2025.04.08(火)選手

【日本選手権10000m:男子展望】葛西は連覇、太田は初優勝、塩尻は復権を懸ける!日本人初の26分台突入の可能性は?



第109回日本選手権10000mが4月12日、9月に国立競技場で開催される「東京2025世界陸上競技選手権大会(東京世界選手権)」、そして5月に韓国で開催される「クミ2025アジア陸上競技選手権大会(クミアジア選手権)」の日本代表選考競技会を兼ねて行われる。会場は、熊本・えがお健康スタジアムで、同地での日本選手権は1998年以来27年ぶり(このときはトラック&フィールド種目全般での開催だった)。今回は、日本グランプリシリーズ第1戦として同日の昼間に実施される「第33回金栗記念選抜陸上中長距離大会2025(金栗記念)」の競技が終了したあと、ナイトゲームとして行われ、男子は19時35分、女子は20時15分にスタートする。

男女10000mの東京世界選手権参加資格は、ワールドアスレティックス(WA)が設定する参加標準記録(男子27分00秒00、女子30分20秒00)を突破するか、1カ国3名で設定されたWAワールドランキング(Road to TOKYO)で、本種目のターゲットナンバー(出場枠:27)内に収まることで得ることができる。ただし、マラソンを除く他の種目と同様にエリアチャンピオン(日本の場合は、アジア選手権優勝者)に加えて10000mについてはクロスカントリーのワールドランキングポイント上位者も条件つきながら参加資格を得ることができる仕組みとなっているため、ターゲットナンバー内に入ること自体が狭き門となっている種目と言えるだろう。

参加標準記録が、男女ともに日本記録(男子27分09秒80、女子30分20秒44)を上回る高い水準であるため、現時点での突破者はゼロ。日本代表選手の選考は、日本陸連が設けている代表選考要項( https://www.jaaf.or.jp/files/upload/202412/10_171138.pdf )に則って進められるが、今大会では、参加標準記録を突破して3位以内でフィニッシュすれば代表に即時内定する。また、内定者が出なかった場合も、日本選手権の成績(順位)が、その後の選考においても最も高い優先度となっているため、「一つでも上」を狙っての激しい戦いが繰り広げられることになりそうだ。
今大会でも、第107回大会から導入されている電子ペーサー(ウェーブライト)が用いられるほか、男女ともにオープンで参加する実業団所属の外国人選手たちがペースメーカーを務める予定。東京世界選手権に向けては、ロード種目(競歩、マラソン)の代表選手は出ているが、トラック&フィールド種目については、ブダペスト大会優勝により、ワイルドカードでの出場が決まっている女子やり投の北口榛花(JAL)のみ。この日本選手権10000mが最初の選考競技会となり、トラック&フィールド種目の代表争いがいよいよ本格化していく。ここでは、エントリーリストに基づいて、注目選手をご紹介しよう。

※エントリー状況、記録・競技会等の結果は、4月1日時点の情報で構成。

文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:フォート・キシモト、アフロスポーツ


【男子10000m】

葛西は連覇、太田は初優勝、塩尻は復権を懸ける!

日本人初の26分台突入の可能性は?

男子は、当初の22名から2選手が欠場して20名がエントリー。オープン参加の実業団所属外国人選手2名を加え、全22名でのレースが予定されている。このなかで、優勝争いの中心になることが期待できそうなのは、葛西潤(旭化成)、太田智樹(トヨタ自動車)、塩尻和也(富士通)の3選手か。
社会人2年目の昨年、大きな躍進を遂げたのは葛西だ。昨年5月に行われたこの大会に初めて出場した葛西は、終盤まで上位を伺う位置でレースを進めると、残り1000mを迎えるところでトップに立ち、そのままフィニッシュ。日本歴代4位の27分17秒46で初優勝を果たし、パリオリンピックにも出場した。今大会は連覇とともに、自国開催の世界選手権代表入りを狙ってのレースとなる。

近年の安定感と実績でスポットを当てると、太田が照らし出される。日本選手権は2大会連続2位だが、前々回は中盤でペースメーカーについて先頭を牽引してハイペースに貢献する走りを披露し、当時の日本記録を更新する27分12秒53(日本歴代2位)でフィニッシュ。同様に中盤でトップに立つ場面を見せた前回は、いったん後れるもラストで盛り返して2位を確保(27分20秒94)。パリオリンピックの代表も手に入れた。今年2月の丸亀ハーフマラソンでは、日本人で初めて1時間を切る59分27秒の日本新記録を樹立。途中計時となる15km(42分08秒)、20km(56分26秒)でも日本記録を更新している。この勢いのまま、初の日本選手権獲得を目指したい。

忘れてはならないのが、前々回の2023年大会で、27分09秒80の日本新記録で優勝を果たしている塩尻の存在だ。前回は終盤を入るところで上位から後れて10位。6月の日本選手権5000mも18位に終わって、2大会ぶりの五輪出場は叶わなかったが、12月には27分36秒37のシーズンベスト(セカンドベスト)をマーク。今年に入ってからは全国都道府県男子駅伝3区で区間賞、2月の日本選手権クロスカントリー(10km)では終盤まで先頭争いを繰り広げて28分29秒で3位と、再び上昇気流に乗りつつある。



この3選手に加えて、前回4位(27分26秒67)で、6月の日本選手権5000m3位、秋には5000mで13分13秒80(日本歴代8位)、10000mでは27分20秒33(日本歴代5位)と、社会人1年目の昨シーズン、大きく“芽吹いた”鈴木芽吹(トヨタ自動車)の走りにも注目が集まる。初の世界選手権代表入りに向けて、このレースでチャンスを引き寄せたいはずだ。

男子10000mのワールドランキング(Road to TOKYO)では、ターゲットナンバー27のうち、ワイルドカードを含めて、19番目までが参加標準記録突破者で埋まっている状態。さらに、クロスカントリーのランキング上位者が3名、エリアチャンピオンで資格を得る可能性がある選手が2名存在し、ランキングポイントでの資格獲得は熾烈な戦いとなっている。日本勢で、現在ターゲットナンバー内に収まっているのは葛西(24位)のみで、日本人2番手の太田がターゲットナンバーでも次点に位置し、その太田を4ポイント差で鈴木が追っている状況だ。もちろん代表入りに向けては参加標準記録突破が最も確実なルートではあるものの、“ヒト ・モノ“と両面のペーサーがあったとしても、27分00秒00はそう簡単にクリアできる記録ではない。ランキング順位を確実に押し上げられる記録とともに、高いポイントが得られるアジア選手権代表入りを期したレースが展開されるのではないか。

このほかでは、昨年の八王子ロングディスタンスで自己記録を塗り替えた荻久保寛也(ひらまつ病院、27分38秒28)、今江勇人(GMOインターネットグループ、27分42秒65)、吉居大和(トヨタ自動車、27分42秒88)が、どこまで上位に食らいつくことができるか。ペースにうまく乗って27分30秒を切るような展開を目指したい。また、田村和希(住友電工)は、2019年のチャンピオン。翌2020年大会では、3位ながら当時の日本新記録となる27分28秒92をマークしていて、これが自己記録となっている。今年は元旦の全日本実業団駅伝で3区(15.3km)を42分58秒で走って区間賞を獲得。前回日本選手権覇者の葛西を2秒差で抑えての結果だっただけに、トラックでの復調にも期待が持てそうだ。



また、3月26日に、マラソンで東京世界選手権日本代表選出が発表されたばかりの吉田祐也(GMOインターネットグループ)が、この大会に名前を連ねた。ニューイヤー駅伝には出場しているが、個人種目のレースとしては2時間05分16秒で優勝を果たした福岡国際マラソン以来で、世界選手権に向けての“最初の一歩”となる。10000mの自己記録は、昨年のホクレンディスタンス網走大会でマークした27分45秒85。これに迫る、あるいは上回る走りができるようだと世界選手権の楽しみも大きくなる。



もう一人、エントリーリストで目を引いたのは、若林宏樹(日本生命)の名前だ。今年の箱根駅伝5区で区間新記録を樹立して青山学院大の優勝に貢献、2月の別府大分マラソンでは学生新記録・初マラソン日本最高(当時)となる2時間06分07秒をマークして日本人1位の成績を収めた選手。その時点では、大学で競技活動から退く意向を示していたが、入社先の日本生命の所属でエントリー。期待を持って、その動向に注目したい。


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大会名 :第109回日本陸上競技選手権大会・10000m
開催日程:2025年4月12日(土)
開催会場:えがお健康スタジアム(熊本)

午前中は同会場にて「日本グランプリシリーズ第32回金栗記念選抜陸上中長距離大会2025」(以下、金栗記念)が開催されております。
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▼昨年大会
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▼東京2025世界陸上競技選手権大会/クミ2025アジア陸上競技選手権大会 日本代表選手選考要項
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