日本陸連は12月6日、2014年度から展開する「ダイヤモンドアスリート」制度の第10期認定式および修了式を行いました。
「ダイヤモンドアスリート」制度は、国際的な活躍が期待できる資質を備えた競技者を、中長期的な視野で多面的に強化・育成するために創設されました。高い水準での競技力向上を図るなかで、同時に国際人としての素養や人間性も高め、将来、社会の発展に幅広く寄与できる人材に育っていくことを目指しています。
第10期(2023-2024)を迎える今年は、認定アスリートとして継続競技者5名と新規競技者1名の計6名が選出。認定式・修了式には、この6名および第9期で修了を迎えた2名の全員が出席しました。
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認定式・修了式は、12月6日午後、東京都内で行われ、継続認定された栁田大輝(東洋大)、佐藤圭汰(駒澤大)、西徹朗(早稲田大)、北田琉偉(日本体育大)、澤田結弥(浜松市立高)の5選手および新規認定競技者として加わった永原颯磨選手(佐久長聖高)からなる第10期ダイヤモンドアスリート6名と、第9期をもって修了となったアツオビン・ジェイソン選手(福岡大)、藤原孝輝選手(東洋大)が顔を揃えました。
開会に際して、尾縣貢日本陸連会長が登壇。「1期・2期からは、オリンピック、世界陸上といった世界の最前線で活躍するアスリートが育っている。また、その活躍を追随すべく、国内外で多くのアスリートが活躍してくれている。この活躍は、国民に勇気と感動、あるいは陸上の魅力や価値を伝えてくれている」と修了生たちの活躍に胸を張った尾縣会長は、「この活躍の裏には、各スポンサー様の、個を重視したアスリート育成のための建設的なサポートがある」とサポート企業各社に向けて深い感謝の思いを伝えるとともに、「所属先のコーチをはじめ関係者の皆さま、保護者の皆さまに心から敬意を表する」と挨拶しました。
次に、強化委員会の山崎一彦委員長が挨拶に立ちました。山崎委員長は、現職に就く前に、プロジェクトの担当責任者としてダイヤモンドアスリート制度を創設に導いた人物でもあります。山崎委員長は、ブダペスト世界選手権女子やり投で金メダルを獲得した北口榛花選手(JAL)や、世界選手権男子100mにおいて2大会連続で入賞を果たしたサニブラウンアブデルハキーム選手(東レ)といった修了生の活躍を挙げたうえで、「この制度は日本陸上界の夢を若い人に託して始まったプログラム。一番の思いは、陸上競技を通じて、競技だけでなく国際人となって羽ばたいていくことを目的としている。それを実現した北口選手やサニブラウン選手のように、皆さんにも、ぜひ達成してもらいたい」と出席者を激励。ダイヤモンドアスリート制度が、発足に至るまでに実施された試験的な取り組みも含めると、非常に長い時間をかけて構築されたものであることを示しつつ、「期待されることを、ときには厳しく感じることがあるかもしれない。しかし、陸上界は、温かい期待で皆さんを見守っている。これからいろいろな試練が始まるが、それに負けずにいられる力を皆さんは持っている。頑張ってほしい」とエールを送りました。
続いて壇上に上がったダイヤモンドアスリートのプログラムマネージャーを務める室伏由佳マネージャーは、「皆さんは、活動拠点も異なるし、種目も異なる。しかし、日本の陸上界において、ダイヤモンドとなるアスリートとして選ばれし者。選ばれたことに対して、負荷を感じる時期があるかもしれないが、しかし、それを超えていく力というものが、私は非常に大事だと思っている」と述べたうえで、「皆さんにはモデルとなるたくさんの先輩アスリートがいて、このダイヤモンドアスリートのプログラムによって成功を収めている。このプログラムは、たくさんの企業の皆さまからサポートをいただいて実施できる特別なもの。このプログラムに認定されて、活躍したことは、皆さんにとって永劫の称号となるはず。その称号にふさわしい競技成績はもちろん、国際人として活躍できる素養を身につけてほしい」と呼びかけました。さらに、「本当に輝くことができるのは、5年、10年先かもしれないし、来年かもしれない。自分のなかで目標や計画をしっかりつくり、人格も磨き、北口選手のように、国際的な人気者に、愛される選手になってほしい」と期待を寄せました。
その後、第10期ダイヤモンドアスリートを支援するサポート企業5社が、室伏マネジャーより紹介されました。一般社団法人東京マラソン財団、アシックスジャパン株式会社、デンカ株式会社は、第9期に続いてリーダーシッププログラムやウエアの提供、海外遠征など、ダイヤモンドアスリートのプログラム全体のサポートを、また、エームサービス株式会社は栄養サポートを、株式会社GABAは語学研修プログラムを、それぞれサポートいただくことになっています。
そして、いよいよ室伏マネジャーより、第10期認定ダイヤモンドアスリート6名と、修了生2名の名前が発表。第10期生と修了生には、プレゼンターを務めた田﨑博道日本陸連専務理事から、認定証・修了証となるクリスタル盾が、励ましやねぎらいの言葉とともに、一人一人に授与されました。最後に、認定ダイヤモンドアスリートおよび修了生全員が登壇。1人ずつ自身の思いを込めた挨拶を行って、認定式・修了式を終えました。各選手が行った挨拶の要旨は、以下の通りです。
【第10期認定アスリート挨拶(要旨)】
栁田大輝(東洋大 2年:100m、第7期より認定)
私は、高校2年生のころからダイヤモンドアスリートとして活動させていただいている。まだ何もわからず、ただ走っているだけだった高校時代とは違い、今は、少し食事に気を遣うようになったり、英語に触れる機会が増えたり、国際大会に数多く出たいという気持ちを持つようになった。こうして今、成長して、こういう場に立てるのも、ダイヤモンドアスリートにおけるプログラムでたくさんのご支援をいただいたからだと思っている。来年はパリオリンピックが控えているので、そこで活躍して、陸上界を引っ張っていけるような選手になれるよう、今まで以上に練習に励んでいきたい。
佐藤圭汰(駒澤大2年:中長距離、第8期より認定)
今年は、ブダペスト世界選手権出場という目標を逃してしまった。来年のパリオリンピックに向けては、しっかり出場して目標を達成するとともに、競技力だけでなく、さまざまなプログラムを通して、人間的にも成長し、国際人になれるように頑張っていきたい。
西 徹朗(早稲田大 2年:110mハードル、第8期より認定)
初めてダイヤモンドアスリートに認定していただいた2年前から思うような結果を残すことができていない。しかし、来シーズンはしっかりと、ダイヤモンドアスリートに掲げられている通り、世界の舞台で戦っていけるような選手に成長していきたいと思う。また、競技面以外でも、人間性の部分や国際人として活躍していけるための教養なども、しっかりと身につけていきたい。皆さまから応援されるにふさわしい選手として、成長していくことを誓う。
北田琉偉(日本体育大1年:棒高跳、第9期より認定)
去年掲げた目標である今年の(ブダペスト)世界陸上への出場といった世界大会などへの出場は、今年は逃してしまった。来年は、それを上回るような記録を出して、大会に出場し、入賞できるよう努力していきたい。
澤田結弥(浜松市立高3年:中長距離、第9期より認定)
私は大学を決める際に、ダイヤモンドアスリートプログラムの力添えのおかげで、アメリカの大学への進学を決断することができた。新しい環境で苦労することもあると思うが、世界で活躍できるような選手になり、国際人になれるよう精進していく。
永原颯磨(佐久長聖高3年:3000m障害物、第10期より新規認定)
今回、新規として認定していただいた。今年は、夏のインターハイにおいて、優勝することができたが、自分は世界で戦っていくことを目標としている。これからは、さらに環境が厳しくなっていくと思うが、このようなプログラムを活用しながら、競技面でも人間性でも成長していけるように頑張っていきたい。
【修了生挨拶(要旨)】
藤原孝輝(東洋大3年:走幅跳・110mハードル、第6期より認定)
最初、2019年にダイヤモンドアスリートに認定していただいたが、ケガや調子の上がらない時期が長く続き、パーソナルベストを更新できないまま(認定期間が)終わってしまった。ただ、今年度は、ケガもあったが、パーソナルベストに近い記録を出すことができて、調子も上がってきた。また、ダイヤモンドアスリートのプログラムのなかでも、栄養研修などで多くの経験を積ませていただいた。来年のパリオリンピックには手が届くような位置に戻ってくることができたので、しっかりとオリンピックを目指し、ダイヤモンドアスリートにふさわしい選手であったと思われるように頑張っていく。
アツオビン・ジェイソン(福岡大3年:砲丸投、第7期より認定)
今まで多大なるご支援をいただき、本当にありがとうございました。海外遠征や語学学習プログラムなどは、ダイヤモンドアスリートになるまでは経験できない素晴らしいプログラムだったと感じている。ダイヤモンドアスリートプログラムの先輩である北口(榛花)選手は、日本のやり投界を牽引し、世界の扉を開いた、僕の憧れの選手の一人。北口選手のように、僕も日本の砲丸投界を引っ張って、世界の扉を一番に開ける選手になれるよう、これからも頑張っていきたい。
文:児玉育美(JAAFメディアチーム)
写真:アフロスポーツ
【ダイヤモンドアスリート】特設サイト
>>https://www.jaaf.or.jp/diamond/
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■【ダイヤモンドアスリート】第10期認定アスリート:日本高校記録保持者の永原颯磨(佐久長聖高等学校)が新たに選出!
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■【ダイヤモンドアスリート】北田琉偉インタビュー ~正念場で掴んだ手ごたえと成長~
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