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2025.09.14(日)

【記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上】女子走高跳 :髙橋が日本人6大会ぶりの世界の舞台に。マフチフ&オリスラガース、2m11に近づけるか?



9月13日(土)から21日(日)の9日間、国立競技場を舞台に20回目の世界選手権「東京2025世界陸上競技選手権大会(東京2025世界陸上)」が開催される。
日本での開催は、1991年(第3回)の東京(国立)、2007年(第11回)の大阪(長居)に続き3回目。国単位での開催回数では、最多である(2位は、フィンランドとドイツの2回)。

日本からは、全49種目のうちの38種目に80名(男子49名・女子31名)の代表選手がエントリーし、世界のライバル達と競い合う。

現地のスタンドあるいはテレビで観戦する方の「お供」に日本人選手が出場する全38種目と世界新記録や好勝負が期待される種目に関して、「記録と数字で楽しむ2025東京世界選手権」をお届けする。

なお、これまでにこの日本陸連HPで各種競技会の「記録と数字で楽しむ……」をお届けしてきたが、過去に紹介したことがある同じ内容のデータや文章もかなり含むが、可能な限りで最新のものに更新した。また、記事の中ではオリンピックについても「世界大会」ということで、そのデータも紹介している。

記録は原則として、世界選手権参加標準記録の有効期限であった25年8月24日現在のものによった。
現役選手の敬称は略させていただいた。

日本人選手の記録や数字に関する内容が中心で、優勝やメダルを争いそうな外国人選手についての展望的な内容には一部を除いてあまりふれていない。日本人の出場しない各種目の展望などは、陸上専門誌の観戦ガイドや今後ネットにアップされるであろう各種メディアの展望記事などをご覧頂きたい。

大会期間中は、日本陸連のX(https://x.com/jaaf_official)を中心に、記録や各種のデータを可能な範囲で随時発信する予定なので、そちらも「観戦のお供」にしていただければ幸いである。

▼「記録と数字で楽しむ東京2025世界陸上」記事一覧
こちらから>>



女子走高跳

・予選 9月18日(木) 19:15
・決勝 9月21日(日) 19:30


髙橋が日本人6大会ぶりの世界の舞台に。マフチフ&オリスラガース、2m11に近づけるか?

参加標準記録の1m97をクリアしたのはロシアを除いて世界で11名。ターゲットナンバー「36」の27位で髙橋渚(センコー/エントリー記録&自己ベスト1m92i=25年)が出場資格を得た。日本人の出場は、2013年モスクワの福本幸さん(甲南学園AC)以来6大会ぶりのこと。


◆世界選手権&五輪での日本人最高成績と最高記録◆

<世界選手権>
最高成績 予選B組7位 1.88 佐藤恵(福岡大)1987年/予選2組トータルでは、13位タイ
最高記録 1.89 今井美希(ミズノ)1999年 予選B組11位

<五輪>
最高成績 7位 1.91 佐藤恵(ミズノ)1992年
最高記録 1.94 太田陽子(ミキハウス)2000年 予選B組7位


◆日本人が最後に出場した2013年以降の世界選手権&五輪の1・3・8位と決勝に進めなかった最高記録◆

・「◎」は、各項目の最高記録を示す。
1位3位8位予選落最高 
20132.001.971.931.88(1位2.03 ドーピングで失格)
20152.012.01◎1.921.89 
2016五輪1.971.971.931.92 
20172.031.991.921.89 
20192.04◎2.001.931.92 
2021五輪2.04◎2.001.96◎1.93◎ 
20222.022.001.96◎1.90 
20232.011.991.941.89 
2024五輪2.001.951.951.92 
日本人で8人目の1m90台ジャンパーとなった髙橋渚(センコー/1m92i=25年)には、24年間据え置かれている日本記録(1m96/今井美希/ミズノ/01年9月15日)に一歩一歩近づき、できる限り早く「日本新記録」のアナウンスを聞かせてもらいたい。


◆世界記録保持者・マフチフにオリスラガースが挑みハイレベルの空中戦に期待◆

2024年7月7日にパリでのダイヤモンドリーグで世界記録(2.09/S・コスタディノワ/ブルガリア/1987年)を37年ぶりに更新する2m10を跳んだヤロスロワ・マフチフ(ウクライナ)が参戦する。世界大会の実績は以下の通り。
2019世選 2位
2021五輪 3位
2022世選 2位
2023世選 1位
2024五輪 1位
至近5大会ですべて表彰台に立ち23年からは2連勝中。
2023年は15勝2敗。24年は9勝1敗。25年は8月27日現在で10勝6敗。23・24年と比べて今季は勝率が低いが現役No.1であることは間違いない。
今シーズンのベストは、5月9日のドーハと8月27日のチューリッヒでのダイヤモンドリーグ・ファイナルでの2m02にとどまっているが、世界新を出した24年も1月に室内で2m04を跳んだあとのアウトドアでは6月9日の2m01がそれまでのベストだった。なので、9月21日の東京でもどこまでバーを上げるかに期待がかかる。

そんなマフチフを8月27日のダイヤモンドリーグ・ファイナルで2m04の自己新(25年世界最高)で破ったのが、N・オリスラガース(オーストラリア)だ。96年12月28日生まれで28歳、186cm・63kg。マフチフの01年9月19日生まれ、181cm・55kgよりも5歳年長で身長は5cm高い。

世界大会での戦績は、
2017世選 予選落
2019世選 予選落
2021五輪 2位
2022世選 5位
2023世選 3位
2024五輪 2位

上述のマフチフよりも上位だったのは21年東京五輪のみで至近3大会は常に下の順位だった。
が、世界室内では24・25年を連覇し、2位と3位だったマフチフに勝っている。

これまでの両者の決勝での直接対決の対戦成績は、
マフチフの、26勝10敗でマフチフが圧倒している。
年別では、マフチフの、
2019年 3-0
2020年 2-0
2021年 4-2
2022年 6-0
2023年 2-2
2024年 6-1
2025年 3-5
で、今シーズンはオリスラガースが初めて勝ち越している。

8月27日の試合は、オリスラガースは1m91から、マフチフは1m94から開始し1m97・2m00まではともに1回で成功。2m02はオリスラガースが1回、マフチフは2回目の成功。オリスラガースが1cmの自己新となる2m04を1回でクリアしたのを見てマフチフはこれをパス。2m06はともに3回ともクリアできずにオリスラガースに軍配が上がった。

マフチフが24年7月7日に37年ぶりに世界記録を更新し、その後のパリ五輪も制覇し23年ブダペストから世界大会を連覇。19年ドーハから5大会連続で表彰台とコンスタントな強さを示してきた。しかし、今シーズンはマフチフの勢いが今ひとつでオリスラガースが調子を上げてきたことで東京での勝負が面白くなってきた。

24年7月にマフチフは37年ぶりに世界記録を更新したが、「まだ名実ともにコスタディノワを超えてはいないなあ」というところだ。
「名実ともにコスタディノワを超える」というのは、以下のようなことである。
「個人別10傑平均記録」での比較だ。

<女子走高跳の個人別10傑平均記録の世界歴代リスト(2025年9月4日判明分)>
・室内の記録を含む。
・10傑平均「2.000以上」。
・氏名の前の「△」は、非現役。
順)10傑平均(1位~10位)氏名(国名)
1)2.068(2.09~2.06)△S・コスタディノワ(ROM)
2)2.059(2.08~2.05)△B・ヴラシッチ(CRO)
3)2.047(2.06~2.04)M・ラシツケネ(RUS)
4)2.044(2.10~2.03)Y・マフチフ(UKR)
5)2.043(2.07~2.03)△A・チチェロワ(RUS)
6)2.042(2.08~2.02)△K・ベリークイスト(SWE)
7)2.040(2.07~2.03)△H・ヘンケル(GER)
7)2.035(2.06~2.02)△H・クルーテ(RSA)
8)2.031(2.06~2.02)△Y・スレサレンコ(RUS)
9)2.030(2.05~2.02)△I・ババコワ(UKR)
10)2.029(2.06~2.02)△A・フリードリッヒ(GER)
11)2.025(2.05~2.00)△T・ビコワ(RUS)
12)2.022(2.04~2.00)△V・ヴェネワ(BUL)
13)2.019(2.04~2.01)N・オリスラガース(AUS)
14)2.018(2.05~2.00)△C・ハワード・ロウ(USA)
15)2.014(2.04~2.00)△A・ディマルティーノ(ITA)
16)2.013(2.03~2.00)△M・ヤガル(ROU)
17)2.012(2.05~1.99)△T・エルボー(BEL)
18)2.010(2.04~1.99)△S・コスタ(CUB)
19)2.006(2.02~1.99)△Y・エレシナ(RUS)
19)2.006(2.03~1.99)△M・クプツォワ(RUS)
19)2.006(2.02~2.00)△R・ベイティア(ESP)
22)2.004(2.03~1.98)△L・リッター(USA)
23)2.001(2.02~1.99)Y・レフチェンコ(UKR)
24)2.000(2.03~1.98)△T・ババシュキナ(RUS)
マフチフは自己ベストではコスタディノワを1cm上回った。しかし、「コンスタントな力」という点ではまだまだコスタディノワが歴代トップで、マフチフは歴代4位である。そして、オリスラガースが現役では「ナンバー2」の位置にいる。

上記のように個人別10傑平均の「2m000以上」は歴代で24人だが現役選手は24年8月31日以降一度も試合に出ていないL・ラシツケネ(ロシア)を含めて4人しかいない。世界記録保持者となった現役トップのマフチフをもってしてもコスタディノワとはまだまだ差がある。
両者の10番目までの記録を比較したのが以下だ。

順)コスタディノワマフチフ
1)2.092.10
2)2.082.06
3)2.072.05
4)2.072.04
5)2.072.04
6)2.062.03
7)2.062.03
8)2.062.03
9)2.062.03
10)2.062.03
   
平均2.0682.044
マフチフのセカンドベストの2m06以上をコスタディノワは11回跳んでいる。マフチフの10番目(計10回)にあたる2m03以上をコスタディノワは、43回もクリアしている。
コスタディノワ(1965年3月25日生まれ)のトップ10の記録は、20~23歳の時のもの。32歳まで競技を継続し、引退した1997年まで2m00以上のシーズンベストを試合に出なかった90年を除き毎年マークした。しかし、トップ10の記録は20歳からの4年間に集中し、20歳1回、21歳4回、22歳4回、23歳1回だった。
マフチフは、2001年9月19日生まれで現在23歳。18日の予選と21日の決勝の間に24歳の誕生日を東京で迎える。トップ10の記録は、18歳1回、19歳2回、20歳2回、21歳2回、22歳3回。今後もコンスタントに2m10以上やそれに迫る高さを跳んでコスタディノワを10傑平均でも上回って「世界記録保持者」というだけでなく名実ともに「歴代ナンバーワン」になってもらいたい。
また、そのマフチフに今季5勝3敗と勝ち越しているオリスラガースには、マフチフの独走を許さずに競り合ってどんどんレベルを上げていってもらいたい。

日本国内でマークされた最高記録は、
2.05 H・ヘンケル(ドイツ)     1991.08.31 国立
2.05 S・コスタディノワ(ブルガリア)1993.09.18 博多の森
2.05 I・ババコワ(ウクライナ)   1995.09.15 国立
2.05 B・ブラシッチ(クロアチア)  2007.09.02 長居


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)


【東京2025世界陸上】9月13日~21日 国立競技場開催


>>https://www.jaaf.or.jp/wch/tokyo2025/

◆期日:
2025年9月13日(土)~21日(日)
◆会場:国立競技場(東京)
◆チケット情報:https://tokyo25-lp.pia.jp/  


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