2018.10.17(水)
【Challenge to TOKYO 2020 日本陸連強化委員会~東京五輪ゴールド・プラン~】第1回 アジア大会総括と東京五輪への強化全体像(1)
日本の陸上界は今シーズンの一番のターゲットだったジャカルタ・アジア大会を金メダル6個で終え、いよいよ2020年東京五輪に向けた準備が加速していく。国際陸連(I AAF)が進めるワールドランキング制度の本格施行を間近に控え、来年のドーハ世界選手権、そして東京五輪を目指す選手やコーチ陣には、新たな戦略が求められている。
日本陸連強化委員会として、その舵取りをどうやろうとしているのか。また、強化の方向性は? テーマごとに強化委員会の担当者に出席していただき、座談会形式でわかりやすく説明してもらうことになった。第1回は強化委員会を統括する幹部3人に、アジア大会の総括と今後の強化の全体像を語ってもらう。
※「月刊陸上競技」にて毎月掲載されています。

麻場一徳 :強化委員会 強化委員長(中央)
山崎一彦 :強化委員会 トラック&フィールド ディレクター(左)
河野匡 :強化委員会 長距離・マラソン ディレクター(右)
麻場 東京五輪まで2年となったこの時期、五輪で陸上競技が成功を収めるには何が必要かと考えた時に、1つ目はこれまで通り技術や体力、メンタルなどを磨き、パフォーマンスを上げていくことです。ただ、それだけではダメだ、と我々は考えました。2月の平昌冬季五輪で見られたように、世間の人たちからどれだけ応援してもらえるか。さらに、科学的なバックグラウンドをどれだけ持てるか。その2つを達成した種目がやはり良い成果を挙げていたということで、我々も世の中の陸上ファンや一般の方々に、強化委員会として何を考え、どんな取り組みをしているのかを発信していきたい、ということです。
河野 何をやるにしても、メディアへの対応がうまくいっていないところは、五輪で結果を残せていない傾向にあります。それと、表に出したくないことを避けていくよりは、我々が書いてもらいたいこと、常日頃考えていることを発信していく方が、メディアの人たちとよりコミュニケーションが取れるだろう、ということですね。メディア側の情報の入手ルートが迂回すると、間違った内容になるケースも過去に見受けられました。だったら「どんどんこっちから発信していこうよ」と我々の中で話し合いました。
麻場 ひと昔前までだったら、メディアとの関わりとしては、選手を「守る」という観点から必ずしもオープンではなかったのかもしれませんが、時代が違うのでそれは通用しませんね。
──とはいえ、五輪の代表クラスになったら、メディアの取材は殺到します。選手を「守る」ことを優先すべき場面も出てくるでしょうね。
河野 ”守り方”なんだと思います。こちらが何も出さないと、選手の状況にお構いなしにどんどん入り込んでくるメディアがあるかもしれません。
麻場 ひいてはそれがスクープ合戦になってしまいます。
河野 でも、ある程度きちんとしたものを出しておけば、そこで1回フィルターがかかるのではないでしょうか。
山崎 かつては発信する側の自己都合で「これは出そう、これは出さない」と決めてしまうことがあったのでは……。強化に携わっている人や選手は自己都合で動いているわけではないんです。選手は成績を出すためにやっているし、私たちはそれを支援しようとしているだけ。それをもうちょっと明確に示す必要があるのではないか、ということです。どの時代も明確に示しているつもりだったんですけど、示し方が難しかったんでしょうね。今はもっとわかりやすく出していく必要があると思います。どこまで出せるのかわからないですけど、出すことが大事かなと思っています。
「第1回アジア大会総括と東京五輪への強化全体像(2)」に続く…
構成/月刊陸上競技編集部
日本陸連強化委員会として、その舵取りをどうやろうとしているのか。また、強化の方向性は? テーマごとに強化委員会の担当者に出席していただき、座談会形式でわかりやすく説明してもらうことになった。第1回は強化委員会を統括する幹部3人に、アジア大会の総括と今後の強化の全体像を語ってもらう。
※「月刊陸上競技」にて毎月掲載されています。

麻場一徳 :強化委員会 強化委員長(中央)
山崎一彦 :強化委員会 トラック&フィールド ディレクター(左)
河野匡 :強化委員会 長距離・マラソン ディレクター(右)
積極的な情報発信の意義
──先日、強化委員会の「新プロジェクト説明会」が開かれ、2020年に向けての強化策の1つとして「メディアへの発信力を高めたい」という麻場強化委員長のお話がありました。専門誌での情報発信もその一環だと思いますが、まずそこに至った経緯を教えてください。麻場 東京五輪まで2年となったこの時期、五輪で陸上競技が成功を収めるには何が必要かと考えた時に、1つ目はこれまで通り技術や体力、メンタルなどを磨き、パフォーマンスを上げていくことです。ただ、それだけではダメだ、と我々は考えました。2月の平昌冬季五輪で見られたように、世間の人たちからどれだけ応援してもらえるか。さらに、科学的なバックグラウンドをどれだけ持てるか。その2つを達成した種目がやはり良い成果を挙げていたということで、我々も世の中の陸上ファンや一般の方々に、強化委員会として何を考え、どんな取り組みをしているのかを発信していきたい、ということです。
河野 何をやるにしても、メディアへの対応がうまくいっていないところは、五輪で結果を残せていない傾向にあります。それと、表に出したくないことを避けていくよりは、我々が書いてもらいたいこと、常日頃考えていることを発信していく方が、メディアの人たちとよりコミュニケーションが取れるだろう、ということですね。メディア側の情報の入手ルートが迂回すると、間違った内容になるケースも過去に見受けられました。だったら「どんどんこっちから発信していこうよ」と我々の中で話し合いました。
麻場 ひと昔前までだったら、メディアとの関わりとしては、選手を「守る」という観点から必ずしもオープンではなかったのかもしれませんが、時代が違うのでそれは通用しませんね。
──とはいえ、五輪の代表クラスになったら、メディアの取材は殺到します。選手を「守る」ことを優先すべき場面も出てくるでしょうね。
河野 ”守り方”なんだと思います。こちらが何も出さないと、選手の状況にお構いなしにどんどん入り込んでくるメディアがあるかもしれません。
麻場 ひいてはそれがスクープ合戦になってしまいます。
河野 でも、ある程度きちんとしたものを出しておけば、そこで1回フィルターがかかるのではないでしょうか。
山崎 かつては発信する側の自己都合で「これは出そう、これは出さない」と決めてしまうことがあったのでは……。強化に携わっている人や選手は自己都合で動いているわけではないんです。選手は成績を出すためにやっているし、私たちはそれを支援しようとしているだけ。それをもうちょっと明確に示す必要があるのではないか、ということです。どの時代も明確に示しているつもりだったんですけど、示し方が難しかったんでしょうね。今はもっとわかりやすく出していく必要があると思います。どこまで出せるのかわからないですけど、出すことが大事かなと思っています。
「第1回アジア大会総括と東京五輪への強化全体像(2)」に続く…
構成/月刊陸上競技編集部
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