ならば「12秒18」。このくらいで走れる日本人女性は年間に350名以上いる。男性ならば、このくらいで走れる「脚自慢」が身近に.たくさんいることだろう。

栁田が2023年アジア選手権で10秒02(0.0)の自己ベストで優勝した時の歩数は「45.2歩」だったが、21年(高校3年生)の日本選手権で7位(10秒41)になった時は「43.9歩(平均ピッチ4.217歩/秒・平均ストライド227.8cm)」。翌22年8月のコロンビア・カリでの「U20世界選手権」の準決勝で当時の自己ベスト(10秒15/+0.7)をマークした時には、「43.3歩」で走った。1秒間の平均ピッチが「4.266歩」でボルトの「4.271歩」とほぼ同じ。平均ストライドは「230.9cm」、身長が182cmとされていたのでストライドの身長比は「126.9%」。身長が8cm高いサニブラウン(190cm)よりも平均ストライドが2cmほど長かった。また、ストライドの身長比もボルト(124.7%)よりも大きかったのには驚かされたものだった。

しかし、上述の通り、23年7月のアジア選手権で10秒02(0.0)で走った時は「45.2歩」。24年5月のゴールデングランプリ(10秒21/-0.1/優勝)、ユージンでのダイヤモンドリーグ(10秒26/+1.2/8着)では、「45.9歩」あたりで、高校時代や大学1年生の頃よりもストライドを縮め、ピッチを速めた走りに変えてきていた。
追風4.5mのもと9秒95で走った25年関東インカレは「44.4歩」だった。


東京世界選手権の切符争いは?

参加標準記録の10秒00をクリアしているサニブラウンが今回の日本選手権で3位以内に入れば代表に内定する。
他の選手も目標は「10秒00突破」であろうが、それが達成できなかった場合は、世界陸連のワールドランキング「Road to Tokyo」でターゲットナンバーの48名以内に入れるかどうかが重要になってくる。このランキングは、タイムによる「記録ポイント」と大会での「順位ポイント」の合計によって各自の上位5レースの平均ポイントで算出される。なお、100mのように「風」の関係する種目では、追風と向風の風力によって、記録ポイントから減算されたり加算されたりする。
「順位ポイント」は、大会のグレードによってポイントが異なる。日本選手権の場合は、「B」のグレードだ。

6月10日現在の「Road to Tokyo」では、ターゲットナンバー48名中の29位に栁田、46位に井上直紀(早大4年)がランクイン。日本人4人目以降も、桐生祥秀(日本生命)、小池が48位以内相当に位置している。

<「Road to Tokyo」の順位とそのポイント(5レースの平均)>
・6月10日現在
・カッコ内の数字は、個人の1番目と5番目のポイント
・氏名の前の「△」は、日本選手権不出場
17)9秒96サニブラウンAハキーム
参加標準10秒00突破者は27名  
29)1245pt(1326~1176)栁田大輝
46)1195pt(1252~1149)井上直紀
・以下は、他国の3位以内のみをカウントした相当順位  
47)1189pt(1242~1161)桐生祥秀
48)1187pt(1236~1163)小池祐貴
54)1180pt(1215~1143)鈴木涼太
61)1170pt(1251~1099)多田修平
62)1169pt(1209~1132)守祐陽
67)1165pt(1221~1142)東田旺洋
75)1160pt(1233~1119)木梨嘉紀
76)1160pt(1201~1135)△宇野勝翔
77)1160pt(1198~1117)西岡尚輝
85)1154pt(1171~1143)大石凌功
90)1150pt(1205~1131)灰玉平侑吾
93)1149pt(1166~1135)愛宕頼
95)1147pt(1204~1128)デーデー・ブルーノ
98)1142pt(1199~1112)宮城辰郎

5レースの平均ポイントなので、例えば井上直紀が現在の「1195pt」を10ポイント伸ばして「1205pt」にするためには、次のレースで「1200pt」くらいを獲得する必要がある。現在5番目の「1149pt」が消えて5レース平均で10ポイントアップするというわけだ。
そんなことで、現段階の5番目のポイントが低い人ほどポイントを大きく伸ばせる可能性が高い。例えば、多田修平の5番目は「1099pt」だから現在の多田の最も高い得点である「1251pt」を次のレースで稼げれば、5レース平均が30ポイントくらい上がって1170ポイントから1200ポイントにアップし井上を抜くことになる。

0秒10毎の記録ポイントは、
9秒90 1241pt
10秒00 1206pt
10秒10 1172pt
10秒20 1138pt
10秒30 1105pt
10秒40 1072pt
10秒50 1040pt

日本選手権の順位ポイントは、
1位 100pt
2位 80pt
3位 70pt
4位 60pt
5位 55pt
6位 50pt
7位 45pt
8位 40pt

10秒00ちょっとのレベルでの記録ポイントは、0秒03でほぼ10ポイント差。1・2位が「同タイム着差あり」であった場合、記録ポイントは同じでも順位ポイントの差は20ポイント。記録で0秒06の差がついたのと同じことになる。1位と3位では0秒09差がついたのと同じ勘定だ。優勝して100ポイントが加算された選手と、決勝に進めず順位ポイントが「0」の選手では、タイムで0秒3あまりの大差がついたのと同じである。100mでこの差は、非常に大きい。

日本陸連の選考基準では、「Road to Tokyo(WAランキング)」で48名のターゲットナンバー内であれば、ランキングの順位よりも日本選手権での順位が優先される。よってどの選手も日本選手権では3位以内、最低でも決勝に残って8位以内になっておかないと代表切符を獲得することが厳しくなる。
日本選手権の予選や準決勝で「参加標準記録10秒00以内」をクリアしても決勝で下位に沈んだ場合などのケースである。日本選手権でその人よりも上位になった選手で「Road to Tokyo」のターゲットナンバー内の選手が3人いた場合は、代表にはなれないのだ。とにかく、決勝でより上位(3位以内)に入ることが重要である。
極端な例ではあるが、日本選手権の予選でケイレンを起こして決勝に残れなかった「A」という選手がいたとしよう。その「A選手」が参加標準記録の有効期限である8月24日までに9秒58の世界記録を破ったとしても、「Road to Tokyo」でターゲットナンバー内の人が3人いて、その人たちが日本選手権で入賞していると「A選手」は代表には選ばれないのである。そのためにもなにがなんでも日本選手権でより上の順位を残さなければならない。

▼東京世界選手権 代表選手選考の要項について
https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202412/10_171138.pdf

日本選手権・決勝での「着順別最高記録」(2024年まで)

・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1)10.022019年
2)10.102022年
3)10.142024年
4)10.172018年
5)10.212023年
6)10.262023年・2024年
7)10.292023年・2024年/10.28w 1999年
8)10.312024年/10.30w 1999年

日本選手権で9秒台がマークされたことはまだない。
日本選手権で「日本新記録」がアナウンスされたのは下記の7回。
1915年(第3回)11.5斎藤友三(東大)
1918年(第6回)11.4松田恒政(慶大)
1921年(第9回)11.2高木正征(暁星中)
1975年(第59回)10.48(+0.2)神野正英(新日鉄八幡)=予選
1989年(第73回)10.28(+1.6)青戸慎司(中京大)
1996年(第80回)10.14(+0.9)朝原宣治(大阪ガス)
1998年(第82回)10.08(+1.5)伊東浩司(富士通)

なお、75年の神野さんの10秒48には「二つの注釈」が入る。
その一つ目は、次の通りだ。1975年は電動計時(写真判定)の記録が日本記録として公認されることになった最初の年で、その年の12月31日時点での最高記録を「初代日本記録」として日本陸連は公認することにした。よって、日本選手権が行われた時点(5月31日~6月1日)では「電動計時日本記録」はまだ存在していなくて、当然のことながら競技場内では「日本新記録」とはアナウンスされなかった。
二つ目は、以下のような話だ。68年のメキシコ五輪の準決勝で飯島秀雄さん(茨城県庁)が10秒34(当時のルールで100分の1秒単位を10分の1秒単位に換算し「10秒3」が公式記録とされた)で走っていて、この記録は「アジア記録」として国際的には認められていた。しかし、上述の通り日本陸連は「その年(1975年)の最高記録を日本記録とする」として過去の記録には遡らなかったため、飯島さんの10秒34は「アジア記録」ではあったが日本記録としては認められなかった。
なお、国際陸連(現、世界陸連)や各大陸の陸連では電動計時の記録を公認することになった時、過去に遡及してその最高記録を公認することにしたため、68年メキシコ五輪でジム・ハインズ(アメリカ)がマークした9秒95が「世界記録」として、アジア陸連では飯島さんの10秒34を「アジア記録」として公認した。そのような事情で、飯島さんの10秒34は「アジア記録だが日本記録ではない」という妙な期間が続くことになった。しかし、その後「アジア記録として国際的にも認知されている記録を日本記録として認めないのはいかがなものか?」ということで、84年になって、過去に遡及して10秒34を公認することになり、飯島さんの記録が日本記録として16年ぶりに認められたという次第だ。
今回の日本選手権で「日本新記録」がアナウンスされれば、98年の第82回大会以来27年ぶりとなる。是非とも実現してもらいたいものである。



野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)
写真提供:フォート・キシモト、アフロスポーツ


【チケット販売中】第109回日本選手権

日程:7月4日(金)~6日(日)
会場:国立競技場(東京)
種目:男子17種目、女子17種目
時間:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/timetable/
・1日目(7月4日):競技開始 14時頃/競技終了21時頃
・2日目(7月5日):競技開始 11時30分頃/競技終了19時頃
・3日目(7月6日):競技開始 14時頃/競技終了19時頃

▼チケット詳細はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/
▼大会情報はこちら
 https://www.jaaf.or.jp/jch/109/


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・ホスピタリティ:5枚以上(3日間合算)※ホスピタリティ7/4(金)および7/5(土)は完売※
・S席/A席:各日13枚以上から
※申込は6月26日(木)12:00まで
申込方法:https://www.jaaf.or.jp/jch/109/ticket/


国立満員プロジェクト



2025年、日本選手権は国立競技場で開催されます。
このプロジェクトは、その会場を“満員”にし、
選手と観客が一体となって熱く盛り上がる空間をつくるためのキャンペーンです。

現地で応援できる方は、ぜひ国立競技場へ!
来場が難しい方も、キャンペーンに参加登録することで“気持ちで”参加可能です。

★特設サイト (https://www.jaaf.or.jp/2025/ns/) では★
➀「国立満員リレー」:選手・関係者・ファンのX(旧Twitter)投稿がつながる応援企画
➁「みんなの一歩」:賛同者数が可視化されるカウンター
(※回答いただいたGoogleフォームで人数がカウントされます!)
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